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山下芳生 ·日本共産党

参議院本会議(2024-06-19)での発言

第213回国会 ·第第28号号 ·2,997字
○山下芳生君 私は、日本共産党を代表し、自民党が提出し、公明、維新の賛成で可決され、参議院に送付された政治資金規正法改定案に反対の討論を行います。  今国会に課せられた重要な責務は、自民党裏金事件の真相を徹底解明し、再発防止の抜本改革を実現することであります。  ところが、自民党には真相を解明する気がさらさらありません。政治倫理審査会では、衆議院で申し立てられた四十四名、参議院で規程十七条に基づき出席と説明を求められた二十九名の自民党議員はいまだ誰一人応じておりません。加えて、東京地裁における安倍派会計責任者だった松本淳一郎被告の証言によって、三月に出席した安倍派幹部議員の弁明が偽りだった疑いが強まっています。審査のやり直しが必要ではありませんか。  真相解明に最も重い責任を持っているはずの岸田自民党総裁から法案の発議者に対し、裏金事件の真相を徹底解明せよとの指示がなかったことも明らかとなりました。  自ら起こした裏金事件の真相も解明できない自民党に抜本的な解決策が出せるはずがありません。昨日の新聞の世論調査で、法案は再発防止に効果はないとする回答が七七%に上ったのも当然であります。  自民党提出法案に反対する第一の理由は、肝腎要の企業・団体献金の禁止がすっぽり抜け落ちているからです。  自民党裏金事件の原資は政治資金パーティーの収入であり、パーティー券の大半は企業、団体が購入しているのが実態です。パーティー券購入を含めた企業・団体献金を全面禁止することこそ再発防止の決定打となります。法案はパーティー券購入の公開基準を二十万円から五万円にしたといいますが、それは一回当たりにすぎず、複数回に分ければこれまでと何ら変わりません。  そもそも営利を目的とする企業が政治に金を出せば必ず見返りを期待するものであり、企業・団体献金は本質的に賄賂性を持っています。  参議院の質疑の中で、ゼネコンの業界団体、日建連から自民党の政治資金団体、国民政治協会に十年間で二十億円の献金が行われ、日建連の要望どおりに大型工事の予算の別枠計上が実現した上、日建連会員企業が十年間で受注した公共事業額が二十七兆円を超えていたことも明らかとなりました。二十億円の献金で二十七兆円の受注。見返り率は実に一万三千五百倍にもなります。  ほかにも、企業・団体献金が政府の政策に影響を与えている例は枚挙にいとまがありません。化石燃料にしがみつく業界団体からの献金が政府の気候変動・エネルギー政策をゆがめています。大企業、財界が政治献金と一体に要求してきた労働法制の規制緩和に歴代自民党政権が応じ続けてきた結果、非正規雇用が四割にまで増え、結婚したくてもできない若年層が広がり、未婚化、少子化の最大の要因となっています。  目先の利益を追い求める企業、団体からの献金は、今やこの国の未来、地球の未来と相入れないものとなっていることを政治に携わる者は直視すべきであります。  自民党は、口を開けば五十年前の最高裁判決を持ち出して、企業にも政治献金の自由があると正当化しますが、この判決は、大企業による巨額の寄附は金権政治の弊を生む、弊害に対処する方途は立法政策にまつべきと述べて、企業献金を禁止する立法措置を否定しておりません。  企業・団体献金の全面禁止は、金権腐敗政治根絶の核心であり、国民の願いに応える政治の土台です。企業・団体献金を聖域とする自民党案は、国民の期待を裏切り、願いに背を向けるものであり、断じて認められません。  反対する第二の理由は、政策活動費を合法化し、温存することが重大な改悪だからであります。  言うまでもなく、政治資金規正法の目的は、政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにし、もって民主政治の健全な発展に寄与することであり、その肝は政治資金の公開、すなわち国民に対し収入と支出を全てガラス張りにすることであります。  その点で、歴代の自民党幹事長が年間十億円もの資金を党から受け取り、その使途を明らかにしてこなかった政策活動費は、法律に規定も定義もない脱法行為にほかなりません。  ところが、このやり方をやめるのではなく、逆に法律に書き込んでお墨付きを与えるのが自民党案であります。しかも、維新との修正で使途の公開は十年後になるといいます。  衆議院で維新の発議者は、十年後の公開について、政治家が国会の外で会合を行う場合によく使う場所が外に出れば、その党の動きが分かってしまうし、メディアなどの取材もある、でも、十年たてばそんなものはもう気にならないと答弁しました。  参議院で我が党の井上議員に、行き付けのお店が明らかになると困るというような理由で政治資金の使途を十年も非公開にしていいなど規正法のどこに書いてあるのかと問われ、総理も自民党発議者も答弁することができませんでした。こんないいかげんな法案を通すわけにはいきません。  また、党の役職者でなくても国会議員・候補者であれば、政党から支出を受けて十年間使途を明らかにせずに使えるようにすることで政治資金の非公開を拡大すること、さらに、政治資金の公開は国民が選挙権を行使する際の重要な情報なのに、十年後の公開では、有権者が前回投票した政党、政治家について適切に判断して投票することができなくなることも極めて重大な改悪であります。  国民にとって百害あって一利なしの政策活動費は、法制化し、合法化し、温存し、拡大するのではなく、きっぱり廃止すべきであります。  法案に反対する第三の理由は、現行の規正法にある、収支報告書の要旨を作成し、官報又は都道府県の公報に公表する義務を削除することが国民の不断の監視を大きく後退させることになるからです。  現在公表されている要旨には、寄附者の氏名や寄附額、項目ごとの収入、支出額など、収支報告書の根幹部分が記載されています。委員会質疑で自民党発議者は、この要旨が廃止されることを認めました。収支報告書そのものは三年経過すれば削除されるので、官報や公報で要旨が公表されなくなれば、政治資金の実態を過去に遡って確認することができなくなります。  裏金事件を告発した神戸学院大学の上脇博之教授は、要旨の作成を廃止すれば、過去三年を超える政治資金に関する公的な資料がなくなり、政治資金の監視に困難を伴うと危惧されています。  裏金事件の真相解明に背を向ける自民党が過去の汚職事件を追及されにくくする仕組みをつくるとは、まさに火事場泥棒と言わなければなりません。要旨作成の廃止はやめるべきです。  なお、日本共産党提出法案は、パーティー券購入を含む企業・団体献金の全面禁止、政策活動費を許さない、政治団体代表者のいわゆる連座制の導入、政治資金収支報告書の要旨の作成義務化と永久公開、公表を図ります。加えて、企業・団体献金と二重取りとなっており、政党支持の自由を侵す政党助成制度を廃止するものであります。  日本共産党は、企業・団体献金、政党助成金を一切受け取らず、政治資金パーティー券購入を含む企業・団体献金禁止法案をこの三十年間、国会に提出し続けてきました。その実現に全力を挙げることを申し上げ、討論を終わります。(拍手)

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