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鈴木憲和 ·自由民主党・無所属の会 ·農林水産大臣

参議院農林水産委員会(2025-11-18)での発言

第219回国会 ·第第1号号 ·4,714字
○国務大臣(鈴木憲和君) 農林水産委員会の開催に当たりまして、所管大臣としての考え方の一端を申し述べます。  冒頭、私の大臣就任早々に、今シーズン一例目となる高病原性鳥インフルエンザが確認をされました。発生のあった農場が一日でも早く生産を再開できるよう努めます。また、鳥インフルエンザを始め、豚熱、アフリカ豚熱などの家畜伝染病については、飼養衛生管理の徹底を基本とした発生予防・蔓延防止対策と水際での侵入防止対策に都道府県と連携をして全力で取り組みます。あわせて、産業動物獣医師の確保に努めます。  以下、農林水産行政に関して、私の基本的な考え方を申し述べます。  幾ら理想的な政策も、現場の皆様の心が動かずには効果を発揮できません。このことを心に留め、農は国の基なりという言葉のとおり、農林水産省の最も重要な使命である国民への食料の安定供給を実現をします。  我が国の主食である米は一年一作であるからこそ、需要に応じた生産を推進することを基本として、現場の生産者と消費者の双方から見て先の見通せる農政を展開することが重要です。本年八月に取りまとめた価格高騰の要因や対応の検証を踏まえ、今後、米の需給、価格の安定に向けて講ずる短期の対応策を取りまとめた上で、令和九年度以降の中長期の対応策の検討を進めます。  米国の関税措置に関する日米協議は、我が国に適用される相互関税を一五%にとどめた一方、農産品を含む我が国の関税を引き下げずに合意することができました。さらに、牛肉、茶など一部の農産物について、今月十三日から相互関税の対象外となりました。今後は、合意内容の履行に加え、米国の関税措置の壁を乗り越えて輸出を維持拡大できるよう、生産者、事業者を後押しします。  我が国の農林水産業を取り巻く環境は、国際情勢の不安定化や自然災害、気候変動等の影響、人口減少や高齢者の引退による担い手の急減など、大きく変化しています。このような変化に現場感覚を持って対応し、食料の安定的な供給が可能な基盤を整える必要があります。  改正食料・農業・農村基本法の下で策定した新たな食料・農業・農村基本計画に基づき、農地の大区画化、共同利用施設の再編、集約、合理化、スマート農業技術の開発、普及、輸出産地の育成といった施策について、別枠予算を確保し、農業の構造転換を本年から五か年で集中的に推し進めます。こうした取組による生産性や付加価値の向上により、農林漁業者の収益力を高め、食料自給率、食料自給力の向上と、食料安全保障の確立に全力を尽くします。  以下、具体的な施策を申し述べます。  水田政策について、令和九年度に向けて根本的な見直しを行います。水田を対象として支援してきた現行の水田活用の直接支払交付金を、水田、畑にかかわらず、作物ごとの生産性向上等への支援へと転換するといった基本的な方向性の下で、詳細を令和八年六月までに取りまとめます。  米の生産性を抜本的に向上させつつ、米粉や海外マーケットの創出など国内外の需要拡大策を実施することで、必要な水田を維持するとともに、米以外の作物を作る農地について、食料自給力向上の費用対効果を踏まえて、これまで作付けしてきた作物の本作化を図るべく、政策を転換します。あわせて、農業者の経営安定のためのセーフティーネット対策の充実についても検討します。  資材価格等が高騰し、農林水産業、食品産業の事業環境が変化する中においても、農林水産物・食品の持続的な供給が可能となる、生産、加工、流通、販売、消費に至る食料システムの確立を図る必要があります。さきの通常国会で成立をした食料システム法に基づき、持続的な供給に要する合理的な費用を考慮した価格形成を推進します。  また、食品産業について、農林水産業との連携の下での国産原材料の利用拡大による付加価値向上の取組や、中継共同物流拠点の整備による食品のサプライチェーン全体の物流効率化を促進することにより、持続的な発展を図ります。これに加えて、フードテックを育成することで、食の分野を世界のスタンダードに育て上げ、食を日本経済の稼ぎの柱としていきます。  世界の食市場の規模が拡大するチャンスを生かして、農林水産業、食品産業の海外から稼ぐ力を強化するため、農林水産物・食品の輸出について、二〇三〇年五兆円の輸出額目標に向けて取組を進めます。具体的には、輸出産地の育成、日系の商流のみならず、現地系スーパーやレストランなどの未開拓の食のマーケットの開拓、海外の輸入規制の緩和、撤廃に向けた働きかけを行うとともに、食品産業の海外展開、インバウンドによる食関連消費の拡大などを推進します。  そうした食料システムを環境と調和の取れたものとするため、新たな環境直接支払交付金の創設や、有機農業の推進などのみどりの食料システム戦略の加速化、気候変動への対応策の強化等に向けたみどり加速化GXプランの検討を進めます。また、本年十月に改定をした日ASEANみどり協力プランに基づき、持続的な農業、食料システムに向けた協力を推進します。  人、農地の観点から、持続可能な農業構造にしていくことも喫緊の課題です。規模の大小や個人、法人など経営形態を問わず、農業で生計を立てる担い手を育成、確保するため、新規就農や新規参入を促進し、経営発展を後押しします。また、各市町村が策定した地域計画の継続的なブラッシュアップについては、全国各地で農林水産省の職員ができる限り現場に入り、受け手不在農地の解消や担い手への農地の集約化を進めます。  少ない農業者でも生産水準を向上できるよう、農業生産基盤の整備とスマート農業の推進が欠かせません。農地の大区画化や水利施設等の更新、省力化整備を推進するとともに、スマート農業技術等の開発、普及を進めます。あわせて、スマート農業技術等に適合した新たな生産方式への転換や、スマート農業に関わる人材の育成、情報通信環境の整備を促進します。さらに、専門作業の受注等により農業者をサポートする農業支援サービス事業者を育成、確保します。  食料の安定供給に向けて、多収性や加工適性、スマート農業技術適性、高温耐性、病害虫抵抗性等を持つ革新的新品種を開発し、導入促進を図る必要があります。品種保護を大前提に、農業者や実需者、海外も含めたマーケットのニーズに応じた優良な新品種の育成、普及を推進をします。  激甚化する自然災害、気候変動の影響に左右されず安定的な生産力を確保できるよう、農業、農村の国土強靱化対策を進めるとともに、日本の先端技術の粋の詰まった完全閉鎖型植物工場や陸上養殖施設等への投資を進めます。これらの技術が我が国農林水産業の稼ぐ力を高め、世界のスタンダードとなっていく食の未来をつくります。  全国の総農家数、耕地面積、農業産出額のそれぞれ約四割を占め、多面的機能の発揮においても中山間地域が重要である一方で、これまでの政策ではその衰退を止めることができませんでした。この反省をよく踏まえて、中山間地域でも、将来にわたって営農して稼ぎ、暮らしていける農政を展開します。このため、地域の実情に応じて、中山間地域等直接支払交付金など農業を支えるための施策の充実と、地域特性を生かした高収益作物の導入や複合経営の取組の支援、きめ細かな基盤整備など、農業で稼ぐための施策を一体的に講じます。  食料生産の基盤である農山漁村を維持していくため、官民共創や農泊、農福連携などによる多様な人材が農山漁村に関わる機会の創出や、多様な地域資源を活用した付加価値を創出します。  また、鳥獣被害の防止やジビエの利用を進めます。特に熊による被害については、今月十四日のクマ被害対策等に関する関係閣僚会議において取りまとめたクマ被害対策パッケージを踏まえ、農林水産省としても、農業者の皆様が安心して営農できるよう、関係省庁と連携し、さらに実効性の高い熊被害対策を迅速かつ着実に実行します。  畜産、酪農は、国民の食生活における大切なたんぱく源を供給するとともに、地域経済を支える重要な産業です。畜種ごとの経営安定対策や持続可能性に配慮した取組、畜舎や食肉処理施設の整備などによる生産基盤の強化とともに、生乳や牛肉の需要拡大に向けた取組を推進します。また、耕畜連携などによる国産飼料の安定的な生産、利用の拡大を進め、輸入飼料依存度の低減を図ります。  森林・林業政策については、一千万ヘクタールの人工林の六割超が利用期を迎えています。切って、使って、植えて、育てる森林資源の循環利用を進めるため、JAS構造材、CLT等を活用した中高層木造ビルの建設など、新たな国産材需要の拡大を図るとともに、小規模で分散した森林の集積、集約化やスマート林業の推進などにより林業の生産基盤を強化します。あわせて、森林整備や治山対策への取組により、森林吸収源の機能強化と国土強靱化を進めます。さらに、花粉症対策を着実に実行します。こうした施策の具体的な方向性を定める新たな森林・林業基本計画を来年六月頃を目途に策定すべく、検討を進めます。  水産政策については、日本近海の海水温の上昇が世界平均の二倍超となるなどの海洋環境の激変に適応する必要があります。このため、資源管理の適切な推進を前提に、海水温の自動観測を通じた水産資源の調査、評価の強化、漁獲対象魚種の変化に対応した新たな操業形態への転換、労働環境の改善と収益性の向上を両立させる新たな漁船の導入など、未来の漁業を担う経営体、人を確保し、水産業強靱化の実装に向けた大胆な変革を進めます。また、浜の再生、活性化に向け、地域資源等を活用する海業の振興、漁村環境の保全に向けた漁業者活動を推進します。  農林水産業、食品産業の発展の礎は、消費者、国民の皆様の理解を得ることにあります。食育活動、食文化の保護、継承や生産現場体験の取組等を通じて理解を深めていただくとともに、食料の持続的供給に寄与する行動変容につなげます。また、円滑な食品アクセスの確保を図るため、ラストワンマイル配送に向けた取組、フードバンク等を通じた食料供給を円滑にする地域の体制づくり等を進めます。  東日本大震災の被災地域においては、依然として、営農再開の加速化や広域的な産地形成、帰還困難区域を含めた森林、林業の再生、安定的な水産物生産体制の構築、福島県産品の販路拡大などの課題があります。市町村ごとに復興のステージが異なることを踏まえ、現場のニーズに沿って万全の支援を行います。  また、近年頻発する豪雨や台風などの自然災害からの早期復興に取り組みます。  能登地域においては、令和六年能登半島地震、同年九月の豪雨による被害からの復旧復興を一体的に推進するため、農地、農業用施設、林地、林道、漁港の復旧など、現場の声に基づき、農林水産業の再建を切れ目なく支援します。  以上、農林水産行政の今後の展開方向について、私の基本的な考え方を申し述べました。  政務三役を先頭に職員一丸となって厳しい現場に足を運び、現場の気持ちに立った政策をつくり実施することで、農林水産業、食品産業が次世代により良い形で継承され、世界の中で食の分野における日本の存在感を示していけるよう取り組みます。  藤木委員長を始め理事、委員各位に重ねて御指導、御鞭撻賜りますようお願い申し上げ、私の御挨拶とさせていただきます。

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