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解説 6分で読める 2026-06-18

行政事業レビューとは何か

国の予算がどの事業にいくら使われ、何の成果を出したのか。これを事業1件ずつ、誰でも見られる形で公開している仕組みが「行政事業レビュー」である。名前は地味だが、日本の歳出を一次情報で追いかけたい人にとっては出発点になる資料だ。ここでは、それが何で、どう読み、SEISAKU DB がそこに何を足したのかを書く。

そもそも何のための制度か

国の予算は財務省が編成して国会が議決する。ただ、予算書に並ぶのは「○○費 ××億円」という大きな費目で、その中身が個々の事業としてどう使われたかは、予算書だけでは見えない。行政事業レビューは、この「中身」を各府省が自ら点検し、事業ごとの目的・予算額・執行額・成果指標・支出先を1枚のシートにまとめて公開する制度だ。いわば、国の事業の確定申告を国民に開示するようなものである。

目的は無駄の点検と説明責任にある。各府省が自分の事業を毎年棚卸しし、外部の有識者や国民の目にさらすことで、効果の薄い事業を見直す圧力をかける。仕分けの議論が一過性で終わらないよう、データとして毎年積み上げる狙いがある。

1枚のシートに何が書いてあるか

個々の事業レビューシートには、おおむね次のような情報が載っている。事業を読み解く軸になるので押さえておきたい。

  • 事業名と事業番号、担当する府省・部局
  • 事業の目的と概要
  • 当初予算・補正予算・執行額(年度ごと)
  • 成果指標(アウトプット/アウトカム)とその実績値
  • 資金の流れ(交付先・委託先・補助先などの支出先)
  • 点検結果と今後の方針(継続・縮小・廃止など)

このうち、外部の利用者にとって価値が高いのは予算・執行額の推移と支出先だ。「どの事業が膨らんでいるか」「公費が最終的にどの法人へ流れたか」が、ここで初めて事業単位で見える。

どこで公開されているか、なぜ読みにくいか

行政事業レビューシートは各府省と政府の公開サイトで閲覧できる。形式はオープンデータとして整備が進んでいるものの、実際に使おうとすると壁が3つある。

1つ目は省庁横断ができないこと。各府省が自分の事業だけを出すので、「同じテーマの事業を全省庁から拾う」には府省ごとに探して手で束ねるしかない。2つ目は年度横断がしにくいこと。同じ事業でも年度ごとに別ファイルになりがちで、5年分の推移を追うのは骨が折れる。3つ目は表記の揺れだ。支出先の法人名は正式名称や略称が混在し、同じ会社が別表記で出てくる。集計しようとすると、この名寄せで詰まる。

結果として、行政事業レビューは「公開されているのに、まとめて使うのが難しい」資料になっている。一次情報としての価値は高いのに、横断的な分析のハードルが高い。

SEISAKU DB が足したもの

SEISAKU DB は、この行政事業レビューを横断で扱えるように構造化した。2026年6月時点で 30,134事業を取り込み、FY2021〜FY2025の5年分23省庁を横断して検索・集計できる。府省の壁も年度の壁も越えて、テーマや支出先から事業を引ける状態にした。

とくに力を入れたのが資金の流れの名寄せだ。事業の支出先を法人番号で名寄せし、HOUJIN DB(全法人マスタ)とつなぐことで、「公費が最終的にどの法人に届いたか」を企業単位で集計できるようにした。表記の揺れを吸収したうえで、通過にすぎない事務局・受託分を除いた企業向けの純額を出している。この名寄せの結果、税金・補助金・公的調達を通じた企業向け純額は5年で¥24.0兆・1,702社と定量化された(通過分を除いた下限値)。

たとえば「ある政策テーマに紐づく国の事業を全省庁・5年分まとめて見る」「特定の上場企業が受け取った公的支出の内訳を事業単位で追う」といった、これまで手作業で1週間かかった調べものが、横断検索で完結する。

誰がこれを使うのか

主に4種類の利用者を想定している。

公共政策コンサルやシンクタンクは、政策提言や調査の根拠として「この分野に国がいくら、どの事業で投じてきたか」の一次データを必要とする。自治体ベンダーや公共営業を担う企業は、省庁の事業動向から次の調達機会を読む。投資家やIR担当は、公的支出の受け取り状況を銘柄分析や投資家説明の材料にする。報道や研究は、事業の予算推移や支出先を裏取りに使う。

共通するのは「国の歳出を、推測ではなく一次情報で確認したい」というニーズだ。AI に質問するときも、答えの裏付けとして行政事業レビューの実データを引けるかどうかが、信頼性の分かれ目になる。

関連する読みもの

行政事業レビューで見える「国の支出」と、国会で交わされる「議論の量」を突き合わせると、政策の言行不一致が見えてくる。その読み方は「議論×予算ギャップの読み方」にまとめた。SEISAKU DB が既存の政策サービスと何が違うのかは「SEISAKU DB が解決する8つの空白地帯」で書いている。

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