○守島委員 発想の転換の話はちょっと後でしようと思っているんですが、そもそも、買収から投資になったという話に関して、日鉄、USスチール、両社寝耳に水という話も伺っておりますので、それが今完全にそういう状況になったかというのは後で確認したいと思います。
まず、話を整理させていただきますと、元々、今回の話は、米クリーブランド・クリフス社がUSスチールの買収提案を二〇二三年に行ったものの、USスチール側に却下されたことから始まっておりまして、経営不振にあったUSスチールが、その後、広く売却入札を求める中で、日本製鉄の買収提案が最終的に選ばれたというのが流れであって、あくまでこれはUSスチール側の要望に応えてきたという経緯があるということは皆さんに御認識いただきたいというふうに思っています。
ここにパネルを出させていただきましたが、このように、世界の粗鋼生産ランキングは、今、中国勢が上位を大きく占めておりまして、その結果、中国産の安価な鉄が市中に回り、価格抑制の圧力となっています。
日鉄がUSスチールを完全子会社化すると、この日本製鉄の粗鋼生産ランキングが上がるとともに、日鉄の最先端技術がUSスチールにも伝わって、付加価値の高い鉄の生産が可能となることで、米国内での高品質の鉄が供給できるなど、アメリカにとっても大きなメリットを生むことが予想されていました。
ちなみに、私が所属した二十年前の新日鉄と今の日本製鉄というのは大きく印象が異なっておりまして、当時は、鉄は国家なり的な思想も残っていまして、国内インフラメーカーとしてのプライドが高く、意思決定も遅い経営、そして現場も取りあえず生産量にこだわるというような、いかにも元官製企業という雰囲気でしたので、大国を代表するインフラ企業を買収するという思想は、僕がいた当時はなかったように感じていますが、今の橋本英二会長が社長になって以降、合理的に企業利益を求め、グローバルマーケットへ視野を広げる、全く別の組織体となったと、古巣を見ながらそういうふうに感じています。
そういう点においても、日本の最も老舗である鉄鋼メーカーがアメリカの老舗である鉄鋼メーカーを買収するというのは、世間の重厚長大メーカーからすると、非常にインパクトが大きい、抜本的なイメージを変えるような買収提案だったというふうに思っています。
それと同時に、昔の鉄鋼マンのマインドも、私、一定分かるので、逆に、アメリカの方々が、単なる鉄鋼メーカーじゃなくてUSスチールだから他国の企業に買収されるのが嫌だと、そういう精神的な気持ちも理解するところではあります。
とはいえ、世界の市場ってどんどん変わってきています。この鉄鋼メーカーの粗鋼生産ランキングにおいて、今二位に位置するアルセロール・ミッタル、この会社ですが、これは元をたどれば、ミッタル・スチールというインドの小さな電炉メーカーで、一九九〇年ぐらいから海外の鉄鋼会社を買収して事業再生し、どんどん大きくなって、粗鋼生産が世界一位となるまで上り詰めたメーカーで、その後、二〇〇六年、粗鋼生産二位のアルセロール、ヨーロッパの会社を買収し、現在のアルセロール・ミッタルとなっています。もちろん、このときも、ヨーロッパの政財界やアルセロールの経営陣は反発が大きかったので、買収困難と見られていたんですが、ミッタルは、個人株主の支持を得て、結果的にこのビッグディールを成功させ、世界ナンバーワンの企業をつくり上げました。
その後、中国メーカーの台頭があって今に至りますが、何が言いたいかといいますと、世界の鉄鋼業界はこの二十年で大きく様変わりしておりまして、国を越えたMアンドAは当たり前になっているんですね。こうした環境下において、日本製鉄によるUSスチールの買収は、外国企業による米国の事業買収を国家安全保障の観点から審査する対米外国投資委員会、通称CFIUSにおいて、CFIUS内で意見がまとまらなかったとして、その審査の詳細を明らかにせず、昨年十二月に取引認否の判断をバイデン前大統領に付託し、今年になり取引禁止令が出されました。
国を越えたMAが一般になった時代において、ましてや幅広い分野で経済安保上の協力を進めている両国間において、鉄鋼の分野だけ連携できないという判断はあり得ず、これは不当な政治介入だと思っておりますが、このCFIUSやバイデン前大統領が行った判断に対する見解を、総理、お答えください。
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