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奥田知志 ·特定非営利活動法人抱樸理事長

衆議院厚生労働委員会(2024-03-26)での発言

第213回国会 ·第第5号号 ·4,438字
○奥田参考人 皆さん、おはようございます。今御紹介いただきました、参考人として参りました奥田知志であります。  今日は、このような機会を与えていただきまして、ありがとうございます。  お手持ちの資料を要約しながら、少しお話をしたいと思います。  今回の改正において居住支援が非常に強化されるということ、そのことに私は非常に喜んでおります。また、全世代型社会保障構築会議においても、住まいの政策を社会保障の重要な課題と位置づける、そのようなことが確認されています。今回の改正はその第一歩であるというふうに理解をしています。  その上で、幾つかの意見を述べたいと思います。  まず、対象者についてですが、一時生活支援事業は、これまで、ホームレスの人たちが対象だ、そんなふうに捉えられてきましたので、自治体においては、ホームレスがいないから事業をしないという自治体がありました。しかし、住まいの確保はもう既に全世代型の課題となっていますので、今回、事業名が、一時生活支援事業から居住支援事業というところに広く受け止められたこと、あるいは自治体に努力義務を課したこと、この辺りの意義は大きいと思います。  しかし、生活困窮者自立支援法の対象者自体が、現に経済的に困窮している者という経済的な困窮に焦点が当てられた制度でありますので、ここからすると、例えば、経済的課題はないけれども単身の高齢者に関してはどうするのか、この辺りの対象者の枠づけについては課題が残ると思います。  さらに、自立支援法でありますから、自立という問題が解決したら終わるという期限付の制度であるわけでありますから、居住支援という、入居前の相談からいわば死後事務に至るまで一気通貫で行う、時間軸がちょっとずれているというか、違う枠でありまして、この辺りに関しても、対象者をどう包括的に今後捉えていくか。  ついては、第三条の定義についても、今後私は課題になるというふうに考えています。  次に、シェルター事業と地域居住支援事業についてですが、これもホームレスが対象であったために、シェルターが非常に狭小、相部屋、そのようなものが多かったです。ホームレスだからそれでいいというわけでは当然ないんですが、さらに今後、対象者が全世代に広がっていく中で、現在のシェルター仕様ではなかなか、ここに入ってもう一回頑張ろう、そういうのが難しいんじゃないか。特にホームレス自立支援センターにおいては、抜本的な改修等を考える必要があると思います。  シェルター利用の所得水準についても、所得の基準がありまして、その基準以下の人が入れるという構造になっていますけれども、今回は、緊急一時的な居所の確保ができるような加算が創設されましたので、このことは非常に意義が大きいと思いますけれども、それにしても、ならば、シェルター事業自体の所得基準について、もう撤廃するという方向で検討していただいてもいいのではないか。  さらに、地域居住支援事業の単独実施が可能になったことも非常に今回評価しております。しかも、利用期間の柔軟性を持つということで、一年過ぎたところで延長の議論ができる。ただ、これは非常に広がったんですが、これもやはり、入居から死後事務までという長いスパンを考えると、少し、これだけで対応するというのは大丈夫だろうかという心配があります。  その次に、居住支援における相談事業のことについてですが、スタッフの研修強化は当然のこと、大都市部においては居住支援の専門員のようなものを配置するということはどうだろうか。あるいは、この法律ではありませんが、重層的支援体制整備事業において、この居住支援の強化ということをどう考えるか。重層は、皆さん御存じのとおり四事業一体化の枠づけでありますから、困窮のみならず四つの、介護や子育て等々を含めた枠の中で居住支援をやる。これは、さっきのロングスパンの捉え方においても一致するのではないか、そのように考えます。  次に、無料低額宿泊所の届出義務ですが、これは貧困ビジネス防止の観点から有効だと思います。ただ、規制をするのは大事なんですが、規制の後、どこに次の受皿を考えるか。令和二年に日常生活支援住居施設が設置されましたけれども、ここを拡充していくという受皿と規制というものはセットで考えるべきだろう。日住は、できた以降、まだ見直し、手直しがされていませんので、今後、開設の支援等を含めた日住の拡充というものをセットに考えるべきであるというふうに考えます。  六番目、住宅扶助の代理納付でありますが、今国会で住宅セーフティーネットの改正が同時並行で進んでおります。その中に、居住サポート住宅というものが設置される。これに入った人は、住宅扶助の代理納付を原則化するということが今回述べられています。  代理納付は、大家さんのいわゆる貸したくないという思いを緩和する、あるいは滞留物件を市場化するということにおいては非常に大きな意味があります。生活保護世帯の五五%は高齢者、ほとんどが単身者です。これは大家さんの拒否感が強い層の方々でありまして。一方で、代理納付は、民間の賃貸住宅では二一%、公営住宅は六五%。公営住宅では結構使われているんですけれども、民賃の方は代理納付は余り使われていないんですね。せめて民賃が公営住宅並みに代理納付ができれば、大家さんのマインドは更に変わるんじゃないか。あるいは、最終的には生活保護世帯は原則的に代理納付の方に移行していく、こういう議論も必要ではないか。  次に、住居確保給付金ですが、今回は、低廉家賃物件への転居の費用を付加する、これは非常によかったと思います。ただ、住居確保給付金に関しては、やはり基準が低過ぎて、使う段階でもうほとんど生活保護の基準になってしまう。ここのところをもっと手前で救う、もっと手前で対処できるような基準に変えるべきではないか。  次、八番目ですが、矯正施設出所者、刑務所出所者ですね、この人たちが一番アパート設定が難しい人たちです。今回の生活困窮者自立支援法の改正において、やはりこの出所者をどうするのかというところをもう少し強調、強化すべきだと思いますし、厚労省社援局が担当しています地域定着支援センターですね、この地域生活定着促進事業との関係をもう少しはっきりと出すべきだと思います。  最後に、生困法からは離れますが、私は、住まいの保障に関して少し意見を述べて終わりたいと思います。  まず初めにお願いしたいことは、令和五年から始まりました国交省、厚労省、法務省三省合同による検討会議、これは中間報告で一応、今年の二月ですか、終わっているんですけれども、いい方向性が示されています。ただ、問題は、誰が、いつ、どこでやっていくのかという中身がもう一つ分からない。社会保障としての住まい保障という観点からすると、まだ道半ばと言わざるを得ない。この三省合同の会議は、中間報告から最終報告に向けて更に続けていただきたいと思います。  次に、必要となる住まい保障の形については、お手元の資料の図一を御覧ください。私も参加していました平成二十七年の困窮者支援の今後の在り方検討会なんですが、住宅のターゲットゾーンとしては、家賃が安価であること、施設ほどではないけれども見守りや支援がついている、この二つが満たされるものが今後必要になるということになっています。そこで、空き家が全国で八百万戸あるという中で、低廉で見守りがついた空き家活用型のサブリースモデル、これが私は今後必要なんじゃないかというふうに思っています。  抱樸ではもう既にこれを二〇一七年からやっておりまして。北九州市なんですが、政令市では空き家率がワーストツー、結構空き家があるんですね。それで、大家さんから一括で、マスターリースで借り上げまして、借り上げ費用を、市場の大体六掛けで借りまして、生活保護の住宅扶助基準で貸す、その差額が実際、支援の費用として使われるという、公費を入れないで、民間の住宅のサブリースの活用によって支援つきの住宅が実際に稼働できる。家賃も住宅扶助基準ですから、地域においては最低ぐらいの家賃で運営できる。まさに低廉で支援つきというのは、このサブリースモデルで可能だろうと。  今回、住宅セーフティーネットにおいては、居住サポート住宅というものを十万戸つくるということですが、問題は、その支援費は誰が出すのかというのがはっきりしていないんですね。このところを、国費の投入は当然のこととしても、一方で、民間がまさにソーシャルビジネスモデルとしてこういうものができていくことを国がどうバックアップするかというのが大事です。  最後に、居住の問題の一番のポイントは、単身化だと私は見ています。  図二を御覧ください。現在、世帯の分布を見ますと、単身世帯が一番多い。単身世帯が全体の三八%になっていまして、標準世帯と言われる夫婦と子供の世帯は、もう二五%しかいない。  家族がいるという前提で社会保障は組まれてきたわけです。家族、中間層、そして持家、この三つがセットになって、企業が長期の雇用慣行、終身雇用みたいな形で安定した収入が維持できた、それによって住宅ローンが組めて持家が持てた。家族がいること、家があることが社会保障のベースとなってきたとするならば、今ここが、この三十年ぐらいで非正規雇用が増えて、住宅を持つ人が少なくなって、単身世帯が増えて、家族のサポートがなくなった。この家族がやってきた機能をどう社会化するか、あるいは、住宅に関しては、空き家を使って、持家ではないけれども安定した住居というものをどう確保するか、この二つをどうクリアするかというのが非常に大事です。  最後に載っています地域包括ケアシステムの絵ですが、上に制度の葉っぱが茂っている。このベースのところの植木鉢は何によって構成されているかというと、一番下が本人と家族、植木鉢が住まいなんですね。本人と家族と持家というものをベースとして制度をつくってきたというのを非常に明らかにしてくださっている絵なんですね。  この家族の部分と持家という住まいと住まい方のところが脆弱化すると、今後どんないい制度があっても制度につながらない、手遅れ状態で社会コストが非常に高くなる人たちが増えるというのは明らかです。この手前のところをどうしていくかという問題こそが、日本の社会保障の、住まい保障が社会保障であると言われるゆえんでありまして、ここのところは、やはりもう少し長いスパンで、生活困窮者自立支援制度だけじゃなくて、長いスパンで議論していただきたいと思います。  私からの意見は以上です。ありがとうございました。(拍手)

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