○内閣総理大臣(石破茂君) 立憲民主党政務調査会長重徳和彦議員の御質問にお答えを申し上げます。
放送事業者における対応についてお尋ねを頂戴をいたしました。
御指摘の事案につきましては、一月二十三日、総務省からフジテレビに対し、第三者委員会において早期に調査を進め、結果を踏まえた適切な対応を行うよう、既に要請をいたしておるところでございます。
こうした対応を通じまして、同社が説明責任を十分に果たすことが重要である、このように考えております。
放送業界におけるセクハラ問題についてでございますが、職場におけるセクシュアルハラスメントは、働く方の尊厳や人格を傷つけ、職場環境を悪化させるものであり、断じて許されない行為である、このように考えております。
ハラスメントを防止し、労働者が安心して働くことができる職場環境を整備するため、男女雇用機会均等法に基づき、事業主は雇用管理上の措置を講じることが義務づけられているところでございます。御承知のとおりであります。
一般論として、ハラスメント防止措置義務違反が疑われる場合には、都道府県労働局において報告徴収を実施し、是正指導を行うなどの必要な対応を行っており、引き続き、法の適切な履行を確保いたしてまいります。
豪雪地域の支援につきましてお尋ねを頂戴をいたしました。
議員は、青森県勤務の御経験もお持ちですので、よく実情を御案内のことかと存じます。青森市を始めといたします青森県内各地で例年を大きく上回る積雪があり、自治体からの要望を踏まえ、市道から国道に掃き出した雪を国が一斉に運搬排雪するなど、国と自治体が連携した道路除排雪の支援に取り組んでおるところでございます。豪雪はこれからであるというのは、同じ日本海側で育った私としてもよく認識をしておるところでございますが、国による道路除排雪経費の補助や特別交付税の交付につきましては、積雪状況などを踏まえて適切に対応いたしてまいります。
農業分野では、農業用ハウスの倒壊などの被害報告があり、こうした被害に対しましては、農業共済の共済金の早期支払い、長期、低利の災害関連融資などにより、支援を行ってまいりたいと考えております。
学校給食におきまして、地産地消を進めることや、有機農産物、いわゆるオーガニック農産物を活用することにつきましては、食育の推進や安定的な販路の確保を通じた地域農業の振興を図るとの観点から、給食現場と生産現場の連携体制の構築などへの支援を行っているところでございます。地方創生交付金の活用といったことも考えられるもの、このように思っておるところでございます。
高等教育及び幼児教育、保育の無償化についてでございますが、大学の授業料など高等教育費につきましては、本年度から、授業料などの減額等の対象を多子世帯の中間層などに拡充、令和七年度から、無償化の対象となる多子世帯の所得制限をなくすことといたしており、まずはこうした拡充を着実に実施に移し、その上で、教育の機会均等や少子化対策の観点から、その効果を見定めつつ取り組んでまいります。
なお、令和七年度以降の多子世帯における大学等の授業料等の無償化につきましては、対象となる学生等の割合は一五%程度と見込んでおるところでございます。
幼児教育、保育の利用料につきましては、消費税の引上げという安定財源を得た際に、三歳から五歳児は広く幼稚園や保育所等を利用していることから全員を無償化しつつ、ゼロ歳から二歳児では保育所等を利用している子供が約四割にとどまっていることなどから、低所得世帯について無償化したものでございます。
この対象の拡大につきましては、通園されていない方との公平性や、更なる必要な財源をどこに求めるのかといった点について検討が必要であると考えております。
ゼロ歳児から二歳児も含めました子育て世帯への支援策としては、こども未来戦略の加速化プランに基づき、児童手当の抜本的拡充、これは第三子以降三万円などでございますが、こども誰でも通園制度の創設などの大規模な改革を進めており、現在進めている子供、子育て政策について効果検証を丁寧に行った上で、今後の対応を検討いたすこととしております。
介護、障害福祉、幼稚園、保育分野における処遇改善についてでございます。
これら対人支援を担われる方々の処遇改善について、賃金水準や賃上げに向けた費用負担の仕組みなどの状況は異なるものの、いずれも重要な課題であるということは認識をしておるところでございます。
介護、障害福祉分野につきましては、令和六年度の報酬改定で措置した処遇改善加算の更なる取得促進に向けた要件の弾力化や、先般の補正予算に盛り込みました生産性の向上や職場環境の改善など更なる賃上げに向けた支援を通じて、賃上げを進めてまいります。
幼児教育、保育分野につきましては、令和七年度予算におきまして、幼稚園教諭、保育士などにつきまして一〇%を上回る大幅な処遇改善を行うことといたしており、引き続き、こども未来戦略に基づき、民間給与動向等を踏まえた更なる処遇改善に取り組んでまいります。
いわゆる百三十万円の壁、議員のお言葉をおかりすれば崖ということになりますが、いわゆる百三十万円の壁への対応についてでございます。
百三十万円を超えた者に対して給付で収入を補うという御党提出の法案の取扱いにつきましては、国会で御議論いただくべきことではございますが、御提案は、保険料を公費で補填するものであり、賃金以外の収入も含めた所得をどのようにきめ細かく迅速に把握するのかなど、実務上の負担が大きいといった課題がございます。よって、慎重に検討する必要がある、このように理解をいたしておるところでございます。
政府といたしましては、いわゆる百三十万円の壁への対応につきまして、当面の対応として年収の壁・支援強化パッケージの活用に取り組みますとともに、働き方に中立的な制度を構築する観点から、被用者保険の更なる適用拡大など、制度的な対応を含めた年金法改正案を取りまとめてまいります。
物価高の所得階層ごとへの影響とその対策についてのお尋ねをいただきました。
消費支出に占めます食料品やエネルギーの割合は収入が低い世帯ほど高い傾向にあり、食料品などの価格上昇の影響を受けやすいと認識をいたしております。
物価上昇に負けない賃上げの実現に向けて、日本全体で賃金が上がっていく環境をつくっていくことが基本でありますが、こうした賃上げの効果が出るまでの間にも物価高対策を講じてまいります。
具体的には、地域の実情に応じて、エネルギーや食料品価格の高騰に苦しむ方々、価格転嫁が困難な中小企業、学校給食費への支援などを行う重点支援地方交付金、低所得者世帯の方々に対する、世帯当たり三万円、子供一人当たり二万円を加算する給付金など、総合経済対策で決定した施策を迅速に執行をいたします。
令和七年度予算についてお尋ねをいただきました。
令和七年度予算は、コストカット型経済から高付加価値創出型経済への確実な移行とともに、我が国が直面する構造的な変化への的確な対応や、国民の皆様の安心、安全の確保のためのものでございます。政府といたしましては、多くの御賛同が得られますよう、予算に盛り込んだ各施策について丁寧に説明を尽くしてまいります。
党派を超えた合意形成を図るためには、与党、野党共に責任ある立場で熟議し、国民の皆様方の納得と共感を得られるように努めることが必要であります。御党の御主張も十分に拝聴し、真摯に議論をいたしてまいる所存でございます。
非正規雇用に関する政府の取組についてでございます。
二〇一五年以降、正規雇用労働者の数は九年連続で増加をいたしており、特に女性でその傾向が見られます。また、いわゆる不本意非正規の割合は減ってきております。一方、若年層では不本意非正規の割合が高い等の課題がございまして、引き続き、誰もが希望する働き方の実現に向け取り組むことが重要であると考えております。
このため、政府といたしましては、これまで、労働者の多様な雇用機会を確保しつつ労働者保護を図る観点から、例えば、派遣労働者の雇用の安定のための措置、有期契約労働者の無期転換ルールの導入など、必要な制度整備を行ってきたところでございます。
引き続き、こうした制度の履行確保を図るとともに、望まない非正規雇用を減らすための正社員への転換の支援や同一労働同一賃金の推進などに取り組んでまいります。
育児休業の取得支援についてでございますが、男女共に気兼ねなく育児休業を取得でき、円滑に復職できるようにするためには、周りの社員の方々を含めた職場環境の整備を進めていくことが重要でございます。
このため、中小企業に対する労務管理の専門家による個別の相談支援に加えまして、育休社員の業務をカバーする同僚の方にいわゆる同僚手当を支給する場合に、育休関係者お一人につき最大百四十万円、育休中の代替要員の新規雇用を行った場合に最大六十七・五万円を支給する助成金を設けておりまして、引き続き、職場環境の整備を促すとともに、制度の活用、普及促進に努めてまいります。
第七次エネルギー基本計画案における原子力の方針についてでございますが、これまでのエネルギー基本計画では、可能な限り原発依存度を低減する、また、必要な規模を持続的に活用すると記載されておりました。これは、原発依存度が東日本大震災前の約三割から下がり、一方で必要な原発は活用していくという趣旨であり、この考えは第七次エネルギー基本計画等においても変わるものではございません。
今回、再エネを最大限導入するとともに、特定の電源や燃料源に過度に依存しないようバランスの取れた電源構成を目指すという考え方が明記されました。この考え方の下で、二〇四〇年のエネルギーミックスとしては、原子力の比率は二割程度を示しておるところでございます。
再エネ産業についてでございますが、我が国の再エネ産業の成長に向け、世界をリードし得る技術について、研究開発やサプライチェーン構築、初期需要の創出等を支援し、早期の社会実装、普及拡大を進めることは極めて重要であります。
既に、例えば、日本発の技術で、国内で調達可能なヨウ素を主な原料とする、議員御指摘のように、薄くて軽いペロブスカイト太陽電池につきまして、産官学で検討を深め、量産技術の確立、生産体制の整備、初期需要の創出に取り組み、二〇四〇年には二十ギガワットの導入を目指す戦略を策定したところでございます。
御指摘の浮体式洋上風力や地熱発電などを含めまして、我が国の再エネ産業の基盤を確立すべく、戦略的に取り組んでまいります。
我が国の基幹産業であります自動車産業が引き続き国際競争を勝ち抜くためには、GXとDX、さらにはサプライチェーンに関する諸課題に的確に対応していく必要がございます。
このため、GXにつきましては、EVや合成燃料、水素など多様な選択肢を可能とするイノベーションの推進、DXにつきましては、自動運転等を可能とするAI、半導体や、サイバーセキュリティーの開発加速と社会実装を進める制度整備、地政学的な環境変化に対しましては、強靱なサプライチェーンの構築を官民連携して進めていくことが重要である、このように考えております。
デジタル人材育成についてのお尋ねをいただいております。
御指摘のとおり、国を挙げてのデジタル人材、ITエンジニアの育成は急務であると考えております。
二〇二二年度から二〇二六年度末までの五年間に合計二百三十万人のデジタル人材の育成を目指すという目標を設定し、政府一丸となりまして、リカレント教育、リスキリングの支援に取り組んでおるところでございます。
これまで、年度目標を上回る人数を育成しておりまして、今後とも、目標達成に向け着実に取り組んでまいりたいと考えております。
デジタル庁の効果でございますが、デジタル庁は、民間の専門人材も活用することで、従来ばらばらでありました各府省システムを統合、効率化するなどの取組を進めておるところでございます。例えば、各府省に対し共通のIT環境を提供することで、オンライン会議や電子文書の共同編集を容易にするなど、デジタル技術を活用した業務効率化が進んでおります。
マイナンバーカードやマイナ保険証は、安全、便利で効率的なデジタル社会の実現や、よりよい医療の提供に当たり、重要なものであります。その普及に当たって必要な予算を計上してきたものでございますが、より一層、費用対効果が発揮されますよう、利活用できるサービスを拡大する等の取組を進めてまいります。
デジタル情報の公共分野における活用についてお尋ねを頂戴をいたしました。
デジタル化の推進に当たりましては、個人情報の保護など、国民の皆様の不安を払拭しつつ、そのメリットが実感できる分野を着実に増やしていくことが重要であると考えております。
デジタル社会の実現に向けた重点計画では、一人一人のニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会の実現を目指すことといたしております。例えば、御指摘の医療や教育の分野におきましても、個人情報保護等を確保しつつ、データ連携を進める実証等を行い、その具体的な効果を示し、行政分野のDXへの信頼を得るべく、政治改革の実現と併せまして取組を進めてまいりたいと考えております。
家庭医制度についてお尋ねを頂戴いたしました。
生活習慣病の増加など、近年の疾病構造の変化等を踏まえますれば、予防医療の推進も重要な課題であり、地域の身近な医療機関におきまして日常的な診療などのかかりつけ医機能を担うことは重要でございます。
こうした考えの下、令和五年の医療法改正において、医療機関から、かかりつけ医機能の有無について報告を求めた上で、地域の関係者で協議をし、必要な機能を確保する仕組みを創設したところでございます。これは、議員御指摘の家庭医の登録制度とは異なりますが、フリーアクセスを維持しつつ、かかりつけ医機能が適切に発揮されますよう、来年度からの実施に向けて取り組んでまいります。
高額療養費制度の見直しについてでございます。
高額療養費制度は、医療費の自己負担に上限額を設ける重要なセーフティーネットですが、高齢化や高額薬剤の急速な普及などによりその総額が年々増加する中で、現役世代を中心に保険料負担は大きな課題となっております。
こうした状況を踏まえ、制度のセーフティーネットとしての役割を将来にわたって維持しつつ、保険料負担の抑制にもつなげますため、見直しを行うことといたしました。
その際、負担能力に応じて引上げ率を緩和するなどの、低所得の方や長期にわたって医療を受けておられる方の経済的負担に十分配慮をいたしております。
見直しに当たりましては、様々な立場の有識者で構成される専門の審議会において複数回の御議論をいただくなど丁寧なプロセスを経ており、引き続き、見直しの趣旨、内容について説明を尽くしてまいります。
医薬品の供給不足、薬価制度の見直しについてお尋ねをいただきました。
高齢化などにより医療費が増加する中、薬価改定につきましては、国民皆保険の持続性を考慮し、適時適切に実施することが重要でございますが、同時に、暮らしに欠かせない薬の安定供給確保の要請や、革新的な新薬の開発力を強化していく要請などにも応えていく必要がございます。
今回の改定でも、医薬品の安定供給の観点から、最低薬価の引上げや不採算品の薬価の引上げを行うことといたしておりますが、仮に改定を実施しない場合には、こうした対応も適時に行えなくなるといった課題もございます。
こうした点も含めまして、診療報酬改定がない年の薬価改定につきましては、創薬イノベーションの推進、医薬品の安定供給の確保、国民負担の軽減といった要請についてバランスよく対応する中で、その在り方について検討いたしてまいります。
新しい公共及びインパクト投資についてでございますが、重徳議員御指摘のとおり、災害対応の分野を始め、ボランティアの活動の重要性は一層高まっていると認識をいたしております。民主党政権下におきましても、新しい公共として、全ての人々に居場所と出番があり、様々な主体が積極的に公に参加する社会づくりを促進してこられたと承知をいたしております。
自民党政権といたしましても、これまで、認定NPO法人に対する税制優遇措置の拡充等を通じ、NPO法人の活動促進に取り組んできたところであり、これらは、重徳議員御指摘の新しい公共にもつながるものと考えております。
また、近年、一定の投資収益を確保しつつ社会、環境的効果の実現を目指すインパクト投資が注目を集めており、政府としても、基本的な考え方をまとめた指針を公表するなど、その促進に向けて取り組んできたところでございます。
今後も、先般閣議決定された経済対策に沿いまして、官民の幅広い関係者が参画する協議の場において、本年六月までに、地域の取組事例や投資手法のポイントを取りまとめるなど、インパクト投資の更なる普及、浸透に向けた取組を進めてまいります。
防衛力の強化及び財源確保についてお尋ねをいただきました。
防衛力整備計画の四十三兆円程度という規模は、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対峙していく中で、防衛力の抜本的強化に必要な水準として積み上げたものでございまして、規模ありきではございません。
引き続き、国家安全保障戦略などに基づきまして、防衛力の抜本的強化を着実に進めていく考えであり、国民の皆様方の御理解が得られますよう、今後とも丁寧な説明に努めてまいります。
なお、防衛力強化に係る財源確保に関しましては、復興財源の総額を確実に確保することといたしており、流用との御指摘は全く当たりません。
また、防衛力の強化は、国民の命、暮らしを守るためのものであり、個人に広く裨益するものであることを踏まえまして、そのための税制措置につきましては、所得税につきましても対象とされたものでございます。こうした考え方は現時点でも当てはまるものであり、令和五年度税制改正大綱等の基本的方向性を踏まえつつ、引き続き検討されるもの、このように考えております。
能動的サイバー防御に関する法案の審議における政府の姿勢についてでございますが、我が国のサイバー対応能力の向上は、現在の安全保障環境に鑑みますと、ますます急を要する課題でございます。国、重要インフラなどに対するサイバー攻撃を排除するため、能動的サイバー防御を可能とする法案を今国会に提出をいたします。
法案の提出及び審議に当たりましては、与野党の皆様及び国民の皆様方から広く御理解がいただけますよう、政府の考え方を丁寧に説明をいたしてまいります。
日韓関係についてお尋ねを頂戴をいたしました。
日本と韓国は、互いに、国際社会における様々な課題への対応にパートナーとして協力していくべき重要な隣国でございます。韓国には内政上の動きがあり、また、日韓両国には隣国であるがゆえに難しい問題もございますが、現下の戦略環境の下、日韓関係の重要性は変わるものではございません。
日韓国交正常化六十周年における交流事業などにつきましては、両国国民や両国の未来にとって重要であるとの観点から、準備を進めていくことを日韓間で確認をいたしており、特に、日韓関係の未来を担う若者の交流を更に後押ししていこうということで一致をいたしております。韓国側とは、引き続き緊密に意思疎通をいたしてまいります。
日韓双方における相手国国民の自国への入国手続の円滑化のための措置につきましては、そうした国民間の交流を後押しする取組の一つとして、どのような対応が可能なのか、韓国側とも意思疎通をしつつ、検討を続けているところでございます。
残余の御質問につきましては、関係大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
〔国務大臣中野洋昌君登壇〕
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