○藤井国務大臣 総務大臣を拝命いたしました藤井比早之でございます。
総務委員会の御審議に先立ち、所信を申し述べます。
まず、令和八年熊本地震、令和八年八月千葉豪雨、令和八年台風第二十五号を始めとする全国各地での災害により亡くなられた皆様に哀悼の誠をささげますとともに、被災された皆様に対し、心よりお見舞いを申し上げます。
令和八年熊本地震への対応につきましては、消防では、発災直後に緊急消防援助隊の出動指示を行い、最大九県から出動し、地元消防と合わせて、最大千四百人規模で、人命救助や救急搬送等に全力で取り組みました。
また、これまで、全国の四十六都道府県、十九指定都市から、一日当たり最大で約九百人の職員が応援に入り、避難所運営等の業務を担っているほか、今後の復旧復興に向け、三十六都道府県及び十六指定都市から、百十五名の技術職員の中長期の派遣の調整を完了いたしました。
ライフラインである通信、放送に関しては、固定回線、携帯電話サービス、放送サービス共に既に支障が解消しております。その上で、避難所や地方団体の現場における通信機材、放送受信設備等の貸出し等の取組を含め、引き続き、官民の連携により、現地のニーズを踏まえた対応を進めます。
財政面からは、多大な被害を受けた地方団体に対して、普通交付税の繰上げ交付を行いました。
今後も、復旧復興に必要な財政需要を的確に把握し、適切に地方財政措置を講じてまいります。
また、熊本県が今後設置する復興基金に対して、特別交付税措置を講じます。
あわせて、特定非常災害の指定を受けた許認可の有効期限延長の促進などに取り組むとともに、特別行政相談では、生活支援情報をまとめたガイドブックの避難所等への配布、相談所の開設などを通じた被災者からの相談対応を行っております。
今後とも、政府の策定した被災者の生活となりわい支援のためのパッケージに盛り込まれた総務省施策を通じて的確に対策を講じてまいります。
令和八年八月千葉豪雨、令和八年台風第二十五号等への対応も含め、引き続き、総務省の総力を挙げて、被災地の復旧復興に全力を尽くしてまいります。
総務省は、国民生活に広く密接な関わりのある幅広い行政分野を所掌しております。
人口減少や少子高齢化など、我が国が様々な課題に直面している中、私は、国民の皆様の声にしっかりと耳を傾けながら、必要な政策を一つ一つ着実に進めてまいります。
高市総理の所信表明演説にもあるように、経済の力で、国民の皆様の暮らしを守り、希望ある未来を切り開くため、総務省全体として、AXを通じた強い経済と持続可能な地域社会の実現に向けて取り組みます。
これにより、危機管理投資、成長投資等を推進するとともに、地方の景色を一変させようという地方団体のあふれんばかりの情熱と挑戦を支え、地域未来戦略の実現に貢献してまいります。
以下、特に力を入れて取り組みたい政策の方向性について、一端を申し述べます。
まず、AI社会を支える情報通信基盤の整備とAIの徹底利活用による成長力強化、経済安全保障の確保に取り組みます。
本年七月に閣議決定された日本成長戦略においては、総合的に支援すべき十七の戦略分野の一つとして情報通信が挙げられております。情報通信はあらゆるインフラの中のインフラであり、総務省としては、AI社会を支えるデジタルインフラへの官民投資を進め、強い経済の実現と経済安全保障の確保に取り組みます。
具体的には、オール光ネットワーク、海底ケーブル、5G、光ファイバー、量子暗号通信等の研究開発や国際標準化、さらにはその整備などを進めるとともに、通信インフラと電力インフラが高度に連携する、いわゆるワット・ビット連携によるデータセンターの地方分散を進めます。
また、経済安全保障上重要な我が国の国際海底ケーブルの自律的な供給体制を確保するため、敷設、保守体制や防護策の強化、多ルート化等を進めます。
さらに、国際競争力強化のため、衛星光通信や量子通信等の最先端通信技術の開発を強化するとともに、今後市場として立ち上がる衛生光地上局ネットワークの整備を進めます。
また、情報通信分野のスタートアップの創出、育成を促進します。
FOIPデジタル回廊構想の実現に向け、インド太平洋地域のデジタルインフラ整備を支援するとともに、我が国企業の海外展開を推進します。
世界規模でAIの開発競争が激化する中、我が国が国際的なルール作りを主導する広島AIプロセスに関し、賛同国、賛同企業の拡大等を図り、安全、安心で信頼できるAIの国際的な普及に積極的に取り組みます。
あわせて、国内の事業者等による信頼できるAI開発力の強化を支援するため、情報通信研究機構においてAIの信頼性を評価する能動的評価基盤に関する研究開発及び良質な日本語データの整備、拡充を強力に推進します。
地域未来戦略等に基づき、地方の大きな伸び代を成長に転換すべく、地域AXを推進します。特に地域への波及度の高い中堅、中核企業におけるAI導入を一気呵成に進めるための支援の強化や、AIを活用した地域密着型の新規事業の立ち上げを支援します。
我が国の放送コンテンツについて、海外展開の拡大を図るための制作支援や海外配信、人材育成に取り組むとともに、取引の適正化を促進するなど、制作、流通環境の整備を強力に推進します。
第二に、信頼できる情報通信環境の整備を進めます。
インターネット上では、偽・誤情報や、誹謗中傷等の権利侵害情報が流通、拡散し、深刻な課題となっております。
引き続き、情報流通プラットフォーム対処法の着実な運用を通じて、事業者による削除対応の迅速化や運用状況の透明化を図ります。
また、関係事業者や団体と連携した幅広い世代のリテラシー向上に関する取組や偽・誤情報等への対策技術の開発等の総合的な対策を進めます。
一層複雑化、巧妙化する詐欺等への電気通信サービスの不正利用を防止するため、国際電話等を悪用した特殊詐欺対策の強化など、必要な対策に取り組みます。
深刻化するサイバー攻撃の脅威に対しては、情報分析を強化しつつ、AIも積極的に活用してサイバーセキュリティーに関する人材育成や研究開発等を推進し、政府機関や重要インフラ事業者等の対処能力の向上を図るとともに、データの安全性、信頼性の確保に取り組みます。
地方団体においても、AI性能の高度化への対応や、サプライチェーンリスク対策を含めたサイバーセキュリティー対策の更なる強化を図ります。
多様化する情報空間の中で、取材や編集に裏打ちされた信頼性の高い情報発信が期待される放送について、その成長と持続可能性の確保に向けて更なる検討を進めます。
第三に、活力ある地域社会と健全で持続可能な地方行財政基盤の確立に取り組みます。
関係人口を可視化し、地域の担い手確保や活性化につなげるふるさと住民登録制度について、国民の皆様に活用いただけるよう、引き続き、モデル事業やシステム開発を着実に進め、今年度中に制度を開始できるよう取り組みます。
地域おこし協力隊について、隊員数一万人を目標に、戦略的な情報発信や隊員へのサポート体制を強化するとともに、地域活性化起業人については、オンライン上のプラットフォームも活用し、地方団体と企業、個人とのマッチング支援を強化します。
また、過疎地域の集落機能の維持、活性化等に向け、支援します。加えて、特定地域づくり事業協同組合や地域運営組織を支援します。
こうした取組を通じ、地方の大きな伸び代を生かし、地域活性化施策を推進します。また、地方税制について、地方税の充実確保とともに、都市も地方もお互いに支え合うという基本的考えに立ち、偏在性の小さい地方税体系の構築に向けた具体的な取組について検討を進めます。
物価上昇を上回る賃上げを実現し、地域経済の活性化を図るため、地方団体の発注において適切に価格転嫁が行われるよう、取組の進んでいない地方団体に対する個別の助言や改善要請、フォローアップ等を行います。
地方団体のAX、DXを推進するとともに、マイナンバーカードの取得、更新や、システム標準化、人材の確保、育成を進めます。
地域交通や物流の確保等に資する自動運転の社会実装に向けては、自動運転を支える通信インフラの強化と実証等を通じた需要創出を一体的に推進します。
現在、地方制度調査会において、行政サービスの持続可能性を確保するため、国、都道府県、市町村間の役割分担や大都市制度について審議されており、総務省としても、市町村間の広域連携や都道府県による補完などの推進に取り組みます。
広域リージョン連携については、既に八地域において宣言が行われ、各プロジェクトが開始されており、引き続き、関係省庁と連携して取組を支援し、地域の成長を促します。
地方公務員制度については、遺族補償年金における受給資格者要件の見直し等を行う地方公務員災害補償法及び地方公務員等共済組合法の改正案を今国会に提出しております。
令和九年度の地方財政については、人件費の増加や物価高等が見込まれる中で、地方団体が様々な行政課題に対応しつつ行政サービスを安定的に提供できるよう、骨太の方針二〇二六を踏まえ、交付団体を始め地方の安定的な財政運営に必要となる一般財源総額について、令和八年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保します。
また、国における経済の成長力強化と名目の経済規模の拡大にふさわしい予算編成への転換に対応しつつ、発注における適切な価格転嫁が行われるよう、経済、物価動向等を的確に反映します。
飲食料品の消費税率の臨時的な引下げについては、地方消費税の減収額の全額を地方特例交付金により補填するとともに、必要な地方交付税総額を適切に確保します。
また、就業者負担軽減支援金の支給に要する費用の地方負担については、支給事務を担う市区町村に対し特別交付金を交付するなど、地方の財政運営に支障が生じないよう、適切な措置を講じます。
第四に、防災・減災、国土強靱化の推進による安全、安心な暮らしの実現に取り組みます。
地震、豪雨、林野火災等、全国各地で大規模な災害が相次いで発生する中、消防の果たす役割はますます増大しており、緊急消防援助隊や常備消防の体制強化、消防団を中核とした地域防災力の向上に全力を挙げます。
大規模な災害への備えと併せて、CBRNE災害に対し、より迅速かつ安全な対応ができる態勢の構築に取り組みます。
全国で展開しているマイナ救急の機能拡充に加えて、AI等の新技術の活用等による消防AX、DXを推進します。
また、Jアラートの的確な運用や、弾道ミサイルを想定した住民避難訓練等により、国民保護体制の整備に万全を期します。
携帯電話基地局や放送施設等の通信・放送インフラについて強靱化を進めます。
また、被災地における通信確保や被災状況の把握について、引き続き、官民で対応する体制の強化に取り組みます。
災害情報を共有するLアラートについて、国が運用主体となることを見据え、信頼性、安定性、継続性等の強化に向けたシステム整備等に取り組みます。
東日本大震災や令和六年能登半島地震等の大規模災害からの復旧復興に向けた地方団体間の職員派遣にも引き続き取り組みます。
今後の災害においても、被災団体の財政運営に支障が生じないよう、地方財政措置を適切に講じるとともに、人的ニーズもよくお伺いしながら、必要な支援を行います。
さらに、災害発生時に行う特別行政相談では、今後設置される防災庁を含む関係機関との連携を図りつつ、被災者支援活動を展開します。
平時の行政相談についても、国・地方共通相談チャットボットの機能改善による利便性向上や、地方団体等と連携して地域の困り事の解決を図ります。
第五に、国の土台となる社会基盤の確保を進めます。
郵政事業については、ユニバーサルサービスを確保するとともに、地域の重要な生活インフラとしての郵便局の役割を拡大し、持続可能な地域づくりを推進します。
特に、本年六月に成立した郵政民営化法等の改正法の施行準備を進めます。
また、郵便事業の安定的な提供に向け、サービスの在り方等について、利用者ニーズを踏まえつつ検討を進めるとともに、地域住民の生活の支援の拡大に向け、更なる郵便局ネットワーク等の活用に取り組みます。
選挙については、今後とも、主権者教育の推進や投票環境の整備に取り組みます。
また、政策評価、行政運営改善調査、行政相談の各機能を連携させ、各府省の政策立案やその改善の取組を後押しします。
さらに、公務の担い手不足や複雑高度化する行政課題に対応するため、AI活用を前提とした府省共通の業務の見直しや行政手続のルール整備、独立行政法人の運営改善の促進等を通じ、安定的で質の高い行政運営を実現します。
公的統計の持続的な品質確保を図るため、時代の変化を踏まえた調査員調査の見直し、報告者負担の軽減、統計の提供方法の改善など、改革を進めます。
また、現在実施している社会生活基本調査や毎月の経常調査など、各種政策の基盤となる統計調査を確実に実施し、正確な統計データの提供に努めます。
以上、所管行政の当面の課題と政策の方向性について申し上げました。
政務、事務方が一丸となって全力で取り組んでまいります。
委員長を始め理事、委員各位の御指導と御協力をお願い申し上げます。(拍手)
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