○松沢成文君 日本維新の会の松沢成文です。
教育無償化を実現する会との統一会派を代表し、岸田総理による米国公式訪問の報告に関連して、総理に質問をいたします。
まず、未来に向けたグローバルパートナーシップと題して連邦議会で堂々とうたい上げた演説は何度もスタンディングオベーションを受けたそうで、おめでとうございます。
ただ、総理、日本の国会でも、中身のある力強い演説であれば、いつでもスタンディングオベーションが起こると思いますので、どうか挑戦してみてください。
さて、冷戦後の世界が今ほど厳しい試練に直面したことはありません。そうした中、今回の首脳会談で、日米同盟の抑止力、対処力を迅速かつ確実に向上させる防衛・安全保障協力に軸足を置いた明確なメッセージが発信されました。これは、日米が同盟による紛争への抑止力を強化しなければ、中国の海洋侵略、北朝鮮の核・ミサイル開発のみならず、日本へも甚大な影響を与える台湾有事が生じかねないという厳しい安保情勢への危機感によるものだと考えますが、総理の御認識をお聞かせください。
確かに今回の会談で、米軍と自衛隊の相互運用性強化のため、それぞれの指揮統制の枠組みを向上させるなど、防衛・安全保障協力を拡大、深化したことは評価に値します。しかしながら、米軍の、米国の軍事力の相対的な低下や日本の防衛力の憲法上の制約を考えると、まだまだ十分な体制とは言えません。
これまで、アジア太平洋地域の安保体制は、日米、米韓、米豪、米比などの米国を中心とする二国間の同盟、いわゆるハブ・アンド・スポークの体制でした。ところが、近年、日米豪印の連携、クアッド、米英豪の連携、AUKUS、そして日米韓や先日の日米比の協議など、安全保障体制強化のための格子状の多国間連携が実行されています。
今後、中国、ロシア、北朝鮮などの権威主義国家、独裁国家による侵略や軍拡に隙間なく対応するための強大な抑止力を整備するには、ヨーロッパにおけるNATOのような多国間安全保障条約の構築を模索すべきではないかという主張が専門家やメディアからも提起されています。
もちろん、ヨーロッパとアジアの安全保障環境は異なりますし、アジアの同志国もそれぞれの複雑な国益を抱えており、交渉が極めて難しいことは言うまでもありません。しかし、アジア太平洋の平和と安全を構築するには、集団的安全保障体制などの戦争抑止策の検討も必要だと考えますが、総理の見解を伺います。
首脳会談では、防衛装備品の共同開発と生産を促進するため、日米当局間の定期協議を開催することも合意されました。
日本が進める防衛装備品の輸出規制は極めて硬直的で、輸出装備品の対象も救難、輸送、警戒、監視、掃海の五類型に縛られ、制限的な指針がいまだ維持されています。その中で、米国へのパトリオットミサイルや共同開発する次期戦闘機の輸出が例外的に認められました。
このように、過度な規制と例外措置が混在する現在の防衛装備移転指針は、まず五類型などを撤廃し、原則として移転を認めた上で、個別の厳格審査で内閣において判断し、国会で認定するという形に改定すべきではないでしょうか。
さらに、昨年改定された指針では、戦闘が行われていると判断される国への提供は禁止されています。国際法違反でロシアから一方的に侵略されるウクライナのように、祖国防衛のためにやむを得ず戦闘している国に輸出できないことは大きな問題であると考えますが、いかがでしょうか。
戦争を助長するおそれがあるから武器輸出を認めないというのは、思考停止した偏狭な発想です。民主主義国家同士がお互いに支援、協力して防衛力を高めることは極めて有益だと考えます。防衛装備品の輸出をオプションの一つとして持つことは、積極的平和主義、現実的平和主義に通ずると考えますが、併せて御見解をお示しください。
共同会見では、ウクライナへの強力な支援とロシアへの厳しい制裁への決意が改めて表明されました。しかし、驚くべきことに、この方針と逆行する事態を政府は放置しています。
政府の特殊会社である日本たばこ産業、JTの完全子会社、JTインターナショナル、JTIは、ロシア国内で最大のたばこ会社です。同社は、ロシアの外資系企業第一位となる、年間何と四千億円を超える巨額の税金をロシア政府に納めています。
これに対し、ウクライナ政府は、JTIのロシア政府への納税額が戦闘機百機分にも相当すると糾弾し、JTIをロシアの軍事費を支える戦争支援企業に指定しました。
日本や欧米の大手民間企業が相次いで撤退する中、日本の政府系企業がロシア財政に多大な貢献をすることなど許されるはずがありません。この問題に関し、上川外務大臣と鈴木財務大臣は、JTの経営判断に任せると極めて無責任な答弁に終始しています。
政府はJTの筆頭株主で、監督権限を有しています。政府の方針に反してロシアの経済や財政に多大な貢献をするJTの利敵行為をやめさせ、ロシア事業からの撤退あるいは譲渡、事業停止を早急に指導すべきだと考えますが、総理の見解を伺います。
次に、ジェノサイド条約について伺います。
国際的な集団的殺人犯罪の防止と処罰を目的としたジェノサイド条約は、現在、主要国を含む世界百五十三か国が締結していますが、いまだに日本は批准していません。
こうした犯罪を裁く国際刑事裁判所の所長に、先月、日本人として初めて赤根智子裁判官が選出されました。就任に際して、ジェノサイド条約の批准に向けて早く国内法整備に取りかかってもらいたい、日本が加盟していないことは世界的に見て恥ずかしいことだと訴えています。
日本がこの条約を批准するには、条約が定める集団犯罪の行為などを国内法で犯罪化しなければなりません。条約の締結に向けて上川外務大臣は、真剣な検討を進めるべく関係省庁との協議を事務方に指示すると表明しています。
しかし、数年前から検討を進めていながら、一向に実現されません。このままでは赤根所長の期待に応えられないだけでなく、国際社会からも見放されてしまうのではないかと危惧しています。外務省、法務省を始め、関係省庁による推進組織を即刻立ち上げるべきではないですか。そして、いつまでに条約を批准するお考えなのか、お答えください。
最後に、憲法改正について伺います。
岸田総理自身は、今年九月までの自民党総裁の任期中に憲法改正を実現すると、実現を目指すと繰り返し表明してきました。これは国民への公約です。九月までに国民投票を行うには、今国会の会期末までに国会発議に持ち込めなければ時間切れとなります。そうなれば、総理自ら、やるやる詐欺の公約違反そのものです。
いまだに参議院憲法審査会もまともに開かれない状況で、九月までの憲法改正が果たせるんでしょうか。総理、自民党総裁としての憲法改正の目標期限を改めてお示しください。そして、その期限までに自民党としてどのように改正作業を進めていくのか、お答えください。
日本維新の会は、党内に幹事長直属の安全保障改革調査会を設置し、日本が優先的に行うべき現実に即した外交・安保政策を練り上げています。世界の平和と安定、さらに日本の国際的地位向上に向けて努力を重ねてまいります。
そして、いつの日か岸田総理の力強い説得力のある国会演説にスタンディングオベーションを送れることを夢見て、質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕
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