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新藤義孝 ·自由民主党・無所属の会

衆議院憲法審査会(2026-06-25)での発言

第221回国会 ·第第11号号 ·2,647字
○新藤委員 自由民主党の新藤義孝です。  本日は、合区解消、地方公共団体について私の意見を申し上げます。  そもそも、我が国の国家運営の基本は、国民主権とそれに基づく議会制民主主義です。その議会制民主主義を担保するものとして、憲法は、十四条一項で法の下の平等、四十四条で衆参両院の議員及び選挙人資格の平等を定めております。議会制民主主義の基礎を支える選挙区の設定は、この憲法の規定の精神に基づいて行わなければなりません。選挙区を構成するのは有権者です。その有権者が持つ投票の価値をできるだけ平等にするために、一票の格差はなるべく小さくする必要があります。  このような考えに基づき、最高裁は、各選挙区の一票の格差について度々、違憲判決や違憲状態判決を出してきています。従来、最高裁は、数字的なものは明言しておりませんけれども、衆議院についてはおよそ格差二倍、参議院については格差三倍を目安にしているのではないかと言われています。全国各地より国民の民意を代表する国会議員を選ぶといった観点から見れば、このような人口数に基づいた投票価値の平等が基準になってまいります。  ところが、我が国が直面しております少子高齢化、人口減少社会、そして地方の過疎化の急激な進展と都市部への人口集中という現象が進むことにより、投票価値の平等のみを徹底すれば、人口減少が進む地域ほど選挙区がどんどん広がり、結果として、地域の民意や実情を把握し切れない議員を選ぶ、そうした選挙になってしまうおそれがあるわけであります。これらは、日本国憲法が制定された八十年前には全く想定されておりませんでした。  参議院選挙においては、一票の格差を均衡させるための工夫として、複数の県を一つの選挙区とする合区という手段が取られています。しかし、合区については様々な意見があり、合区となった県においては、候補者を出していない県で有権者が候補者との間に距離を感じ、投票率の低下や無効票の増加といった弊害が表れているとも指摘されています。  先月、五月二十九日、昨年の国勢調査の速報値が発表されました。この速報値によると、参議院選挙区では、議員一人当たりの人口が最も多いのは東京都、最も少ないのは福井県であって、その格差は三倍を超えることになりました。仮に今回の速報値に基づいて福井県と合区する県を設定しなければならないとすると、有権者だけを基準に考えた場合、理論上においては、福井県と関東や九州といった離れた地域の県が合区する、飛び地合区ということが考えられるわけであります。仮にこのような選挙区ができた場合、果たしてそれは地域の民意が適切に反映された選挙区と言えるのでしょうか。  そもそも、議会制民主主義の基礎となる選挙区の設定は、一票の格差の是正による投票価値の平等と、有権者によって構成される地域の民意の反映、このバランスされたものであるべきだと私は考えています。単に有権者数に基づいた投票価値の平等のみを基準とするのではなく、全国を通じて社会的、経済的な一体性を持つ地域から代表が選ばれること、これこそが議会制民主主義にとって望ましいことではないか、このように思うわけであります。  選挙における一票の格差の是正による投票価値の平等については憲法十四条に規定されていますが、バランスを取るべき有権者によって構成される地域の民意の反映のエリアについては、その基礎となるエリアに関する根拠は、憲法上どこにその規定があるのかということになります。  憲法における地域に関する概念は、地方自治の章である第八章に地方公共団体として規定されています。ところが、憲法にはそれ以上の定めがなく、現状では、千四百万人を超える東京都も数百人の村も一くくりに憲法においては地方公共団体とされているのみなのであります。また、第八章の冒頭の九十二条は「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」とするのみで、地方公共団体にはどのようなものがあるかは全て解釈と一般法律に委ねられています。  これを受けて、一般法である地方自治法においては、二条の三項で基礎的な地方公共団体として市町村が、二条五項で広域の地方公共団体として都道府県が位置づけられています。この基礎的自治体と広域的自治体は、国民の日常生活に密接に関わり、福利、公衆衛生、災害対応などにおいて重要な役割を果たしています。  国民の代表を務める国政選挙の選挙区について、民意の適正な反映を行うことができる地域として、この地方自治法の広域的な自治体そして基礎的な自治体を活用してはどうかと私たちは考えているわけであります。  すなわち、一票の価値の平等については憲法十四条に規定がありますが、地域の民意の適正な反映のエリア設定については憲法に規定がありません。そこで、憲法の地方自治の章に地域の民意の反映のエリアの根拠を位置づけるべきではないかと考えております。参議院選挙については、憲法に明記された広域的な自治体から少なくとも一人の議員を選ぶということを規定することにより合区を解消し、この国の議会制民主主義の根幹を整えるべきです。これが、合区解消と地方自治体に関する憲法改正案についての自民党の考え方でございます。  憲法制定から八十年がたち、少子高齢化、人口減少の進展とともに、地方の過疎化、都市部の人口集中という格差が生まれている状況において、日本の地方自治を持続可能なものにするためにも、未完の憲法第八章を完成させることは極めて重要ではないでしょうか。同時に、議会制民主主義を支える選挙区の問題は、国民が不断に行使をしている選挙権に直接関わるものであり、これを解決することも喫緊の課題です。  合区解消、地方公共団体というテーマは、国の運営の根幹を成す議会制民主主義と、その基礎を成す選挙区に関するものであります。参議院において合区に関する議論が熱心に行われていることは承知をしております。今後、これらも踏まえながら論点を整理し、各会派の皆さんとの議論を深めるためにも、次回の審査会においてもこの合区と地方自治に関し更なる集中的な討議を行ってはどうかと私は考えております。是非、皆様と御相談しながら、また協議させていただきたい、このように思います。  以上で私の発言とさせていただきます。ありがとうございました。

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