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齊藤貢 ·元駐イラン大使/関西学院大学客員教授

参議院国際問題に関する調査会(2026-04-15)での発言

第221回国会 ·第第2号号 ·2,332字
○参考人(齊藤貢君) 鈴木先生、御質問ありがとうございます。  まず、一つちょっと違うことを言っているのかもしれませんが、最近の日本のメディアなどでは、ここ何年か日本とイランの関係が薄くなっていると、だから、もう親しい日・イラン関係というのはないんだから、日本はこの問題で何の役割も果たせないという意見がございますが、私はそう思っておりません。  今、宮田先生もおっしゃったとおり、イラン側は少なくとも日本に対して期待がございます。なぜかというと、イランからすると、アメリカの同盟国で、かつ日本と、失礼、イランと関係が、彼らから見ていい国って日本しかないわけで、だから、我々から見ると、何か日米関係もあって最近イランとの関係は良くないと、これは正しい認識なんですが、イランの立場に立つと、それでもまだほかの主要国に比べたら日本に対する期待が高いというのをまず申し上げたいです。  あと、二〇一九年の安倍総理の訪問につきましては、非常に身も蓋もないことをまず申し上げますと、もちろん安倍総理は、お父様の安倍晋太郎外務大臣がイラン・イラク戦争の仲介をされたということで、個人的に非常にイランについては思い入れがございました。ただ、そうは言いつつも、やはりアメリカとイランの関係が厳しい中、ただし、私が身も蓋もないと言ったのは、やはりこの直接のきっかけは、まずトランプ大統領が安倍総理に頼んだということがあるわけです。これは、当時のトランプ大統領の側近だったジョン・ボルトン氏が自分の回顧録で書いていますから、これは間違いないと思います。  じゃ、日本が何をしたかということにつきましては、ここで、要するに米・イラン関係を仲介している国というのは、実はオマーンと日本がございます。オマーンという国はどういう仲介をするかというと、オマーンという国自身が非常にちっちゃい国なので、彼らは厳正中立でその仲介をするわけですね。  で、日本が、安倍総理の仲介の際のやり方というのはそうではなくて、日本って、日本自身がそれなりに特に経済面での大国でございますし、国際的な影響力がありますから、日本が持っているその力を使って、まあ細かい内容はお話しできないんですが、要するに、イランにとってメリットがあって、かつアメリカにとってもメリットのあるような提案をいたしました。  これが残念ながらうまくいかなかったのは、私の理解では、当時、まだトランプ第一期政権の対イラン制裁が始まったばっかりで、イラン側も特に経済的に体力があったもので、日本側の提案は非常に、実は、これは余り、実は貿易面での提案だったわけですが、非常に魅力的には映ったんだけれども、その詰めていく、私は、六月に安倍総理が訪問されて、同じ年の二〇一九年の十二月の、今度はロウハニ大統領の、当時のイランの大統領ですが、の訪問、この間、約半年間、現地でいろんな交渉をイラン側とやっていたんですが、結論として、イラン側は私の認識ではまだまだ体力があったもので、そこで結局、安倍総理の提案はイラン側が最終的にのまなかったと。最後、ぎりぎりロウハニ大統領が訪日して、総理官邸でまず会談が一時間以上延びて、その後の晩さん会は、余り仕事をしないはずだったのに、晩さん会もずっと延々と激しい議論をしましたが、結局、イラン側を説得し切れなかった。ただ、それは、繰り返しますが、あの段階ではイラン側もまだ経済的にそんなに困っていなかったというのがあって、恐らくあの安倍提案を一年後やっていたらイラン側はのんだんではないかと思います。  私は、実はイランに二年ほどおりましたが、とにかくめちゃくちゃ忙しくて、ほとんどイラン人とお付き合いをする暇がなかったんですが、恐らく一番会ったイラン人は、今、外務大臣やっていますアラグチ次官、失礼、今は大臣ですけど、当時は次官だったんですね。多分、私は彼に一番よく会ったと思います。  一番、私の外交官人生での一番の思い出は、アラグチ次官に何と朝の一時に会って、日本側の、安倍総理が来週行くんだけど、そのときの提案というのを伝えたときで、彼は本当に頭のいい人で、かつ人間的魅力にあふれていて、無防備に彼と話すとついつい彼の言うことを聞いちゃうんですね。でも、そこを我慢して、朝の一時に会って、三時ぐらいまで激しく彼と交渉しました。  イラン人というのは、やっぱり非常に、さっき私の発言でも申しましたように、非常に頭のいい人たちで、それで合理的な人たちです。ただ、同時に、七世紀かな、八世紀かな、最後のササン朝ペルシャという大帝国が滅んでから、どちらかというと周りの国に干渉されることが多くて、自分たちは不当に扱われているという感覚も強いと。だから、理性的な人たちなんですが、自分たちはどうしてこんなにひどい目に遭わされているんだという、そういう感情も非常に強い人たちですね。だから、そこをうまく、我々も話すときはバランスを取っていかなきゃいけないと思います。  今日、今申し上げたとおり、日本は、じゃ、今の高市政権が何かできるかといえば、まず第一に、先ほど高良先生の御質問にお答えしたとおり、現状ではまだ、アメリカの望むものとイランの望むものを両方満足させるというのはまだ難しい状況でございます。ただ、今後、何かそういう事態が起きそうになったときに、日本は、特にイラン側から頼られやすいというそのメリットを生かして、何らかの活動ができるかもしれません。ただ、それにしても、やはりまず第一にはトランプ大統領から持ちかけられるというのがいいかなと現実的には考えます。  以上でございます。

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