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石破茂 ·自由民主党・無所属の会 ·内閣総理大臣

衆議院本会議(2025-03-18)での発言

第217回国会 ·第第9号号 ·5,097字
○内閣総理大臣(石破茂君) 市村浩一郎議員の御質問にお答えいたします。  これまでのサイバー攻撃事案を踏まえた対策についてのお尋ねをいただきました。  近年、機微情報の窃取、重要インフラの機能停止等を目的とする高度なサイバー攻撃に対する懸念が急速に高まっております。国家を背景とした形での重大なサイバー攻撃も日常的に行われるなど、安全保障上の大きな懸念にもなっております。これまで政府におきましては、インターネット利用者によるウイルス対策を始めとするサイバーセキュリティー対策の促進のほか、サイバー攻撃の手口の公表や、サイバー攻撃の主体を特定して公表するパブリックアトリビューションなどに積極的に取り組んできたところでありますが、現在の安全保障環境に鑑みますと、我が国のサイバー対応能力の向上はますます急を要する課題であります。  このような認識の下、国家安全保障戦略では、サイバー安全保障分野での対応能力を欧米主要国と同等以上に向上させることを目標に掲げ、その柱として能動的サイバー防御を導入することといたしました。  今回の立法措置により、既に欧米主要国で取組が進められている官民連携の強化や、通信情報の利用、アクセス・無害化のための権限付与などを通じ、サイバー攻撃に関連する情報収集、分析能力や、重大なサイバー攻撃への対処能力の大幅な強化が可能となります。  サイバー安全保障分野の政策を一元的に総合調整する新たな組織の下、これらの取組を有機的に連携させることにより、国家安全保障戦略に掲げた目標を実現できますよう取り組んでまいります。  政府による第三国の通信情報の分析についてのお尋ねであります。  今回のサイバー対処能力強化法案におきましては、国外の攻撃用インフラの実態を把握するため、ほかの方法によっては実態の把握が著しく困難である重大なサイバー攻撃に関係する通信が存在すると疑うに足りる場合に、国外関係の通信情報を取得することができることなどとしております。  自国領域を通る国際通信の取得と利用は、国際法上、一般的に禁止されてはいないと承知しております。現に、欧米各国による国際通信の安全保障目的での取得と利用も、国際法上、問題ないものとして国際的に受け入れられております。  その上で、本法案では、通信情報の取得、分析に関して、一定の機械的な情報のみを自動的な方法により選別して分析すること、独立性の高いサイバー通信情報監理委員会が審査や検査を行うことなどの規定を設けており、通信の秘密との関係において、公共の福祉の観点から必要やむを得ない限度の制約にとどまるものとなっております。  警察権の行使としてのアクセス・無害化措置についてのお尋ねをいただきました。  アクセス・無害化措置は、武力攻撃事態に至らない状況下における対処を念頭に、平素の段階から公共の秩序の維持を目的として実施するものであります。そのため、自衛権ではなく警察権の行使として、比例原則に基づき、目的を達成するために必要最小限度の措置として行うことといたしております。  その上で、今回のアクセス・無害化措置に関する国際法上の評価につきましては、それぞれの具体的な状況に応じて判断されますため、一概にお答えすることは困難ですが、我が国に対するサイバー攻撃元となっている国外に所在するサーバー等に対して我が国が警察権の行使として必要な措置を取ることは、国際法上も一定の状況において許容されているものと認識いたしております。  アクセス・無害化措置が、国際法上許容される範囲内で行われることは当然のことであります。措置の実施主体が、警察庁長官又は防衛大臣を通じてあらかじめ外務大臣との協議を行うことにより、国際法上許容される範囲で措置を行うことを確保いたしてまいります。  自衛隊によるアクセス・無害化措置の発令に係る判断基準や措置の内容、警察との役割分担についてでございます。  新設する自衛隊法第八十一条の三に基づく通信防護措置は、国や基幹インフラ等の一定の重要な電子計算機に対し、本邦外にある者による特に高度に組織的かつ計画的なサイバー攻撃が行われ、これによる被害を防止するために自衛隊が対処する特別の必要があるときに、内閣総理大臣が当該措置を命ずることとなります。  自衛隊が対処する特別の必要につきましては、個別具体的に判断されることとなりますが、法律上、例えば、対処に当たって自衛隊の有する特別の技術又は情報が必要不可欠であることといった要件が規定されております。  自衛隊と警察との役割分担につきましては、個別具体的に判断されることになりますが、警察と同等の権限に基づきつつも、自衛隊は、武力攻撃事態等における高烈度なサイバー攻撃に対処するために構築しておりますサイバー防衛能力や、同盟国、同志国との訓練等によって獲得しているサイバー攻撃対処手法や情報を有しており、これらを活用することで適切に対処をいたしてまいります。  なお、アクセス・無害化措置は、国家安全保障の観点から整合性の取れた形で行われるよう、内閣官房による司令塔としての強力な総合調整の下、警察と自衛隊がシームレスに対処することといたしております。  また、措置の実施に当たりましては、自衛隊と警察は共同で対処することといたしており、我が国全体として万全を期す考えであります。  政府に協力した事業者への批判等への対策、サイバー攻撃等への対処に関わる人材の確保についてのお尋ねであります。  サイバーセキュリティー対策の官民連携を強化するに当たりましては、議員の御指摘のとおり、協力いただいた事業者が批判や中傷を受けないようにすることが重要であります。  このため、サイバー対処能力強化法案におきましては、政府から情報提供を行うときは、通信の当事者その他の者の権利利益の保護に配慮しなければならないとする規定を設けております。  また、サイバーセキュリティー人材の確保を効果的に行うためには、求められる役割、知識等を明確化した上で、それぞれの役割等に応じた人材育成方針を講じることが重要であります。  必要となりますサイバーセキュリティー人材の数について、現時点で政府としての推計値をお答えすることは困難でありますが、今後、求められる役割、知識等を明確化する枠組みを整備し、産官学のいずれの分野におきましても人材確保が計画的に進められますよう、早急に取り組んでまいります。  誤った相手方に対するアクセス・無害化措置についてお尋ねをいただきました。  警察及び自衛隊がアクセス・無害化措置を実施するに当たりましては、サイバー攻撃に利用されているサーバー等であると認めた理由、サイバー攻撃による危害の防止という目的を達成するために取り得る措置の内容等をサイバー通信情報監理委員会に示し、委員会は、その承認の求めが改正後の警察官職務執行法等の規定に照らして適切かどうかを判断することとなります。政府といたしましては、万が一にでも誤った相手方に対してアクセス・無害化措置が行われることのないよう、適切に制度を運用してまいります。  その上で、アクセス・無害化措置は、警察庁長官等の指揮により、比例原則に基づき、目的を達成するために必要最小限度の措置として行われるものであり、措置の対象となるサーバー等に、物理的被害や機能喪失など、その本来の機能に大きな影響が生じることは想定いたしておりません。  アクセス・無害化措置を実施した結果につきましては、第一義的には、措置の実施主体が責任を負うものと考えております。  アクセス・無害化措置における事後通知についてのお尋ねであります。  アクセス・無害化措置の実施に当たりましては、サイバー通信情報監理委員会による事前承認を得ることが原則であります。事前承認を得る際は、サイバー攻撃に利用されているサーバー等であると認めた理由、サイバー攻撃による危害の防止という目的を達成するために取り得る措置の内容等を委員会に示し、委員会は、当該承認の求めが適切かどうかを判断することになります。委員会の委員には、法律や情報通信技術に関して専門的知識等を有する者が就きますことから、迅速かつ的確に承認が行われるものと想定しており、事後の通知が常態化することはないと考えております。  一方、サイバー攻撃により、基幹インフラ事業者に現に重大な障害が発生している場合など、委員会の事前承認を得るいとまがないと認める特段の事由があるときは、委員会への事後通知を行うこととしております。通知を受けた委員会は、実施された措置が適切かどうかを確認し、必要に応じて勧告することができることとされており、このような手続を設けることにより、権利の濫用を抑止し、措置の適正性を十分に確保することができると考えております。  サイバー対処能力強化法案に基づく通信情報の取得、分析と通信の秘密との関係についてのお尋ねであります。  サイバー対処能力強化法案に基づく通信情報の利用は、通信当事者の同意によらない場合であっても、国、基幹インフラ事業者等の重要な機能がサイバー攻撃により損なわれることを防ぐという高い公益性があること、他の方法によっては実態の把握、分析が著しく困難である場合に限って通信情報の利用を行うこと、一定の機械的な情報のみを自動的な方法により選別して分析すること、独立性の高いサイバー通信情報監理委員会が審査や検査を行うことなどから、通信の秘密に対する制約が公共の福祉の観点から必要やむを得ない限度にとどまる制度といたしております。  また、政府といたしましては、コミュニケーションの本質的な内容ではない機械的情報も、通信の秘密との関係で適切に保護されなければならないと考えております。そのため、御指摘のメールアドレス等については、ほかの情報と照合しない限り特定の個人を識別することができないようにする非識別化措置を講じることといたしております。  こうした法案の内容につきましては、国民の皆様から広く御理解をいただけますよう、政府の考え方を丁寧に説明いたしてまいります。  アクセス・無害化措置の実施結果の公表や、サイバーセキュリティー対策の今後の課題についてのお尋ねであります。  アクセス・無害化措置を行った場合の結果の公表につきましては、これにより、攻撃者が対策を講じ、危害の発生を防止できない場合があること、我が国の対処能力が明らかになるおそれがあることなどから、慎重に対処をする必要がございます。  ただし、サイバー通信情報監理委員会は、毎年、内閣総理大臣を経由して国会に対し所掌事務の処理状況を報告するとともに、その概要を公表しなければならないこととされており、アクセス・無害化措置の事前承認に関する事務の処理状況についても報告することとされているところであります。  アクセス・無害化措置の実施結果については、政府においてしかるべき評価を行い、対処能力の向上につなげていく必要があると考えております。  サイバーセキュリティー対策の今後の課題といたしましては、サイバー攻撃のより一層の複雑化、巧妙化に対応するため、サイバーセキュリティー人材の育成、確保や、必要な体制整備が重要であると考えております。  国家安全保障戦略に掲げた目標の趣旨及び情報の保護についてのお尋ねをいただきました。  今回の制度整備により、既に欧米主要国で取組が進められております官民連携の強化や、通信情報の利用、アクセス・無害化のための権限付与などを通じ、サイバー攻撃に関連する情報収集、分析能力や、重大なサイバー攻撃への対処能力の大幅な強化が可能となります。  サイバー安全保障分野の政策を一元的に総合調整する新たな組織の下、これらの取組を有機的に連携させることにより、国家安全保障戦略に掲げた目標を実現できますよう取り組んでまいります。  今回のサイバー対処能力強化法案及びその整備法案は、我が国の重要な情報を守るためにも重要な法案であり、御可決いただきました場合には、法の効果的な運用に力を尽くしてまいる所存でございます。  以上であります。(拍手)     〔議長退席、副議長着席〕     ―――――――――――――

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