○伊藤国務大臣 復興大臣及び福島原発事故再生総括担当大臣を拝命させていただきました伊藤忠彦でございます。
東日本大震災復興・防災・災害対策に関する特別委員会の開催に当たりまして、復興大臣としての所信を申し述べさせていただきます。
東日本大震災の発災、そして東京電力福島第一原子力発電所の事故から十三年と八か月以上が経過をいたしました。震災によって亡くなられました方々に改めて心から哀悼の誠をささげますとともに、御遺族の皆様方、そしてまた被害に遭われました全ての皆様方に心からお見舞いを申し上げる次第であります。
復興大臣就任以降、できる限り被災地を訪問させていただき、地元の首長の皆様を始め様々な方々から復興の状況を伺ってまいった次第でございます。その中で、被災からの復興は、被災地の方々の御尽力、そしてまた関係者の御努力により着実に進んでいる一方で、地域によって状況は様々であり、それぞれの状況に応じたきめの細かい対応が必要であるということを強く実感をしてきたところでございます。
まず、原子力災害被災地域については、原子力災害被災十二市町村全てを訪問する中で、復興の歩みは着実に進んできた一方で、市町村によってはいまだに多くの帰還困難区域を抱えるとともに、市町村ごとに、避難指示解除の時期等の違いから復興の状況はそれぞれ異なり、帰還、移住の促進、産業、なりわいの再生など、様々な課題に直面をしていることを改めて実感をしてきたところでございます。
今後とも、復興のステージに応じた多様なニーズにしっかりと対応していくことが重要であると考えております。
震災や原子力発電所事故を乗り越え、福島に生まれてよかった、福島に住んでよかったと思える未来をつくっていくためにも、引き続き国が前面に立って、復興再生に全力を尽くしてまいりたいと考えております。
何点か具体的な取組について御報告を申し上げます。
まず、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に関する取組について申し上げます。
東京電力福島第一原子力発電所においては、今般、燃料デブリの試験的な取り出しに成功したところと承知をいたしております。引き続き、東京電力にあっては、廃炉の完遂に向け、地元の皆様方の信頼を損なうことなく、緊張感を持って、安全確保に万全を期して取り組んでいただきたいと考えております。
また、福島県内で発生した除去土壌等について、現在、大熊町及び双葉町の中間貯蔵施設に貯蔵されているところでありますが、貯蔵開始から三十年以内に福島県外で最終処分をするという方針は、法律に規定をされた国の責務であります。
この課題に関しましては、私自身、環境副大臣を務めさせていただいた頃から関わってまいりましたが、今般の復興大臣就任後にも改めて中間貯蔵施設を訪問させていただき、貯蔵されている除去土壌の膨大さを目の当たりにいたしまして、何としてもやり遂げなければならないという思いをより一層強くいたしたところでございます。
この実現に向けましては、除去土壌の再生利用等によって最終処分量を低減することが重要であり、現在、環境省において、実証事業の成果ですとかIAEAからの助言等を踏まえ、必要な基準を取りまとめているところと承知をいたしております。
再生利用先の創出に向けましては、科学的知見に基づき、取組の必要性や安全性に関する情報発信を通じ、国民の皆様方の理解醸成につなげることが必要であります。
復興庁といたしましても、環境省を始め関係省庁とお互い緊密に連携をして対応してまいる所存でございます。
また、昨年八月からALPS処理水の海洋放出が開始をされて一年以上が経過をいたしております。これまでのモニタリングの結果、IAEAによる評価から、安全であることが確認されているものと承知をいたしております。
政府といたしましては、一部の国、地域が日本産水産物の輸入を停止していることについて、一丸となって輸入規制の即時撤廃を働きかけていくとともに、水産業を守る政策パッケージ等に基づき、関係省庁が連携をして水産業への支援を行っているところであります。
復興庁といたしましても、引き続き、風評対策を中心に、国内外に向け、科学的根拠に基づいた正確な情報を分かりやすく発信するとともに、三陸、常磐物と呼ばれます水産物について、地元の産品や地域の魅力を効果的に発信してまいりたいと思います。
次に、帰還困難区域及び避難指示が解除された地域に関する取組についてであります。
帰還困難区域について、たとえ長い年月を要するにしても、将来的に帰還困難区域の全てを避難指示解除をし、復興再生に責任を持って取り組むという決意に揺らぎはありません。
特定復興再生拠点区域については、昨年十一月までに全ての避難指示が解除をされたところであります。こうした地域については、引き続き、医療、介護、買物、教育等の生活環境整備などの取組を進め、帰還の促進や、新たな住民の移住、定住の促進、交流人口、関係人口の拡大等を行ってまいりたいと思います。
また、拠点区域外に関しましても、二〇二〇年代をかけて帰還意向のある住民の皆様方が全員帰還ができますように、昨年、特定帰還居住区域制度を創設いたしたところでございます。これまでに設定された区域においては、順次、環境省により除染を進めておりまして、引き続き、関係省庁と連携をしながら、除染やインフラ整備などの避難指示解除に向けた取組をしっかりと進めてまいりたいと存じます。
次に、福島国際研究教育機構、いわゆるF―REIに関する取組についてであります。
F―REIは、福島を始め東北の復興を実現するための夢や希望となるとともに、我が国の科学技術、産業競争力の強化を牽引する、世界に冠たる創造的復興の中核拠点を目指すものであります。
昨年四月に設立されて以降、山崎理事長の強いリーダーシップの下、ロボット、農林水産業など五つの分野で委託研究を進めるとともに、優秀な研究者の確保を進めるなど、研究開発や人材育成などの取組を一層推し進めていただいております。政府としても、こうした取組を支援させていただくとともに、早期の施設整備に向けた取組を進めてまいります。
F―REIが、福島の地から日本全国、また全世界に広がる研究の拠点となり、新たな時代をつくる一つの鍵となっていくよう、F―REIの取組を、関係大臣と連携をさせてもらいながら、政府一丸となって支えてまいる所存でございます。
福島浜通り地域等における新たな産業基盤の構築を目指す福島イノベーション・コースト構想につきましては、引き続き、地域における実証等の支援、地元企業との連携促進や、起業、創業を目指す皆様方への支援等を推進してまいります。
また、本構想の実現を更に加速させるために、関係省庁や福島県等とも連携をさせていただき、福島イノベーション・コースト構想を基軸とした産業発展の青写真の改定を目指してまいります。
地震、津波被災地域については、ハード整備や、住まいと町の復興、産業、なりわいの再生等の分野に関してかなり復興が進んでおります。
先日訪問をさせていただいた宮城県岩沼市では、JOCA東北によるコミュニティー形成支援に関する復興事業が大きな成果を上げ、復興事業が終了した後も、JOCAと岩沼市が連携しながら、市民の自立した新たな拠点づくりといった施設を展開していることをお聞きしました。こうした事例はまさに、復興施策から地方公共団体による施策への円滑な移行の好事例であり、感銘を受けたところであります。
一方で、被災者の心のケア、被災された子供に対する支援など、中長期的な対応が必要となる分野もございます。これらについては、政府全体の施策で対応することなどにより、第二期復興・創生期間の後も引き続き必要な支援が行えるように、関係省庁や地方公共団体としっかり連携をして、丁寧に取組を進めてまいりたいと考えております。
東日本大震災の記憶と教訓を決して風化させることなく、後世に受け継いでいくことも重要であります。
復興庁では、関係する省庁や地方公共団体、民間団体等と連携をさせてもらいながら、様々な取組を行ってまいりました。これまでに蓄積された効果的な復興の手法、取組や民間のノウハウなど、復興に係る知見を関係機関と共有をし、各地の伝承施設等との連携を通じて普及、展開をすることで、令和六年能登半島地震を始め、将来の大規模災害からの復興に生かしてまいりたいと考えております。
さらに、来年は、二〇二五年日本国際博覧会が開催される年でもあります。多くの方に被災地まで足を運んでいただけるように、世界各国の注目が日本に集まるこの機会を生かし、被災地の復興の様子を、またこの地域の魅力を世界に発信してまいりたいと考えております。
令和三年度から令和七年度までの第二期復興・創生期間も、残すところ一年と三か月余りとなりました。
第二期復興・創生期間の後、つまり令和八年度以降、復興庁設置期限である令和十二年度までの復興の在り方については、被災地の皆様ともよく相談をさせていただきながら、令和七年度中に現行の復興の基本方針を見直すべく、丁寧に検討を進めてまいりたいと存じます。
こうした重要な時期に復興の司令塔たる復興大臣の重責を担っていることについて、まさに身の引き締まる思いであります。
福島の復興なくして東北の復興なし、東北の復興なくして日本の再生なし、この強い決意の下に、引き続き、現場主義を徹底し、被災者に寄り添いながら、東日本大震災からの復興に全力で取り組んでまいります。
どうか、金子委員長を始め理事、そしてまた委員各位の皆様方の御理解と御指導を賜ってまいりますようによろしくお願いを申し上げて、私からの御報告とさせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)
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