○西村(智)委員 中道改革連合の西村智奈美です。初めて憲法審査会で発言します。
戦後日本の自由と平和の礎となってきた日本国憲法を尊重する立場から意見を述べます。
私たち中道改革連合としては、権力の濫用を防ぎ、個人の尊厳と自由を守るという基本政策の下、憲法議論に参画していくという立場です。
しかし、あえて申し上げれば、先週の審査会で日本維新の会の馬場元代表は、憲法論議の核心であるべき、権力の暴走につながるとの主張について、改憲反対ありきの常套句などと発言されました。権力の暴走は、ナチス・ドイツの例を始めとして現実的かつ真っ当な懸念です。こうした発言が相次ぐ中で、また中東情勢やその影響など深刻な課題が山積する今、それより優先して憲法の議論が進んでいくことに深刻な懸念を感じています。
また、自民党は衆議院では圧倒的多数かもしれませんが、参議院ではそうではありません。今回のテーマである緊急事態への対応に関しては、与野党の枠を超えて衆議院側と意見の開きがあります。そもそも、現在、法制局及び憲法審査会事務局にイメージ案を作成させるような段階ではなかったと私は考えます。百歩譲っても、昨年衆議院法制局から提出された資料「緊急事態条項(国会機能維持)の主な論点(イメージ)」には記載のあった、平時も含めた臨時会召集期限、緊急時、平時における解散権制約など、多岐にわたる論点が今回抜け落ちていることに納得がいきません。
その上で、先週提示されたイメージ案について、幾つかの問題提起をさせていただきます。
第一に、緊急事態の際に議員の任期延長が必要との説のほぼ唯一の論拠である選挙の一体性とは何かという問題です。憲法的価値が本当にあるのかという指摘がこれまで重要な論点として複数なされてきました。ここが、この憲法改正が必要かどうかを判断する大きな鍵だと考えますので、しっかりとした議論が必要です。
第二に、想定される最も巨大な震災の際にも選挙を実施できない選挙区は限定されるので、選挙全部を延期するような立法事実はないという指摘がこれまで繰り返されてきました。まずは徹底的に選挙制度の強靱化を図り、その上で選挙全部を延期するような立法事実が残るのかを精査すべきです。
第三に、参議院緊急集会が一時的、限定的、暫定的とされている点です。これまで緊急集会の権限については様々な指摘がなされてきましたし、自民党も、二〇二四年八月に、参議院緊急集会の権限は原則として国会の権能の全てに及ぶとしています。改めて議論すべきです。
第四に、緊急事態の対象範囲に存立危機事態も含まれるのかです。昨年十一月、高市総理は、法律の限定を逸脱したと思える答弁をされています。支持率低下のタイミングにおける衆議院任期満了選挙を避けるために、内閣の恣意的な判断で存立危機事態を認定するとともに選挙困難事態の認定がなされ、選挙が停止され続けるという濫用が懸念されます。古今東西、自らの政治的な危機を乗り越えるために戦争を始めた指導者は少なくありません。こうした危険はないのか、今後も議論させていただきたいと思います。
最後に、緊急政令などという、国会としておよそ認められない条項が紛れ込んでいることは論外です。憲法を改正してまで議員の任期延長をして国会機能を維持しようという議論と同時に国会が機能しない場合を想定した議論をすることは、論理矛盾なのではないでしょうか。憲法改正に決して消極ではない国民民主党の玉木代表も、先週は、あえて蒸し返さない方が得策と、今日も同様の趣旨の発言がありました。通らないことを見越してバッファーとして入れているとすら思えてきます。論外だと考えます。
以上です。
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