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石破茂 ·自由民主党・無所属の会 ·内閣総理大臣

衆議院本会議(2025-03-18)での発言

第217回国会 ·第第9号号 ·3,268字
○内閣総理大臣(石破茂君) 塩川鉄也議員の御質問にお答えいたします。  サイバー対処能力強化法案に基づく通信情報の取得、分析と通信の秘密との関係についてでございます。  サイバー対処能力強化法案に基づく通信情報の利用は、通信当事者の同意によらない場合であっても、国、基幹インフラ事業者等の重要な機能がサイバー攻撃により損なわれることを防ぐという高い公益性があること、他の方法によっては実態の把握、分析が著しく困難である場合に限って通信情報の利用を行うこと、一定の機械的な情報のみを自動的な方法により選別して分析すること、独立性の高いサイバー通信情報監理委員会が審査や検査を行うことなどから、通信の秘密に対する制約が公共の福祉の観点から必要やむを得ない限度にとどまる制度としております。  なお、分析の対象となる機械的な情報が個人情報に該当する場合には、外部提供の制限を含めて、個人情報保護法の規定も適切に遵守する必要があり、法令の規定に基づき、適切に業務を行ってまいります。  基幹インフラ事業者との協定等についてでございますが、サイバー対処能力強化法案では、基幹インフラ事業者との間で行う協定の締結について、当事者の一方が協議を求めた場合には、正当な理由がない限り、その相手方は協議に応じなければならないとしておりますが、協定の締結はあくまでも任意でございまして、政府が基幹インフラ事業者に対して協定の締結を強制することはございません。  また、この法案では、基幹インフラ事業者に対し、一定の電子計算機を導入した場合の届出や、サイバーセキュリティーインシデントが発生した場合の報告を義務づけることといたしており、これらの中に事業者の営業秘密に該当する情報が含まれ得ることは否定できませんが、この法案では、同時に、政府が取得した情報に係る安全管理措置を講じなければならないことや、関係業務に従事する職員等の守秘義務についても規定をいたしておりまして、守秘義務に違反した場合の罰則につきましては、国家公務員法の守秘義務規定の違反よりも重い罰則を定めることといたしております。  さらに、協定に基づき取得した通信情報やインシデント報告等を分析した情報を政府からほかの企業等に提供する際には、営業秘密に該当する情報を削除するなど、事業者の権利利益に十分配慮をいたしてまいります。  今般の法制と日米ガイドラインの関係についてでございますが、サイバーセキュリティーは日米同盟の基盤の一つでございますが、サイバー対処能力強化法案及び整備法案は、国家安全保障戦略を踏まえ、我が国全体のサイバーセキュリティーの強化を目的として我が国として主体的に判断して整備するものであり、日米ガイドラインを具体化したものではなく、日米軍事一体化に民間企業、従業員を動員するものではございません。  また、サイバー対処能力強化法案の規定により、政府が取得した通信情報を外国政府又は国際機関に提供することができるのは、我が国に対する一定の重大なサイバー攻撃による被害を防止する目的の達成のために必要があると認めるときに限定されており、その必要性を、その都度、主体的に判断をいたしてまいります。  アクセス・無害化措置といわゆるサイバー攻撃との関係等についてのお尋ねです。  アクセス・無害化措置は、警察庁長官等の指揮により、比例原則に基づき、目的を達成するために必要最小限度の措置として行われるものであり、措置の対象となるサーバー等に、物理的被害や機能喪失等、その本来の機能に大きな影響が生じることは想定いたしておりません。そのため、御指摘のような、措置の対象となる機器を使用できなくするといったサイバー攻撃には当たらないものでございます。  アクセス・無害化措置は、刑事責任の追及に結びつく作用を有するものではなく、重大な危害の防止という極めて公益性の高い目的の下で実施するものであり、制約される権利の程度は合理的かつ必要な最小限度にとどまることなどから、過去の判例に照らしましても、裁判所の令状は要しないと考えられます。  加えて、適正手続の観点から、アクセス・無害化措置を講じるに当たり、サイバー通信情報監理委員会の事前承認等を得ることといたしており、令状主義の形骸化といった御指摘は当たりません。  アクセス・無害化措置と国際法との関係についてでございますが、国や重要インフラ等に対する安全保障上の懸念を生じさせる重大なサイバー攻撃のおそれがある場合や、そのような重大なサイバー攻撃が発生した場合に、我が国がその攻撃元となっている国外に所在するサーバー等に対して必要な措置を取りますことは、国際法上も一定の状況において許容されているものと認識しております。  個別のアクセス・無害化措置に関する国際法上の評価については、それぞれの具体的な状況に応じて判断されるため、一概にお答えすることは困難でございますが、このような措置につきましては、そもそも国際法上禁止されていない合法的な行為に当たる場合や、仮にサーバー所在国の領域主権の侵害に当たり得るとしても、その違法性を阻却できるような場合があり、こうした点に関し、国連憲章全体を含む既存の国際法がサイバー行動にも適用されることは、国連における議論を通じて確認されておるところでございます。  我が国が国外に所在するサーバー等に対して誤った措置を行った場合の対応につきましても、それぞれの具体的な状況に応じて判断する必要があり、一概にお答えすることは困難ですが、アクセス・無害化措置を国際法上許容される範囲内で行うのは当然のことでございます。これを確保する観点から、措置の実施主体は、警察庁長官又は防衛大臣を通じて、あらかじめ外務大臣と協議しなければならないことといたしております。  アクセス・無害化措置が違法な先制攻撃とみなされる危険性等についてでございますが、今回整備するアクセス・無害化措置は、そもそも、国連憲章や日本国憲法第九条に規定する武力の行使と評価されるものではなく、違法な先制攻撃とみなされるようなものではありません。  今回のアクセス・無害化措置は、公共の秩序の維持の観点から、警察権の範囲内で、攻撃サーバー等にアクセスして不正プログラムを無害化する措置等を想定しております。措置の対象となるサーバー等に、物理的被害や機能喪失等、その本来の機能に大きな影響を生じさせることは想定をいたしておりません。また、外国に所在する攻撃サーバー等の無害化措置を行います際にも、そもそも国際法上禁止されていない合法的な行為に当たる場合や、仮にサーバー所在国の領域主権の侵害に当たり得るとしても、その違法性を阻却できるような措置に限って実施することとなります。  その上で、国際法上許容される範囲で措置を行うことを確保するため、措置の実施主体が、あらかじめ外務大臣との協議を行うことといたしております。措置の適法性を確保する観点から、警察庁長官等の指揮を受けるとともに、原則としてサイバー通信情報監理委員会の承認を受けることともいたしております。  このような制度的仕組みを総合的に踏まえれば、自衛隊がアクセス・無害化措置を実施しても、事態のエスカレーションを招くようなものではなく、日本の側から戦端を開くことになるなどといった御指摘は当たらないと考えております。  また、我が国に所在する米軍が使用する特定電子計算機の平素からの警護につきましては、要請の判断主体は米軍でございますが、当該要請に基づく自衛隊による警護の実施に当たりましては、国際情勢や米軍の状況等を踏まえ、防衛大臣がその必要を判断するものであり、アクセス・無害化措置に当たっても防衛大臣の指揮を受けることになるため、日本が米軍の指揮下に入るといった御指摘は当たりません。  以上でございます。(拍手)

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