○内閣総理大臣(石破茂君) 田村智子議員の御質問にお答え申し上げます。
能登地域の被災者支援についてのお尋ねであります。
これまでの数次にわたる予備費での対応に続き、今回の経済対策において、状況に応じて切れ目ない対応を迅速に行うため、被災地の方々の御要望を踏まえた支援策を盛り込んだところでございます。
具体的には、トイレ、キッチン、ベッドなどの避難生活の改善、医療保険、介護保険の自己負担や保険料の減免支援、豪雨による被災者の方々にも地震と同等の各種支援を行う、除雪機械の増強や小型除雪機の貸出支援などの被災者支援を講ずることといたしております。
活気ある能登を取り戻すため、引き続き、被災自治体のお声も伺いながら、復旧と創造的復興に向けた取組を講じてまいりたいと思います。能登の苦難を忘れたことは、ひとときもございません。
自民党の支部政党交付金及び旧派閥の政治資金収支報告書の不記載についてのお尋ねでございますが、自民党の支部政党交付金の取扱いにつきましては、党の内部運営に関わることであり、政府としてお答えをすることは差し控えますが、総裁としてあえて申し上げれば、お尋ねの支部政党交付金は、党の政策を国民の皆様方に御理解いただくための広報活動など党勢拡大のために使用していただくべく、政党支部に対して党として支給したものであって、非公認の候補者に対して交付したものではございません。
なお、選挙区支部自体が存在しない場合には、当然のことながら、支部政党交付金は支給いたしておりません。
その上で、今回の選挙結果は、我が党の改革姿勢、姿勢そのものに対する叱責と受け止めております。
事実関係につきましては、第三者であります検察により、厳正な捜査が行われ、法と証拠に基づき、刑事事件として取り上げるべきものは立件されてきたところでございます。
また、党におきましても、可能な限りの調査を行い、その結果を国民の皆様方に説明してまいりました。さらに、各々が、政治倫理審査会の場をも含め、あらゆる場を積極的に活用して説明責任を果たすよう、党として促してきたところでございます。
大切なことは、二度とこのような事態を繰り返さないということであり、政治と金の問題には厳しい姿勢で臨み、ルールを徹底的に遵守する自民党を確立いたしてまいります。
また、政策活動費の廃止を始め、政治資金に関する諸課題の改革のための議論を率先して進め、政治資金規正法の再改正を含めた必要な法整備に誠心誠意尽力をいたしてまいります。
企業・団体献金についてお尋ねを頂戴いたしました。
昭和四十五年の最高裁判決は、企業・団体献金と自然人である国民の参政権との関係につきまして、憲法上の選挙権その他のいわゆる参政権が自然人たる国民にのみ認められたものであることは所論のとおりだが、会社が、納税の義務を有し自然人たる国民とひとしく国税等の負担に任ずるものである以上、納税者たる立場において、国や地方公共団体の施策に対し意見の表明その他の行動に出たとしても、これを禁圧すべき理由はない。憲法第三章に定める国民の権利及び義務の各条項は、性質上可能な限り、内国の法人にも適用されるものと解すべきであるから、会社は、自然人たる国民と同様、国や政党の特定の政策を支持、推進し又は反対するなどの政治的行為をなす自由を有する。政治資金の寄附もまさにその自由の一環であり、会社によってそれがなされた場合、政治の動向に影響を与えることがあったとしても、これを自然人たる国民による寄附と別異に扱うべき憲法上の要請があるものではない。会社による政党への寄附は、事の性質上、国民個々の選挙権その他の参政権の行使そのものに直接影響を及ぼすものではないなどと述べております。
他方で、企業・団体献金を含む政治資金について高い透明性を確保することは、政治資金規正法の目的及び基本理念に照らしても重要であります。
政治資金規正法第一条は、政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため、政治資金の公開などを行うと規定いたしております。また、同法第二条は、企業・団体献金を含む政治資金を民主政治の健全な発達を希求して拠出される国民の浄財であるとした上で、その収支の状況に関する判断は国民に委ね、いやしくも政治資金の拠出に関する国民の自発的意思を抑制することのないようにしなければならないと定めております。
政治資金に関するルールの在り方につきましては、既に政治改革に関する各党協議会において御議論をいただいており、政府としてお答えすることは差し控えますが、総裁としてあえて申し上げれば、我が党といたしましては、収支報告書の内容を誰でも簡単に確認できるデータベースの構築に取り組む方針であり、これにより、企業・団体献金を含む政治資金の透明性が飛躍的に高まり、国民の皆様方の御判断に資することになると考えております。
我が国経済は、一九九〇年代のバブル崩壊以降、金融システム問題やリーマン・ショックなどの様々な困難に見舞われました。この間、企業は、収益確保のために賃金や成長の源泉である投資を抑制し、結果として、消費の停滞や物価の低迷、さらには成長の抑制がもたらされたことから、賃金が伸び悩んだものと考えております。
しかし、近年では、岸田内閣の新しい資本主義の取組により、約三十年ぶりの高い水準の賃上げなどの明るい兆しが表れております。岸田内閣が進めてきた取組を着実に引き継ぎ、更に加速、発展させることで、賃上げと投資が牽引する成長型経済を実現いたしてまいります。
内部留保についてでありますが、大企業を中心とした高水準の企業収益の一方で、賃金や投資が伸び悩んだ結果、内部留保が増加しているものと認識をいたしております。
政府といたしましては、賃金が上がり、家計の購買力が上がることで消費が増え、その結果、物価が適度に上昇する、それが企業の売上げ、業績につながり、新たな投資を呼び込み、企業が次の成長段階に入り、また賃金が上がるという好循環の実現が重要だと考えております。
御指摘のような内部留保への課税につきましては、二重課税に当たるとの指摘もあることから、慎重な検討が必要であると考えておりますが、先般の政労使の意見交換において、約三十年ぶりの高い水準となりました今年の勢いで、来年の春季労使交渉におきましても大幅な賃上げを行うことへの協力を私から要請をし、また、最低賃金を引き上げていくための対応策の策定を関係閣僚に指示をいたしたところでございます。
加えまして、中小企業を始めとした事業者の皆様方が確かにもうかり、物価上昇に負けない賃上げをしていただけるよう、円滑かつ迅速な価格転嫁を進めるとともに、省力化、デジタル化投資の推進や、経営基盤の強化、成長のための支援も充実をいたしてまいります。
今後の税制の在り方についてでございますが、中長期的視点に立ち、持続可能な経済財政運営を行う観点から、経済社会の構造変化を踏まえ、応能負担を通じた再分配機能の向上、格差の固定化防止を図りつつ、あるべき税制の具体化に向け、累次の見直しを進めてきておるところでございます。
例えば、所得税につきましては、令和五年度税制改正におきまして、金融所得を含め、極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措置を導入しており、一定の対応をいたしております。いわゆる百三万円の壁につきましては、経済対策において、令和七年度税制改正の中で議論し引き上げるとされており、今後、各党の税制調査会長間で更に議論を深めていただきたいと考えております。
法人税につきましては、企業が収益力を高め、より積極的に賃上げや設備投資に取り組むよう促す観点から、成長志向の法人税改革に取り組んでまいりました。その中でも、租税特別措置の縮減、廃止等による課税ベースの拡大により、財源を確保いたしております。
消費税につきましては、急速な高齢化などに伴い社会保障給付費が大きく増加する中におきまして、全世代型社会保障制度を支える重要な財源と位置づけられておりますことから、政府として、その引下げを行うことは適当でないと考えております。
高等教育費の負担軽減につきましてですが、大学の授業料など高等教育費につきましては、先ほど来お答えをいたしておりますとおり、本年度から、授業料の減額等の対象を多子世帯の中間層等に拡充し、令和七年度から、無償化の対象となる多子世帯の所得制限をなくすことといたしており、まずはこうした拡充を着実に実施に移し、その上で、教育の機会均等や少子化対策の観点から、その効果を見定めつつ取り組んでまいります。
沖縄の基地負担軽減についてであります。
普天間飛行場代替施設建設事業につきましては、沖縄防衛局におきまして、変更後の計画に基づく工事に着手してから工事完了までに九年三か月である旨を示しており、また、その地盤改良工事につきましては、有識者の助言を得つつ検討を行いました結果、十分に安定した護岸等の施工が可能であることが確認されていると承知をいたしております。
世界で最も危険と言われる普天間飛行場の固定化は、絶対に避けなければなりません。これは、地元の皆様との共通認識であると思います。政府といたしましては、辺野古移設が、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現し、その危険性を除去するための唯一の解決策であると考えております。
今後とも、様々な機会を通じて地元の皆様方への丁寧な説明を行いながら、基地負担の軽減に全力で取り組んでまいります。
核兵器の非人道性と核抑止及び核兵器禁止条約についてのお尋ねがありました。
核兵器の非人道性につきましては、私自身十分に認識をしておりますことは、先ほど斉藤議員の御質問にお答えをしたとおりでございます。
世界に被爆の実相をしっかりと伝えていくことは、核軍縮に向けたあらゆる取組の原点として重要であります。こうした観点からも、長年、核兵器の廃絶や被爆の実相に対する理解促進に取り組んでこられた日本被団協がノーベル平和賞という栄誉ある賞を受けられることは、極めて意義深いことであります。政府といたしましては、引き続き、唯一の戦争被爆国として、被爆地への訪問の呼びかけなどを通じ、被爆の実相の正確な理解を世代と国境を越えて促進をいたしてまいります。
一方で、我が国周辺では、核・ミサイル戦力を含む軍備増強が急速に進展するなど、我が国は、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面しております。
現実に核兵器など日本に対する脅威が存在する中で、それに対応し、国民の生命財産、日本の独立性を守り抜くためには、米国が提供する核を含む拡大抑止が不可欠であると考えております。
我が国の安全保障を確保しつつ、同時に核兵器のない世界という目標に向かって努力していくことは、決して矛盾するものではなく、共に取り組んでまいります。
御指摘の核兵器禁止条約は、核兵器のない世界への出口とも言える重要な条約であります。同時に、同条約には核兵器国は一か国も参加をしておりません。いまだその出口に至る道筋が立っていないのが現状であります。
こうした中で、我が国は、唯一の戦争被爆国として、核兵器国を関与させるよう努力をしていかなければなりません。NPT体制は、核兵器国、非核兵器国が広く参加する唯一の、核兵器のない世界に向けた普遍的な枠組みであります。我が国は、NPT運用検討会議においてリーダーシップを発揮することを含め、NPT体制の下で、現実的かつ実践的な取組が一歩一歩進められるよう取り組んでおります。
政府といたしましては、抑止力を維持強化し、安全保障上の脅威に適切に対処していくとの大前提に立ちつつ、NPT体制を維持強化し、核軍縮に向けた国際社会の機運を改めて高め、核兵器のない世界に向けた現実的で実践的な取組を維持強化してまいります。
選択的夫婦別氏制度及び女子差別撤廃条約の選択議定書についてのお尋ねを頂戴いたしました。
選択的夫婦別氏制度につきましては、令和三年に内閣府が行った世論調査を見ましても国民の御意見が分かれておるところであり、政府としては、引き続き、国民各層の御意見や国会における御議論の動向等を注視していく必要があると考えております。なお、国会の審議の在り方につきましては、国会において御判断をいただくことだろうと考えております。
女子差別撤廃条約選択議定書で規定されております個人通報制度は、条約の実施の効果的な担保を図るとの趣旨から注目すべき制度であると考えております。他方で、同制度の受入れに当たりましては、我が国の司法制度や立法政策との関連での問題の有無、制度を受け入れる場合の実施体制等の検討課題があると認識いたしております。そのため、その締結の見通しについてお答えすることは困難でありますが、引き続き、政府として早期締結について真剣に検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。(拍手)
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