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北神圭朗 ·有志の会

衆議院憲法審査会(2024-06-13)での発言

第213回国会 ·第第10号号 ·2,559字
○北神委員 有志の会の北神圭朗です。  冒頭、中谷幹事が御提案された論点整理については、おおむね我々三会派の提案と共通していますので、基本的に賛意を示したいというふうに思います。  反対派からは、参議院の緊急集会が七十日を超えて平時と同じような活動ができ、こうした特例は要らないとの御意見がございます。  しかし、一つは、憲法五十四条一項を素直に読むと、解散による衆議院の不在期間が最長七十日であることは明白であること、二つ目には、緊急集会は同条二項の両院同時活動の原則の例外であるということ、三つ目には、七十日を超えるとした場合に、今、玉木委員からもありましたが、どこまでが限度か、合理的な基準がございません。その濫用のおそれがあります。  この濫用というのはどういうことかといいますと、一九四八年、第三回国会において吉田茂総理が、思いどおりにならない衆議院を解散して、緊急集会で何と予算の議決を図ろうとしたことを思い出すべきではないでしょうか。  他方、司法の客観訴訟については、有志の会は、最高裁判所が国会機能の維持の妥当性を判断する勧告制度をつくるべきだと提案させていただきました。何らかの司法の関与が必要だと思いますが、今の最高裁判所の体制やその意思の現状を踏まえると、次善の策として客観訴訟というものを検討するのも一案というふうに考えます。  もう一つ、憲法第五十三条について。三会派の案には、国会の臨時会の召集を要求した場合に係る期限を憲法上二十日以内と明記することとしています。我々の目指している改正の目的は、緊急時にいかに国会を機能させて、行政の暴走に歯止めをかけることであります。その意味では、国会議員が求めたら召集の期限を切ってちゃんと国会が開けるようにするのは当然と考えますので、引き続き議論をする必要があります。  いずれにせよ、中谷筆頭幹事から五会派の考えを整理していただいたことは一歩前進だと評価します。今後は、閉会中審査も視野に、起草委員会を早急に立ち上げていただき、具体的な条文案の作成に入ることを要望します。  反対派にも是非御参加をいただきたいと思います。思いますが、議論ももう尽くされています。参加がかなわなくても、憲法審査会の閉会中審査については全会一致の前例というものはないというふうに伺っておりますので、関係者にしかるべき決断を求めたいというふうに思います。  次に、ファクトチェックの話に移りますが、ファクトチェックと表現の自由の関係について意見を述べます。  言うまでもなく、表現の自由が極めて重要なのは、個人の自己実現のみならず、選挙などの民主的な意思決定の健全性を図るために、自由な情報流通に基づく対話が不可欠だからです。この考えの前提には、公の場で自由に議論をすることにより、必ず真理が虚偽に打ちかち、最後には最も合理的な結論に到達するというアングロサクソン的な信念があります。  これに必ずしも異を唱えるものではありませんが、しかし一方で、巨大プラットフォーマーの運営するSNS等の技術発展により、情報の自由流通、この前提が危機に瀕している現実にも目を向ける必要があります。  ソーシャルメディアを活用する者は、世界人口の六二%に相当する五十億人の大台を超えました。その多くがSNS等のニューメディアから情報収集を行っており、我が国でも、広告費はニューメディアがオールドメディアを上回っています。  その際、注意しなければならないのは、SNS等を運営するプラットフォーマーは、単に情報を右から左へと伝えるのではありません。彼らは、広告を効果的に利用者に届けるために、アルゴリズムに従って情報の流れを操作しています。つまり、SNS利用者にはその思想や思考によって特定の情報が集まるようになっています。これは表現の自由と民主的決定を結ぶ前提となる情報の自由流通とは言い難い状態です。  また、既存の報道機関では、少なくとも建前上は情報の客観性を求めるフィルターがかかっていましたが、ネットの情報はこうしたフィルターは必ずしもかかりません。信頼度の低い情報がリツイート等により大量に拡散しています。  この点、マサチューセッツ工科大学の研究チームが二〇〇六年から二〇一七年にツイッターで広がった約十二万六千件のニュースを調べたところ、いわゆる誤った情報、誤情報は正しい情報に比べて、リツイートされる可能性が七〇%高い、十回リツイートされるのが二十倍速かったとの結果が出ています。こういう誤情報の方が事実より新奇性が強く、面白いと分析されています。  こうした状況の中、言論の自由に重きを置く欧米諸国の当局が、我が国に比べてファクトチェック団体が数多く活動し、また、我が国にはないプラットフォーマーに対する巨額の罰金等の制裁型の法制度が整っているにもかかわらず、なぜ自らファクトチェックを行っているのか、考える必要があるのではないでしょうか。  私が思うに、一つは、そもそもプラットフォーマーのビジネスモデルが、アルゴリズムにより利用者に大量の情報とそれに伴う広告を届けることにあり、情報の客観性を保証する動機が低いこと。もう一つは、先ほど申し上げたとおり、SNS等の特徴として、偽情報は正しい情報に比較して拡散の速度が速く、同時に、これを訂正する情報の拡散は遅いこと。三つ目には、このようなSNSの隙をついて、中国やロシア等の権威主義国家が相手国の社会分断を謀る情報発信を助長していること。こうした事情により、偽情報の氾濫を放置すれば自国の民意が権威主義国家に操作されかねないとの危機感から、各国当局が自ら対策を講じているのではないでしょうか。  今後、国民投票広報協議会が事実を検証するという行為に値するファクトチェックを行うための議論を更に期待します。特に、いかなる事実検証の在り方であれば言論の自由への関与やその可能性が生じるのかについて検討を加える必要があると思います。国民投票広報協議会自らも責任を持って偽情報対策の有効性を高めることが重要であると申し上げて、私の意見を終わります。     ―――――――――――――

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