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武正公一 ·立憲民主党・無所属

衆議院憲法審査会(2025-03-27)での発言

第217回国会 ·第第2号号 ·2,372字
○武正委員 立憲民主党の武正公一です。  前回、選挙困難事態に関する立法事実をテーマとしました。立憲民主党は、有権者の投票する権利の尊重並びに選ばれる側の居座りを許さないという点から臨みました。本日のテーマ、参議院の緊急集会の射程にも関係しますので、冒頭、選挙困難事態にも触れます。  北海道南西沖地震に際しては、壊滅状態の奥尻島で選挙は行われました。東日本大震災のときに、福島県内の喜多方市議選、矢祭町長選、古殿町長選、玉川村長選、北塩原村議選、鮫川村議選では選挙が実施されました。昨年九月の石川県豪雨災害直後、被災地石川三区も衆議院選挙が行われました。投票率は輪島市で一〇%下がったものの、我が党の近藤和也衆議院議員など、選挙を経て、復旧復興のために引き続き取り組んだことも事実です。  前回もこの場で申し上げたように、被災地の復旧復興のためにも、できるだけ早く代表者を選ぶ必要があると考えます。選挙実施が困難な場合は、国政選挙でも繰延べ投票で対応すべきと考えます。そして、国政選挙などでは一体性を憲法も要請はしていないこと、今、仮に東日本大震災と同じ規模の災害が衆議院議員選挙前に起きても、八割以上の衆議院議員を選ぶことができることから、選挙困難時の立法事実とするのは難しいと、前回、立憲民主党議員より述べました。取り組むべきは、いかに選挙困難時期にあっても選挙ができる体制を組むかです。  平時においては、投票環境の整備が急務の課題です。選挙困難時を想定した有権者名簿など選挙データのバックアップ体制、インターネット投票、郵便投票の検討、拡充です。また、期日前投票の拡充、共通投票所の実施など、できることは今でもあるはずです。特に、投票日に指定された投票所以外に誰でも投票できる共通投票所は、令和六年衆院選時点で十五市十六町六村の二百二十六か所の設置にとどまっています。  災害時に選挙区を離れて投票所を設けるためにも、二重投票を防ぐ仕組みをもって各自治体が共通投票所を設置することは有効ではないでしょうか。ちなみに、今、横浜市では、各区内の投票所全てを共通投票所にして、各投票所独自の有権者名簿を投票所間で共通化して無線で確認を行い、二重投票を防ぐシステムづくりが進められていると聞いています。  その上で、憲法五十四条に言う緊急集会について述べます。  国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成するとされていて、いわゆる二院制を採用しています。元々、一九四六年二月十三日にGHQが日本政府に対して提示した総司令部案では一院制とされていました。これに対して、日本側が二院制の必要性を認め、現在の憲法の二院制になったという経緯があります。  その二院制の機能や役割分担のレベルを超えて、制度として全く独自なものとして存在しているのが参議院の緊急集会制度です。これは、緊急事態に際して、大日本帝国憲法時代に天皇の緊急勅令や緊急財政処分で対処するとされていたものを、国会中心主義の貫徹という趣旨から、参議院の緊急集会をもって対応するとしたものです。  金森国務大臣が、制憲議会で、戦前の緊急政令を認めないためにも、参議院の緊急集会を設けたと言っています。大日本帝国憲法下、一九四一年二月に法律をして一九四二年四月まで一年間選挙を延期したこと、そのちょうど一九四一年十二月には日米開戦に踏み切ってしまった反省にも立っていると考えます。  諸外国の憲法には緊急事態に関する規定があるのに日本国憲法にはないという趣旨の発言もあったかと思いますが、各種文献でもこの緊急集会の制度は世界に類例を見ないものと評価されていることからも分かるように、他の国々とは違う形で制度設計していることから、他の国々と同様の規定を探せば日本国憲法に規定がないというのは当然のことで、緊急事態に際して対処すべき規定があるかという観点から検討すれば、緊急集会の条文がこれに当たるというのは明らかだと考えられます。先人たちは既に想定外の事態の規定を設けていたというわけです。  憲法五十四条については、その趣旨に基づいて、参議院の緊急集会を適切に開催していくべきと考えます。特に、緊急集会七十日限定説を取らないということを前回も申し述べております。  ところで、衆議院、参議院は、相互に独立して審議、議決を行う機関ですから、他の機関や他の院の干渉を排して行動できる、いわゆる自律性を持っています。  所掌事項という言葉が適切かどうか分かりませんが、参議院の緊急集会というのは参議院にのみ認められた独自の機能であると言えます。したがって、参議院が緊急集会で対応できると判断する可能性のある事項について、衆議院側で緊急集会では対応できないという判断をすべきでないのはもちろんのこと、そもそも、参議院の緊急集会では対応できないことを前提として議論を進めることは、参議院の自律に対する干渉という評価もあり得るところであります。衆議院側として慎むのが二院制のエチケットであると考えます。仮に、参議院側が緊急集会では対応が困難であるという院の意思が示されることがあったとして、その時点で初めて衆議院側の議論がスタートされるべきと考えます。  さらに、緊急集会の機能などについて、参議院議長の下、参議院改革協議会では、昨年六月の選挙制度専門委員会の答申を受けて、参議院の在り方論の柱項目の一つとして、緊急集会の機能の充実強化について今後具体的な議論を進めていくと伺っています。  今後、衆議院憲法審査会で任期延長改憲の議論を行うことが憲法論的のみならず政治的にも妥当なのか、各党各会派で参議院側ともよく議論していただくことを求めて、私の意見を終わります。

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