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石破茂 ·自由民主党・無所属の会 ·内閣総理大臣

参議院本会議(2025-01-29)での発言

第217回国会 ·第第3号号 ·5,439字
○内閣総理大臣(石破茂君) 比嘉奈津美議員の御質問を非常に感銘深く拝聴させていただきました。ありがとうございます。  私、昨日、沖縄関係のある会合に参加をさせていただいて、スピーチをする機会がございました。  今年は戦後八十年ということでございますが、昭和二十年の六月六日であったかと思います。大田實海軍司令官、中将が自決の前に海軍次官宛てに電報を打ったと。沖縄県民かく戦えり、後世格別の御高配あらんことと。そのことを私どもは片時たりとも忘れてはならないと思って、その思いで御質問を拝聴したところでございました。  有人国境離島の振興、住民保護の強化についてお尋ねを頂戴いたしました。  有人国境離島におきます住民の皆様方の継続的な居住を確保することは、御指摘のとおり、我が国の領土保全の観点から極めて重要であります。有人国境離島法に基づきまして、産業の振興、航路、航空路運賃の低廉化などの施策を講じておるところでございます。  住民保護の体制強化につきましては、全国で国と地方公共団体の共同訓練を実施しており、特に沖縄県では、国、県、先島五市町村等が連携をし、先島諸島からの避難に係る訓練を実施するとともに、武力攻撃を想定したシェルターの整備に向けた取組を進めておるところでございます。  今後とも、有人国境離島の振興と住民保護に的確に取り組んでまいります。  食料、エネルギー戦略についてでございますが、これらの自給率が低い現状では、食料、エネルギー自給力が低い現状では、外的な事象に国民生活が大きく影響を受けてしまうと、このような懸念がございます。より自立した形で国民生活を守ることができますよう戦略的な国家運営が必要であり、食料につきましては、自給率や自給力などの観点から、我が国の食料安全保障を確保しつつ、農林水産業をもうかる産業とするため、ブランド化による徹底的な高付加価値化、スマート農林水産技術による生産性の向上、世界市場に向けた輸出の促進、海業の全国展開に取り組んでまいります。  エネルギーにつきましては、電力需要増加が見込まれる中、エネルギーの安定供給、経済成長、脱炭素を同時に実現をし、エネルギー自給率を高めることが重要であります。脱炭素電源を目指して、工場やデータセンターの進出が進み、新たな地域の活力につながる動きも始まりつつあります。今後も、エネルギー政策と産業政策を一体的に捉え、GXの取組を前進させてまいります。  インバウンドの地方誘客についてでございますが、全国津々浦々にその恩恵を行き渡らせるため、大阪・関西万博の機会の活用、地方の十四のモデル観光地への重点的支援、地域の歴史文化、自然、食、伝統産業などを生かした体験コンテンツの造成支援を行い、地域の持つ潜在力を生かした地方誘客の促進に取り組みますとともに、公共交通などの混雑対策、マナー違反抑制への支援など、オーバーツーリズムの未然防止、抑制に取り組んでまいります。  比嘉議員御指摘の趣旨を踏まえながら、インバウンド増加による国際観光旅客税収も有効に活用いたしまして、観光客の受入れ、住民の方々の生活の質の確保、この両立を図らなければならない、このように考えております。  政府関係機関の地方移転の今後の展開についてでございます。  地方創生二・〇では、令和の日本列島改造として、産官学の地方移転と創生を強力に推進してまいります。御指摘のように、官が一歩前に出ることといたしまして、防災庁など政府関係機関の地方移転、国内最適立地を推進いたします。  御指摘のとおり、ハード面やソフト面の双方からこれまでの取組を検証し、地方からの御提案を改めて募り、日本全体にとって望ましい効果を生み出すのはどこかと、このような視点を踏まえまして順次結論を出してまいります。  前回の地方創生一・〇というのがスタートしたのが十年前のことでございます。この本会議場に集っておられます議員の方々、御記憶の方々もあろうかと思いますが、その頃は議員ではなかったという方もおられることかもしれません。そのときには、全国四十七都道府県それぞれの都道府県において、どのような機関を誘致するのがその地域のためのみならず日本全体のためなのかという御提案を承ってまいりました。  今回、もう一度それをお願いしたいと思っております。その地域のみならず、その機関がその地域に来ることが日本全体の発展につながるということ、それを実行していきたいというふうに考えておりますので、是非ともよろしくお願いを申し上げます。  中小企業の価格転嫁についてでございますが、賃上げができますよう、多くの中小企業に利益を上げていただきますためには、取引の上流から下流まで適切な価格転嫁を実現することが極めて重要であります。  比嘉議員の御指摘を踏まえまして、下請法の改正法案を今国会に提出をし、コストの変動を無視し、協議にも応じない一方的な価格決定は禁止をいたしてまいります。また、期中でも柔軟な価格変更を働きかけるべく、下請振興法の振興基準に基づきまして事業者に指導、助言を行うなど、取引を適正化いたしてまいります。  先日、私から関係大臣に対しまして、価格転嫁を阻害する商慣習の一掃に向けて取り組むよう指示をいたしました。下請法違反がないか業界ごとに自主点検を行い、違反があった場合には不利益の補償が行われる方策を考えていかねばなりません。サプライチェーンの頂点となります企業や業界に対しましては、直接の取引先の更に先まで価格転嫁が可能になるような価格決定、それが隅々まで伝わる情報発信、これを行ってもらわねばなりません。労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針、この遵守が徹底されることも必要でございます。これらにつきまして、関係省庁一丸となって取り組んでまいります。  歯科等での公定価格の見直しについてでございますが、医療・介護分野におきまして、経済・物価動向などへの適切な配慮が必要との委員の問題認識は共有をいたしております。  先般の補正予算におきまして、重点支援地方交付金の積み増しや更なる賃上げなどに向けた支援を盛り込んでおりますほか、歯科分野におきましては、価格変動が大きい歯科用貴金属につきまして、三か月ごとに公定価格の見直しを行っておるところでございます。  現下の経済・物価情勢を踏まえた医療分野の公定価格の在り方につきましては、令和八年度診療報酬改定に向け、今回の診療報酬改定などの状況、施設の運営実態など把握いたしました上で、今後、中央社会保険医療協議会におきまして議論を進めてまいります。  国民皆歯科健診についてのお尋ねをいただいております。  歯と口腔の健康を保つことは、口腔内への影響だけではなく、全身の健康にもつながるものと、このように認識をいたしておるところであります。このため、生涯を通じて定期的に歯科健診を受けていただくための環境を整えていくことは重要であると考えております。  このため、歯科健診の機会の拡大や受診率向上の観点から、令和六年度補正予算及び令和七年度予算案に効果的な歯科健診の方法を検証する事業などを盛り込んでおります。比嘉議員の御指摘も踏まえまして、こうした取組を進め、生涯を通じた歯科健診の実現に向け、引き続き取り組んでまいります。  こども未来戦略の加速化プランにおきまして、三・六兆円という前例のない規模で安定的な財源を確保しながら、高等教育費の負担軽減も含め、子ども・子育て支援を強化したところであります。こうした拡充を着実に実施に移してまいります。  歯科健診、歯科保健指導などの推進を図りますとともに、乳幼児の歯科健診などの機会を活用し、こども家庭センターとの連携により、子供の健康状態や虐待のおそれなどを把握して、必要な支援が行われますよう努めてまいります。  災害からの復旧復興、防災庁についてでございますが、世界有数の災害発生国であります我が国は、これまで数々の大規模災害を経験をいたしてまいりました。そのたびに、大きな被害を受けながらも、貴重な教訓を得て、災害対応や復旧復興の取組を改善をいたしてまいりました。このような経験、知見は確実に継承し、次なる災害への対応に生かしていかねばなりません。  令和八年度中の設置を目指しております防災庁は、事前防災、発災時の対処、復旧復興という一連の災害対策の司令塔とすることを想定いたしております。専任の大臣を置き、十分な数のエキスパートをそろえる予定でありまして、様々な災害の経験、知見を着実に蓄積、継承し、新たな災害への対応に有効に活用する組織となりますよう準備を進めてまいります。  御指摘のとおり、政府におきましては、能登半島の地震、豪雨や、東日本大震災からの復旧復興を成し遂げるため、被災者の方々の生活、なりわいの再建を引き続き強力に支援いたしておるところでございます。防災庁が有することになります経験、知見、人的資源がこれらの被災地の創造的復興にも寄与することになりますよう取り組んでまいります。  大規模災害時の歯科医療提供体制についてでありますが、災害に対し、人道憲章と人道対応に関する最低基準、スフィア基準と申しております、これを踏まえまして、避難所の環境改善を強力に進めることが必要であります。  この点、大規模災害時には、断水などにより日常の口腔管理が困難になり、高齢者の誤嚥性肺炎のリスクが高まるとの指摘もございます。被災された方々への避難所での歯科保健医療の確保は極めて重要であります。能登半島地震における避難所などでの口腔管理等におきましても、JDAT、日本災害歯科支援チームに御活躍をいただきました。  政府といたしましては、これまで、災害時に活動する歯科医療関係者の養成への支援を行ってきたところ、さらに、令和六年度補正予算におきまして、避難所などにおける歯科保健医療活動に必要な車両、器具の整備への支援を盛り込んだところでございます。  引き続き、関係者と連携をしながら、災害時の歯科保健医療提供体制の確保に取り組みます。  災害時の身元確認についてでありますが、この際に、身体特徴や所持品などによる場合を除きますと、歯科診療情報を活用することが有用であり、身元確認作業に当たる歯科医師の皆様方の役割は大変重要なものでございます。  今後、歯科所見の記録の標準化及び身元確認に活用可能なデータベースの在り方につきまして、政府全体の医療DXの取組状況なども踏まえまして具体的な検討に取り組み、身元確認における歯科診療情報の活用を図るものといたします。  沖縄科学技術大学院大学、OISTの活用についてでございます。  世界最高水準の教育研究を行うOISTでは、サンゴのゲノム解析の研究を生かし、アジアのサンゴ礁の保全活動に取り組むなど、地球環境保護に資する取組を行っておられるところでございます。こうした活動は、関係諸国との良好な関係の構築、維持にも効果を発揮しております。  OISTには、引き続き、沖縄の資源なども生かしつつ、企業との共同研究やスタートアップ支援などを通じまして、その成果を広く社会に還元し、世界の課題解決に貢献していただくことを期待をしており、国といたしましても必要な支援を行ってまいります。  大阪・関西万博が未来に何を残すのかということについてお尋ねをいただきました。  一九七〇年大阪万博、確かにあのときは沖縄はまだ本土復帰をしておりませんでした。議員がパスポートを持って大阪万博においでになったというお話、本当に感銘深く拝聴したところでございます。  大阪・関西万博のテーマは、一九七〇年は「人類の進歩と調和」という比較的分かりやすいテーマでございました。今度の大阪・関西万博におきましては、「いのち輝く未来社会のデザイン」、これがテーマとなっております。  生命科学やデジタル技術の急速な発達に伴い、命への向き合い方や社会の形そのものが大きく変わりつつある中、万博には命や健康に関わる未来技術の開発に取り組む研究者、スタートアップの皆様方が参加をするところでございます。世界から日本に多くの方々が集まり、人類の未来を考える、そのような機会となるものと私は認識をいたしておりますし、特に、大阪・関西万博は、明日の日本、世界を担う子供たちにとって、将来を考え、夢と希望を持って明日へと踏み出していく貴重な体験となるものと考えております。  こうした機会や子供たちの体験こそが、未来に残し、つなげていくべきものだと、このように考えております。  万博の成果を一過性のものとせず、さらに、どのような形で未来に資産として残していくべきか、参加者や関係者の間で議論を深めていただきたいと思っております。  我が国は開催国でございます。その責任を持って、政府として大阪・関西万博の成功に向け全力を尽くしてまいります。どうぞよろしくお願いを申し上げます。  残余の御質問につきましては、関係大臣より答弁をいたさせます。(拍手)    〔国務大臣三原じゅん子君登壇、拍手〕

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