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伊藤岳 ·日本共産党

参議院本会議(2024-06-05)での発言

第213回国会 ·第第24号号 ·2,744字
○伊藤岳君 日本共産党の伊藤岳です。  会派を代表して、地方自治法の一部を改正する法律案について、関係大臣に質問いたします。  本改正案の重大かつ根本的な問題は、政府が国民の安全に重大な影響を及ぼす事態と判断しさえすれば、国が自治体に対して指示ができる仕組みを新設することです。  一九九九年の地方分権一括法は、国が自治体に対して包括的な指揮監督権を持つ機関委任事務を廃止しました。しかし同時に、普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与として、指示、代執行に至る関与の規定を法制化し、法定受託事務にはこの全ての関与が適用されるとして機関委任事務を事実上温存するとともに、自治事務にも是正の要求という権力的関与の規定を持ち込みました。    〔副議長退席、議長着席〕  しかし、その地方分権一括法も、地方自治の本旨という憲法の規定を踏まえて、国の関与は必要な最小限度のものとすること、地方自治体の自主性、自立性に配慮しなければならないこと、国は地方自治、国は自治事務の処理について、国民の生命、身体又は財産の保護のための緊急の場合を除いては指示に従わなければならないこととすることのないようにしなければならないことなど、関与の基本原則を地方自治法に明記しました。  本改正案は、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態やその発生のおそれがあるとする場合、閣議決定を経て、法定受託事務、自治事務の区別なしに自治体に指示権を行使できるもの、できるとするものです。  しかし、衆議院の参考人質疑では、個別法の規定では想定できない事態であれば地方自治法という一般法でも想定できるはずがありません、地方自治法においておよそ想定し得ない事態を想定して、その事態に対する権限を一般的、抽象的に行政権に授権することは白紙委任であるとの指摘がされています。  松本大臣はこの指摘をどのように受け止めていますか。答弁を求めます。  これは憲法が保障する地方自治を乱暴に踏みにじるものであるばかりか、さらに、国会が認めていない国の指示権を時の政府が独断で行使し得るという点で、立法府である国会をも否定するものではありませんか。松本総務大臣に重ねて答弁を求めます。  そもそも国による自治体への指示権に立法事実がないことは、衆議院の審議でももうはっきりしています。衆議院総務委員会の参考人質疑では、参考人が、感染症法や新型インフルエンザ等対策特別措置法は法定受託事務であり、国は助言しかできないということではなく、処理基準を定めたり指示もできるなど国は十分な権限を持っており、本改正案の立法事実はないと発言しています。  松本総務大臣、本改正案の立法事実はどこにありますか。答弁を求めます。  本改正案で新たに設ける第十四章は、なぜ全く新たな関与の仕組みによる特例関与なのですか。政府の判断一つで、この特例関与が独立して発動するのではありませんか。その場合、第十二章の関与の基本原則、とりわけ緊急性の要件は適用されるのですか。  松本大臣は、指示は必要最低限の範囲と繰り返しています。しかし、本改正案のどこにその根拠が規定されているのですか。松本総務大臣、以上、具体的にお答えください。  そもそも自治体に対する関与は地方自治法に基づくことが原則であり、それに間に合わない場合に例外として個別法を設けることができるものです。ところが、本改正案の補充的指示は、個別法の規定で想定できない場合は特例関与の仕組みを使って国が自治体に指示するというものです。  松本大臣、本改正案は関与の原則を逆転させるものではありませんか。答弁を求めます。  衆議院では政府は、事態対処法のような有事立法で想定を超える事態についても、本改正案による補充的指示権の行使の対象として除外されないと答弁をしました。  木原防衛大臣、武力攻撃事態や重要影響事態、存立危機事態などで想定されていない事態が生じたとして、本改正案に基づいて国が自治体に対して指示権を行使することが可能になるのではありませんか。  重要影響事態法では、関係機関の長が自治体の長に対し、例えば公共施設の使用について必要な協力を求めることができるとされています。ただし、自治体には許可する義務が生じるわけではありません。政府の解説でも、個別の法令に照らして正当な理由がある場合には、自治体の長は協力を拒むことができるとされています。本改正案で、個別法の想定を超える事態が生じたとして自治体に指示権を行使した場合、自治体は拒否ができるのですか。拒否ができないとすれば、現行法の範囲を全く無視した指示権を国が持つことになるのではありませんか。  全国の多くの空港、港湾を地方自治体が管理しています。本改正案によって、空港や港湾の設置、運営の根拠法令によらずに、自衛隊や米軍の優先利用まで指示することができるのですか。  木原防衛大臣、以上、併せて答弁を求めます。  既に政府は沖縄で、沖縄県と沖縄県民の反対の意思を踏みにじり、名護市辺野古への米軍新基地建設を強行しています。玉城デニー県知事が公有水面埋立法に基づき、沖縄防衛局が提出した設計計画、設計変更申請を不承認としたのに対し、政府は国民の権利救済を目的とする行政不服審査法を悪用してこれを覆し、法定受託事務に基づく代執行にまで踏み切ったのであります。  松本総務大臣、現行法の下でも沖縄県と沖縄県民の民意がこれほど踏みにじられているのです。本改正案が通るならば、更に強権的に新基地建設が推し進められるのではないかという不安や懸念が広がるのは当然ではありませんか。  こうした新基地建設をめぐる政府の対応が憲法で定められた地方自治の本旨を幾重にも深く踏みにじるものであるという認識はあるのですか。以上、答弁を求めます。  最後に、情報システムの適正な利用についてです。  本改正案は、自治体が情報システムを有効に利用するとともに、他の自治体又は国と協力して情報システムの利用の最適化を図ることを自治体の努力義務とするものです。  デジタル化は流通するデータをシステム相互の間で連携させることによって進展します。住民と自治体に関するデータを管理、保護する自治体が団体としての自立した判断と地域住民の意思に基づいて、住民の暮らしにデジタル技術を役立てることが必要です。  松本大臣、本改正案の言う情報システムの利用の最適化を図るとは、具体的に何を自治体に対して求めるものなのですか。  以上、答弁を求め、質問といたします。(拍手)    〔国務大臣松本剛明君登壇、拍手〕

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