○伊藤孝恵君 国民民主党・新緑風会の伊藤孝恵です。
私は、会派を代表し、ただいま議題となりました法律案について質問します。
なぜ、あなたは大学等で学ぶのか。
私たちは、この法律に立法府の真意と期待を添えて、子供たちの元に送り出す必要があります。そして、それは我が国で生きる全ての子供たちに向けられるべきものであり、親の所得や兄弟の数が分断要素となってはいけません。
あべ文部科学大臣に伺います。
高等教育の修学支援新制度のみならず、高等学校等就学支援金や高校生等就学給付金、義務教育段階の就学援助など、教育費の負担軽減策には所得制限のあるものが多数ありますが、その金額や根拠に一貫性はありません。
資産の有無や、不登校、介護や障害のある兄弟のケアなど、家庭内にある困難度を加味しない、収入のみに着目した所得制限は、再配分政策として適当ではないと指摘する識者もいます。
子供の学びや育ちに線引きは必要ありません。制度を抜本的に見直す必要があると思います。御所見を伺います。
次に、政策決定までのプロセス及び立法事実について伺います。
二〇二三年六月に閣議決定されたこども未来戦略方針では、二〇二四年度から多子世帯や理工農系の学生等の支援を世帯年収およそ六百万円の中間層に拡大することに加え、執行状況や財源等を踏まえつつ、多子世帯の学生等に対する授業料等の減免について更なる支援拡充を検討し、必要な措置を講ずるとの記載にとどまっていたところ、十二月のこども未来戦略会議では、多子世帯の所得制限撤廃の方針が提示されました。
半年間で一体どのような検討がなされたのか。特に、多子世帯の生活困窮度と子供の進学率の数字的根拠を用いて、文科大臣、御説明ください。
学校基本調査によれば、昨年度の大学進学者は六十二万八千七百六十六人、進学率は五九・一%と過去最高を更新しました。数字を押し上げているのが、出身高校の所在地が四十七都道府県にはない、その他に分類される外国の学校卒業者等の二万一千四百十人で、前年よりおよそ六千人増加をしています。校種別に見ると、国立大学は五十一人、公立大学は二人であることから、私立大学による受入れが大半であることが分かります。
また、都道府県別で進学率一位の東京は七四・二%、四十七位の沖縄は四六・七%と、各自治体において独自の教育費負担軽減策が進められた結果、地域間格差が拡大しています。
各教育段階において、どのような支援を国が全国に均等で保障すべきで、どのような支援を地方自治に基づく判断に委ねるべきか、国と地方の役割分担及び外国の学校卒業者等の急激な増加に係る認識について、文科大臣の答弁を求めます。
地域間格差は、生活保護世帯の進学率にも顕著に表れています。現行の制度では、生活保護を受けながら子が大学等に進学することは認められておらず、世帯分離をすることになります。結果、当該子が生活保護の受給対象から外れ、保護費の支給額が減少することが進学を妨げています。
厚生労働省の調査によれば、石川県のように進学率が五割を超える都道府県がある一方で、隣接する福井県では二割を下回り、最大で四倍近い地域差があります。一般世帯の進学率も都道府県格差があるものの、その差は最大一・三倍程度であることから、この数字がいかに特異であるかが分かります。
本法律の趣旨に鑑み、困窮家庭を支援する団体や大学の支援体制など、格差の要因分析と改善が急務だと思われますが、文科大臣の御見解を伺います。
生活保護世帯の進学の理不尽や、海外に比べて著しく見劣りするGDPに占める公財政教育支出の割合は、教育無償化の本質的な意義が次世代への人的投資だという認識が共有されていないことに起因します。
質の高い教育を受けた子供たちは、やがて経済的自由のある納税者になります。また、その効果は次の世代にも及び、持続的な経済成長の基盤となることが近年の研究で明らかになっています。
また、経済界においても、人的資本投資と株価のプラス相関を示した定量分析も進んでおり、教育支援と税収や潜在成長率との相関を示すことも可能です。
加藤財務大臣及び赤澤内閣府経済財政政策担当大臣に、国による調査研究の必要性について認識を伺います。
しかして、教育支援は個の豊かさのみならず、我が国のイノベーションの促進と労働生産性の向上、さらには社会保障費用の抑制など、財政基盤を強化する投資としての性格を持つと考えますが、文科大臣及び財務大臣の御見解を伺います。
二〇〇〇年代に入ってから、我が国が社会保障費の増大を言い訳に教育や研究予算を減らす中、アメリカは二・七倍、韓国は五・三倍、中国は二十四・五倍もの投資を子供たちや若者たちにしてきました。今や中国は、先端技術ランキング全四十四項目のうち三十七項目で一位です。
人しか技術やサービスは生み出せません。一つの優れた技術が企業となり、産業となり、雇用や競争力が生まれ、経済を成します。
今般の高校授業料無償化の財源は行財政改革で捻出するとのことですが、大学運営費交付金を削れば必ず基礎研究に支障を来します。高等教育、特に博士課程の日本人学生への支援を削れば我が国のイノベーションの種はついえます。今後の行財政改革の方向性について、文科大臣及び財務大臣に答弁を求めます。
修学支援新制度の二〇二五年度予算案についても伺います。
国と地方の所要額は七千二十五億円とされ、そのうち多子世帯の所得制限撤廃には二千六百億円を要するとされる一方で、二四年度予算の金額と二五年度予算案の金額差は一千九十四億円と、多子世帯の所得制限撤廃以外の既存部分の予算が縮減をされています。具体的にどの支援区分が縮減されているのか、また、どのような理由で縮減されたのか、財務大臣に積算根拠の説明を求めます。
二〇一九年の制度創設時、国会審議において政府は、低所得者世帯の進学率を後押しする、今回対象となる住民税非課税世帯及びこれに準ずる世帯の進学率は現状四割でありますが、これを全体の進学率八割まで上げることを目指していくと答弁をされています。六年目の春です。進学率はどうなりましたか。また、二五年度予算案の既存部分の予算縮減に伴い、進学率の目標は後退していませんか。文科大臣に確認をします。
平成元年と比べて、現在、国立大学の授業料はおよそ二十万円、私立大学の授業料は文系およそ三十五万円、理系およそ五十万円値上げされ、奨学金受給率は二一・八%から四九・六%に跳ね上がりました。
一方で、世帯年収は四百七十一万円から四百四十万円に下がり、国民負担率は三七・九%から四六・八%に上がり、貯蓄ゼロ世帯は六・七%から二三・一%に上昇しています。特に二十九歳以下の税負担率は、一九九六年から二〇二二年の二十六年間で一七・七%から三〇・四%と、ほぼ倍増です。
理想の子供を持たない理由に、子育てや教育にお金が掛かり過ぎるからと答えた夫婦の数は、一九九二年の三〇・一%から二〇二一年は五二・六%に大幅に増えました。手取りは増えないのに負担ばかり増やした政治の失策です。
政府の今後の手取りを増やす経済政策、具体的な可処分所得及び可処分時間の増加策を内閣府経済財政政策担当大臣に伺います。
必要な政策を財源論を理由に着手できないうちに我が国からは子供が消えます。子供が消えるということは、イノベーションも可能性も、そして国も消えるということです。
国民民主党は、用途を教育や研究に限定した教育国債を提案しています。教育国債で教育予算を賄った場合、受益者が債務返済者となることから、将来世代への負担の先送りにはなりません。
財務大臣に伺います。
現在、財政法で認められているのは橋や道路を造るための建設国債のみですが、政府はそれを育英会や大学ファンドに流用しています。それらの予算規模及び流用はいいのに、教育国債は駄目な理由について教えてください。
最後に。AIなどの進歩によって、記憶された知識は相対的に下がっています。記憶された知識の価値、これが相対的に下がっているのが今です。近未来では、学力とは偏差値ではなく、プロンプト、つまりAIに対して指示や質問する力のことになるかもしれません。自らが問いを立て、データを基に考え、判断し、行動する力は、受け身の進学の延長にはありません。
社会は課題にあふれています。それを解決しようとする主体性や当事者性を子供たちが今日もそれぞれの学びやで育むとともに、人生を豊かにする出会いと経験がそこにあることを願いつつ、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣あべ俊子君登壇、拍手〕
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