○鈴木俊一君 自由民主党の鈴木俊一です。
私は、自由民主党・無所属の会を代表して、高市総理の施政方針演説に対して質問をいたします。(拍手)
さきの総選挙において、高市政権に対し、国民の皆様から多くの御信任をいただきました。大きな期待をいただいていることは、大変ありがたいことだと思います。しかし、期待には結果が求められます。掲げた政策が実行されているのか、数の力に慢心せず丁寧な政権運営が行われているか、国民から常に厳しい目が注がれていることを忘れてはなりません。我が自由民主党も、謙虚な姿勢で国会に臨んでまいりたいと思っております。
我々が生きる社会は、これまでとは全く異なる局面にあります。
先人たちの努力により、我が国は戦後八十年にわたって平和国家としての姿勢を貫き、世界の安定と繁栄に貢献してきました。しかし、今、ウクライナ侵略を続けるロシア、軍事力強化を進める中国や北朝鮮、自国優先を貫く米国など、これまでの国際秩序はもはや崩れつつあり、我が国を取り巻く環境は極めて厳しい状況にあります。
価値観が大きく揺らぐ今、政治に求められるのは、進むべき方向を示す羅針盤となり、社会の調和と前進を図ることです。次の世代の安心と希望のために、今を生きる我々が、持てる知恵を総動員し、現状より一歩でも前に進むための努力を続けなければならないと思います。
こうした私の問題意識の下、以下、質問をさせていただきます。
高市政権は、責任ある積極財政との考え方の下、財政規律を踏まえつつ必要な分野に大胆な財政出動を行い、日本経済の底上げを図る方針を掲げておられます。
そもそも我々は、これまで一貫して経済の好循環の実現を目指してきました。我が国のGDPは六百兆円を超え、株価は今年に入って五万七千円前後まで上昇するなど、我が国経済は今、長きにわたる低成長から脱却し、大きく胎動し始めています。
この流れをしっかりと軌道に乗せ、持続的で安定的な成長へとつなげていかなければなりません。そのためには、足下の不安に寄り添いつつ、将来を見据えた日本の成長戦略を描き、必要な施策を戦略的かつ積極的に進めていくことが重要だと思います。
経済の要は、まさに循環です。三十年にわたる日本経済の停滞に終止符を打ち、新たなステージへと移行させるためにも、今芽吹きつつある好循環の流れを更に加速させていくことが重要と考えますが、総理の経済政策に対する基本的な考え方についてお伺いをいたします。
責任ある積極財政について、一部で、放漫財政になるといった批判や財政規律を脅かすといった懸念も聞かれます。しかし、高市政権の下で取りまとめられた来年度予算案では、新規国債発行額は前年度に引き続き三十兆円未満に抑えられ、公債依存度は二四・二%と、二十七年ぶりの低水準となった前年よりも更に依存度が下がっております。
総理は、財政の持続可能性を確保するためには、成長する経済を築いていかなければならないとの姿勢を示されていますが、特に市場からは、日本の財政が持続可能なものであるか、政治家が国の財政にどのような姿勢で臨んでいるかが厳しく見られています。改めて、政権運営に当たっての財政に対する総理の基本姿勢についてお伺いをいたします。
経済の好循環を実現するためには、成長を促すだけでなく、成長で生まれた果実を国民生活につなげる必要があります。そのために最も重要なのは、賃上げです。昨年、三十年ぶりとなる賃上げ水準を二年連続で達成し、直近三年で、名目賃金は八%、最低賃金は一三%近く上昇するなど、持続的な賃上げに向けて確実に歩みを進めています。
他方、ここ三年で食料品の価格は二割近く上がり、エネルギーコストも増大するなど、急激な物価上昇によって国民の負担感が大きく高まっています。
高市政権が昨年取りまとめた総合経済対策では、ガソリン暫定税率の廃止や冬場の電気・ガス料金支援、地域の実情に応じて的確な支援を行うための重点支援地方交付金の拡充など、足下の物価高から国民生活を守るための施策が盛り込まれました。まずは、これを着実に執行していくことが重要です。
その上で、息の長い成長に向け、賃上げが継続できる環境を整え、物価と賃金が適切に循環する状況をつくっていくべきと考えますが、物価の上昇が暮らしを圧迫する現状をどう打破し、持続的な賃上げを実現するためにどのような取組を進めていくお考えか、総理にお伺いいたします。
好循環の実現に当たり、賃上げと並んでもう一つ重要なのは、将来を見据えた国の成長戦略です。経済を循環させ、持続的な成長を果たすためには、中長期的な視点に立ち、予見可能性を持って政策を進めていくことが求められます。
高市政権は、強い経済の実現を掲げています。昨年の経済対策にも、足下の対策や支援だけではなく、日本の成長や社会課題の解決に資する投資の推進に向けた中長期的な施策が多く盛り込まれました。
また、総理は、日本成長戦略本部を立ち上げ、我が国の成長戦略を策定するとともに、十七の戦略分野について危機管理投資や成長投資を推進する方針を示されました。
戦略的かつ積極的な投資は、我が国経済の成長に不可欠なエンジンです。特に不確実性が高まる今だからこそ、この機を逃さずに、リスクや社会課題に対し先手を打って投資を行い、リスクを最小化するとともに、日本の未来の可能性を大きく育んでいくべきと考えますが、我が国における成長戦略策定の意義について、総理にお伺いをいたします。
経済成長を加速させ、社会課題を解決する原動力となるのが科学技術やイノベーションです。最近は、科学技術の急速な進展によって、研究の成果がすぐに社会実装されることも珍しくありません。特に今、安全保障環境が厳しさを増し、さらに、気候変動やエネルギーといった地球環境の課題に直面する中で、重要技術をめぐる国際競争が激しくなっており、科学技術の重要性はますます高まっています。
科学技術の発展やイノベーションには、基礎研究の積み上げや人材育成が必要不可欠であり、国の戦略的な支援の下、長期的かつ安定的な投資を行っていくことが重要と考えますが、科学技術・イノベーション政策に関する総理のお考えを伺います。
科学技術の中でも近年、急速な進歩を遂げ、我々にとって身近な存在となっているのがAIです。しかしながら、我が国は、AIの普及や利活用をめぐって他国に後れを取っており、国際競争力がここ数年で急速に低下しているとの調査もあります。
今やAIは、我々の生活や産業を支える技術にとどまらず、安全保障を含む我が国経済社会の重要な基盤となるものです。高い利便性を有する一方で、偽情報の拡散やAI兵器など、生活を脅かすリスクとなり得ることにも目を向けていかなければなりません。
総理は、世界で最もAIを開発、活用しやすい国にするとの方針を掲げていますが、今後、適正利用に向けた環境整備を含め、我が国がAI技術とどう向き合っていくべきとお考えか、総理にお伺いをいたします。
自動車や電化製品など、今や生活や産業のあらゆる面で欠かせないものとなっているのが半導体です。特に昨今はAI技術へのニーズが急速に高まっており、半導体の重要性は一段と増してきています。
こうした状況の中で、日本の技術力を生かし、半導体分野で国際競争力を高めていくことは、我が国の成長にとって極めて重要です。そしてまた、半導体が生活や産業に不可欠な物資であるからこそ、安定供給に向けた国内の生産基盤強化は喫緊の課題でもあります。
我が国では現在、国産の次世代半導体の生産に向けたラピダスプロジェクトが進んでいます。最近では、かつてゲーム機やスパコンの開発に関わった技術者が集まり、新たな半導体の設計に取り組むなど、スタートアップ企業も国内で生まれています。
デジタル社会の中核を成す半導体分野において、我が国が後れを取ることのないよう政府として取組を後押しし、世界に伍して競争できるデジタル産業基盤を築いていく必要があると考えますが、我が国の半導体戦略について、総理のお考えをお伺いいたします。
我が国は、四面を海に囲まれた海洋国家です。それゆえ、貿易量の九九%以上を海上輸送に依存しており、海運、造船といった海事産業は、国民生活や経済活動、ひいては国の安全保障を支える重要な役目を担っています。
しかしながら、人手不足や物価高などの影響によって建造量は減少傾向にあり、造船業の再生は急務となっています。我が国に不可欠な産業として自律性と優位性を確保するため、造船業の再生に国家戦略として取り組むべきと考えますが、総理のお考えを伺います。
地球規模課題の解決に向けた宇宙の利活用について、世界で様々な取組が進んでいます。宇宙開発体制の強化は、我が国の安全保障に直結するものであり、国民の安心、安全を守り抜くためにも不可欠です。
高市政権は昨年、宇宙基本計画の新たな工程表を決定し、基金による技術開発の支援、人工衛星やロケット部品の生産基盤の構築など、宇宙開発利用の推進に向けた施策を打ち出されました。
今、我が国の宇宙開発は正念場を迎えています。科学技術は国力の源泉であり、総合的な戦略に基づく研究開発や人材育成を切れ目なく行っていくことが重要と考えますが、宇宙政策について、総理のお考えをお伺いいたします。
我が国は、世界有数の災害大国です。一昨年の能登での地震や豪雨を始め、昨年も九州地方で大雨被害が相次ぐなど、近年は大規模な災害が全国各地で頻発しています。また、埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故を受け、インフラ老朽化に対する国民の不安も高まっています。
こうした見えないリスクから国民の命や暮らしを守り抜き、社会機能を維持していくためには、国土強靱化に向けた取組を加速させていかなければなりません。
本年、東日本大震災から十五年、熊本地震から十年を迎えます。社会資本の整備は、国民の安心、安全を確保するのみならず、将来にわたり国や地域の財産として残り続ける重要な未来への投資でもあります。まずは、来年度からスタートする防災・減災、国土強靱化中期計画に基づき、必要な施策を集中的に実施していくことが重要と考えますが、令和の国土強靱化に向けた取組をどのように進めていかれるのか、総理にお伺いをいたします。
次に、国の安全保障についてです。
安全保障とは、有事に備え、あらゆるリスクから我が国の独立と国民の生命や財産を守り抜くことです。平和を脅かす事態は、いつ、どんな形で起こるか分かりません。だからこそ、平時から不断に万全の備えを行っていくことが重要です。
そのために、国の根幹を成す外交と防衛を車の両輪としつつ、我が国が主体的かつ優位性を持って国益を守り抜けるよう、取組を進めるべきです。
安全保障の基本となるのが防衛力です。今から四年前、我が国の防衛力を抜本的に強化するため、新たな国家安全保障戦略が策定されました。しかし、その後、ロシアによるウクライナ侵略や中国の軍事力強化、さらには、AI、ドローン、サイバー等による安全保障基盤のデジタル化など、取り巻く環境は加速的に変化しています。
こうした状況を踏まえ、高市総理は、安保戦略に定める防衛費の対GDP比二%水準を前倒しして措置するなど、防衛力強化にスピード感を持って取り組まれています。
我が国の独立と国民の命や暮らしを守り抜く総合的な防衛体制の構築は急務です。多様化するリスクにも対応できるよう、実効性の高い防衛力を早急に確保することが求められていると思いますが、我が国の防衛力強化に向けた総理の御所見をお伺いいたします。
近年、政府や企業へのサイバー攻撃が多発し、情報の漏えいや物流システムの停止など、社会活動に大きな影響が出ています。我が国の重要インフラに対する重大な攻撃も日常的に行われるなど、サイバーの脅威は安全保障上の大きなリスクとなっています。
昨年来、能動的サイバー防御を可能とするサイバー対処能力強化法の制定や国家サイバー統括室の設置など、サイバーセキュリティー確保に向けた体制整備が進められてきました。
デジタル技術が加速度的に発展する時代において、サイバー安全保障分野での対応能力の向上は急務です。国がこれまで以上に積極的な役割を果たしながら、官民で連携し、国民生活や産業を守り抜いていくべきと考えますが、自由で公正かつ安全なサイバー空間の構築に向けた取組について、総理のお考えを伺います。
技術の急速な進歩に伴って、その基盤となるエネルギーや鉱物資源の重要性が高まっています。さらに、今後、AIや半導体、先端技術の開発や普及によって、その需要がますます増大することが見込まれています。
しかしながら、我が国のエネルギー自給率は一五%と低く、鉱物資源に至っては、そのほとんどを輸入に頼るなど、安定供給の確保は喫緊の課題です。
国際情勢が一層不安定となる中、社会生活や経済活動を守るためには、我が国として、特定の国に依存することなく、自らの足で立てるような供給体制を構築していく必要があります。エネルギーや資源の安定確保に向けた取組について、総理の御所見をお伺いいたします。
我が国では、豊かな自然を生かした農林水産物が全国各地で生産されています。一方で、我が国の食料自給率は三八%にとどまっており、気候変動や価格の急騰など、食料の安定供給に対する国民の不安が高まっています。
国民が将来にわたって食料を安定的に確保できる体制を整えていくことは、国の責務です。我が国の最新技術を最大限に生かしながら、稼げる農業をつくっていくためには、土地改良やスマート農業の導入など、現場の声に耳を傾けつつ、生産基盤の強化を柔軟に進めていかなければなりません。
政府は現在、五年間で集中的に施策を実行し、農業の構造転換を図る方針を掲げていますが、我が国の食料安全保障の確保に向け、具体的にどのように取り組んでいく考えか、鈴木農林水産大臣に伺います。
世界に目を向けると、ウクライナ情勢や中東情勢に加え、不安定な政治体制を抱える欧州、力による平和を標榜する米国など、国際社会は混迷し、不確実性が高まっています。
我が国として重要なのは、冷静かつ毅然とした姿勢で国益を守り抜くとともに、各国と幅広い分野で連携を強化し、自由で開かれた国際秩序の維持強化に向けて、国際社会の結束を図っていくことです。
高市総理は就任以来、ASEAN、APEC、G20といった国際会議に出席され、アジア太平洋諸国やグローバルサウスの国々と積極的なコミュニケーションを図られてきました。また、米国のトランプ大統領を始め、韓国、欧州、オーストラリアなどとも首脳会談を行い、連携強化を確認されています。
分断や対立が起こりやすい時代だからこそ、協調に向けた外交努力が重要です。強固な同盟関係にある米国はもとより、隣国であり、地域と国際社会の平和と発展に共に重要な責任を負う中国を含め、様々な国と対話を重ねながら、日本が自ら旗手となって平和と繁栄をつくっていくべきと考えますが、総理の掲げる平和と繁栄をつくる責任ある日本外交の実現に向けたお考えを伺います。
我が国の人口は十五年連続で減少し、一昨年には出生数が初めて七十万人を下回るなど、深刻な人口減少に直面しています。
人口は国力の源であり、持続的な成長にとって不可欠であります。人口減少社会と向き合い、日本国の繁栄を将来にわたって維持するためには、減少トレンドの反転を目指すと同時に、必ずしも人口の数に頼らない、真に強く豊かな社会を目指していかなければなりません。
その大きな糧となるのが、地方の活力です。我が国には、様々な可能性を秘めた地域資源が数多くあります。この伸び代を最大限生かし、地方に経済の拠点を形成することで、地域産業の活性化や雇用の創出を生み、活力ある地域社会、ひいては日本全体の成長へとつながっていくはずです。
私の地元岩手県では、昭和四十年代以降、電気機械関連の企業の進出が相次ぎ、近年は半導体関連メーカーの立地が増えてきています。また、平成五年以降、自動車大手の工場建設をきっかけに関連産業の集積が進み、十年間で従業員数が三割、拠点数が八割増えるなど、東北地方に大きな経済効果をもたらしています。今や両産業は、製造品の出荷額が県全体の四割を占め、県内経済を支えているだけでなく、東北経済を牽引する強力なエンジンとなっています。
総理は、地方の活力は日本の活力との認識の下、夏までに地域未来戦略の政策パッケージを取りまとめる方針を掲げておられます。活力ある地域経済こそ、人や物を集め、活気あふれる地方をつくっていくものと考えますが、我が国の成長に資する、活力ある地域づくりに向けた総理のお考えを伺います。
近年、訪日、在留外国人の増加に伴って、一部の外国人によるルールからの逸脱や制度の不適切な利用に対し、国民が不安や不公平を感じる状況が発生しています。グローバル化が進み、多様な価値観があふれる中、秩序ある共生社会をつくっていくことは極めて重要です。ルールを守る外国人が多数いる中で、ルールを守らない外国人には厳格に対応し、国民の安心、安全につながるよう、国内の制度整備を急がなければなりません。
他方、海外とのつながりは我が国にとって大きなエネルギーにもなっています。今後、対日直接投資の促進や外国人材の受入れ、インバウンド消費の拡大などを通じて、我が国の成長や社会課題の解決に資する海外活力を積極的に取り込んでいくべきです。
そのためにも、我が国の制度や文化への理解を深め、ルールを遵守し、責任ある行動を取っていただくことが重要と考えますが、お互いが安心して暮らせる共生社会の実現に向けてどのように取り組んでいかれるお考えか、小野田担当大臣に伺います。
我が国では現在、少子高齢化が加速しています。二〇四〇年には高齢化率が三五%に達する一方、これを支える現役世代が大幅に減少すれば、給付と負担のバランスが崩れ、社会保障制度の維持が困難になる可能性も懸念されます。
国民の命と健康を守ることは重要な安全保障の一つでもあります。時代や環境の変化に応じ、将来にわたって安心できる社会保障制度をつくっていかなければなりません。
総理は、社会保障制度改革を進めるため、超党派の国民会議を開き、与野党の垣根を越えて議論を行っていく方針を掲げられています。
社会保障関係費の急増や現役世代の負担上昇といった問題意識を共有しつつ、全ての世代を通じて納得感が得られる社会保障制度となるよう、しっかりと議論を積み上げていくことが重要と考えますが、社会保障改革の方向性や進め方について、総理のお考えを伺います。
憲法は、国のあるべき姿を示す国家の基本法です。社会構造や国民意識が時代とともに変化する中で、その在り方について広く議論し、国民とともに改正の早期実現に取り組んでいくべきと考えますが、憲法改正について、総理のお考えを伺います。
また、安定的な皇位継承等の確保についても、我が国の根幹に関わる事柄であり、ゆるがせにすることがあってはなりません。静ひつな環境の中で議論を深め、結論を得ていかなければならないものと考えますが、御所見を伺います。
元来我が国は、和をもって貴しとなす国です。これまで幾多の困難に遭いながら、時代にふさわしい秩序を確立し、前進を続けてまいりました。その歴史と我が国の底力を信じ、自由民主党は、国民とともに、調和と活力ある社会を必ずつくってまいります。
このことを結びに申し上げ、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣高市早苗君登壇〕
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