○山岸一生君 立憲民主党の山岸一生です。
会派を代表して、ただいま議題となりましたサイバー安全保障関連法案について、全て石破総理に質問いたします。(拍手)
その前に、石破総理の商品券配付問題について、総理御地元の鳥取県民の方も含め多くの国民が、正直がっかりした、信じられない、時代にそぐわぬと答えるなど、これまでの石破総理のクリーンなイメージが失われていることについて、総理御自身の受け止めと、今後どのように説明責任を果たすお考えか、明確にお答えください。
四年前に初当選して間もなく、私の事務所に一通のメールが届きました。地元練馬の実在する支援団体の名前で、資料のリンクが張ってありました。開きかけましたが、日本語が不自然だと感じ、思いとどまりました。後に専門家に見てもらったところ、やはり標的型攻撃メールでした。野党の新人議員ですら標的になる。政府機関やインフラ事業者への攻撃は桁違いでしょう。国民生活と経済活動を守るため、サイバー防御の強化は待ったなし、私も異論はありません。
問題は、具体的なやり方です。この法案は、警察や自衛隊が国内外にある攻撃元に対して無害化措置を取ることを可能とし、その分析のために幅広い通信情報の取得を認めるものです。憲法が保障する通信の秘密を制約し、自衛隊の対外的な権限を拡大するという二つの点で、戦後政策の大転換です。それに見合った精密な法案となっているのか、以下、ただしてまいります。
まず一つ目、人権を侵害するおそれがないかです。
通信の秘密に関わる既存の法律には、通信傍受法があります。これは、裁判官の令状発行を要件として、対象者や通信回線、期間を限定して行います。一方で、本法案は、行政機関だけの判断で幅広く通信情報を取得します。目的が異なるとはいえ、通信傍受法と比べると、手続は緩められ、範囲は広くなっています。
本法案は、サイバー空間において攻撃を防ぐために常時巡回監視するものではなく、何らかの攻撃があったか、攻撃のおそれが疑われる場合に限定をしていると言えるのか、御答弁ください。
政府は、取得するのは機械的情報だけで、メッセージの内容は見ないし、サイバー攻撃に関係のないものはすぐに廃棄をするので、プライバシーの侵害はないと説明しています。そう簡単に区別できるのでしょうか。機械的情報とは、メールの場合は判別しやすいですが、ホームページやSNS、またそれ以外のサイバー攻撃の手段となり得る通信において何を指すのでしょうか。そして、機械的情報とやり取りの中身の部分をどのように区別するのですか。加えて、その選別基準はどのように決めるのか、及びその具体的な内容をお答えください。
さらに、ビッグデータとAIの時代である今、中身を見なくても、通信の場所、相手、頻度などのデータ、まさに機械的情報を分析するだけでも、人の関心や行動や関係性を把握できてしまいます。政府が取得する通信情報を国民の行動を把握する目的で使用することはないと約束できますか。また、それは条文のどこに担保されていますか。明確にお答えください。
二つ目、国際的な批判を受けないかも重要です。
サイバー攻撃の発信元はほとんど海外なので、無害化措置とは、海外にあるサーバーやパソコンに対して日本政府が逆攻撃をしかけるということを意味します。相手国から日本に攻撃されたと言われないためには、違法性阻却事由が備わっていなければなりません。無害化措置が違法性阻却事由に当たるのか、どのような具体的事実があれば違法性阻却事由に当たると政府は考えているのでしょうか。
例えば、二〇二三年に名古屋港がサイバー攻撃で停止をした事案がありますが、もし、あれが海外からの攻撃だと判断をし、海外にあるサーバーに無害化措置を実施する場合、どのような違法性阻却事由に該当するのでしょうか。事例に即して説明を求めます。
その上で、無害化措置が行き過ぎるということはないのでしょうか。政府は物理的な破壊まではしないと説明していますが、例えば、無害化措置によって相手国のサーバーやパソコン、システム全体が機能しない範囲にまで及んで社会インフラに影響を与えてしまう、そのようになれば、相手国から、日本から先制攻撃を受けたとの言い分を与えることにもなりかねず、許容されないのではないでしょうか。政府が想定する無害化措置の具体例とその限界をはっきりとお示しください。
また、本法案では、警察による無害化措置を第一段としつつ、第二段として自衛隊が、本邦外、つまり国外にある者による特に高度に組織的かつ計画的な行為に対して通信防護措置を取る、いわば二段構えになっています。政府は、この第二段の対象は国家を背景とした主体による行為だと説明していますが、条文上、必ずしも明らかではありません。特に高度に組織的かつ計画的な行為を、国家を背景としていない、あるいは国家を背景としているかどうか分からない主体が行うことは本当にあり得ないんでしょうか。
さらに、特に高度に組織的かつ計画的な行為を、国家を背景としていない、あるいは国家を背景としているかどうか分からない主体が行っている場合に、自衛隊は無害化措置を取ることはできるんですか。
また、実際、実務において、攻撃者が国家を背景とした主体であるかどうか、どうやって見極めるんですか。政府にそのような能力はあるんですか。あるいは、同盟国からの情報提供に頼ることもあり得るんでしょうか。併せて明らかにしてください。
三つ目、政府による無害化措置に実効性はあるんでしょうか。
無害化措置、無害化措置と一言で言っていますが、その手段は、では何でしょうか。攻撃の踏み台にされているパソコンやサーバーに対してどういうことをすることなんでしょうか。例えばコンピューターウイルスやマルウェアをそこに感染させたり、あるいは大量にアクセスをするDDoS攻撃もあり得るんでしょうか。具体的にお答えください。
四つ目、民間事業者への負担が重く、かえって経済の妨げにならないようにする必要があります。
政府は、基幹インフラ事業者等との協定によって通信情報を取得することとしています。協定は任意のはずなのに、正当な理由がない限り協議に応じなければならないともあり、事実上の強制になることはありませんか。事業者が同意を拒むことはできるんでしょうか。また、同意を拒んだ場合、不利益はないんでしょうか。御説明ください。
本法案は、基幹インフラ事業者等から事業についての幅広い情報提供を求めています。特にシステム構成や通信機器の名前など、営業の秘密に関わる内容もあります。事業者に過度な負担を強いることにもなりかねません。
例を挙げます。法の五条では事業者に特定侵害事象の報告を求めていますが、その規定は極めて曖昧です。主務省令で定める事象を、主務省令の定めるところにより、主務省令で定める事項を報告する。これでは事業者には分かりません。具体的な内容を明らかにしてください。
五つ目、全体を通して、民主的な監督は十分でしょうか。
ここまで伺ってきた懸念に対応するために重要なのが、手続を厳格かつ民主的に監督することです。本法案では、サイバー通信情報監理委員会を新設し、政府による無害化措置の審査と通信情報取得の審査を担うこととしています。
まず、無害化措置の事前承認に関してお伺いします。事前承認に際し、どのような手続により、どのような項目について政府が申告し、監理委員会にかけることを想定しているのか、明らかにしてください。
その上でですが、この事前承認は機能するんでしょうか。無害化措置は、緊急の必要がある場合に行うとされていますが、事前承認が義務づけられています。その上で、承認のいとまがない特段の事由があれば事後通知でよいとしています。つまり、事前承認を求めるケースとは、緊急だが承認のいとまがある場合ということになります。そんな場合が本当にあるんでしょうか。この仕組みでは、事実上、ほとんどが事後通知となってしまうおそれがありませんか。事後通知を認める特段の事由とは、具体的にどのような場合を指すのか、お答えください。
また、事後審査や事後承認ではなく、事後通知にとどめているのはなぜですか。監理委員会が、たとえ事後であったとしても、例外なく審査、承認できるようにはしなかった理由を、総理、御説明ください。
この監理委員会は、国会に運用状況を報告するとされています。あくまで状況報告です。他方で、特定秘密については、既に衆参両院に情報監視審査会が設置されており、議員に守秘義務を課した上で、特定秘密が適正に管理されているかどうか、必要な情報を提供させたり、調査、審査を行う体制があります。にもかかわらず、本法案では、国会は報告を受けるだけです。
石破総理は、国会の関与はこれで十分とお考えなんでしょうか。国会報告の内容としてどのような項目を想定しているのか、さらには、この法律が適正に運用されているかどうかについて、国会が何らかの方法で関与できるようにしなかったのはなぜか、併せて説明してください。
以上、質問をしてまいりました。石破総理におかれては、国民の皆さんの厳しい声を踏まえて、丁寧な答弁を求め、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣石破茂君登壇〕
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