参議院デジタル社会の形成及び人工知能の活用等に関する特別委員会(2026-10-23)での発言
第222回国会
·第第2号号
·3,805字
○国務大臣(古川俊治君) ありがとうございます。
デジタル大臣、AI・デジタル改革推進担当大臣、コンテンツ戦略担当大臣並びに知的財産戦略、科学技術政策、宇宙政策、人工知能戦略を担当する内閣府特命担当大臣として、所信の一端を申し述べます。
人口減少、人手不足に直面する中で、経済成長の実現や公共サービスの維持強化を図るためには、AIやデジタルの徹底活用による社会変革を強力に推進することが必要です。
本年七月に改定された人工知能基本計画を踏まえ、信頼できるAIで社会全体を駆動する日本AXに取り組みます。課題解決と国力強化を探求し、日本独自の価値を創出してまいります。
社会全体のデジタル化の司令塔として、AI・デジタル改革推進会議を開催し、年末までに、AXの具体像、AXに対応した規制・制度改革を進めるための原則等を取りまとめるとともに、医療、介護、交通、教育、子育てなど、暮らしのあらゆる場面でAIの社会実装を加速することで、AIによるリスクの最小化を前提に、AX、DXの恩恵が行き渡る社会の構築に取り組んでまいります。
さらに、高性能AIの登場などの技術進歩により複雑化かつ深刻化するリスクへの対応等を実効的に行うため、AI法を含めた制度等を能動的かつ不断に見直すとともに、高性能AIのガバナンスに関する国際的な議論を主導してまいります。
デジタル庁は、約十八万人の政府職員が利用可能なガバメントAI「源内」を通じて、AIエージェントの利用が可能な環境を提供し、政府業務の省力化、質の向上をより一層推進するとともに、国内で開発されたAIモデルの積極活用を進め、国産AIへの民間投資や我が国のAI自律性の確保に貢献してまいります。
加えて、AIの政府調達・利活用に関するガイドラインに基づき、政府におけるAIの効果的かつ安全な利活用を進めるとともに、AIエージェントに対応するルール作りを進めてまいります。
サイバー攻撃は日々高度化し、政府情報システムへの脅威も増大しております。また、ガバメントソリューションサービス、通称GSSに対するサイバー攻撃により政府職員等の個人情報漏えいの可能性が生じた点については御心配をお掛けしているところです。政府のAX・DX基盤等における多層防御の強化や監視、検知能力の向上に不断に取り組み、サイバーセキュリティーの向上に丁寧に取り組んでまいります。
マイナンバーカードは、対面、非対面を問わず、確実、安全な本人確認、本人認証ができるデジタル社会のパスポートです。保有枚数も一億枚を超え、主要な本人確認手段として官民の様々な場面で利活用が進んでいます。今後も、利用シーンの拡大と併せ、スマートフォンのマイナンバーカード機能の搭載やマイナポータル機能改善などによる利便性向上に努めるとともに、これらの周知、広報を進めてまいります。
医療DXについては、医療機関等の間における情報共有の円滑化を図るため、標準型電子カルテの開発、普及や民間電子カルテの認証制度の構築を推進します。
マイナ保険証は、医療DXの基盤として国民の皆様が健康・医療情報に基づくより良い医療を受けることを可能とするものです。スマートフォンのマイナ保険証としての利用についても、利用可能な医療機関等が順次増えているほか、マイナ保険証と公費負担医療の受給者証の一体化の推進など、今後もマイナ保険証のメリットを増やしてまいります。
これら、医療現場や国民の皆様が利便性を早期に実感できる取組を引き続き関係省庁と連携して進めてまいります。
防災DXについては、令和八年熊本地震の発災翌日から、災害派遣デジタル支援チーム、通称D―CERTを熊本県へ初めて派遣し、被災自治体の災害対応をデジタル面から支援いたしました。この経験を踏まえ、防災DXの取組を一層推進してまいります。
事業者向け行政手続については、検索から申請準備まで行うことができるGビズポータルを起点として事業者が円滑に手続を行える環境の準備を進め、認証機能のGビズIDや、行政機関への電子申請窓口であるe―Gov、補助金の申請システムであるJグランツ等を利用したデジタル化を推進します。
地方公共団体の基幹業務システム標準化については、移行期限の令和七年度末までに対象システムの約七割が移行し、本格的な運用が始まりました。引き続き、特定移行支援システムの早期の移行に向け丁寧に対応するとともに、運用最適化支援事業費補助金も活用して、国と地方が協力して運用経費の抑制、適正化に取り組んでまいります。
就業者負担軽減支援金については、支援額の算定ツール、給付支援サービス、公金受取口座登録システム等の国の情報システムの提供を行うことで、デジタルを最大限活用し、制度の円滑な導入、実施と地方の給付事務の負担軽減を可能な限り実現してまいります。
ガバメントクラウドについては、国内事業者を始めとした各事業者のクラウドサービスの利用拡大を通じて我が国のデジタル産業の成長と競争力強化を後押ししてまいります。また、ガバメントクラウドの利用は、セキュリティーや耐災害性の向上に資する取組であることから、危機管理投資として積極的に推進してまいります。
信頼できるAIの開発や利用、データを活用した経済成長、イノベーションを実現するためには、信頼性のある自由なデータ流通、すなわちDFFTが不可欠です。我が国が主導して創設したOECD内の枠組みでの活動を始め、国内外における取組を通じ、DFFTの一層の具体化に向けてリーダーシップを発揮してまいります。
科学技術、イノベーションは、強い経済の基盤であり、国力の源泉です。
本年四月に開始した第七期科学技術・イノベーション基本計画は、知の基盤としての科学の再興、技術領域の戦略的重点化、科学技術と国家安全保障との有機的連携などを政策の柱としています。研究開発投資について、五か年で、政府目標を六十兆円、官民目標を百八十兆円と定めており、関係府省が一丸となって、イノベーションを生み出すための社会システムの再構築を進め、我が国が新技術立国となることを目指します。
特に、AI、量子、フュージョンエネルギー、バイオ、マテリアルなどの分野における戦略の推進、ムーンショット型研究開発制度、経済安全保障重要技術育成プログラム、南鳥島周辺海域のレアアース泥に係る研究開発を始めとした府省横断的な取組を行う戦略的イノベーション創造プログラムなどの戦略的な研究開発、国際卓越研究大学、地域中核大学の振興などの重点施策を推進します。また、日本版SBIR制度、スタートアップエコシステム拠点の形成、グローバル・スタートアップ・キャンパス構想実現に向けた取組の推進など、スタートアップの創出、育成によるイノベーション推進に取り組みます。加えて、科学技術外交を進めつつ、国際頭脳循環やオープンサイエンスを推進するとともに、研究セキュリティー・インテグリティーに関する対応にも積極的に取り組んでまいります。
また、安全性の確保が大前提という方針の下、原子力利用に関する基本的考え方に基づく原子力政策を推進してまいります。
宇宙分野は、これまで次世代の国家インフラと位置付けてきましたが、既に日々の暮らしや産業、安全保障に欠くことができないものとなってきており、国家間競争とビジネスが急速に拡大しています。我が国としても、早急かつ強力に整備すべき国家インフラと位置付け、大きく発展させていくことが重要です。
まずは、宇宙戦略基金等を活用し、民間企業や大学等による技術開発や実証、商業化に向けて、勝ち筋を見定めて集中的に支援します。また、今般、火星衛星探査機、MMXを搭載したH3ロケットの打ち上げに成功しました。火星衛星の起源の解明と、世界初の火星圏への往還技術の獲得を目指します。さらに、二〇三〇年代前半に我が国から三十件程度のロケット打ち上げ能力を確保することを目指し、打ち上げの高頻度化への支援、審査体制の整備などに取り組みます。準天頂衛星システムの十一機体制に向けた開発の加速のほか、衛星データの利用拡大、有人与圧ローバー開発の本格化などの取組を推進してまいります。
知的財産戦略については、イノベーションを活性化し、国際競争力を強化するため、知的財産推進計画及び新たな国際標準戦略に基づく施策を着実に実行するとともに、我が国の基幹産業であるコンテンツ産業を強化すべく、官民の英知の結集に向けた一気通貫の新たな支援法人の設立の検討や、知的財産の保護を支援するなど、各施策を関係省庁と共に推進してまいります。
健康、医療については、日本成長戦略や健康・医療戦略等を踏まえ、出口志向の研究開発マネジメントの強化、創薬力強化や感染症危機対応等を推進するとともに、医療データの利活用を更に円滑化するための制度改正の検討を進め、医薬品や医療機器等の研究開発の成果が国民の皆様にいち早く届くよう取り組んでまいります。
このほか、遺棄化学兵器処理を推進してまいります。
櫻井委員長を始め、理事、委員各位の御理解と御協力をお願い申し上げます。