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大門実紀史 ·日本共産党

参議院財政金融委員会(2025-03-25)での発言

第217回国会 ·第第4号号 ·3,456字
○大門実紀史君 アメリカの話ですね。実はこれ、インフレ抑制法の中の一部なんですけど、インフレを抑えるとか、あるいはバイデン政権の社会保障に財源が必要ということもあるんですけれど、実はもっともっと大きな問題、少しだけ触れられましたけど、があるんですね、根底にあるんですね。  バイデンさんに自社株買いに対する課税を決断させたのが、今日、理事会で掲示を許可いただきましたが、このウィリアム・ラゾニックさん、マサチューセッツ大学の今名誉教授の方ですね。(資料提示)このウィリアム・ラゾニックさんの論に基づいてバイデンさんは課税を決断したということなんですね。  この本は去年の十月にやっと刊行されたんですけれど、今ベストセラーになっておりますが、日本の経営にも、日本のこの経済の在り方にも大変示唆に富んでおりますので、もし興味のある方、西田先生なんかは共感されると思いますけど、非常に大事な指摘がされている本でございます。  かいつまんで申し上げますと、このウィリアム・ラゾニックさんは、これはタイトルが「略奪される企業価値」、「略奪される企業価値」です。原題は略奪的価値抽出、価値を抽出する、取り出す、略奪的に取り出すと。プレダトリー・バリュー・エクストラクションですかね。このラゾニックさんは何を言っているかなんですけど、この方は二〇一四年にマッキンゼー賞を、マッキンゼー賞を受賞された論文がありまして、繁栄なき利益というのがあって、当時本にはならなかったんですね、日本で和訳の要約が紹介されて読んだ記憶があるんですけれど。  もう結論を申し上げますと、ちょうど、言っておきますと、そのとき二〇一四年というのはこの委員会でもいろんな方が取り上げましたが、トマ・ピケティの「二十一世紀の資本」が話題になったときなんですね。つまり、格差を是正しなきゃいけないと、資本主義おかしくなっているぞという議論があったときに、同じ年にこのラゾニックさんがマッキンゼー賞を受賞したんですね。そのときの論文が更に発展してこの本になったということなんですね。  ラゾニックさんの論文とピケティの「二十一世紀の資本」が共通しているのは、資本主義とか経済とか企業経営がもうおかしくなっているんじゃないのと、こんなに格差を広げたりですね、ということが共通の認識だったんですかね。ピケティの方はこの格差の問題をずっと取り上げたんですね。このラゾニックさんは、企業経営の在り方から資本主義のおかしさ、アメリカ経済のおかしさを指摘されたということで、共通の認識で、おかしくなっているということですね。  言いたいことは結局こういうことなんですね。略奪される企業価値というのは、企業が本来持っている将来性とか、その企業価値そのものですよね、もっと発展する可能性とか技術とか人材とか、そういうものを株主が奪っていると、お金として奪っていると、本来そういう人材投資、設備投資にしなきゃいけないものを株主が利益を奪っていると、だから会社がおかしくなっていると、経済がおかしくなっているということを主張されているわけでございまして、目先の利益だけ追いかけていると企業はもう駄目だよと、経済も駄目になっているよ、なってくるよというような、そういうことを指摘されているんですね。そのラゾニックさんは、企業経営ですから、さっき言った内部留保の在り方とか、企業の利益をどこに投資すべきかということを問題視されているわけでございます。  ちなみに、ラゾニックさんというのは別にマルクス経済学者ではありません。シュンペーターの流れをくむ方でございまして、シュンペーターというとよく竹中平蔵さんを思い出しますけど、創造的破壊と言って、シュンペーターの言葉を使って構造改革やるんだとおっしゃっていましたけれど、もう真逆ですね。このラゾニックさんは、その創造的破壊、今のこの竹中構造改革なんかは創造的破壊どころか、もう企業価値を破壊していると多分指摘されると思うんですね。ああいう言葉だけ躍りましたけれど、実は創造的破壊というのはそういう意味じゃなかったと、本当に破壊すべきは違うものだったということも指摘されていて、経済同友会にラゾニックさん呼ばれて講演されたことがあって、ちょっと読んだことございますけど、そういう方でございます。  その最大の、それから、二〇一四年ですから、十年たってこの本を出されたんですね。その意味は、今その流れでいくと、一番指摘しなきゃいけないのはこの自社株買いだと、これがアメリカをおかしくしているということで出されたんですね。  それをバイデンさんが二〇一六年に見て、何でしたかね、あれはアメリカの雑誌ですね、何だったかな、ウォール・ストリート・ジャーナルですね。エコノミスト、ウォール・ストリート・ジャーナルを見て、ああ、ごめんなさい、ウォール・ストリート、これを見て、ラゾニックさんの論文を知って、ウォール・ストリート・ジャーナルにバイデンさんが自社株は問題だというのを副大統領のときに指摘されたんですね。で、大統領になって、自分でこれに課税をしたと、そういう流れになります。  つまり、自社株買いというのは、単に株価をつり上げただけではなくて、企業が持っている価値、将来性を株主が奪い取っているという指摘をされていたわけでございますけれども、これは別に加藤さん、これをお読みになったということはない、ないですね。別に、今出たばっかりですので、是非、これから読んでもらえると思いますね。自社株買いの問題点ちょっと整理してみますと、今もちょっと申し上げましたけれども、要するに、自社株買いをやると株主還元が一番になります。すると、利益の抜き出し、本来投資すべきものを株主に与えることになります。これが企業経営をおかしくして、本来発展すべきいろんな要素を剥ぎ取ってしまうということですね。  これは、大手企業経営者にとっていいますと、本来本業で利益を上げることに頑張らなきゃいけないんですけれども、安易なんですよね。内部留保で持っているお金を、負の、負債ですよね、負債を活用してもうけようというのは安易なんですよね。そういう安易な方に経営者も流れて、本業で頑張るということがおろそかになってきているということですね。したがって、特に大企業の経営者はもう保守的な考え方になって、本業でチャレンジしてというよりも、こういうお金を回して稼ごうというふうになっているということが、おかしくなっているということですね。  経営の視点も非常に短期化してしまうという、取りあえず今期幾ら稼ぐかということになってしまって長期的な経営ができなくなっているというようなことを含めて、全体として、先ほど言われた生産拠点を海外に移すのも、取りあえずの利益を目指してやるとか、企業を切り売りするとか、そういうことばっかりになったんで、もうこの自社株買いがその最たるものだということで指摘をされているわけでございます。  もう一つは、これちょっと私の方でちょっと調べて、途中ではあるんですけれど、よく物言う株主、物言う株主の圧力で株価中心の経営と言いますけど、今やそうじゃないんですよね。経営者そのものが、大企業の経営者そのものがこの自社株買い、買った後、自分たちが取得するわけですね。そうすると、経営者も、自分の会社の将来をどうするかというよりも、自分がもうかりますから、自社株買いをもっとやろうと、株価上がれば自分はもうかるからと。自社株、買った自社株を自分たちが取得することによって自分がもうかるんで、大企業の経営者自身も、その本業での長期的な発展というよりも自社株買いに走るようになるということを指摘されているんですが、まさに今、日本でそれが起きているんではないかというふうに思うわけでございます。  そういう点で、その自社株買いというのは、うちの小池議員の質問のときですかね、いろいろ、自社株買いはいろいろあるんだというようなことをおっしゃいましたけど、実はかなり深刻な問題を自社株買いというのは表していて、このままでいいのかということの表れになっているというふうに思うんですけれども、これ、本当に加藤大臣の政治家としてのお考えでいいんですけど、こういう自社株買いにまで表れているこの経営のゆがみ、これについてはいかが思われますか。

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