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森田健晴 ·積水ソーラーフィルム株式会社取締役・エグゼクティブフェロー

参議院資源エネルギー・持続可能社会に関する調査会(2026-04-15)での発言

第221回国会 ·第第2号号 ·7,957字
○参考人(森田健晴君) 積水ソーラーフィルムの森田と申します。  本日は、貴重な場を与えていただきまして、ありがとうございます。  それでは、フィルム型ペロブスカイト太陽電池の開発と社会実装に向けた取組についてお話しさせていただきます。(資料映写)  まず、ちょっと簡単に私の自己紹介をさせていただきますと、積水化学に入りまして、元々は材料屋として研究所の方にいたんですけれども、二〇〇九年からNEDOの新エネルギー部、太陽電池のグループの方に出向しまして、それをきっかけに、二〇一一年以降、太陽光発電の開発の方に携わってまいりました。今日お話しさせていただくペロブスカイト太陽電池は二〇一三年から、今で十三年ぐらいになりますかね、スタートから私がやってきた開発になっております。  本日、このような流れでお話しさせていただきます。  まず最初に、積水化学の御紹介をちょっと簡単にだけさせていただきます。このような会社になっていまして、売上規模は一兆三千億ぐらいで、営業利益一千億ぐらいの会社です。  弊社、当初から社会課題解決への挑戦という歴史がございまして、ここに真正面から取り組んできたということで、古くはちょうど一回目の東京オリンピックの頃になると思うんですけど、町からごみをなくそうということで、あのプラスチックのポリペールと言われる、よく見かける水色のごみ箱ですね、を開発するところから、その後は、住宅問題が深刻化したときには、工業化住宅ということでセキスイハイムというものを御提案させていただいたりということで、ずっとこのような形で社会課題を中心にやってきております。今日お話しさせていただくペロブスカイト太陽電池の前に、住宅の屋根にシリコンの太陽電池を載せていくというところを本格的に事業化したのも弊社ということで、こういう形でずっと社会課題に正面から向き合ってまいりました。  イノベーションによる初進出例ということで、結構、社会課題を捉えていく中で、現存する事業とか技術だけではなかなか厳しいというところを様々な角度からこのような形で展開してきております。  弊社、このような形で四つの分野、レジデンシャルというのは住宅部門になりますけれども、それ以外にもイノベーティブモビリティー、自動車関係とか飛行機関係、あるいはアドバンストライフライン、最近問題になっておりますような下水道の老朽化に関わるようなところとか、そういったところも社会課題、最近でいうとライフサイエンスということで、細胞培養とか、そういった領域にも入り込んでいくという形で、社会課題をこういう三つの分野と、それからコーポレート、新しい、その中に入らないような新しいものに関してはコーポレートの中でやってくるという形になっております。  二〇二〇年に、二〇三〇年に向けた長期ビジョン、Vision二〇三〇というのを設定しまして、二〇三〇年までに社会貢献を二倍にして売上げを二倍にするというような形で各領域にターゲットを据えて取り組んできております。  事業としてという部分はあるんですけど、基本的には技術で勝つというところがございまして、二十六の技術のプラットフォームというのを設定しまして、この技術のプラットフォームを軸に際立つ技術で新しい事業に取り組むという形で各分野それぞれ進めてきております。  私が始めましたペロブスカイト太陽電池も、元々私が高機能プラスチックスカンパニーというところにおりまして、材料の専門だったんですね。そこから材料を固めていく段階で、差別化していく技術を集めていくことによって、最終的に太陽電池の形になったというところでございます。  このように、住宅カンパニー、環境・ライフラインカンパニー、高機能プラスチックスカンパニーとあって、それぞれの事業領域と、RアンドDというコーポレートの組織ということで、まさにこの我々今取り組んでおりますペロブスカイト太陽電池というのは、この材料と住宅に関わるような、建物に付けていくような技術と、それから、環境を、環境配慮ということで、公共エリアを中心に展開していくという環境・ライフラインの考え方、そういったものを盛り込んで展開しているという状況です。  ここからがフィルム型ペロブスカイト太陽電池の開発のところに関わっていくんですけれども、環境課題というところを中心に据えてやっておりまして、二〇五〇年の生物多様性の保全された地球ということで、ネイチャーポジティブを目指して、気候変動、資源循環、水リスクというところにフォーカスして、それぞれの技術開発を進めております。  GHG排出削減のロードマップということで、先ほどのお話にもありましたように、パリ協定の一・五度の目標というところも掲げまして、製品あるいは製造プロセスで関わってくるCO2削減はもちろんなんですけれども、サプライチェーン全体での環境配慮というところにも力を入れておりまして、その中で事業を立ち上げていくということで、今回のペロブスカイト太陽電池も、ペロブスカイト太陽電池の製品そのものだけではなくて、製品のスタート、作る原材料から最終の廃棄に至るまでトータルで環境貢献していくというスタンスで進めております。  こちらが政府の方の再生可能エネルギーの拡大に向けた取組ということで、エネルギーの基本計画の方が見直されまして、再生可能エネルギーの目標比率、それから太陽光の比率というのがかなり大きな挑戦的な数字になってきておりまして、二〇四〇年には二十ギガワットを達成していくということで、それに対して、現状を見たというところなんですけれども、現在、日本の平地面積当たりの太陽光設備の容量というのが世界で断トツで一番多いということで、その結果、メガソーラーによる環境破壊の問題とか、そういった問題が出てきているということで、増やさないといけないんですけれども、いろいろ課題が出てきているという状況でございます。  その中で、弊社が今取り組んでおりますペロブスカイト太陽電池の位置付けなんですけれども、実はこの太陽電池、まだまだ新しい太陽電池ということで、これだけたくさんのいろんな種類の太陽電池がある中で、市場を占めているのは九〇%以上がシリコン系の太陽電池なんですけれども、ペロブスカイト太陽電池というのはまだ、日本発の技術と言われていますけれども、二〇〇九年頃に、最初に作られたときというのはまだ変換効率が三、四%だったんですね。そこから始まって、それを、元々、液体の色素増感太陽電池というものの中に取り込まれているようなもので、液体だったので余り展開ができなかったんですけど、それが二〇一二年に固体型という形で報告されてから研究が一気に加速しまして、現在、二六%から、論文レベルでいうと二七%の変換効率まで出てきている状況です。これは、従来のシリコン太陽電池の最高効率にほぼ追い付いた、あるいは追い抜いたという状況でございます。このように変換効率が年々上がっていっているという状況でございます。  ペロブスカイト太陽電池の種類なんですけれども、フィルム型、ガラス型、タンデム型という形で種類がございます。弊社で取り組んでおりますのはこのようなフィルム型に特化しておりまして、私が始めたときにも、もうシリコンのガラス型というのはもうある程度の市場があって、そこについては、サプライチェーンも含めてかなりの部分、もう海外の方に取られてしまっているという状況ですし、これから日本のどこに置いていくんだということを考えたときに、これはもうフィルム型しかないだろうということで、弊社としてはここに特化して進めております。  世界の競争、結構激化はしているんですけれども、他国ではガラス型の方が中心になっていると。これは、従来のシリコンのサプライチェーンを押さえながら、その上に乗せていく。場合によってはこの右にありますようなタンデム型という形でペロブスカイトを乗せることによって、シリコンよりも更に上までの効率が狙えるということで注目されているんですけれども、そもそも、ガラスを使ってやっていくということではやっぱりコスト的にも限界があるということで、我々は得意とするフィルム型に特化してということで、軽くて薄くて曲げられるというところでやっております。  これが、そういう、その使い方として便利だなという、使いやすいな、どこでも置けるなというだけじゃなくて、実は原材料の、主原料のヨウ素というのが国内で賄えるということで、現在、生産量としては世界で二位、埋蔵量としては世界一位と言われているヨウ素ですね、これがほとんどが千葉で取れるんですけれども、そこの原材料で賄えると。安全保障上、心配ないということで、主成分を、主原料を国内で賄ってやっていけるという状況です。  ただ、これ、主原料が国内で賄えるというだけじゃなくて、かなり省資源というところで、もう見ていただいて分かるように、かなり薄いんですね。実際、太陽電池としては一ミリから三ミリぐらい、従来のシリコンの太陽電池に比べると、本当に十分の一か二十分の一というところでかなり薄くて、重さも十分の一以下ということでかなり軽いということで、省資源というところが一つの強みかなと思っています。これは非常に大きくて、原料の供給から最後の廃棄に至るところのコストもかなり抑えられるということで、変換効率は同じレベルを目指せる。  現在のところ、まだ耐久性がシリコンの太陽電池には追い付いていないんですけれども、要素技術としてはほぼ二十年というところまではもう弊社の方で達成していますので、将来的にはシリコンに遜色のないレベルに持っていけるかなと思っています。  この技術開発、もう既に経産省様、NEDO様の御支援をいただいておりまして、メーター幅での技術開発というところに進んでおりまして、製造技術というところにもう来ております。事業化にかじを切るということで進めておりまして、ただ、これ、先ほど申しましたように、太陽電池そのものは簡単に、簡単な軽いものになるんですけれども、最終的には先ほどのお話にもありましたようにコスト、発電コストを下げないといけないということで、太陽電池が軽くて持ちやすくてということになると、結局、その流通に関わるコスト、それから設置に関わるコスト、メンテナンスに係るコスト、あるいは廃棄に関わるコスト、そういったところをどんどんどんどん下げていけるということで、そういったところも強化して、社内だけでは無理なので、社外連携を強化して進めているという状況です。  研究開発の方も、グリーンイノベーション基金、これも国の補助を受けまして、要素技術のところについては各大学、研究機関と加速して進めております。変換効率、耐久性というところが非常に重要なポイントでして、耐久性が倍になれば発電コストは半分になります。変換効率が一割上がれば結局発電効率も一割下がるということで、ここは追求し続けないといけないと。  さらに、現状、製品化間近というところで、製品化の段階で重要なのは、耐久性の加速試験というところで、加速係数を出す。実際十年もつのか二十年もつのかというのが、現在、今我々評価しているのは加速試験でしか評価できていないので、そこを実際の耐久性と合わせて実際どこまで本当にもつのかというところの加速係数を出すと。これが結局保険とか保証というところに直結しますので、非常に重要ということで進めています。  先ほどからお話ししていたフィルム型ペロブスカイトの太陽電池の概要をまとめますと、このような形でシリコンに比べて軽くて薄くて曲がるというところでございます。  現在、技術がどこまで来ているかなんですけれども、先ほどお示ししました三十センチ幅、今日持ってこれるのが三十センチだったので、それでお示ししましたけれども、現在、工場の方の製造というところではメーター幅で製造技術をつくっておりまして、ようやく二五年のところでメーター幅の技術開発が完了しまして、現在、更にそれを量産に持っていく、製品性能の向上と生産効率の向上というところに向かって進めている状況です。  今のところ、このセルの、ロール・ツー・ロールという言い方しているんですけれども、フィルムで連続で作って、セルとしては数百メートル一気に作ると。で、最終的には、現在のところモジュールの形でメーター掛けるメーター、あるいは数メーターという形のモジュールにして提供するという形になっているんですけれども、将来的にはこれがどんどんどんどん長尺になっていけばどんどん施工費用も下がっていくという状況です。  なぜここまで加速できたかというと、これは弊社のとんがった技術、差別化技術のところになるんですけれども、封止樹脂の技術がございます。  ペロブスカイト太陽電池って変換効率はすごく注目されているんですけど、実は耐久性が極めて低いということで、水分、湿度に非常に弱いんですね。当初、我々研究開発を始めたときには、翌日にはもう劣化してしまうという状況でして、そこを何とかしないといけないということで苦しんでおりました。そこを、弊社、液晶ディスプレーの封止の技術とかありましたので、そういった技術を使って展開していって、湿度から守れる技術ができたと。そういうのができてくると、連続で作っていけるようになっていくということで開発が進んだと。実は、湿度だけじゃなくて光にも弱いというところがありまして、そういったところも材料の技術でそこをクリアしていったと。それができて、量産に向けた連続で作れるようになったので、その製造ノウハウというのも蓄積できてきたということで、フィルム型については現在のところ追従を許さない、我々が先頭を引っ張っていっている状況かなというふうに思っています。  こうして連続で作れることによって、社会実装に向けた実証実験というのを始めております。当然、これ量産していかないとコストが下がらないということで、まずコストを下げていくためには大面積に展開していかないといけないということで、できるところに置いていく、ちっちゃく置いていくというよりは、CO2が削減できる公共エリアにどんどん置いていこうということで、公共エリアのところにどんどん今展開していっています。  そういう中でも、スタートをどこから行くかというところで、軽量屋根、この左下にありますような軽量屋根、体育館とか工場の屋根というところを目指して、現在、社会実装、実証を強化しております。  これ、広島サミットは二三年の方で最初に出させていただいたものですけど、こちらにありますように、大阪・関西万博の方でも西ゲートの方に総延長一キロ、一キロぐらいのバス停があったんですけど、そのうちの照明、二百五十メーターに太陽電池を置きまして、夜間の電力を全てこれで賄ったということで、半年間、問題なくこれで進めました。  あと、この近くになりますけど、内幸町の方で今再開発ということでビルが建っていっていますけれども、ここでも、ビルのところに各フロアとフロアの間のスパンドレルという防火区画がございまして、そこに、これ特徴的なのが、外に太陽電池を付けるんじゃなくて室内からはめ込んでいくという形で、設置だけじゃなくて、先ほど申しましたように、メンテナンス、交換といったところもコストを下げていかないといけないということで、そういったところもこの実証の中でやっていっております。目指すところとしては、これでメガソーラー、千キロワット分を設置できないかなということで進めております。  こちらの方は、弊社の本社、大阪の本社のビルのところに使っているんですけれども、メーター角の太陽電池を四十八枚ということで設置して、その性能を確認しながら、実際電力としても使用していると。  こちらが今強化しようとしております体育館の屋根のところになります。まずは、まだスタート、コストが掛かりますので、防災拠点というところで、電気がないと困るところというところをまず先行してやらしていただいていますけれども、学校とかですと、昼、コロナ以降、電力がなくて困っている、電気代が高くなって困っているというようなところにふだんは使いながらも、有事のときには皆さんが逃げ込むところの電力の供給とか、そういったところなんかが一つあるかなということで進めさせていただいています。  こういう形で、どんどん大面積を置いていくことによって我々の量産コストというのがどんどん下がっていきますので、最終的には、設置コストとか廃棄コストとか全てを入れて、従来の太陽電池よりも安いところを目指していくというところでございます。  このように、これは東京国際ターミナルのところに張っていますけれども、単なる平らなところだけじゃなくて、曲がったところ、壁面とかいろんなところに展開していけるということで、こういうところにいろいろ実証をやりながら、費用対効果ですね、やっぱり設置コスト、メンテナンスコストもトータルで見たときに、一番経済性が達成できる、費用対効果が良いところ、そういったところに展開していくと。そういうところにどんどん展開していくことによって、トータルのコスト、どんどんどんどんまだこれから下がっていくと思うんです。それによって、どんどん社会実装を進めていくと。  弊社としては、一ギガワット級を超えれば、そこを超えれば、もう国の補助なしで独立してしっかりやっていけるところを目指したいと。そこまで行かないとやっぱり世界に打って出れないと思いますし、その辺を事業化という形でしっかりやっていきたいなと思っております。  昨年の一月に積水ソーラーフィルムという会社をつくりまして、ここには日本政策投資銀行様からの出資も入りまして、将来的にはオールジャパンでサプライチェーン、国内の強い材料、技術とかそういったものを入れ込みながら展開していくような事業にしていきたいと考えています。現在のところ、積水化学から基礎技術は取り込みながら、製品設計から販売のところを中心にやっていきますけれども、将来的には、この川上、川下といったところのサプライチェーンもいろいろ一緒に連携しながら、国のためにしっかり貢献できないかなと考えています。  政府の施設への率先的な導入ということでも、経産省様を始め、国交省様、環境省様、その他の省庁様にも御協力いただきながら、いろいろ展開を広げていくということで、官民協議会とか、こういったものも立ち上げていただきながら、早く社会実装に向かって持っていくと、それによってコストも下げていくということで進めております。  こちらにありますように、三月に事業開始ということで発表させていただきまして、元シャープの堺工場を引き受けまして、ここで、これから百メガワット、あるいは、そこから一ギガワットを目指して進めていこうということで事業開始を発表させていただいております。  これからも、社会課題を未来に残さないということで、しっかり技術で勝負しながら事業で貢献していきたいと考えております。  以上です。ありがとうございました。

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