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伊藤孝恵 ·国民民主党・新緑風会

参議院本会議(2025-05-21)での発言

第217回国会 ·第第20号号 ·3,737字
○伊藤孝恵君 国民民主党・新緑風会の伊藤孝恵です。  私は、会派を代表し、冒頭、総理に伺います。  米は買ったことがない、売るほどある。この発言が農水大臣を辞表提出に至らしめるほどの力があるととっさに感じなかったのであれば、総理には、我が国に立ち込める政治不信や、スーパーの店頭で物価高騰に吐息する国民の顔が見えていないと言わざるを得ません。  江藤農水大臣の事実上の更迭理由及び、一時は厳重注意で続投を決めた判断とのそごについて御説明ください。  次に、ただいま議題となりました法律案について、令和元年の給特法改正に対する評価から伺います。  当時、萩生田文科大臣は、長時間労働で疲弊する学校現場に向け、これは言わば応急処置として、勤務時間かどうかを超えて、校務に従事している時間を在校等時間と位置付け、まずは時間外の在校等時間を月四十五時間、年三百六十時間という上限をターゲットとして、縮減する仕組みを提案したと述べられ、法改正後に指針を策定されました。  しかし、令和四年度、文科省が行った教員勤務実態調査に基づく推計によれば、時間外在校等時間が月四十五時間を超える割合は、小学校で六割強、中学校で八割弱に上っています。結局、大半の教員が長時間労働を続けています。  それどころか、五年半前より事態は悪化しており、精神疾患による病気休職者は令和五年度に七千百十九人と過去最多を更新しました。公立学校の教員採用倍率も低下傾向に歯止めが掛からず、令和六年度の小学校の倍率は過去最低の二・二倍です。こうした実態を踏まえたとき、果たして令和元年改正は応急処置として適切だったと言えるのか、総理の見解を伺います。  また、萩生田大臣は、処遇に関しても、抜本的な見直しをして、教員の皆さんが誇りを持って仕事をできる環境をしっかりつくっていきたいと答弁されました。伴って、参議院文教科学委員会の附帯決議では、三年後を目途に教育職員の勤務実態調査を行った上で、本法その他関係法令の規定について抜本的な見直しに向けた検討を加え、その結果に基づき所要の措置を講ずることとしました。  しかし、今回、政府提出の改正案による教職調整額は、令和八年度から段階的に一%ずつ引き上げ、一〇%に到達するのは六年後の令和十三年だといいます。余りに貧弱かつ危機感が感じられない内容です。総理は、今回の改正案をもって抜本的な見直しと捉えているのか、誇りを持って仕事ができる環境をつくることができたとお考えになっているのか、伺います。  あわせて、教員の長時間労働の解消には給特法の廃止を含む見直しが必要と考えますが、先行する国立附属学校の評価と併せて総理の見解を伺います。  ところで、本当にそれは先生の仕事ですか。学校における働き方改革を進めるには、私たちはこの問いを幾度も重ねていかねばなりません。  校内清掃や部活動、学校給食費や教材費が未納の保護者に対して電話や文書で督促し、時に家庭訪問までして徴収、管理する。総理、本当にそれは先生の仕事ですか。  小中学校のいじめの認知件数は、二〇二三年、七十一万一千六百三十三件になりました。およそ十年で四・一倍、暴力行為の発生件数は十万三千六百二十六件で二・二倍です。教室の中にいる被害者と加害者、双方の学ぶ権利を守り、主張が食い違う保護者の敵対を解消するための専門的な介入をする。総理、本当にそれは先生の仕事ですか。  日本語指導が必要な児童生徒数は六万二千九十九人、およそ十年で一・八倍。ポルトガル語、中国語、フィリピノ語、スペイン語、ベトナム語。年々多様化する言語に対し、日本語指導アドバイザーや母語支援員の確保が追い付かない中で、母文化を尊重した教育と保護者対応が求められる。総理、本当にそれは先生の仕事ですか。  不登校児童生徒数は三十四万六千四百八十二人、およそ十年で二・八倍。特別支援学級に在籍する児童生徒数は三十六万八千八百四十七人で二倍。通級による指導を受けている児童生徒数は十九万六千二百八十八人で二・三倍を超える中、変わり行く学校現場の課題に対応しようと過去十年で施行された学校や教職員に対する新たな義務又は努力義務を課した法律は、議員立法十四本、閣法六本の計二十本です。  教員が、授業準備や児童生徒との対話ではなく、国や教育委員会、自治体等からの調査書の記入に多くの時間を割かれる。総理、本当にそれは先生の仕事ですか。  OECDの国際教員指導環境調査によれば、日本の先生の最大のストレスは、事務的な業務が多過ぎること、次に保護者の懸念に対処することであり、いずれも調査参加国の平均を大きく上回っています。  カナダでは二〇一二年から、ドイツでは二〇一五年からワンイン・ワンアウトが導入され、行政手続を一つ増やすなら一つ減らすことが法令上義務化されています。アメリカでは二〇一七年からワンイン・ツーアウトです。  総理に伺います。学校における教員の事務作業や、学習指導要領、生徒指導提要の改訂時にはワンイン・ツーアウトを導入すべきと考えますが、御所見をお聞かせください。  加えて、イギリスでは、一九九八年及び二〇〇三年に政府が、教師が請け負うべきでない仕事の一覧、例えば、生徒や保護者からの集金や大量の印刷、出欠管理、試験監督やICTのトラブル対応などを明示し、教師は授業や学習に集中できるようサポートを受けるべきであり、専門知識を擁していない事務を教師に求めることは不適切であると原則化をしました。二〇二三年には、さらに、給食時の対応や医療同意アンケートの管理、保護者や生徒への過大な情報共有、いわく、生徒からのハラスメントやモンスターペアレント対応も教師の仕事ではないと通知をしました。働き方改革がいつまでたっても実現しない日本との差は、政府の本気度にほかなりません。  文部科学省は、従来、学校や教師が担ってきた業務について、基本的には学校以外が担うべき業務、学校の業務だが必ずしも教師が担う必要のない業務、教師の業務だが負担軽減が可能な業務の三分類に基づき見直しを図ってきましたが、教育委員会による取組の実施率が五割を超えたのは、三分類十四項目のうち半数以下の六項目にとどまっています。  二〇一九年に三分類が策定されてから既に六年が経過しています。業務の見直しが十分に進まない理由と、三分類の再検討と厳格化の必要性について、総理の認識をお聞かせください。また、イギリスの例に倣い、我が国においても文科省が教師が請け負うべきでない仕事の具体例を明示、通知するとともに、これらの業務を代わりに担う人材と予算を国の責任で確保していく必要があると考えますが、総理の見解を伺います。  まずは、学校だけでは解決が難しい事案について行政が保護者等から直接相談を受けるなど、新たな支援体制の構築を指針に位置付けるのが第一歩と考えますが、総理の見解をお聞かせください。  本法案では、教育委員会に対し、業務量管理・健康確保措置実施計画等の策定と公表などが義務付けられましたが、民間では昨今、女性管理職比率や男性育休取得率など、人的資本の情報開示により、自社の透明性や信頼性を高めることで投資を呼び込み、採用につなげています。  今後、学校現場に人材を招き入れたいのであれば、自治体の標準職務表を共通フォーマットで作成し、教員一人当たりの持ち授業時数の上限を設定し、もちろん校務DXを推進した上で、教員を支えるスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、教員業務支援員や部活動指導員など、専門スタッフの配置を拡充していく必要があります。それに加えて、育休や介護休の取得率や勤務間インターバルの導入状況などを公表する、そこまでやって初めて民間と競争できるスタートラインに立てるのではないでしょうか。総理の御所見を伺います。  就職氷河期の採用についても伺います。  就職氷河期世代が大学を卒業した西暦二〇〇〇年前後は、教員採用試験倍率が著しく高く、教員免許を取得したものの教員になれなかった者が数多くいます。私もその一人です。社会の理不尽や様々な職業を経験した氷河期世代は、子供たちに語りかける言葉を数多く有しています。  総理は、先月二十五日に開催した第一回就職氷河期世代等支援に関する関係閣僚会議において、就職氷河期世代を教員として積極的に採用するための検討を指示されたと承知をしています。いつまでに検討を終え、どの程度の採用が可能と考えているのか、教えてください。  最後に、これまでの政治や行政、地域社会や保護者、もしかしたら教員自身も、一人の先生に対し余りにも多くのことを求め過ぎていたのではないでしょうか。ところで、本当にそれは先生の仕事ですか。  内省と提案の参議院での審議を、今日も日本中の学びやで子供たちに伴走する先生方に届けることを自誓して、私の質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手)    〔内閣総理大臣石破茂君登壇、拍手〕

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