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鈴木明子 ·中央大学法学部兼任講師/共同養育支援法全国連絡会母の会アドバイザー兼共同責任者

参議院法務委員会(2024-05-07)での発言

第213回国会 ·第第9号号 ·6,016字
○参考人(鈴木明子君) 中央大学法学部で兼任講師を務めております鈴木明子と申します。  共同養育支援法全国連絡会母の会においてはアドバイザー兼共同責任者を務めさせていただいており、我が子に会えない母親たちの存在についてお話しする機会をいただいております。今回、この貴重なお時間をいただき、大変有り難く思っております。  私、法学部で兼任講師をしておりますけれども、法学や法律の専門家でないということはお伝えしておきます。私の専門は民俗学であり、日本の家制度あるいは地域社会を研究対象としております。  少し前の日本社会におきまして見られた親子の断絶というのは、離婚によって生き別れた母親が我が子の姿を遠くから見詰めるという切ない話がありました。時代が移り変わり、性別役割分業が進み、母性優先という現象が登場し、現代の日本では母親単独親権者が多数となり、母親に引き取られる子供たちが増えております。  かつては父親の再婚によっていじめられる子供たちの話がたくさんあり、シンデレラや白雪姫といった話が分かりやすいと思いますけれども、そうしたお話、同じお話が日本にもたくさんありました。一方、現代では、母親の再婚相手による子供たちの虐待という悲しい事件が後を絶ちません。  日本文化を研究している身としては、祭りや行事といった伝承母体としての家というのは揺らいでいるのに、なぜか、現代社会においては、一人親という問題に関して家由来の縁切りという文化が残っているのに愕然としております。  母親単独親権者が増えている一方で、我が子に会えない母親が増えているとも言われております。従前の監護状況によって監護者が決められているのであれば、母親による面会交流の申立ては増えるはずはなく、減るはずではないかという仮説を立て研究をしております。今回は、我が子と引き離される母親についての話を取り上げていきたいと思います。  現在、家裁を利用している人々からは、家裁はうそが通る、証拠を出しても考慮してもらえないなど、様々な悪評を聞きます。国会での答弁におきましては適切に審理されていると繰り返されておりますが、ブラックボックスな家裁と言われることがありますとおり、密室の審理であるため客観的な検証が難しく、誰かが声を上げても個別の事案として一蹴されてしまう現状があります。  しかし、個別の当事者の話も研究の蓄積によって客観的なデータになり得るということはこれまでの他の当事者研究からも明らかであり、日本の近現代史における歴史的な観点も踏まえていくという点で私の専門分野は親和性が高いと考えております。  我が子と引き離される母親たちというのは、アンコンシャスバイアスによって同じ立場の父親たちからも偏見の目を向けられることもあり、弱い立場に置かれております。産後すぐに追い出された、専業主婦で追い出された、共働きの家庭で、お父さんたち同様に仕事から帰ったら家がもぬけの殻であったなどなど、従前の監護者であった子供たちを連れ去られたお母さんたちは、精神的にも肉体的にも、また金銭的にも追い詰められていることも多く、話を集めることは難しく、研究としてはなかなか進めるのが難しい現状もあります。  しかし、断片的ではありますが、現在進行形で起きている我が子と会えない母親の存在を浮き彫りにすることによって、その背景にある単独親権による子供の奪い合いと面会交流の現状、関与する司法の現状についての一端を明らかにし、今後への手掛かりにしていただきたく存じます。母親の現状を明らかにすることは、また、母親より何倍も多いお父さんたちの現状の理解にも通じると考えております。  今回の民法改正に関しては、まだまだ不十分であり、改善していただきたい点は多々あります。しかし、日本的な縁切り文化の意識を変える第一歩にはなるものと信じております。  まず、資料の方、一から見ていただきたいと思いますけれども、資料一の一、グラフ一、二に関しましては、既によく知られている離婚件数に関しての統計データをグラフ化したものですので、そこは飛ばさせていただきます。  今回使いたいのは資料一の二からになりますが、ブラックボックスな家裁と言いましたけれども、家裁というのは、プライバシーの問題ということで、情報はほとんど公開されておりません。司法統計のデータはありますが、大枠しか見えていないため、数字などのデータだけはもっと公開してほしいと研究する立場から思っております。また、是非利用者アンケートなど行っていただきたいとも思っております。今回用いた数字も、実は一般公開されているものではありません。仮説を基に様々な資料を探し、最高裁判所に問い合わせて入手することができた資料になります。元の資料に関しては資料一の四として添付しておりますので、そちらを御覧ください。  こちらの資料を基に作ったのがグラフ三、四になります。私の方では母親についての言及が中心となりますが、我が子に会えない母親が増えているのではないかというふうに言われておりますけれども、このグラフを見ていただきますと、母親による面会交流の申立て数は実は増えておりまして、現在、母親親権者数が増えており、父親親権者が減っている中で、減少していないという現状が浮かび上がってまいりました。すなわち、我が子に会えない、父親親権者が減っているにもかかわらず、我が子に会えない母親たちは増えていることになります。  じゃ、こうしたことがなぜ起きているのかということに関しましては、背景について三以降でお話ししたいと思っておりますけれども、一番大きな理由といたしましては、資料、グラフの四のところに丸で囲みましたけれども、二〇〇九年以降数字が増えております。これを微々たるものと捉えるのかどうかは人によって違うかもしれませんが、それまでの毎年一%程度の増えだったんですけれども、二〇一〇年から約二%ずつ、約倍増えていくことになっております。  なぜ、じゃ、そういうことになったのかということを、私の方で歴史的な状況どうだったのかということで調べてみたところ、資料二、三などにありますとおり、増加が見られる背景としては、日弁連が日弁連六十年誌というものを公開しまして、そこで単独親権による子供の奪い合いですね、それから親権を奪われたら子供に会えなくなるというようなことを公開した、これが大きいのではないかというふうに思っています。  逆に言えば、父親でも先に連れ去ったら親権を獲得できるということで、父親による連れ去りが行われるようになり、こうした数字にその結果が表れているというふうに思っております。更に言えば、連れ去り勝ちによって親権を獲得する裁判所の運用実務、これが可視化されたということになってくるのではないかなというふうに思っております。このように、従前の監護者であった母親であっても、一たび連れ去られてしまいますと、男女平等によって監護者になれないだけでなく、会うことさえもままならない状況に陥ります。  本来は話合いの場のはずであった調停が、司法制度改革によって、二〇〇四年以降、家庭裁判所へ人事訴訟、すなわち離婚裁判が移管されました。そういたしますと、訴訟を見据える対立の場に家庭裁判所が変わったと、これも司法制度改革の影響として言われるところでございます。さらに、民事から家裁ということで、地方裁判所から家裁ということで、全く客観的な検証ができない密室の審理の場に変わってしまったということもあるかと思います。さらにもう一つ、これも言われていることなんですけれども、代理人弁護士が付く事例が増えたことによって、そこがまた更に追い打ちを掛けたのではないかと、そういうようなことも言われております。  ただ、家庭裁判所の調査官や調停委員、弁護士の方などと話をしますと、真摯に対応されている方たちがいるというのもよく分かっております。しかし一方で、子供のためになっているとはどうしても思えないような話も多数聞こえてきます。  代理人が付くということは、やはりそこには勝ち負け、勝負というものになってまいります。そうすると、依頼人を勝たせるという勝負になってしまうので、依頼人を勝たせるためにはどうしたらいいのか、相手をおとしめる、そうした状況が出てまいります。そうしたことによって一層親子の断絶が進んでしまっているということが母親の立場においても見られるようになったと思います。  更に言えば、単独親権以外に葛藤を高める要因の一つとなっていますのが民法七百七十条のその他婚姻を継続し難い重大な事由、有責主義などとも言われておりますが、離婚に際し親権者指定を獲得するため、悪質な場合には子の連れ去りや追い出しを行い、親権者としての優位性を手にするために相手を悪者にし、相手をおとしめて自分を有利にするということで使われております。  是非、今回、そうした葛藤を低めるために、今回の民法改正では取り上げられませんでしたけれども、一九九六年の民法改正要綱案で提案されていた破綻主義などに対しても今後議論として考えていただきたいなというふうに思っております。  では、そうした我が子と離されている母親の面会交流の現状について、次に資料からお話をしていきたいと思います。  資料五に関しては、母親が審判で決まっても会えなかった事例ということで、これは「家庭の法と裁判」に挙げられている資料です。御覧ください。  そして、資料六に関しましては、従前の監護者であり共同親権中の母親が監護権を取り戻せないだけでなく、我が子に会えない現状について挙げております。こちらの方もお読みいただければというふうに思います。  家裁での調停や審判が決まっても交流ができない状況に関しまして、続いてお話を少し挙げていきたいと思います。  親権を父親、監護権を母親に分属して離婚後に面会交流をしていたが、ある日、親権者の父親に子供たちを連れ去られ、その後会えなくなってしまった。何が起こったのか、どうしていいか分からないうちに元夫の再婚相手と養子縁組されてしまった。こういう人たちが何人もおります。日本人男性と日本で結婚し、子供を連れ去られ、子供と会えなくなってしまった外国籍のお母さんたちも何人もおります。  目の前で子供たちを車に押し込められ、連れ去られ、しばらくしてやっと試行面会で子供たちに会えたときにママのこと大嫌いと言われるも、そう言わないとママに会えなくなっちゃうからと練習してきたという幼い子供たちの悲痛な声なども聞こえてまいります。連れ去られた直後、子供たちは、ママに会いたい、そういうことを言う子供たちは多いです。しかし、連れ去られてしばらくたってくると、ママ大嫌いというような言葉を発するようになります。  資料六のAさん、資料七の一にも詳しくあるので見ていただきたいですが、幼い子供がママをくそばばあと言うような、そういう状態に陥っております。これは監護者が子供にそうさせているということは明らかであり、家庭裁判所がこの状態を問題ないとみなしている現状は異常ですし、こんな状況を放置している家庭裁判所自体が児童虐待に加担していると言っても過言ではない状況にあります。Aさんの場合、夫自身が不貞している有責配偶者です。まだ離婚していない共同親権下ですが、子供たちと五年会えていません。ママのことを嫌いと言っていた子供たちがいつしか引きこもりとなり、不登校になるといった悲しい事例もたくさんあります。子供の奪い合いが子供たちに影響を及ぼしているという話がたくさんございます。  資料七の一から七の三に関しましては、こうした母親でさえも我が子たちに会えない状況に関しまして海外のメディアで取り上げられているという事例です。  今お話ししましたとおり、家裁で決まっても会うことができません。すなわち、面会交流の権利性がない。更に言えば、法の支配がないという状況にあります。今回の法改正がそうした状況に対してどの程度寄与するのかというのは分かりませんけれども、是非そうした問題に対して何らかの制度設計やガイドラインの方をお願いしたいというふうに思っております。  最後に、もう時間ありませんけれども、制度設計を考えるための仕組みの基礎資料として幾つか挙げておりました。家庭裁判所の充実や行政の支援など様々に提言されていますが、法律を業としていない立場だからこそ、少し忌憚なく、思い付くままに述べさせていただきます。  家裁の充実が問われておりますが、資料十は、一九八〇年、事件が少なかった時代に家裁調査官が後見的機能を果たしていた記録です。家裁の充実には、裁判所定員法など他の法改正が必要になってきますし、また、ただ増やせばいいというものではなく、後見的役割が重要です。増大した事件数からいって、同じことを期待するのは難しいため、家裁以外の機関や職種との連携が必要になってくると考えます。  子供手続代理人の活用も言われていますが、子供の意思を適切に聴取するためには心理職などの関与も求めたいところですが、家事事件手続法に子供の意思とあることにより法律事務とされてしまうため、弁護士にしか関与が許されないのでしょうか。心理職や支援機関や第三者の関与といったときに問題になってくるのは非弁行為であります。また、ADRの利用などもありますが、このことに関しても、別の法制審を立ち上げないと利用することができないのかなどなど考えていただきたいことはたくさんあります。  親教育や共同養育計画の作成などが重要な課題となってくると存じますが、行政や支援機関を始めとして関与する体制について、改めて非弁行為などの問題を踏まえて捉えていただく必要があると考えています。  最後に、今回の民法改正は子供のためと言われております。その一方で、親権は親による選択という視点でしか語られておりません。法によって強制的に親権を剥奪されてきた現行の強制単独親権制度下においても、親に捨てられたと捉える子供たちがいます。民法改正で最終的にどうなっていくのかは分かりませんけれども、親に捨てられる、子供たちにとってこれ以上残酷なことはないと私は思っております。是非、そうならないように、きちんと判断できるように、そして子供の意思、子供の涙を減らすようにということで、改めて子供たちの未来のための法改正としていただくようにお願い申し上げて、終わらせていただきます。  ありがとうございました。

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