○戸ヶ崎参考人 戸田市教育委員会の戸ヶ崎と申します。
本日は、このような機会をいただきまして、大変光栄に存じておるところでございます。
私からは、教員また学校の管理職の勤務に加えて、教育行政で学校とともに伴走してかれこれもう半世紀が過ぎたわけですけれども、学校に関わってきた立場から意見を述べさせていただきたいと思います。
お手元の資料に沿って意見を述べさせていただきます。
まず、一ページ目でございますけれども、中教審において、令和の日本型学校教育を担う質の高い教師、これを確保するための環境整備の在り方、これを長期間議論をしてまいりました。その答申を踏まえて、本改正案については、主に働き方改革と処遇改善の要素が制度化されているところでございます。
本法案を確実に成立させていただいて、小学校教科担任制の推進などを盛り込んだ令和七年度の予算、これの着実な実施と併せて、全国の教師に改革の成果を届けることが大切と強く思っているところでございます。
二ページです。
さて、給特法へのよくある批判として、定額働かせ放題というようなことでしばしば言われております。この言い方ですけれども、学校現場で日々全力で子供たちに向き合っている教師への姿を踏まえれば、制度の趣旨や教師の努力を適切に評価したものとは言えないのではないかと思っております。
本来、給特法は、管理職が時間外勤務を命ずることができる場合を限定することで、教師の健康と福祉を守りつつ、教師の職務の特殊性を踏まえて、一人一人の教師の裁量を確保する仕組みである、このように理解をしているところであります。
続いて三ページですが、まずは、教師の職務の特殊性について簡単に御説明申し上げます。
そもそも、教職の性質は、全人格的なものであって、日々変化する目の前の子供の状況に応じて臨機応変に対応する、応対する教育的なタクトと呼ばれているものの能力が求められております。
教師の仕事は、一般の行政職などとは異なり、教師自身の自発性や創造性に委ねる部分が大きいと思っております。このため、日々の教師の業務が、どこまでが職務で、どこからが職務ではないというような、精緻に切り分けて考えることは極めて難しいのではないかと考えております。
四ページです。
こうした中、管理職が、教師の個別具体の職務について、一人一人の教師にどのような業務をどの程度まで行うか命令するということはなじまないというふうに考えております。もちろん、管理職のタイムマネジメントというものも極めて重要ですけれども、個別具体の職務について事細かに把握したり時間調整したりすることは、およそなじみません。
例えば、生徒指導においても、悩み相談、いじめ問題、突発的な問題行動等への対応は、時間で区切るわけにもいきません。一人一人の教師の裁量と創意工夫があってこそ、効果的な教育活動が可能になります。教師の裁量を大切にする給特法の精神は維持すべきというふうに考えております。
なお、教育の成果が勤務時間の長さのみに基づくものではないことは、言うまでもありません。
こうした職務の特殊性の下、誇りを持って生き生きと働く姿にこそ、学生たちが魅力を感じ、教職を志す大きな動機づけになるものと考えております。
また、私立や国立の学校は、入学者選抜等により、その学校を希望した子供たちが入学をしてきます。特に私学には建学の精神があり、子供たちも教師もその前提の下、選択をして所属をしてきます。
一方で、全ての子供たちを受け入れるという公立の小中学校等の果たす役割は極めて大きいものがあると考えます。学力はもちろんですが、多様な子供たちがおり、臨機応変に応対していく必要があります。私立や国立と同じ勤務制度を適用することは、その性質上、なじまないのではないかと思っております。
五ページです。
こうした職務の特殊性に対応し、教師の裁量を担保する仕組みこそが、教職調整額、給特法の制度であり、今後も維持されるべきと考えております。
なお、給特法を廃止し、勤務時間外の業務に対しては時間外勤務手当を支給するようにすべきという御意見も伺います。
時間外勤務手当の支給では、管理職が具体的に命令し、その命令に基づいて業務に従事した時間を正確に把握することが前提というふうになります。しかし、現場の立場から申し上げますと、時間外勤務手当の支給は、学校運営上の混乱を招くことを懸念しているところであります。
時間外勤務の管理等を管理職が事細かに指示することになれば、違和感や抵抗感を覚える教師も少なくないと思います。その混乱を見ていれば、今大変深刻となっている、管理職のなり手もますます減少することも明らかであろうと思います。また、その手当に国庫負担の上限が設けられた場合には、自治体の財政力の差によって教育の取組や教師の確保に更なる格差を招くおそれもございます。
時間外勤務の多寡と給与との関係の議論のみならず、教師の裁量性や創造性をどう生かし、どのように教育の質を担保するかという点からの御議論も是非お願いをしたいと考えているところでございます。
六ページです。
今般の教職調整額の引上げについては、教職をリスペクトすると、国からのメッセージとして、僭越ながら、高く評価させていただきたいと思います。
七ページです。
また、一律のベースアップに加えて、真に頑張っている教師が給与上適切に報われる必要もあります。
かつては、学級担任は取り合いが起きておりました。しかし、昨今は、学級担任を避ける教師も増えつつあるように感じています。学級担任は、教科指導以外にも、道徳、特活等の授業があり、様々な事務処理も多くございます。加えて保護者対応などもあり、担任を持っていない教師と比べて負担が重く、在校等時間が長くなっていることから、処遇改善が必要だと思います。
改正案では、学級担任への加算を念頭として、教師の固有の手当である義務教育等教員特別手当、これを校務類型に応じて支給するという規定が盛り込まれておりますけれども、適切であろうというふうに考えております。
八ページです。
次に、働き方改革ですけれども、本法案で、学校における働き方改革に関して、大きく二点挙げられております。教育委員会は、業務改善の計画及び実施状況等を総合教育会議に報告すること、学校は、業務改善の計画について学校運営協議会で承認を得ることであります。
学校の改革は内側から本来は起こるべきですけれども、働き方改革は内側からだけでは変えられません。法律で義務づけることで、働き方改革が社会に開かれた取組となり、保護者、地域、行政など社会全体で支える仕組みとなることが期待できます。
また、働き方改革は、教師や学校の裁量を大切にし、計画的に成果を可視化しながら進めていく必要があり、その点で、今回の改正事項、つまり、市町村教委ごとの計画の策定等の仕組みは極めて重要であろうと考えております。まさに、国、都道府県、市町村共に汗をかくということを求めていると感じております。
九ページです。
本市では、働き方改革なくして教育改革なしと、この十年近く、働き方改革に力を注いでまいりました。その取組について、簡単に御紹介申し上げます。
九ページの資料は、これまでの実施状況や成果と課題を踏まえ、令和四年に改定した本市教育委員会の基本方針であります。この方針に基づき、現在でも様々な取組を行っております。
十ページです。
働き方改革は、計画的に可視化しながら進めていくことが大切であります。そこで、PDCAサイクル、これを回して、成果や課題の見える化に努めてまいりました。具体的には、平成二十八年にチーム学校運営委員会を設置して、その下に、可視化、共有化、効率化、これは頭文字が全てKということで、三Kワーキングをつくって、業務の徹底した見直しをこれまで進めてまいりました。
例えば、可視化のワーキングでは、年間の各学校での収受文書の件数を調査しました。平均二千件以上の文書を収受しており、一日に換算すると、約四時間文書処理に費やしているということ等を可視化いたしました。重さも可視化しました。
また、会議や研修の際、交通に要する時間を計算したところ、これも相当な時間を費やしているということから、当時からオンライン会議の導入も提言したところであります。
さらには、民間企業に一定期間学校に入ってもらって、業務の検証も行いました。その結果、学校の意識として、どうしても時間短縮のインセンティブが働いていない、また、優先順位が低いものを見える化して徹底的に排除する、こういうような意識に課題があるなど、厳しい指摘をいただきました。
これらを受けて、優先順位を分析しつつ、教育委員会、学校で様々な取組にトライアルをしてきました。加えて、お手元にもありますけれども、総合データベースの構築、校務支援システム強化、ゼロトラスト導入、ネットワーク統合などによってテレワークも可能にするなど、教育DXも推進してきました。その一つの成果として、時間外の在校等の時間の少なさは埼玉県内でもトップクラスとなりました。
一方で、登校時刻の見直しですとか、また見守り、学校行事など、市教育委員会や学校だけではこれ以上進めることが難しいこと、つまり、保護者や地域の理解を得て進めていくべき課題は依然として残っているところでございます。
十一ページです。
これらの課題解決には、学校や教育関係者だけではなく、社会全体の理解が必要と考えております。
本市では、働き方改革について、定例の教育委員会で何度も熟議をいたしました。さらに、総合教育会議でも議題といたしました。その中で、地域住民や市議会に、学校、教師が担う業務に係る三分類、これを周知すること、また、人的、物的支援に係る予算措置を行うこと、様々な要望等に対してチーム戸田市として対応することなどの必要性を確認をいたしました。
また、市議会においても、学校における働き方改革について、一般質問もしていただきました。本市の成果や課題、社会的理解の必要性について、その場で答弁もいたしました。
最後、十二ページになります。
また、先ほども申し上げましたけれども、登校時刻の見直しや見守り、学校行事など、保護者や地域の理解が必要な課題への対応として、学校運営協議会を課題解決のプラットフォームとして重要視してまいりました。特に、先ほどの三分類については、学校や教育委員会では重視していても、学校関係者以外への周知、理解がほとんどされていないといった現実がございました。
そこで、この三分類の熟議の進め方を示した熟議パッケージ、これを独自に作成して、各学校の学校運営協議会の場で取組も開始しました。
その熟議の場では、このような意見が出ました。そもそも先生方にこんな苦労があるとは知らなかった、一刻も早く私たちにできることを支援していきたい、また、学校の働き方改革は、先生方だけではなくて、子供たちのためにといったメッセージが伝わっていないのではないか、このような意見も出されました。
働き方改革は地域の子供のよりよい成長のためであるということを共有しつつ、業務改善の計画を学校運営協議会で示して進めていくことは極めて重要であろうと思っております。
いずれにしても、学校の働き方改革の実動には、国、教育委員会、また学校等の各アクターが同心円状につながって、それぞれがオーナーシップを持って、何をすべきなのかということを正しく理解して、計画的に行動するために共に汗をかく必要があります。また、学校の働き方改革への社会的な理解も深まるように切にお願いを申し上げまして、私の発表とさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
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今の浮島先生のお話は、これから本市も取り入れていかなくちゃいけないなという段階の状態ですので、まだ実践をしているわけではないので何とも言…
API / MCP 利用
国立国会図書館 国会会議録 API を構造化
REST: /v1/diet/speeches/search?speaker=戸ヶ崎勤
MCP: search_diet_speeches(speaker="戸ヶ崎勤")