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山本香苗 ·中道改革連合・無所属

衆議院本会議(2026-03-13)での発言

第221回国会 ·第第6号号 ·2,565字
○山本香苗君 中道改革連合の山本香苗です。  私は、会派を代表いたしまして、ただいま議題となりました予算委員長坂本哲志君解任決議案に対し、賛成の立場から討論を行います。(拍手)  まず、冒頭に申し上げます。  本決議案は、特定の個人を批判することを目的とするものではありません。今問われているのは、予算委員会という国会審議の中枢における委員長の職責、委員会運営の原則、そして議会制民主主義そのものへの信頼であります。  言うまでもなく、予算委員会は、国家の基本である予算を審議する場であり、国民生活に直結する政策を議論する、国会の中でも最も重要な委員会の一つであります。だからこそ、予算委員長には、与野党双方の立場を踏まえ、審議が公正かつ円滑に行われるよう運営するという、極めて高い中立性と公正性が求められます。  これは単なる慣例ではありません。長い国会の歴史の中で積み重ねられてきた議会運営の原則であり、議会制民主主義を支える重要な基盤であります。その原則の一つが、委員長の職権行使は例外的なものであり、与野党間で十分な協議を尽くした上で、なお合意に至らない場合に限り、やむを得ず行使されるべきものだという考え方であります。しかしながら、今回の予算委員会の運営は、この原則に照らして看過できない重大な問題があったと言わざるを得ません。  予算委員会冒頭三日間の基本的質疑以降、ほぼ全ての委員会は委員長職権で開催されました。与野党が合意して設定されたのは、三月九日と十二日のわずか二日だけです。分野別に詳細な審議を行う分科会は、三十七年ぶりに開催されませんでした。総理が出席する集中審議は、三月九日の四時間、十二日の七時間、合計十一時間にとどまっています。さらに、四回行われた省庁別審査において、予算案の責任者である財務大臣が出席したのはたった一回であります。地方公聴会も、委員長職権により、異例の日曜日開催となりました。地方の現場の皆様に多大な御負担をおかけしたことは極めて残念であります。  こうした運営は、もはや異例という言葉では済まされません。常軌を逸していると言わざるを得ない状況であります。  もちろん、委員長には議事整理権があります。委員会を円滑に進める責任もあります。しかし、その権限は、議論を尽くし、双方の理解を得る努力を最大限重ねた上で初めて行使されるべきものであります。合意形成のプロセスを軽視し、野党が一致して反対しているにもかかわらず、与党の言い分のみを聞いて一方的に職権で審議の短縮を強いる運営は、多様な民意を反映させる国会の使命を放棄する行為であり、議会政治の精神に反するものであります。  もう一点、申し上げます。  令和八年度予算の成立が遅れることにより国民生活に支障が生じてはならない、この点は、与野党を問わず共有されている認識であります。しかし同時に、百二十二兆円という巨額の国家予算について充実した審議を確保することもまた、国会の重大な責務であります。この二つを両立させるため、私たち中道改革連合は、政府に対し、早い段階から暫定予算の編成を強く求めてまいりました。  暫定予算は、年度内に本予算が成立しない場合でも、国民生活に必要な支出を確保しながら、本予算について十分な審議時間を確保するための制度です。これまでも、暫定予算を編成し、国民生活への影響を避けながら、本予算について丁寧な審議を行ってきた例はたくさんあります。なぜ、今回それができなかったのか。なぜ、最初から年度内成立ありきの日程を強行されたのか。  本来、委員長の役割とは、政府が示すスケジュールをそのまま国会に持ち込むことではありません。政府の都合による日程に安易に迎合するのではなく、必要であればそれに歯止めをかけ、国会として果たすべき審議の責任を守り抜く、その最後のとりでとなることこそが、委員長に託された本来の職責ではなかったのではないでしょうか。しかし、残念ながら、今回の委員会運営は、その姿から大きくかけ離れたと言わざるを得ません。  更に申し上げます。  現在、国際情勢は急速に緊迫の度を増しています。中東ではイラン情勢が大きく動き、エネルギー市場への影響が現実のものとなりつつあります。原油価格は、一時、一バレル百ドルを超える水準まで上昇しました。世界のエネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡の事実上封鎖が長期化する懸念が広がっています。エネルギーの多くを中東地域に依存する我が国にとって、これは国民生活と物価に直結する重大な問題です。  こうした状況の変化を踏まえれば、令和八年度予算案の前提は大きく揺らいでいると言わざるを得ません。予算の組替えも含めた徹底した議論こそ、今必要なのではないでしょうか。  予算は、国家にとって最も重要な政策決定であります。その前提が崩れつつある状況の中で、十分な審議を尽くさないまま進めることは、国会の責任ある姿とは言えません。  議会は、多数決だけで成り立つ場ではありません。多数の力で審議を進めることと民主主義は同義ではありません。少数の意見にも耳を傾け、議論を尽くす、その積み重ねによってこそ、国民の理解と納得は生まれます。議論を尽くすこと、それこそが国会の責任であります。  委員長は、与党でも野党でもありません。議会の公正を守る審判役であります。その席は、与党のための席でもなく、野党のための席でもありません。その席は、議会という制度そのものへの信頼を支える席であります。  もし今回の事態を看過するならば、同じことはこれからも繰り返されるでしょう。そして、そのとき傷つくのは政党ではありません。議会そのものへの国民の信頼であります。  国会は、与党のものでも野党のものでもありません。主権者である国民のための議論の場です。その公正さを守るのか、それとも、力による議事運営を前例として残すのか。今、この議場にいる私たち一人一人の判断がこの国の議会の姿を決めることとなります。どうか、それぞれの良心に従って御判断いただきたいと思います。  本決議案に各位の御賛同を心よりお願い申し上げ、私の賛成討論といたします。(拍手)

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