○伊波洋一君 ハイサイ、沖縄の風の伊波洋一です。外防委です。
本法案は、岸田政権が二〇二二年十二月に閣議決定した安保三文書に基づくものでもあります。そう言われても、内閣委、総務委の委員の皆様には分かりにくいと思いますので、二二年十二月に閣議決定された安保三文書の防衛力整備計画が、二三年度から二七年度までの五年計画で今進行中です。その目的と日米戦略の変遷等を述べて、その後、質疑したいと思います。
安保三文書の目的は、米国の対中国戦略に沿った台湾防衛戦争、いわゆる台湾有事において、米軍の来援を待つ間、長期間、日本の自衛隊が独力で戦争を遂行できる体制を二七年度までにつくることです。そのために、二三年度から二七年度まで、増税も含めて五年間で四十三兆円の大軍拡を行い、全国三百か所の自衛隊施設でミサイル攻撃などCBRNE攻撃に耐え抜くことのできる施設の強靱化、又は継戦能力を高め、持久戦を行うための武器や弾薬の積み増し、敵基地攻撃が可能な長射程スタンドオフミサイルの開発、生産と、購入による配備などが進められています。
お手元には配付資料十枚を添付しました。六枚目から五枚目までは、米軍戦略に関連するURLなどの資料です。
それらと並行して、本法案のような通信の傍受を通じた国内世論操作や、あるいは治安維持の強化、あるいは経済安保の名の下に、社会全体の警察国家化、軍事国家化が進められています。
去る四月七日の産経新聞は、配付資料①のように、「空自機 中国艦を仮想攻撃 日米演習の概要判明」との記事で最新の台湾有事、台湾防衛戦争の計画を報道しました。安保三文書の行き着く先は、この記事にあるとおり、日本が国土を戦場にして、台湾防衛戦争という日中全面戦争を行う道です。今こそ安保三文書を問い直すべきです。
米軍は、ウクライナ戦争のように、自衛隊に対し兵器やインフラ、情報を支援しても、決して実際に戦闘を行う、戦うことはありません。このことは米軍の対中戦略からも明らかです。
二〇一〇年に、米国はエアシーバトル構想を正式な軍事戦略として採用しました。台湾防衛戦争において、中国本土に直接反撃を加えて抑え込むというものです。エアシーバトル構想では、紛争の第一段階で、中国のミサイル攻撃に対して、九州、沖縄、台湾、フィリピンを結ぶ第一列島線にある在日米軍基地など前方展開兵力は一時的にミサイルの射程圏外であるグアム、テニアン、パラオなどに退却します。第一列島線に残された自衛隊と地域住民は、ミサイル攻撃にひたすら耐えることが求められています、求められます。その後、第二段階で、来援した米軍本隊が中国本土に対し反撃をすることが計画されていました。この戦闘様相の第一段階、第二段階の想定は、以降の米軍戦略に共通するものです。
二〇一二年四月に、米海軍学校のトシ・ヨシハラ、ジェームズ・R・ホームズによる論文、「アメリカ流非対称戦争」が発表されました。台湾有事を通じた米国の覇権維持のために、日本に集団的自衛権の行使容認を求めたのです。中国海軍が第一列島線を通過して台湾東海岸に進出することを阻止するため、宮古島、石垣島、さらに奄美大島や沖縄本島に自衛隊の地対艦ミサイル部隊の配備を求めました。また、米軍の展開兵力の種別や量について核の閾値以下にとどめる、米軍は中国領土を攻撃しない、なぜなら、台湾有事を米中全面戦争や核戦争にエスカレートさせないように、南西諸島での制限戦争にすることが米国戦略の目標達成に有効だから、としています。
二〇一二年六月になると、エアシーバトル構想を批判し、中国との対決、直接対決を避け、周辺同盟国に対抗させるオフショアコントロール戦略が提起されました。オフショアコントロール戦略では、中国の領土や領海に攻撃しません。日本は台湾防衛で被害を受ける役割です。オフショアコントロールは、中国のインフラを破壊しないことにより、紛争後の世界貿易の回復は促進される、経済的な現実として、グローバルな繁栄は中国の繁栄に多く依存する、と論文で主張しました。
二〇一五年に、日米防衛協力のための指針、ガイドラインが改定されました。一九九七年の旧ガイドラインでは、日本に対する攻撃全てに米軍が打撃力を持って戦うことになっていました。ところが、二〇一五年の新ガイドラインでは、弾道ミサイル攻撃にも米軍は支援し補完する作戦しか実施しません。唯一、領域横断的な作戦、陸海空、宇宙、サイバーなどの全面戦争でしか米軍は打撃力を使用しません。
そこで、日本独力で戦争を遂行しなければという議論が出てきたわけです。安倍政権の一四年七月の閣議決定で集団的自衛権の行使が可能となり、一五年の安全保障法制の成立で法制化されました。こうした中、二〇二二年十二月、岸田内閣で安保三文書が閣議決定されました。その基になったと考えられるのが、防衛研究所令和三年度特別研究、将来の戦闘様相を踏まえた我が国の戦闘構想、防衛戦略に関する研究で打ち出された統合海洋縦深防衛戦略です。これは、中国からのミサイル攻撃を受けることを前提に、残存勢力で中国を海上で阻止し、半年から一年間の長期戦を戦うことを前提としています。
二〇二三年一月九日、米シンクタンク、CSIS、戦略国際問題研究所が、ザ・ファースト・バトル・オブ・ザ・ネクスト・ウォーを公表しました。二〇二六年に中国が台湾を侵攻するというウォーゲームを実施し、分析したレポートです。結果は、米国、台湾、日本連合軍によって、辛くも中国軍は撃退されます。しかし、台湾軍は壊滅、米軍は空母二隻を含む何十隻もの艦船、数百機の航空機を失い、日本の自衛隊も多くの艦船、航空機を失い、合計数万人の軍人を失います。日本も列島全体の飛行場が空襲されます。台湾は経済的にも大きな被害を受け、米国も長期にわたって世界的な地位を失い、米国の再建は中国より遅くなるとされています。日本、沖縄など、南西諸島や台湾など、住民の犠牲、死傷者については言及されていません。
レポートは、米軍は中国本土を攻撃する計画を立ててはならないと言っています。核戦争へのエスカレーションを避けるためです。これが今の米国のポリシーです。ウクライナと同様に、米国はもはや核保有国と直接戦争しません。このレポートは、今後、米国が台湾有事に直接軍事介入しない根拠になっていくと思います。
二〇二二年一月七日の日米2プラス2協議で合意されて以降、台湾有事における日米共同作戦計画は日米共同演習ごとに検証、更新されています。配付資料①の四月七日の産経新聞、「空自機 中国艦を仮想攻撃 日米演習の概要判明」との記事は最新の計画を明らかにしています。
二〇二四年二月の日米共同指揮所演習、キーンエッジのシナリオでは、中国軍が台湾を侵攻するとともに在日米軍の佐世保基地や岩国基地を攻撃します。これに対して日本政府は、個別自衛権を行使する条件となる武力攻撃事態の認定は見送ります。個別自衛権では台湾周辺への自衛隊の活動が制約されるからです。そこで、存立危機事態を認定し、集団的自衛権の行使として米側の要請を受け、航空自衛隊の戦闘機が空対艦ミサイルで台湾海峡西側の中国軍輸送艦を攻撃します。これを受けて中国軍が与那国島に上陸しますが、結果的に自衛隊が制圧したという経過でした。
記事の図が示しているのは、第一に自衛隊が中国軍を攻撃するということ、第二に日本方面で米軍の戦闘が行われないということ。この図から、米軍はもはや日本には残っておらず、フィリピン方面から台湾周辺に来ることが分かります。状況はここまで進んでいます。二〇二四年十月の日米共同演習、キーンソードでも米軍は武力攻撃を演習していません。アメリカが日本を守るための来援をするということはないと考えなければなりません。
先日来日した米ヘグセス国防長官は、西太平洋におけるあらゆる有事に直面した場合、日本が最前線に立つと発言しました。今米国が台湾有事において目指すのは、米軍の被害を抑えるため、米軍の表立った関与は極力行わず、日本が最前線に立つこと、日本による代理戦争によって台湾を防衛し、中国の国力、経済を損なわせることです。
自衛隊が台湾有事に軍事介入しても、沖縄や奄美など南西諸島の制限戦争に収まると見る向きもありますが、しかし実際は、全国で戦争準備が進められている以上、東京を始め日本全土を戦場にする、日本と中国との全面戦争にならざるを得ません。米国の戦略に沿って台湾を防衛するために、日本の国民の命と国家の存亡を懸ける日中全面戦争にすることが果たして日本の安全保障政策として妥当なのでしょうか。日本は、中国など緊張関係にある国々を始め、EUやASEANなどとともに、サイバーセキュリティーやAIなどをめぐる国際法、多国間のルールを作り、あくまでも平和的な外交を追求していくべきです。
以上、本案に対する基本認識を述べた上で質問に入ります。
国際法には例外的に、当該国の間で特定の協定や同意がなければ外国領域において捜査、警察権を行使できないとする領域主権不可侵の原則があります。
警察法は、二条で警察の義務、責務、犯罪の予防、鎮圧、捜査などを定め、三十六条二項で都道府県警察は都道府県の領域について二条の責務を任ずると規定してあります。警察権の及ぶ範囲、都道府県の、都道府県の区域と読めます。
一方、本法案は、警察は自衛隊と連携して、他国に存在するボットネットのテークダウンなど、国家への打撃関係サーバーへのアクセス・無害化措置を実施することになります。国外におけるアクセス・無害化措置は、警察権の及ぶ範囲は都道府県内、すなわち日本の主権の及ぶ範囲であるとする警察法に反するのではありませんか。
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