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清水貴之 ·日本維新の会・教育無償化を実現する会

参議院本会議(2024-05-17)での発言

第213回国会 ·第第19号号 ·3,794字
○清水貴之君 日本維新の会の清水貴之です。  教育無償化を実現する会との統一会派を代表し、民法等の一部を改正する法律案について、賛成の立場から討論を行います。  離婚後の共同親権を導入する本民法改正案に対しては、単独親権制度を維持することが望ましいとする立場、そして共同親権も選択肢とすべきとする立場からも、それぞれ不安の声や反対意見が多く寄せられました。そのような様々な意見を受け、衆議院に続き、参議院の法務委員会でも建設的な、そして時には激しい議論が進められてきました。  今回の政府案は、原則の共同親権までには至らなかった点、共同養育計画の策定の義務化が見送られ実行力に欠ける点などが懸念されるものの、DV被害者の保護について配慮を行いつつ、単独親権しか存在しなかった我が国に初めて離婚後に共同親権という選択肢を示す一歩前進の法案として評価をしています。  しかし、残された課題も多くあります。  まず、先ほども述べましたが、養育費や親子交流の取決めを入れ込んだ共同養育計画の策定が義務化されなかった点です。小泉法務大臣は、離婚する父母が子の養育に関する講座を受講することや、養育に関する事項を取り決めることなどを通じて子供の利益を確保することは非常に重要と委員会審議で答弁されました。  一方、養育計画作成の義務化は、結果的に離婚が困難となり、かえって子の利益に反する結果となる懸念があるため、慎重に検討すべきであるとのこと。離婚前後の父母は様々な葛藤にさいなまれるものだと思います。その不安を取り除くための親講座の受講や、両親の離婚に際して極めて不安定な心理状態となる子供に対するガイダンスを必須のものとし、取決め率と履行の割合が大変低い親子交流や養育費の在り方を共同養育計画という形で残すことは、本改正案で明記された父母の責務としての子の人格の尊重と養育、扶養の義務、そして、子の利益のため互いに人格を尊重し協力し合わなければならないという非常に重要な規定を担保するために必要なことであると考えます。  衆議院での修正協議で、附則第十七条には子の監護について必要な事項を定めることの重要性について啓発活動を実施する旨が規定されましたが、その実施と、さらには共同養育計画の策定に向けて政府には全力で取り組んでもらいたいと思います。  DVや虐待は深刻な問題であり、委員会審議でも重ねて議論されました。私が話を聞かせていただいた神戸市でDV被害者を支援するためのシェルターを運営している方からは、共同親権の導入によって被害者が更に窮地に立たされることになるという悲痛な訴えがなされました。  小泉大臣は、改正案はDVや虐待のおそれがある場合は裁判所が必ず単独親権と定めなければならないと述べられていますが、DVや虐待は身体的なものだけではなく、精神的や経済的なものも含まれ、その証明が非常に困難です。果たして裁判所が適切に判断できるものなのか。  一方で、DVや虐待を理由とした単独親権の申立ては、時に親権を獲得するための手段として濫用されるおそれがあります。いわゆる偽装DVの問題です。小泉大臣も、そのような批判があることは承知をしていると委員会審議の中で述べられています。  真にDVや虐待に苦しむ親子を保護することはもちろん何よりも優先されるべきですが、同時に、この偽装DVによって本来ならば良好であるはずの親子関係が長期間断絶されることのないよう、法務省及び裁判所には適切に対応していただきたいと思います。  国民一人一人がDVや虐待問題に対する意識を高めることが必要ですし、政府においては、DV被害者支援の現場で活動する団体とも連携し、被害者の生の声に耳を傾けて、そのニーズを踏まえた効果的な周知啓発活動を展開することを求めます。  また、諸外国から非難が続いている子の連れ去り問題、当然これも、DVや虐待から逃れるために緊急避難的に居場所を変更することは起きるわけで、そういった被害者への支援は大変重要です。  しかし、例えば二〇二〇年にEUでは、子供が片方の親に一方的に日本に連れ去られる事例が依然多いことに懸念を表明し、日本政府が子供の保護に関する国際ルールを実行し、共同親権に道を開く法改正を求める決議を賛成六百八十六、反対一、棄権八で可決されています。  小泉大臣からは、父母の一方が何らの理由なく他方に無断で子の居所を変更する行為は、個別の事情によっては本改正案の子に関する父母の人格尊重規定の趣旨に反すると評価される場合があるとの答弁がありました。本改正案が成立した際には、政府として国際的なメッセージを発信することも重要かと考えます。  次に、養育費や親子交流の履行に向けての方策が十分ではない点も懸念材料です。  養育費について、現在実際に受け取っているのは母子家庭では二八・一%、父子家庭では八・七%にすぎず、取決めができた家庭も、子がいる離婚家庭の半分にも満たない状況です。同居親が別居親との接触を避けるため、養育費を請求しないケースも多くあります。この問題でも共同養育計画の作成が重要となってきます。  今回の改正では、養育費の履行を確保する観点から、法定養育費の創設や、養育費などの債権に一般先取特権を付与することが加えられました。しかし、養育費の履行確保のための家庭裁判所への申立てなどによる一人親への時間的、経済的負担は大変大きいものがあります。  参考人質疑で口述された弁護士の熊谷信太郎さんは、このように言われました。養育費の不払というのは、本来的には不作為による子供への経済的虐待であると。  衆議院の附帯決議においては、公的機関による立替払制度について、国自らによる取組の在り方に加えて、民間の支援団体や地方公共団体の支援の取組への在り方について検討を行うことが明記されましたが、経済的虐待をなくすためには不払者へのペナルティーや支払った人へのインセンティブ、また国による積極的な関与としては代理強制徴収制度や立替払制度の導入など、検討すべき案は多々あると思いますので、この点も国として積極的に取り組んでもらいたいと思います。  親子交流は、別居の親と子供とのつながりを維持する重要な機会です。令和三年度の厚労省の調査では、親子交流が実施されているのは母子家庭では三〇・二%、父子家庭だと四八%です。決して高い数字ではありません。日弁連のアンケートでは、裁判所の調停で合意した親子交流が全くできていないという人の割合は四四%、半数近くが親子交流の不履行に遭っています。  家裁を通して交流が決定しても、その調停内容や審判に強制力が伴わず、罰則もないため、別居親が自分の子供に会うことが非常に困難な状況が多数発生しています。家裁による履行勧告、間接強制という形式的措置がとられても、実際には面会がかなわず金銭要求に置き換わってしまうケースが多々あります。繰り返しになりますが、こうした実態を改善するためにも共同養育計画は必要だと考えます。  もっとも、DVや虐待に対する懸念から、別居親と会いたくない若しくは子供を会わせたくないというケースがあることも理解をします。その点への配慮は大変重要です。  親子交流について、小泉大臣は法案審議の中で、親の別居、離婚を経験した子供を対象とした心理学分野の複数の研究結果においては、DV等がある事案を除いて、親子交流が継続して行われているグループの方が、親子交流が行われたことがない又は親子交流が中断しているグループと比べ、自己肯定感が高く、親子関係が良好であることが指摘されていると述べられました。  父母の別居後や離婚後も適切な形で親子の交流の継続が図られることは、子の利益の観点から大変重要であると考えます。ふさわしい親子交流の実施に向けて、政府は引き続き力を注いでいただきたいと思います。  この改正案が成立した場合、法律全体の施行まで二年以内という期間が設けられていますが、新設される理念の条文に関しては、法案成立直後から部分的に施行や運用を開始することが可能なのではないでしょうか。  大臣は、委員会審議において、関係機関や裁判所の準備にどうしても二年は必要だと述べられていますが、子供の利益を守るためには、できるだけ早期にこの理念を実践に移していくことが重要だと考えます。  また、我が党の提案として、附則の第十九条に五年をめどとしてという見直し規定を入れさせていただきました。しかし、これは五年たたなければ見直せないということではなく、子供の利益の観点から必要だと思われた見直しは一年目でも二年目でも機動的に行っていくべきだと考えます。  これまで日本では、離婚をすれば子供にとって親がどちらかになる縁切り文化でしたが、これからは離婚しても親子の縁が切れない縁結び文化となります。  日本維新の会と教育無償化を実現する会は、子供の最善の利益確保のための第一歩となる親権制度の確立を目指し、今後もその目標を実現できるよう活動していくことを申し上げまして、賛成討論といたします。  御清聴ありがとうございました。(拍手)

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