SEISAKU DB トップ
SEISAKU DB
高村ゆかり ·東京大学未来ビジョン研究センター教授

参議院環境委員会(2024-06-06)での発言

第213回国会 ·第第12号号 ·5,456字
○参考人(高村ゆかり君) 三原委員長、ありがとうございます。  委員長を始め環境委員会の先生方に、この度、参考人として意見を申し上げる機会をいただきましたことをお礼申し上げたいと思います。  私の資料のスライドの二枚目でございますけれども、先生方の御議論を経まして、二〇二一年に地球温暖化対策推進法が改正をされ、地球温暖化対策の基本理念を第二条の二に盛り込んでおります。先生方御存じのとおり、パリ協定、日本も締結をしておりますパリ協定の目標であります二度、世界の平均気温の上昇を工業化前と比べて二度高い水準を十分に下回る、そして一・五度までに抑えるという、この二つの目標を念頭に置きながら、二〇五〇年までの脱炭素社会の実現ということを基本理念として書いていただいております。  その後、二〇二一年十月末から十一月にかけて行われました温暖化対策の交渉会合、COP26におきまして、パリ協定の目標である、の中で一・五度目標を目指すということが確認され、これが現在のG7、そしてG20でも共有された目標となっております。  次のスライド三番目でございます。  今回の温対法、温暖化対策推進法の改正のポイント、幾つかあるかと存じますが、私の意見は主に上の二つ、二国間クレジット制度、JCMの着実な実施を確保するための体制強化と、それから二つ目、地球、失礼しました、地域共生型再エネ導入促進に向けた地域脱炭素化促進事業制度の拡充について意見を申し上げたいと思います。  スライドの四枚目でございます。  先ほど、国際目標となっている工業化前と比べて世界の平均気温を一・五度までに抑えるという目標でありますけれども、最も新しい科学の知見をまとめたIPCC、気候変動に関する政府間パネルが示した科学的知見は、二〇一九年の排出量と比して、こちらにありますように、一・五度目標を五〇%を超える確度で達成をしようといたしますと、三〇年に世界全体で四三%、三五年に六〇%、四〇年に六九%といった水準の削減が必要になってまいります。二酸化炭素でいきますと、まさに二〇五〇年に九九%削減、まさに二〇五〇年カーボンニュートラルを実現をするということが重要な指標となっております。  次のスライド五枚目でございます。  これを国連が図化したものでございますけれども、日本も更新をして提出をいたしました二〇三〇年の二〇一三年度比四六%削減という目標は、世界でも多くの国が更新をし、その結果、この目標が全て確実に達成をされるとしますと、三〇年までのどこかの地点で世界の排出量が頭打ちになるような目標が現在提出をされております。  しかしながら、こちらの図に、グラフからも分かりますように、一・五度目標、あるいはもう一つ、少し高い二度目標と照らしても、まだ排出の削減が足下で足りないということが分かります。とりわけ、国連の場でもG7の場でも、この十年が極めて重要であるということが指摘をされております。  次のスライド六でございます。  日本の温室効果ガスの排出量の動向でございますけれども、現在、二〇二二年度の速報値が最も新しい排出量の値でございますが、一九九〇年度以降最小値になっております。そういう意味では、気候変動対策は排出削減という意味で着実に進んでいるというふうに言うことができますけれども、四六%削減、さらには五〇%削減の高みを目指すという三〇年の目標に照らしますと、更なる追加的な対策の強化が必要となってまいります。  次のスライド七枚目でございます。  今回の温対法改正の一点目のポイントであります二国間クレジット制度、JCMの拡充についてでございます。  このスライドは、JCMの仕組みを環境省の資料を使って御紹介をしたものでありますけれども、パリ協定に基づいて日本が他国と取決めを結び、その取決めに基づいて、他国において排出を減らしたものを日本の削減目標の達成に使うことができる排出クレジットとして獲得をして日本の目標達成に使うことができるという仕組みでございます。  スライドの八でございますけれども、今回の法改正について、私の目から見ますと、非常にやはり重要な改正だと思っております。  それは、今申し上げました国際的な一・五度目標、あるいは二〇五〇年の脱炭素社会の実現に向けますと、足下での更なる削減対策の強化、加速化が必要な中で、この三〇年目標の達成を助けるということ、現在、三〇年までに獲得ができるであろう排出クレジットの量は約二千三百万トンと想定をされておりますけれども、現在の地球温暖化対策計画の下では約一億トンということが目標、指標となっております。この目標を助ける、そういう意味での拡充でございます。  それから、さらにはパートナー国、とりわけパートナー国、スライドの七にこれまでの二十九か国を列挙、御紹介しておりますけれども、途上国を中心としたパートナー国の排出削減を支援することで、世界の排出削減を日本が持つ優れた脱炭素技術、製品、サービスなどを使って貢献をするという、そうした側面がございます。特に、こうした機会を持って、日本の持つ様々な技術や製品、脱炭素の技術や製品、サービスを海外に展開していく機会ともなろうかと思います。  スライドの九でございます。  その意味で、今二十九か国、そして二百四十以上のプロジェクトが今動いているところでありますけれども、更にやはり拡大をしていくということを考えますと、この運営体制を更に強化をすること、そして、そのための制度整備が必要と考えます。  事業計画の策定から、最終的には排出削減量を算定をしてクレジットを発行するまで、様々なプロセスを経てまいります。現在、年度ごとに国が事業者に委託をしているという形でありますけれども、継続をした一元的な事業の管理を実現をすることで、更なるパートナー国の拡大、事業の拡大ができるというふうに考えております。  さらに、それは運営を委託をする者の法によって、しっかり国がその体制、運営を確保をし、主務大臣が監督をするということを法によって定めを置くことでその監督体制を明確にするということでもございます。  スライドの十でございますけれども、是非、この温対、温暖化対策推進法の二国間クレジットに関わる改正に当たりまして、先般の二〇二三年、G7札幌で行われました気候・エネルギー・環境大臣会合で合意をしております質の高い炭素市場を実現をするように期待をしております。  ちょうど先月、アメリカで財務長官、農務長官を始め政府首脳六名が賛同する形での共同声明がアメリカからも表明されておりますけれども、先ほど申し上げました世界全体での排出削減への貢献、とりわけ一・五度目標、二〇五〇年カーボンニュートラルと整合的な炭素市場、自らの排出削減を優先をし、削減が難しいところにこうした炭素市場を活用していく、環境や社会への配慮、とりわけ環境のみならず人権の尊重を始めとする社会的な配慮の確保、そしてそれを可能にする透明性の高いロバストな、強固なガバナンスというのがG7のこの質の高い炭素市場原則の中にも盛り込まれておりますし、これはスライドの十一に付けております、そして、アメリカから発せられました共同声明と共通するものでございます。そういう意味では、このJCM、二国間クレジットがこうした質の高いクレジットの創出、あるいはそれを創出するメカニズムとなることをこの法改正の折に期待をしております。  スライドを少し飛ばさせていただきまして、十三枚目のスライドまで飛ばさせていただこうと思っております。  法改正の本日意見を申し上げたい第二のポイントと申しますのが、地域脱炭素化促進事業制度の拡充でございます。国の脱炭素には各地域の低炭素、脱炭素化というのが不可欠でございます。とりわけ日本の場合は、温室効果ガス排出量の約八五%がエネルギー由来であるということを考えますと、エネルギー、電力の脱炭素化を加速をすることが必要かと思います。その中で、様々な施策の中でその大きな一つの柱として、地域と共生をした形での再生可能エネルギーの導入、脱炭素化ということが重要かと思います。これは、二〇二一年に閣議決定をされております現行の第六次エネルギー基本計画でも同様の考え方が盛り込まれていると理解をしております。  次のスライド十四枚目でございます。  現在の温暖化対策推進法に基づく地域脱炭素化促進事業制度につきましては、次のスライドに環境省の資料、分かりやすい資料を挿入をさせていただいて、使わせていただいておりますけれども、市町村、基礎自治体が再エネの促進区域や再エネ事業に求める取組、条件を自ら計画の中に、温暖化対策計画の中に位置付けて、その適合する、条件に適合する事業計画を認定する仕組みというものを導入をしたものです。これ、二〇二一年の法改正で導入をされております。こうすることで、地域が納得をし、地域にとって最も良い形での再エネ導入を図っていくということであります。  この四月の段階で三十二の市町村が促進区域を設定をしております。しかし、御存じのとおり、基礎自治体は千七百を超え、しかも、その中で千四百以上が人口十万人を割る、十万人未満の基礎自治体でございます。その意味で、こうした促進区域、地域共生型の再エネ導入を図っていくための一つの手段、方法であります促進区域の設定、事業認定の仕組みというものを更に拡充をしていく法改正と理解をしております。  スライドの十六でございます。  この必要性は、私、大変重要なものと思っております。それは、今世界的に起きている企業に対する脱炭素経営へを促す動き、これは株主やあるいは金融機関などからのエンゲージメント、働きかけが行われ、さらにはスライドの十七、十八のところにも付けておりますけれども、原材料の調達から下加工、あるいは運送、そして小売事業者に届けて、消費者が最終的に消費をして廃棄をするまでの企業のバリューチェーン全体の脱炭素化ということが求められるようになってきているということであります。  もちろん、気候変動対策、地域の脱炭素化というのは気候変動の影響から地域や企業を守るということでもありますし、今、高く推移をし、あるいはボラタリティーといいますか、変動が大きなエネルギーのコストをできるだけ抑え、レジリエンス、地域の中でこうした脱炭素の電源を置いて備えておくといったような、こうした価値に加えて、今申し上げました企業価値の向上の上でこの地域の脱炭素化というのが重要な役割を示すようになってきております。これは大企業だけでなく、先ほど申し上げましたそれにつながっている取引先にも影響が及んできているということでございます。  その意味で、地域の脱炭素化は、今申し上げました気候変動対策としてはもちろん、あるいは地域のエネルギーコストを抑え、レジリエンスを高めるといったことに加えて、企業の企業立地としての地域の魅力を高め、地域にある社会課題に対して応えていく、そうした取組と考えられます。  大変僣越ですが、幾つかこうした取組が生まれている事例を御紹介をしてまいりたいと思います。  スライドの十九でございますけれども、マイクロソフトは、既に取引先を選定をする段階で、排出量について取引先の候補から報告をしてもらうということを取引先選定の際の一つの条件としております。  スライドの二十のアップルでございますけれども、アップルは、サプライチェーン、バリューチェーンの脱炭素化、とりわけサプライヤーに対して電力は再エネ一〇〇%でという要請をしております。日本企業、二〇二三年十月の段階でこちらにございます企業がそれを約束をされています。今申し上げました脱炭素経営が日本の企業にとって取引先から選定をされる上でも重要になってきているという資料でございます。  スライドの二十一でございます。  これまでの促進区域の中でも、屋根や公的な建築物の屋根を活用した、住宅の屋根ですとか公的建築物の屋根を活用した再エネ導入というのが進められていますけれども、こちらは住民の健康にとっても重要だということが自治体の取組の中にもございます。  スライドの二十二は千葉県の睦沢の例でありますけれども、電力供給が台風十五号で途絶えた際に、道の駅を活用したコジェネと再生可能エネルギーが四日間の停電期間の住民の生活を支えたという事例でございます。  スライドの二十三でございますけれども、こちらは脱炭素先行地域にも選ばれている地域でありますけれども、農業人口が減少し、高齢化が進んでいる中で、農地を活用した営農型の再エネ導入を行い、それによって若手の営農者がオーガニックの有機の農業を進めていく際の支援をする財源として活用している地域の例でございます。  最後、スライドの二十五に書いておりますけれども、この法改正を機会に、こうした自治体への支援、地域脱炭素化を進める支援を是非充実をしていただきたいというふうに思っております。今回の法改正というのがその一助になることを期待しております。  以上でございます。

高村ゆかり の他の発言

2024-06-06 · 参議院環境委員会
○参考人(高村ゆかり君) 加田先生、ありがとうございます。大変光栄です。ありがとうございます。  二〇〇五年、ちょうど京都議定書の約束が始まる前に書かせていただいたものですけれど…
2024-06-06 · 参議院環境委員会
○参考人(高村ゆかり君) 加田先生、どうも御質問いただき、ありがとうございました。  私の資料の一番最後のところで、先生の問題意識に関わるところ、付させていただいております。先生…
2024-06-06 · 参議院環境委員会
○参考人(高村ゆかり君) 田島先生、どうも御質問ありがとうございます。  先生御指摘になったその排出削減量を正確に、これはクレジットがどれだけ発行できるかということですけれども、…
2024-06-06 · 参議院環境委員会
○参考人(高村ゆかり君) ありがとうございます。  今、田島先生から御指摘あった公的な海外支援をこうしたキャパシティービルディング、能力構築に使っていくというのは私は賛成であり、…
2024-06-06 · 参議院環境委員会
○参考人(高村ゆかり君) 竹谷先生、どうもありがとうございます。  もちろん、国がしっかり排出量を測定をし把握をするということも重要ですけれども、先生の御質問、私なりに理解をしま…
2024-06-06 · 参議院環境委員会
○参考人(高村ゆかり君) 田島先生、どうもありがとうございます。大変大きな御質問をいただきました。  この一・五度目標、これは二〇五〇年カーボンニュートラルとも整合するわけですけ…
2024-06-06 · 参議院環境委員会
○参考人(高村ゆかり君) 竹谷先生、ありがとうございます。  再生可能エネルギーの最大限導入、それから省エネはファーストフューエル、一番やはりそのエネルギーの分野でも温暖化対策と…
2024-06-06 · 参議院環境委員会
○参考人(高村ゆかり君) 梅村先生、どうもありがとうございます。  先生おっしゃったパートナー国との信頼関係、これは、特にJCMの関係に関して言いますと、やはり先ほど議論でも御発…

API / MCP 利用

国立国会図書館 国会会議録 API を構造化

REST: /v1/diet/speeches/search?speaker=高村ゆかり
MCP: search_diet_speeches(speaker="高村ゆかり")