○参考人(林星一君) 神奈川県座間市福祉部の林星一です。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
私は、平成十八年に中途採用で座間市に入庁し、九年間の生活保護ケースワーカーの経験後、平成二十七年度から生活困窮者自立支援制度に関わっている者です。以下、生困制度と呼びます。本日は、これまでの経験や現場の仲間の声も踏まえ、大きく四点お伝えさせていただきます。
大きな一点目は、居住支援のための措置についてです。
今回の法改正で示されている居住に関する相談支援等の明確化や一貫した居住支援の強化の措置について、賛成です。その上で、関連した小項目として、四つ意見を述べさせていただきます。
まず、自立相談支援事業に関してです。
新たに居住を支援内容として明確化したことで、人材の確保や養成が課題となると思います。
神奈川県居住支援協議会では、令和五年度から居住支援コーディネーター育成研修を始めています。この研修では、住まい探しや福祉サービスの基本的な知識だけでなく、住まいの課題を生活全般の課題と捉え、困り事を受け止めて整理する力を習得し、課題の発見から専門部署へ寄り添いながらつなぐことができるコーディネーターの養成を目指しています。こうした取組なども参考に、居住支援の包括性を意識した人材の確保や養成をお願いしたいと思います。
小項目二つ目に、居住支援法人との連携です。
住まいの相談窓口ができても、不動産事業者や大家さんの居住支援への理解がなければ住まいの確保は進みません。そういった意味で、生困法改正案で居住支援法人との連携が努力義務として規定されたことは重要なことだと考えますので、これまでの経験から感じていることを述べます。
一言で言えば、関係機関が連携して住まい支援が機能するためには、お互いの立場の理解が必要です。
座間市では、居住支援を事業化する以前から、主に入居支援について市内で活動する居住支援法人のNPO、ワンエイドと連携をしていました。
あるとき、自立の就労支援とワンエイドによるアパートの入居支援の後、生活が安定し、自立の支援を終結した五十代単身の方が、しばらくして病気のためアパートの自室で亡くなられ、時間がたってから発見されるということが起きました。当時は支援終結時の個人情報の取扱いについて取決めをしていなかったため、市はワンエイドに支援終結について連絡していませんでした。一方で、ワンエイド側では、自立相談支援事業が現在も本人と継続的に関わっているものと思っており、支援が終結したと考えていなかったとのことでした。すぐに連絡が取れる身寄りもなく、部屋の残置物などの問題が残されましたが、行政の立場でできることは限られ、結局、不動産会社やワンエイドさんが対応を行ってくださいました。
ワンエイド代表の松本さんからは、こうしたことがあると、ようやく説得して開拓した大家さんとの関係を失ってしまう場合がある、相談者だけでなく物件の向こう側にいる不動産関係者や大家さんを守ることも私たちの役目、相談支援には終結があるが、住まいの支援はずっと続くというお話を伺いました。
不動産事業者や居住支援法人の立場への理解が浅かったことについて深く反省し、かなり落ち込みましたが、松本さんから、私たちも行政の立場を理解します、支援に関わるそれぞれが相手の立場を理解して相談者のために手をつなぐことが大事、お互いに頑張りましょうと言われたことが自治体として何ができるかを考えるきっかけとなり、一時生活支援事業や地域居住支援事業の実施、さらには座間市居住支援協議会の立ち上げにつながりました。単に住まいの確保が必要だから住まい支援をお願いしますと居住支援に相談者をつなぐのではなく、相談者を中心にチームで関われる環境づくりが必要と考えます。
小項目三つ目は、住居確保給付金です。
今回の改正案に、家賃が低廉な住宅等への転居により安定した生活環境が実現するよう、住居確保給付金の支給対象者の範囲を拡大する方向が盛り込まれたことは良かったと考えております。
その上で意見を申し上げますと、収入が著しく減少し、収入に対して家賃が高額で転居が必要なのにもかかわらず、収入基準額が低過ぎるため該当にならない場合が生じるのではないか、算定する収入等の範囲について、給与収入の場合、社会保険料等天引き前の総支給額で算定するため、実際の生活が苦しくても制度に該当しない場合がある、転居のためには、契約に関わる費用のほかに引っ越しに係る費用や不要な家財の処分費用なども捻出しなければ転居できないことも多いといったことがありますので、住居確保給付金が現場でこれまで以上に効果的に活用できるよう、収入基準額や収入算定方法の見直し、転居費用の範囲について検討をお願いします。
また、地域によっては、低廉な住居が少ないために、比較的低廉な住居が多い市外の自治体に転居する場合もあると思います。転居費用を支給された方が市外に転居した際の支援の引継ぎや転居後の生活保護申請の実施責任などについても整理を行い、現場で混乱なくスムーズに支援が行われるよう、必要な検討もお願いいたします。
小項目四つ目は、今後の居住支援の検討についてです。
居住支援については、全世代型社会保障構築会議の報告書で提言された社会保障としての住まい政策について具体的な施策の詳細を検討するため、昨年度中間取りまとめを取りまとめた三省合同の検討会を継続していただきたいと思います。
また、その際には、中間取りまとめや生困制度の在り方に関する論点整理にも記載がありましたとおり、既に住宅を確保している方についても、心身の機能の変化、収入の減少等により住宅の確保に配慮が必要となり得ることを踏まえ、その居住の安定が図られるような支援、具体的には、普遍的な社会保障施策としての住宅手当といった家賃補助的な施策も引き続き検討をお願いしたいと思います。
次に、大きな二点目ですが、生活困窮者向けの支援会議の努力義務化などについて、賛成です。
私は、生困制度が始まった頃、国の研修を受講し、TTPという言葉を覚えました。これは、良い取組は徹底的にパクれの略がTTPです。座間では、生活困窮者支援の先駆的な自治体である滋賀県野洲市さんの取組を徹底的にパクりたいと思い立ち、包括的支援体制構築ワーキングチームを中心に、研修やつなぐシート、相談チャートなど、全庁的に取組を進めてきました。
本日参考で配付しておりますのは、昨年度の研修会のアンケート結果です。先輩職員の豊富な知識を今回吸収することができとても勉強になった、研修を通じて庁舎内に困っている人々を助ける制度や施策が数多くあるということが分かったなど、有意義だったとする感想が多くあり、全庁的に生活困窮者支援に取り組むことは自治体職員のスキルアップ、レベルアップにもつながると実感しております。
前述の野洲市には、野洲市くらし支えあい条例という条例があります。この条例の二十三条から二十五条には、生活困窮者等の発見、生活上の諸課題の解決及び生活再建を図るための必要な情報の提供、助言その他支援を行うことや支援会議が規定されております。
今回の生困改正法案では、第八条第一項で生活困窮者の状況の把握、第二項で生困制度の利用勧奨、第九条に支援会議の設置や関連会議体との連携が都道府県等の努力義務として示されましたが、この箇所は先ほど紹介しました野洲市の条例の箇所にとても似ていると私は感じました。
野洲市で取組をリードしてきた生水裕美さんは、生困制度が、頑張ろうとしている自治体職員のやりがいを生み出す糧となって、市民の命と暮らしを守るために思いっ切り働ける、そうした心強い味方として頼れる存在に成長していってもらえることを心から願っていますとお話しされています。
生活困窮者向けの支援会議設置の努力義務化等の改正は、現場で市民の命と暮らしを守るために頑張ろうとしている自治体職員の後押しになる改正と考えますので、賛成です。
大きな三点目は、生活保護制度及び生困、生保両制度の連携です。
ここでは小項目として二つ意見を述べます。
まず、子供の貧困への対応のための措置として、情報提供や助言を行うための事業を生活保護法に法定化することに賛成です。
先日、異動してケースワーカー一年目が終わった職員から、収入認定除外や奨学金の制度や手続の流れがよく分からず、御本人や保護者にきちんと説明するために非常に苦労したという話を聞き、振り返って自分もそうだったと思い出しました。事業の実施により、御本人や保護者への情報提供や助言が充実するだけでなく、個々のケースワーカーの理解も深まることも期待されます。
座間市では、生困、生保両制度の家計改善支援事業や子どもの学習・生活支援事業を座間市社会福祉協議会に委託して実施しております。現状でも、家計改善支援事業により進路選択に必要な奨学金などの教育費に関する情報提供を保護者に行ったり、子どもの学習・生活支援事業で高校受験に向けたアドバイスなどを学校と連携して行ったりしておりますので、新たな子供の進路選択事業はこうした事業と連携することで更に効果的な支援が行えるのではないかと期待しております。
つきましては、子どもの学習・生活支援事業とともに、生困、生保両制度の家計改善支援事業について、子供の貧困への対策からも推進していただきたいと考えます。
二つ目、保護受給者の支援に関する会議体の設置や、生活困窮者に就労準備支援事業、家計改善支援事業、居住支援事業を行う事業について、新たに生活保護受給者も利用できる仕組みを創設し、両制度の連携を強化することについて、支援力の向上の点から賛成です。
その前提として、生活困窮者に対する就労準備支援、家計改善支援、居住支援事業が全国どこででも受けられることにすることが大事ですので、これらの必須事業化を今後も継続して検討していただきたいと思います。
生困、生保両制度が連携した支援は、地域共生社会や一人一人の尊厳の保持など、共通の理念に基づいて行われることが大切だと思います。また、新たに生活保護受給者も生困の任意事業を利用する、利用できる仕組みを創設することで、生活保護ケースワークの業務の公的責任が後退したり生困制度の理念が失われたりすることのないよう留意するとともに、生活保護制度、生困制度の自治体担当者、さらに両制度の事業従事者の合同の研修の検討をお願いします。
大きな四点目は、自治体の体制整備や事務負担軽減策の必要性です。
座間市の就労準備支援事業所はたらっく・ざま代表の岡田さんは、自分たちの団体は他市でも就労準備支援事業を受託しているが、生困と生保の事業を一体的にやっている場合は被保護者の率が徐々に増えてくる傾向がある、会議体の連携や研修はもちろん大事だが、一番肝腎なのはケースワーカーが生活保護の利用者本人や外部の支援者と一緒に支援を考える時間を十分に確保できるかどうかだと話されていました。
日頃の業務に忙殺され、新たな取組を行う余裕のない福祉事務所も多いと思います。改正法が現場で有効に改正されるため、ケースワーカーの人員確保や事務負担軽減の策について検討していただきたいと思います。
また、今回の法改正で生活困窮者自立支援制度や生活保護制度に期待されているような多岐にわたる連携体制の構築やその維持のためには、そうした取組のためのマンパワーの確保が必要です。生困制度については、一定規模以上の福祉事務所設置自治体においては専従職員を必置とするなどの検討をお願いしたいと思います。
生活保護のケースワーカーをしていた頃、先輩職員に、制度や仕組みだけがあっても駄目、困っている人がいたら、まずは気付いた人が声を掛けられるようになることが大事と教わり、その言葉は自分にとって自治体職員としての原点の一つとなりました。
今、基礎自治体の職場は様々な課題に対応しなければならない一方で、新しい職員が採用できず人手不足だったり、ストレスにさらされる中でしんどさを抱える職員が増えたりということで、業務に追われ、困っている人に気が付いても声を掛けることをついちゅうちょしてしまうような現実もあります。今回の生困制度、生活保護制度の改正が、困っている住民の役に立ちたいという自治体職員の素朴な願いを後押しするものとなってほしいと思っております。
以上です。ありがとうございます。
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2024-04-11 · 参議院厚生労働委員会
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○参考人(林星一君) ありがとうございます。
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○参考人(林星一君) ありがとうございます。
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2024-04-11 · 参議院厚生労働委員会
○参考人(林星一君) ありがとうございます。
まず、一点目の全てが乗り越えられたのかというところですけれども、これは本当に、いらっしゃる方の御相談内容というのが、例えばコロナの…
API / MCP 利用
国立国会図書館 国会会議録 API を構造化
REST: /v1/diet/speeches/search?speaker=林星一
MCP: search_diet_speeches(speaker="林星一")