○浜地雅一君 公明党の浜地雅一です。
会派を代表し、年金制度改正法案について、総理及び厚生労働大臣に質問をいたします。(拍手)
年金制度の大きな転換を図ったのが、平成十六年の年金改革でありました。当時、公明党の坂口力厚労大臣の下で、改革前は、まず年金の給付水準を設定し、その給付水準に必要な保険料負担を現役世代に求める制度であったものから、改革後は、保険料負担の上限を設定をし、その財源の範囲内で給付水準を調整する制度となりました。
仮に平成十六年改正を行わなかった場合、厚生年金は給与の二五・九%、国民年金は月二万九千五百円まで保険料が上昇するとの予測でありましたが、改革により、厚生年金で現在は一八・三%、国民年金は平成十六年価格で月一万七千円と上限を固定し、保険料がどこまで上がってしまうのかとの現役世代の負担面での不安を払拭し、給付面では、財源の範囲内で給付水準を賄うマクロ経済スライドを導入することで、少子高齢化が進んでも制度の持続可能性が図られることになりました。さらに、年金財政の健全性の一つの目安として、所得代替率が五〇%を下回らないような運用を目指すことになったわけであります。
もっとも、少子高齢化は当時の予測を上回るスピードで進み、また、長期に及んだデフレ経済下で、マクロ経済スライドも十分には発動されない状況が続きました。こういった背景もあり、被用者保険の適用拡大など数度の制度改正を経ながら、今日まで運用がなされてきましたが、二〇二四年の年金財政検証では成長率をゼロと仮定した過去三十年投影ケースでも所得代替率は五〇・四%と、前回二〇一九年の四四・五%を上回る結果が出ております。
そこで、まず総理に、平成十六年から累次にわたり行ってきました年金制度改革の総括的な評価と、今回の改正案に盛り込まれた内容が施行された場合、所得代替率はどの程度改善するのか、答弁を求めます。
次に、年金財政検証に用いる社会経済状況に関する前提数値の妥当性について質問します。
特に出生率は、二〇七〇年中位で一・三六と設定されていますが、現状は一・二程度です。また、実質賃金上昇率も、過去三十年投影ケースでも〇・五%に設定されるなど、現在の数字と比較しても楽観的な数値を前提としているように感じますが、この社会経済状況の前提数値は合理的なものと言えるのか、厚労大臣の答弁をお願いいたします。
また、所得代替率は夫婦片働きの世帯をモデルにしておりますが、女性の社会進出が進み、単身世帯も増加した現在において、男女別の被保険者一人一人の年金水準についてはどのような傾向にあるのか、厚労大臣に併せて答弁を求めます。
今回の改正では、被用者保険の適用拡大が段階的に図られ、二〇三五年には、原則、週二十時間以上働く方は社会保険へ加入することとなります。就業調整を減らすための支援策の一つとして、厚生年金保険料及び健康保険料共に事業主の判断で労使折半を超えて事業主が負担できる仕組みを導入し、労働者側の負担を軽減することが可能となります。事業主が労使折半を超えて負担した社会保険料については全額事業主に還付されるよう、公明党としても求めてまいりましたが、還付の財源が社会保障財源であることから、その影響を懸念する声も党内でありました。
そこで、労使折半を超える事業主負担を全額還付することによる厚生年金財政及び健康保険財政に与える影響をどのように考えるのか、また、事業主側への支援として、百六万円の壁支援パッケージを百三十万円の壁にも対応できるよう支援メニューを拡充するとの国会答弁がありましたが、支援メニューの具体的な内容と施行時期について、いずれも厚労大臣の答弁を求めます。
そもそも、就業調整が生じる大きな原因が、社会保険料を納めなくても給付が受けられる三号被保険者の存在であります。専業主婦の方が多かった時代には適した制度と言えましたが、女性の就業率が上昇するなど、現状は大きく変化しております。三号被保険者の在り方について、総理はどのようにお考えか、お聞かせください。
次に、年金の給付水準の引上げについて質問をいたします。
公明党は、かねてより、年金給付水準の引上げを公約として掲げており、当初政府案として検討されておりました、経済状況が好転しない場合には厚生年金の積立金を基礎年金の給付に活用し、基礎年金の給付水準を引き上げる案に一定の理解を示しておりました。今回、厚生年金の積立金を活用しての基礎年金の引上げ案が本改正案では見送られた理由について、総理にお伺いいたします。
一方、厚生年金のマクロ経済スライドを二〇二八年度に終了させずに、次期財政検証の翌年である二〇三〇年度まで延長することが附則に盛り込まれました。次期財政検証以降、経済状況を勘案しながら基礎年金の引上げを行うためのオプションを残したものと私は評価をしております。現在の厚生年金受給者に不利にならないように配慮しながら、厚生年金のマクロ経済スライドを二〇三〇年度まで延長する意義について、総理の答弁を求めます。
年金水準の引上げの方法としては、厚生年金の積立金の活用以外にも、例えば、基礎年金の拠出期間の延長、また、米国のベンドポイント方式のような、高額受給者の年金額を低額の受給者に配分し、厚生年金の中で所得再分配機能をより一層利かせることも一案と思料します。
いずれにせよ、就職氷河期を始め低年金となる受給者の方々の年金給付水準を引き上げることは政権の責務であります。総理は年金給付水準の引上げの必要についてどのようにお考えか、答弁を求めます。
今回の改正で在職老齢年金の支給停止基準額が五十万円から六十二万円に引上げとなり、働く意欲のある高齢者からは歓迎の声が寄せられていますが、そもそも在老の存在自体への疑問も聞くところです。確かに、在老を完全撤廃すると、将来の所得代替率にマイナス〇・五%の影響があるため、即時撤廃は困難かと思いますが、厚生年金のマクロ経済スライドの期間が終了すると、所得代替率の低下は生じなくなるため、調整期間の終了とともに在職老齢年金の制度は廃止すべきと考えます。総理はどのようにお考えになるか、答弁を求めます。
現在の遺族厚生年金は、夫は妻が亡くなっても六十歳未満であれば支給されないなど、男女で差異があります。女性の就業率の上昇等を受け、遺族厚生年金の男女の区別をなくし、かつ、原則五年間の有期給付とすることは、社会の変化に対応するものとして理解します。しかし、女性の就業率が上昇したとはいえ、実際にはいまだ男女の賃金格差は存在しますし、男女問わず障害等で就労が困難な方にとっては、遺族年金は重要な生活の支えであります。
そこで、五年の有期給付経過後も就労困難など一定の場合には給付の継続が必要であるとの公明党の意見も受け、配慮が必要な方には六十五歳到達まで遺族厚生年金の給付を継続する旨が法案に盛り込まれたところであります。
この配慮が必要な一定の場合とは、具体的にどのような要件を検討しているのか、最後に厚労大臣の答弁を求め、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣石破茂君登壇〕
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