○内閣総理大臣(石破茂君) 梅村聡議員の御質問にお答え申し上げます。
年金の財政検証についてのお尋ねをいただきました。
今回の年金の財政検証の経済前提について、前回の六ケースから四ケースといたしましたのは、ケースの意味を分かりやすく明確にした上で簡素化すべきとの専門家の御意見に基づくものであり、ケース数は減少しているものの、将来の経済状況については前回より幅広いものといたしております。
この前提は、実績に基づきながら専門家による検討を経て設定されており、財政検証における見込みを直近の実績と比較をいたしますと、例えば、出生率は実績が見込みを下回っている一方、女性の就業率はおおむね見込みと同水準であり、外国人の入国超過の実績は高位の見込みに近い水準となっておりますが、恣意的に設定したものでは決してなく、財政検証実施時における設定としては適切であると考えております。
財政検証は、五年ごとに最新の実績を反映しつつ、専門家による検討を経て実施する仕組みであり、引き続き常に実績を把握し、適切な前提を立てながら実施していくことが必要であると考えております。
マクロ経済スライドの早期終了についてであります。
基礎年金のマクロ経済スライドを早期に終了させる措置につきましては、全国民共通の基礎年金について、将来にわたって一定の給付水準を確保する重要性がある一方で、保険料、拠出金、積立金の関係の分かりづらさから賛成、慎重両方の御意見があり、社会保障の専門家の間でも意見が分かれていたところでございます。
今回の年金改正法案の前提として行われた財政検証の結果、年金財政は前回改正時よりも好転が見込まれる状況にあり、この措置は、今後も経済が好調であれば発動の必要性がないものであるとともに、二〇二九年に行われる次の財政検証の結果により適切に検討し必要な対応を講ずることなどから、具体的な仕組みにつきましては今回の法案に規定しないこととしたものでございます。
生活保護と年金制度についてのお尋ねです。
年金は老後生活の柱の一つであり、給付と負担のバランスを保ちつつ、年金の給付水準を保つことは重要な課題と考えております。年金の給付水準は今後の経済状況によって変わり得るものであり、政府として、賃上げと投資が牽引する成長型経済を目指して、将来の給付水準の向上につなげてまいります。
生活保護になる理由は様々であり、必ずしも低年金だけが理由となるものではありませんが、生活が困窮するリスクを減らす取組は重要と考えており、将来の年金給付につながる被用者保険の適用拡大のほか、低所得の年金受給者に対する年金生活者支援給付金の支給、生活困窮者に就労支援や家計改善などきめ細かい相談支援を行う生活困窮者自立支援制度など、低年金の高齢者の方々に対する社会保障全体での総合的な対応に引き続き取り組んでまいります。
年金の支給開始年齢の引上げについてのお尋ねです。
年金の支給開始年齢につきましては、過去の改正で、定年退職年齢の引上げと併せて、六十五歳に引き上げることを決定し、これを進めてまいりました。
その後、平成十六年の年金制度改正により、現在の年金制度は、保険料の上限を固定しつつ、その範囲内で給付水準を調整するマクロ経済スライドを導入いたしました結果、六十五歳の支給開始年齢を維持した場合であっても、年金財政の長期的なバランスが取れる仕組みとなっているところでございます。このため、今回の年金制度改正でも、年金の支給開始年齢の引上げを行うべき、このような議論にはなっていないと承知をいたしております。
第三号被保険者制度についてのお尋ねをいただきました。
第三号被保険者につきましては、いわゆる専業主婦の方々のみならず、病気や育児、介護などの理由で働けない方々など、様々な属性の方が混在する中で、今般の年金制度改正では、将来的な見直しの方向性について意見がまとまらなかったところでございます。
引き続き、被用者保険の適用拡大を進めることで第三号被保険者の対象者を縮小していくことを基本といたしました上で、今後、第三号被保険者の実態も精緻に分析しながら、制度に関する様々な論点や国会での御指摘も踏まえ、議論を進めてまいります。
国民年金保険料の免除、納付猶予制度の現状及び対応についてのお尋ねをいただきました。
我が国の公的年金制度では、世帯の所得が少ないなどの理由で保険料の納付が困難な方には、保険料の免除や猶予の制度を用意し、全ての方が年金制度に加入し続けられるようにすることで、国民皆年金を実現しております。保険料納付者以外ではこうした保険料免除や猶予を利用されている方が多く、これらを第一号被保険者の約六%である未納者と合計して、半数が保険料を納めていない、このように評価することは適当ではないと考えております。
その上で、年金受給権を確保する観点から、国民年金保険料が未納等の方の収納対策として、日本年金機構において、制度の周知や納付勧奨、定められた期間内での追納の勧奨を進めております。
お一人でも多くの方に国民年金保険料を納めていただくことは、制度の信頼性確保はもちろんのこと、御本人の生活保障の観点からも重要であると考えております。様々な理由から低所得、低年金となってしまわれた方に対しましては、年金生活者支援給付金の支給も進めております。
iDeCoの拠出限度額についてでございます。
iDeCoの拠出限度額につきましては、令和七年度の税制改正において、自営業の方などの拠出限度額を現行の月額六・八万円から七・五万円に引き上げる、会社員の方などの拠出限度額を現行の月額二万円又は二・三万円から六・二万円に引き上げるといった方針が決定されました。
これらは賃金上昇や利用実態等に照らして設定されたものであり、まずは、法案と併せて速やかな実現を目指すことといたしております。今後につきましては、これを踏まえまして、引き続き議論をいたしてまいります。
被用者保険の適用拡大についてのお尋ねです。
いわゆる百六万円の壁と呼ばれる短時間労働者の賃金要件の撤廃など、今回の法案により、最終的に二百万人が被用者保険に適用されると見込んでおります。今後は、週二十時間以上という分かりやすい要件の下、より希望に応じた働き方が実現できる環境の整備に資するものと考えております。
適用拡大による経済への影響について、定量的な評価は一概には申し上げられませんが、使用者に保険料負担が発生する一方で、事業主に対しましては助成金等による支援を講ずるほか、厳しい人手不足の中、事業主にとりましても、労働者への年金給付等が手厚くなることで、人材確保、定着につながるというメリットがあるものと考えております。
在職老齢年金制度の見直しについてであります。
在職老齢年金制度は、納めていただいた保険料に応じた給付を行うことが原則である社会保険制度においては、例外的な仕組みでございます。この仕組みは、高所得者であっても高齢者の就業意欲を阻害するといった御指摘もありましたことなどから、今回の法案では、現役世代の収入水準や高齢者の就労実態等に照らして、年金の減額を行う基準を五十万円から六十二万円に緩和する見直しを行うことといたしております。
今後の在職老齢年金制度の在り方につきましては、今回の改正の結果なども踏まえまして、引き続き議論をいたしてまいります。
保険料負担の在り方についてでございます。
保険料賦課は総報酬制であり、基本的には月収と賞与に等しく賦課するのが原則ですが、それぞれに賦課上限が求められていることにより、同じ年収でも保険料負担が異なるという状況が起こり得ることは承知をいたしております。
総報酬制の下、より公平な保険料の賦課に取り組むことは重要であり、今回の改正法案におきまして、厚生年金における標準報酬月額の上限を七十五万円まで段階的に引き上げることとしておりますことは、このような差を一定程度縮小することに寄与するものと考えております。
社会保障国民会議の設置と年金制度の抜本改革の必要性についてのお尋ねです。
我が国の年金制度は、本人と事業主が保険料を拠出する社会保険方式を基本としております。仮に、この仕組みを今から税方式に変えました場合、これまで払ってきた保険料負担に応じた給付が得られなくなることについて御理解が得られるか、給付を支えるために新たに多額の税財源が必要になることについて御理解が得られるかなどの課題があり、社会保険を税方式に変更することは、困難な課題を伴うものと考えております。
社会保障全体に関しましては、内閣総理大臣を本部長とする全世代型社会保障構築本部の下に設置しております全世代型社会保障構築会議におきまして、引き続き給付と負担のバランスを確保しつつ、若年期、壮中年期及び高齢期の全ての世代で安心できる全世代型社会保障制度の構築に取り組んでまいります。
以上でございます。(拍手)
〔議長退席、副議長着席〕
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API / MCP 利用
国立国会図書館 国会会議録 API を構造化
REST: /v1/diet/speeches/search?speaker=石破茂
MCP: search_diet_speeches(speaker="石破茂")