○齊藤参考人 横浜市立大学の齊藤広子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
私は、法務省法制審議会区分所有法制部会の委員として、また、国土交通省社会資本整備審議会住宅宅地分科会マンション政策小委員会の委員長として、制度の見直しの検討に参加させていただきました。今回の改正法案は、そこで丁寧に議論をし、取りまとめた内容を反映した、充実したものになっていると考えています。
今抱えているマンションの管理、再生の問題に対応した法改正案となっていることから、マンションの区分所有者、管理組合、そして関係者の皆様として管理組合を支えている専門家や自治体の方々、事業者からも成立を心待ちにしているという声を聞いているところでございます。
本日は、改正法案の内容も踏まえ、多様なマンションがある中で、これからマンションで安心、安全に暮らし、資産価値の維持向上だけではなく、地域の資産としてマンションを適正に維持管理していくために何が必要か、私の意見を申し上げます。
現在、マンションストックは約七百万戸。二十三年前の区分所有法の改正のときと何が大きく変わっているでしょうか。一つには、築年数のたったマンションの増加、建物の老いです。二つ目には、建物の多様化があります。三つ目には、区分所有者の高齢化、人の老いです。四つ目には、所有者の不在化、所有者不明、そしてグローバル化などがあります。
こうした状況の中で、総会で物事が決まらない、管理組合の役員のなり手がない、だから第三者を管理者にしましょう、第三者管理者方式ですね、や、大規模修繕ができない、建物が時代に合っていない、専有部分の修繕も一緒にしたいのになかなかできない、こうして、いわゆる管理不全マンションが登場してまいりました。さらに、再生が円滑にいかない、災害時にはいろいろな体制に不備がありました。
こうした問題のそもそもの原因を明らかにし、そこから根本的に改善していく必要があります。改正案では、原因にどのように対応しているのでしょうか。
原因の一つ目に、区分所有者の関心が低いということがありますので、まずは区分所有者の責務が位置づけられております。原因の二つ目には、建物や人の状態の変化に対応した新たな管理体制がないということです。
そこで、新たな管理体制の構築として、所在等不明の所有者を裁判所が認めた場合に集会決議から除外する仕組み、出席者多数で決議をする仕組み、こうして総会での決議をしやすく、さらに、国外での区分所有者には国内管理人を選んでくださいねという制度も用意されることになります。所有権のグローバル化は確実に進み、運営上の課題が多くありましたが、国内管理人により、総会の委任状の回収などがしやすくなります。これにより、総会の決議が、よりスムーズになるということになっていきます。また、建物の性能向上という決議も行いやすくなることになります。
さらに、築年数のたったマンションでは、共用部分だけではなく、専有部分の給排水管の取替えも管理組合が一緒にやってほしいという区分所有者の需要が高まっており、その点については、規約で明記すれば専有部分の給排水管などの取替えを管理組合が行うことが可能になります。マンション全体を合理的に、効率的に、総合的に管理できる体制ができます。
そして、役員のなり手不足から、第三者を管理者にお願いすること、管理業者にお願いすることが増えてきています。管理者は、そのマンションの管理の最高責任者にもなりますし、実質的には多くの権限を持っています。そこで、区分所有者の中から管理者を選ぶわけではないので、区分所有者から見れば、私たちの意見がちゃんと反映できるんだろうか、大規模修繕を勝手に発注しないだろうか、特に管理業者の関係の会社などにという不安や懸念が出てまいります。
私も、第三者管理方式を実施している幾つかのマンションでお話をお伺いいたしましたが、大事なことは区分所有者自身で判断できる体制をしっかりとつくることが基本というふうに考えております。
そこで、管理業者管理者方式を導入する際には、既に作成されているガイドラインなどを参考にし、管理業者の説明を聞き、区分所有者自身が判断できる説明会の開催を、大事な工事も、管理業者やその関係者が関与する場合には、説明会の開催を行うことが法律で規定されています。
また、管理組合が、管理費を滞納している住戸で、新しく買ってくれる買主がなかなか決まらない場合に、管理組合で買い取りたいという需要が高まってきています。管理組合がそんなことできるのかというのが不明確でしたが、管理組合法人が、区分所有権、土地を取得することが、法案で明確になっております。
次の原因として、供給当初から適正な管理体制がないということがあります。実は、管理不全マンションの調査をこの数年、幾つかの都市で実施してまいりましたが、今、深刻な状態になっている管理不全マンションに共通していることは、新築時から管理組合が機能していない、規約がない、総会、理事会がない、長期修繕計画がない、それに基づいた修繕積立金がない、だから大規模修繕もしていないということです。
そこで、今回の改正案では、新築時から、管理組合が総会を開く体制を持ち、適正な規約、長期修繕計画、それに見合った修繕積立金の体制を整えてスタートできるように、管理計画認定制度を新築時から利用できるようにしています。管理計画認定制度を受けたマンションでは、住民が管理を誇りに思い、管理への関心が高まるなどの効果も見られています。
そして、あなたのマンションは管理計画認定を受けていますよ、分かりやすく言いますと、行政がこのマンションはちゃんと管理する体制がありますよと認定していますということですので、これを見える化する表示制度もつくることになっています。これにより、新築時から管理適正化が期待でき、かつ、国民の皆さんにとって、マンションを買うなら管理を買えとよく言われますが、何を買えばいいのか、分かりやすくなります。マンションの管理が市場で評価されやすくなっています。
次に、再生について見てまいります。
実は、今まで日本の国では、マンションが古くなりました、では再生しましょうとなっても、多数決で決議できるのは、基本、建て替えだけでした。ところが、東日本大震災から流れが大きく変わってきました。大きな被害を受けたマンションでは、建て替えを選ぶのではなく、多数決により、建物を取り壊し、敷地を売って、管理組合を解散しようという方法を選択するケースも増えてきています。まさに、人口、世帯減少時代の先取りではないでしょうか。
一方で、老朽化マンションを調べてみますと、多々課題がございました。まずは、こうした敷地売却が多数決でできるように、さらには、一棟リノベーションという形で、建物を取り壊さずに、大きな壁や柱を残し、中を大規模なリノベーションするような再生手法も、今まで想定していなかったので全員合意が必要でしたが、今回の改正法案では、これを多数決でできるようになっています。
こうして再生のメニューを用意し、かつ、再生の要求が高い、耐震性の低いマンションなどは四分の三以上の賛成で再生が可能になっていること、今まで課題となっていた、借家で住んでいる方の補償金を払っての退去、隣の敷地を取り込んでの再生などができるようになっています。
さらに、災害時の再生の課題に対しても、速やかで、かつ合理的な対応が可能となる仕組みが創設されています。課題としてあった事業法の整備、共に、融資面での支援も強化されることになります。
誰もが安心してマンションに住み続けられ、かつ円滑な再生の実行には、再生時の居住支援が、より重要になってきます。居住政策だけではなく、福祉政策、そして金融政策との強い連携が必要になってくるということです。
最後の原因として、私有財であるマンションに行政が関与しにくいという点については、管理不全マンションの予防、解消のための行政の権限強化がされています。修繕等の勧告制度、建て替え等の勧告制度と、専門家派遣制度の体制ができます。この行政を支援していく地域のサポート体制として、マンション管理適正化支援法人の登録ができるようになります。管理組合が主体的に管理を進めるためには、行政や専門家など、地域全体での支援体制を強化することが必要です。
マンション管理適正化法ができて二十五年。適正化法は、頑張る管理組合を応援するサポート体制を整備した法律とも言えますが、人の老い、建物の老いが、地域の新たな支援体制を求めています。それに応じるのが支援法人になります。
地域で、行政だけではなく、共に学び合う管理組合の連合会、協議会のメンバー、専門家として管理組合を支えるマンションの管理士、建築士、弁護士など、様々な専門家のネットワークとサポート実践体制がますます重要になると考えています。そこでは、知識や技術の共有だけではなく、アクティブに動くチームとして、問題、課題を対処する実践体制を構築すべきであると考え、私が所属する横浜のマンションみらいネットワークでも、こうした取組を始めているところでございます。
最後に、今回の改正法案は、マンションの管理、再生を円滑に進めるための様々な措置が講じられています。国民の皆様が、誰もが安心して暮らせるように、マンションというもののすばらしさをもっと引き出し、安心、安全な居住の場にするために今必要なことは何か、今後どのように取り組んでいけばよいか、御検討いただければと思います。
以上です。(拍手)
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2025-05-09 · 衆議院国土交通委員会
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2025-05-09 · 衆議院国土交通委員会
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2025-05-09 · 衆議院国土交通委員会
○齊藤参考人 ありがとうございます。
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2025-05-09 · 衆議院国土交通委員会
○齊藤参考人 ありがとうございます。
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API / MCP 利用
国立国会図書館 国会会議録 API を構造化
REST: /v1/diet/speeches/search?speaker=齊藤広子
MCP: search_diet_speeches(speaker="齊藤広子")