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藤井克徳 ·特定非営利活動法人日本障害者協議会代表

参議院国民生活・経済及び地方に関する調査会(2025-02-19)での発言

第217回国会 ·第第3号号 ·6,555字
○参考人(藤井克徳君) 日本障害者協議会、これはNPO法人ですが、藤井克徳と申します。(資料映写)  最初に、この間の障害分野の大きな動きを一つ紹介しておきます。  それは、昨年の七月の三日でした。最高裁大法廷が優生保護法問題で画期的な判決を下しました。原告側の全面的な勝訴となったわけです。今急ぐべきは、人権の回復、尊厳の回復、そして被害者に補償を届けることかと思います。同時に、この判決がこの国の今後の障害問題を考えていく上での新しい足場になることを強く期待しています。  本論に入ります。  全体で五つの柱を設定いたしました。前段は、少し障害分野の実態を聞いていただこうと思います。そして、後段は改革の方向について言及していきたいというふうに思います。  私は全く目が見えないものですから、途中でまた代読をお願いすることがあるかも分かりませんけれども、またそのたびに申入れをいたします。  第一の柱は、障害者の数についてであります。これはレジュメの方にも入って、これ一ページですね、入っているとおり、三つのこのカテゴリーで見ていく必要がある。  一つは、障害者手帳の所持者及び自立支援医療の受給者、この数が厚労省の統計によると千百六十四万人。二つ目なんですが、これは認知症と言われる人たちです。この数が厚労省の推計値で六百七十五万人、これが最新データです。これ以外、三つ目に、いわゆる谷間の障害という方たちが相当数に上ります。手帳の所持は難しい、しかし就労や生活には支障を来しかねないということであります。具体的には、ロービジョン、最近は余り弱視とは言わないそうです、ロービジョン、難聴、難病、発達障害やあるいは中途障害等の一定層、これがこの層に入るわけです。この数は、政府からは発表がありません。関係する団体、学会の数を積み上げると一千万人を超える。  こうした数を人口比で見ていきますと、比較的数がはっきりしている手帳所持者並びに認知症のこの合算ですね、これ大体人口の一五%。そして、これに谷間の障害を足しますと、人口の二三%。この数を国会としてどう見るか。第一点目の柱でした。  次に二つ目、これは主に障害を持っている人たちの実態を少し代表的なものをピックアップしてみました。  最初に、暮らしについてです。  これは、今日のお手元の資料の資料五、四十四ページを御覧ください。ここでは、障害者の事業所で組織されているきょうされんの実態調査を使わせていただきました。調査時期は二〇二三年四月度、五千八百九十一人。多くは就労継続支援事業B型及び生活介護事業、つまり重い障害者であります。所得状況、七八・六%、約八割が相対的貧困線以下に入っていると。お分かりのように、相対的貧困線というのは世界共通の数式があって、日本の場合には可処分所得が年額百二十七万以下でありますね。ここに多くが閉じ込められている。国民基礎調査によりますと、国民全般で見ていくと一五・四%。したがって、数倍、障害者の場合には多いということ。  次に、生活形態を見ていきましょう。  ここで注目されるべきは、五〇・六%が親を中心とする家族同居、あとは施設やグループホームが三七・四%、単身者が八・三%と、こうなっていくわけです。つまり、非常に厳しい所得状況は、家族の負担、あるいは言い換えますと、とてもつらい言葉ですけれども、障害者からすると屈辱でありますけれども、家族への依存。この厳しい所得状況を家族の負担がカバーしているということ、こういう図式が成り立つわけであります。  次の実態は精神科医療であります。  超長期入院傾向は相も変わらず続いているわけです。最近の厚労省のデータによると、平均在院日数が二百六十三・二日、約八か月ぐらいでしょうか、以上ですね、とても長い。一般診療科でいうと十五・七日ということですから、こちらも随分長いなと。  致命的な病気の大多数は病院でつくられると明言したのは、あのフローレンス・ナイチンゲールです。百五十年以上前の話です。この言葉が、この警句が今でも通用するのは何ともむなしい限りであります。  その原因は、精神科病床の多さかと思います。加えて、この多い病床を何とか埋めておきたいと、満杯にしたいという病院側の経営心理、これが相まって今日の長期入院現象を生んでいると言って過言でないと思います。  じゃ、国際比較してみようか。厚労省に聞いてもデータはないということです。私たちは調べてみました。OECD加盟国三十八か国にこのデータを求めたわけであります。  お手元の資料の六で、四十五ページ、四十六ページにその詳細を載せてありますので、御覧ください。OECD加盟国の三十八か国の精神科病床の合計は八十七万三千床であります。このうち日本に三十二万四千床があると。  画面を御覧ください、スライドです。これをパーセンテージで表しますと、三七・一%が日本に集中していると。次のドイツの一二・四%、アメリカの一一・七%、そして韓国の七・四、フランス六・二と。まあ断トツに多いということですね。この状況はほとんど固定化にあるということです。  三つ目の実態、これはよく耳にするかも分かりませんけれども、障害者の事業所の人手不足であります。正確に言いますと、公募しても来ないということ、あるいは中途で辞める人が多いということ。これが重なって、どこでも人手不足。  その原因ははっきりしています。他の産業に比べて極端に労働条件が良くない。待遇、特に基本給、基本報酬、この低さですね。一義的にはこの働き手の労働意欲やあるいは将来不安という問題は出てくるんですが、もっと本質的には、その働き手の労働対象、障害者や高齢者のこの存在を軽んじていることの裏返しとすれば、これは国会でも放置できないというふうに思うわけです。  次は、大きな三番目に入ってまいります。  ここからは少し方向性を考えていきながら、三番目のテーマというのは、障害のある人に対する地域生活、社会参加のための基幹施策はどうなっているか。  ここに書いていますように、住まい、そして働く場又はアクティビティー、活動の場、人の支え、さらには所得の保障、家族依存の脱却、これらがバランスよくきちんと準備されているかということが問われるわけですけれども、なかなかそうはなっていない。確かに、住まいや働く場は増えつつあります。でも、その質を見ていきますと、まだまだ十分じゃない。  例えば働く場でいいますと、障害者雇用促進法を使いながら、同行支援、これは通勤の応援ですね、さらには職場でのホームヘルプ、トイレや食事の応援、この件は総合支援法、障害者総合支援法が管轄しているんだけれども、この二つの法律の併用は相ならぬということで、非常に縦割り行政は一向に変わっていない。  所得保障でいうならば、多くは障害基礎年金であります。この障害基礎年金はいつできたかというと、三十八年前、一九八六年から始まったものです。多少物価上昇の感はあるけれども、その水準は変わっていないわけですね。五年に一度、年金法の改定があります。余りにも検討事項が多過ぎて、障害分野に焦点が当てられないということであります。この五年に一遍と別個に、障害者の所得状況、障害者の基礎年金のこのテーマを深めるべきではないか、五年にこだわらないで別途に深めるべきじゃないかということを強くこれは求めたいと思っていますね。  そして、家族依存という問題。これについては、根源的にはこの国の扶養義務制度ですね。画面見ていきましょうかね。民法八百七十七条、直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養する義務がある。明治三十一年、作られたものですね。これが非常に、まずは家族だ、最後も家族だということの温床になっているということ、先ほど奥田さんもおっしゃったように、家族機能もない中でもなおこれが居座っているということであります。今すぐ民法の改正ということは現実的でないかも分かりません。であれば、所得保障、あるいは人的支援、人の支えですね、この拡充によって、父母から、親からしたら負担軽減、障害者からすれば依存脱却という道を探っていければと思います。  さて、次に四番目に入ってまいります。大きい四番目です。  今述べた三番目というのは個々の障害者の支援策のことであります。四番目というのは、これは障害者政策の全体の規定、ベースに関係する大きなテーマであります。どうもこの部分をいじらないとなかなか全体の変化はないんじゃないか。  まず挙げられるのは、障害者基本法を変えましょうと。二〇一一年に作ったきり、十三年半変わっていません。この間、障害者権利条約が批准され、やまゆり園事件が起こって、そして総括所見が出されて、去年は優生保護法に決着が付きました。こういう政策環境の変化に合わせて障害者基本法もやっぱり変えるべきであろうと。  その上で、順番で、短い時間ですが言っておきたいことがあります。  まず、この予算、障害者関係の予算です。  言いたいことは、この国の政府予算全体の中に占める障害関連予算の配分率、分配率ですね。これをもう少し何とかならぬか。厚労省はしきりに言われます、過去に比べるともう何倍も予算を組んでいるんだ。しかし、予算が伸びても実態は好転せず。これは予算が有効値じゃないことを表しているわけですね、有効値になっていないことを。よほど過去が少なかったということの裏返しでもあるんではないか。この政府の予算の中での分配率については、やっぱりOECDの平均並みぐらいに持っていくだけでも相当違うということを識者は言っているわけです。  次に、政策審議システム。  障害者に関係するこの政策審議システムには、やはり障害者が半数ぐらいは入ってほしい。加えて、特に知的障害者、あるいは精神障害者、女性障害者、地方の障害者は是非加わってほしい、入れてほしい。  さらに、この国には相当な審議会があります。二十二省庁、またがって、省庁ごとに。ここにも障害者が入ってもいいんじゃないか。もちろん、今すぐに、全部とはいきません。特に、障害者の暮らしに関係したり人権に関わっての審議会等には障害者の代表が加わることがあってもいいんじゃないか。  次に、行政組織機構であります、これの検証。  この国の障害者行政の中心機構というのは、社会・援護局、厚労省社会・援護局の障害保健福祉部です。いつできたか。一九九六年七月。当時は大臣官房直轄でした。もしかしたら将来、局になるかも分からないということも言われていました。その後、二〇〇一年の省庁統廃合のときに社会・援護局に移されて、障害保健福祉部。しかし、身体障害、知的障害、精神障害、この障害間の不均衡を是正する上では、非常にこの部というのは良かったと思います。  しかし、今改めてこの時期考えてみますと、同じ厚労省の中でも雇用、年金、医療等、この福祉ではどうしてもカバーできない分野があるわけです。そういう点でいうと、厚労省の中に、横断的な点から、障害者支援局、これなどを考えるのもそろそろ大事な時期じゃないかな。  更に言うならば、もう少し先になるかも分かりませんけれども、国土交通省における交通、住宅問題、あるいは文部省の学校教育の問題、総務省の情報通信、参政権等と、あるいは自治体との関係。そうすると、省庁を超えた、もしかしたらこども家庭庁に次ぐ障害者庁、こういった発想もあってもいいんではないか。  さらに、監視機構でいうならば、この権利条約に基づく国内人権機関、これは子どもの権利条約や女性差別撤廃条約等の他の条約体とも調整しながら、これについてもそろそろ方向を見定める時期であろうと。  統計、この国では、残念ながら、この国では基幹統計に障害者は全く入っていませんでした、項目の中に。やっと四年前から国民生活基礎調査、社会生活基本統計に障害者の項目が入ってまいりました。できるだけ多くの基幹統計に、障害者と非障害者の比較ができるようにそういう項目を入れてほしい。と同時に、二次使用に関しては、ほとんど各団体は使えません。研究者には門戸は開かれています。この二次使用に関しても、使えるようにしていくことも大事じゃないかなということであります。  防災関係では、やはり防災対策の検討の段階で当事者が入るということですね。  以上、こうして見ていきますと、非常に変化しているものもあれば、余り変わっていないものもある。私はこれを見ながら、海を、太平洋の海を連想しています。画面見てください。海というのは、海面から千メーターほどはどんどん水が動いている。千メーター超えるとほとんど動かない。年単位で動かない。  次の画面です。日本の障害者というのは、確かに変化している面いっぱいあります。でも、それは表層部分であって、しかし一方で、この深層部、例えば精神科医療、家族依存、所得保障、深い深い、根深い優生思想、障害者差別、まさにこの深層部分でちんまりとこうしている、鎮座している感じですよね。この深層部をどう変えるかが大事なポイントになってくるということであります。  そこで、第五番目の柱に移行いたします。  その深層部を変えていくための一つの指南となるのが、国際規範である障害者権利条約、あるいはそこから派生した国連の障害者権利委員会による総括所見ではなかろうかと思うわけですね。  権利条約を少し考えてみましょう。今日は時間がありませんから、二つだけポイントを述べさせてもらいます。一つは制定過程での特徴です。もう一つは内容面での特徴です。  制定過程で繰り返されたのが、あのナッシング・アバウト・アス・ウイズアウト・アス、私たち抜きに私たちのことを決めないで。これを徹底して実践したんです、国連は。そして、内容を、この発言内容を条約の素案にも反映させました。私も半分ぐらいは傍聴しましたけれども、それはそれは圧巻でした。そして、このことは、各地、今、いろんな形で各地で根を下ろしていると。  内容面の特徴を見ていきますと、これも様々ありますが、一つ紹介しておきたいことは、障害者観の転換です。  これまでは、本人に属する障害、藤井であれば眼球、光も見えない眼球、これだけをいじくり回してきました。でも、今の科学、医学では限界があるわけですね。  国連、どう言っているかというと、その藤井を取り巻いている環境、社会的障壁との関係で障害を決定付ける。つまり、障害の本質は社会の側に潜んでいるんだということですね。置かれている環境によって障害は重くもなれば軽くもなるというふうな言い方であります。  前者の機能障害にこだわるのを医学モデル、そして後者の環境との関係で考える考え方を障害の社会モデル、こんなふうに言っているわけです。この環境との関係で整理していきますと、無限とは言いませんけれども、人為的、政策的に相当解決の道があるんではないかということを思うわけです。  もう一点、この権利条約にはすばらしい仕掛けがあって、定期的にこの権利条約の履行状況を審査をしてくれる。日本は二〇二二年に初の審査を受けました。そして、審査するだけじゃなくて、評価、勧告ですね、リコメンデーション、これを出してくれるということであります。膨大な勧告が出ました。今日のお手元の二十ページからこの勧告文が入っています。また後で一文だけ紹介させていただきます。  この七十五段落の勧告文なんですけれども、一つ、七十五の全体を代表するような、あるいは全体を凝縮するような項目があります。それは、第七パラグラフ、お手元の資料の二十一ページの真ん中から一つ下、少し下ですね、七(a)。  会長、ここで藤井に代わって代読をしてほしいと思っているんですが、許可願います。

藤井克徳 の他の発言

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2025-02-19 · 参議院国民生活・経済及び地方に関する調査会
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2025-02-19 · 参議院国民生活・経済及び地方に関する調査会
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