○柴田巧君 日本維新の会の柴田巧です。
私は、会派を代表して、日本学術会議法案に賛成の立場から討論をいたします。
設立から七十六年を経た今、学術会議の役割は国民から見えなくなっており、それゆえ、ナショナルアカデミーとしての学術会議の抜本的改革は待ったなしです。
本来であれば、全面的に国の補助金で運営するのではなく、学術会議の独立性を担保するためにも、資金面で自立していくことが求められます。国からの独立を掲げながら、年間十二億円にも及ぶ税金投入が続くことは問題です。学問の自由を追求し、真の独立を勝ち取るためには、財政面でも独立して民営化の道を進むことが本来の姿であり、それが国民からの支持や期待に真に応えていくことでしょう。
そういった意味では今回の法案はまだまだ不十分であり、全面的に賛成とは言い難いところがあります。しかし、もし廃案になってしまえば現行の学術会議がそのまま存続することになり、それでは必要な改革を先送りすることにしかなりません。ゆえに、本法案をまさに第一歩として、民営化に向けた取組を進めていくべきです。このことを強調をしておきます。
その上で、今後更にどのような改革が求められるか申し述べます。
まずは、学術会議の活動内容の改善です。
四月の総会の際、学術会議が発表した声明では、設立以来の七十六年の歴史的成果として南極地域観測と初期の原子力開発を挙げていますが、新型コロナウイルスによるパンデミックや東日本大震災に伴う放射線及び放射性物質の問題などに対して学術会議がどのように役立ったのかを示すことはありませんでした。ということは、学術会議の成果は南極地域観測や初期の原子力開発までであり、既にその役割を終えているということではないでしょうか。
一方、学術会議は、設立以来、かたくなに軍事目的の研究に反対する立場を続けてきました。しかし、そのことが科学技術一般の進歩の妨げになってきたのは間違いありません。令和四年になって、ようやく学術会議は、軍民共用、いわゆるデュアルユースとそうでないものとに単純に二分することは困難との新たな見解を示しましたが、その後、大学から防衛省へのデュアルユース研究の応募が増えたことからも、学術会議が大学の研究を実質的に阻害してきたことは明らかであり、それまでの研究の遅れを思うと大変遺憾であります。今後は大いに防衛技術の研究に貢献し、我が国の安全保障、平和の維持のために科学の力を発揮すべきだと強く求めておきます。
次に、会長選考の在り方についてです。
現行日本学術会議法第八条に基づく会長互選の仕組みはまさにブラックボックス状態であり、選任理由について説明するような資料も見当たりません。有識者懇談会の最終報告書では、例えば学術会議の内部に会長選考委員会(仮称)を置くなどして、会長候補者の資質や業績を整理し、会員間で会長候補についての十分な情報を事前に共有することも考えられると記載されていましたが、本法案では会長選考の具体的な仕組みについては一切規定されていません。これは、学術会議の独立性、自律性、自主性に配慮して条文上規定を置かず、内部規則に委ねることにしたからですが、新たな学術会議において、これまでのようなブラックボックス状態の仕組みが継続されるようなことがあってはならないと考えます。
したがって、会長選考は、学術会議の運営全体に多大な影響をもたらす極めて重要なものであることに鑑みて制度設計の検討を行うべきだと指摘をしておきます。
続いて、運営費用についてです。
本法案では、学術会議の業務の財源に充てるため、政府が必要と認める金額を補助することができるとしていますが、できるだけ早い時期に税金依存の体質を改めていく必要があります。新しい法人が国民に対して透明性のある財務運営を実行することは、寄附を始めとした多様な自主財源を確保し、真に独立した自主的な組織として発展していくためにも不可欠だと考えます。
科学的助言が社会から一定の重みを持って受け取られるのは、国の機関だからでは決してなくて、そのクオリティーが高いからこそ、国民から求められている機能、役割を果たし、理解、信頼されているからにほかなりません。そのような価値あるものについてはおのずと注目も集まります。したがって、国の機関として行政を通した間接的な影響力ではなく、独立した一組織として国民にダイレクトに働きかけることができれば寄附も集まることでしょう。
また、政府は、寄附に対する国民の機運を醸成し、学術に関する国民の関心を高めることを目的に、国民が学術会議に寄附をした際には寄附金控除の制度を設けるなどの税制措置をすることなども早急に検討すべきだと要望をしておきます。
さらに、法人化後は、予算措置の明確な根拠が必要です。特殊法人への移行後も当面は国からの財政的支援が継続されることが見込まれ、学術会議が策定する年度計画を踏まえ、活動に必要な予算額が査定されることになります。
現在の学術会議においては、翌年度の活動内容を示すような年度計画は策定されておらず、どのようにして必要な予算額が査定されているのか分かりづらいところがありました。しかし、法人化後は、慣例により前年度と同程度の予算措置が続けられているかのような疑念を持たれないようにするためにも、予算措置の明確な根拠が求められます。国民の貴重な血税を使うのですから、これは当然のことだと指摘しておきます。
また、研究インテグリティーや研究セキュリティー対策の強化も必要です。学術会議の法人化のメリットとして、会員が国家公務員でなくなることから、外国人を会員として選任できるようになることが挙げられています。海外の知見を活用する観点から、外国人会員の重要性は否定しないものの、昨今の国際情勢に鑑みると、研究インテグリティーや研究セキュリティーの観点についても十二分に考慮する必要があります。
学術会議が具体的にどのような取組、手だてを講じるのか明らかにすべきであるとともに、政府としても強い関心を持つべきであるということを申し上げておきます。
最後に申し上げます。本法案はあくまでも最初の一歩にすぎず、これで終わりではなく、抜本的改革を実現するまでには手を緩めるわけにはいきません。本法案の附則第二十七条の検討規定については、施行後六年としていますが、それにこだわらず、不断に見直しを行い、廃止又は民営化を含めた抜本的改革に向けた議論を続けていくべきです。
以上、提案をいたしまして、賛成討論といたします。
ありがとうございました。(拍手)
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