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根本敏則 ·敬愛大学特任教授

衆議院国土交通委員会(2024-04-05)での発言

第213回国会 ·第第6号号 ·3,053字
○根本参考人 敬愛大学の根本でございます。  本日は、物流生産性向上による持続可能な物流の実現というテーマで意見を述べさせていただきます。  スライド二枚目を御覧ください。  物流の二〇二四年問題を説明しようとしましたけれども、馬渡さんの方から概略を説明いただいたので、私の方からは、多重下請構造、店着価格制度というものが悪い影響を与えているということをお話ししたいと思います。  三枚目をお願いいたします。  店着価格制度というのは、御存じのように、発荷主と着荷主が運賃込みの店着価格で取引する商慣行です。着荷主は、運賃、運送契約に含まれる条件を知らされません。  多重下請構造というのは、発荷主と元請事業者が運送契約を結び、二次、三次、四次の下請に実運送を依頼する商慣行です。その都度一〇%程度の手数料が発生します。このようなケースでは、貨物を実運送する下請のドライバーも、運送契約の内容は必ずしも知らされません。その結果、下請のドライバーが配達時に、着荷主に行きますけれども、荷待ち、荷役などを要請されたときに断りにくいということが起きます。  要するに、荷主、特に着荷主、元請の責任の明確化が必要だということであります。  四枚目をお願いいたします。  物流効率化のためには、労働生産性を高めることが重要です。ただ、労働生産性というのはちょっと厄介な概念でありまして、二つの労働生産性を区別する必要があります。  普通は付加価値労働生産性を指しますけれども、これは付加価値、すなわち、売上げから費用を引いたものを時間で割ったものです。しかし、物流政策を評価するときには、物的な労働生産性、すなわち、輸送トンキロを労働時間で割ったものが役に立ちます。  さて、これまでの動きを振り返ってみると、デフレが長く続きました。そして、荷主は利益を上げるためにあらゆるコストの削減を図ってきたわけですけれども、物流コストも例外ではなく、物流コストの削減、すなわち支払い運賃の削減に努めました。その結果、運賃、ドライバー賃金が下がったわけです。  二〇二一年に総合物流施策大綱が策定されまして、二〇二五年までに付加価値労働生産性を二〇%上げるという目標を立てましたけれども、今のところ改善の兆しはありません。  次のページをお願いいたします。  トラックの運賃は、一九九〇年以降、ほとんど上がっていません。最近になって一五%ぐらい上がっていますけれども、燃料費の上昇をカバーするには至っておりません。  そして、その下の方にグラフがありますけれども、これは、去年の夏に総合物流施策大綱のフォローアップ会合というのがありまして、その中で、付加価値労働生産性がどれだけ改善したかを紹介されたわけですけれども、二〇二一年からほとんど改善していなくて、二〇二五年の目標値に届くかどうか心配されているところであります。  次のページをお願いします。  どうしてこのようなことになったのかということを検討する中で、検討会のメンバーが非常に面白いグラフを持ってきてくれたわけですけれども、物流コストとドライバー賃金には正の相関があることが分かりました。四十五度線上に点がプロットされているんですね。この縦軸は何かというと、荷主の売上高に占める物流コストの割合です。横軸は、道路貨物運送業の年間賃金水準です。トラック会社では、事務の方もいますけれども、ほとんどドライバーの賃金が大宗を占めるので、これはドライバー賃金と読み替えてください。  そうすると、一九九五年には物流コストが六・五%であって、賃金も高かったんですが、それが年を経るごとにどんどん下がってきた。これはやはり明らかに、物流コストを下げる結果として賃金が下がったというふうに考えていいのではないかと思うわけです。  次のスライドをお願いします。  そこで、これまでの関係を逆回転させる必要があるというわけです。すなわち、これからはドライバーの賃金を上げることが最重要課題なわけですから、ドライバーの賃金を上げるために、その原資となる運賃も上げてもらい、そして物流コストは上がる。若干価格に跳ね返るということは、やはり許容してもらわないといけません。  例えば、仮に物的な労働生産性を二五%向上させることができるとしましょう。この二五%を仮置きさせてください。そうしたらば、その果実を皆で分け合えるんじゃないでしょうか。労働時間の減、二〇%削減、それからドライバーの所得を一〇%アップ。それから、若干の運賃値上げということですけれども、これは、その果実を分け合うというんですから、荷主は運賃が下がることを期待するかもしれませんけれども、今、実は、二割も三割も高くなって当然だという意見が多いんですね、学者の中でも。ですから、その上げ幅を一〇%に抑えることができるということで、荷主さんも御の字というふうにしたらどうかというのが私の意見であります。  次のページをお願いいたします。  八枚目に、物流政策の方向性を示しています。これは検討会の取りまとめに加筆したものですけれども、荷主による物流生産性向上の取組、物流事業者による物流生産性の取組に大きく分かれますけれども、真ん中、オーバーラップしているのは、両者が連携して取り組むべきものであります。  そして、荷主、物流業者に対する新たな規制としては、物流生産性向上の中長期計画を策定してもらい、その取組状況を報告してもらうこと。そして、荷主にあっては、物流統括管理者を役員クラスで選んでもらい、この物流生産性向上の中長期計画を、責任を持って策定してもらうということです。  また、元請トラック事業者に対する規制としては、実運送体制管理簿の作成、それから、運送契約の書面化をお願いしたいというふうに思うわけであります。  九枚目、お願いいたします。  さて、先ほど、物流生産性向上の目安、二五%と申し上げましたけれども、実は、労働時間が二〇%、全産業平均よりも多いわけですけれども、八〇%の労働力で仕事をこなそうとすると、一割る〇・八で一・二五、要するに、二五%生産性を向上させると、二〇%労働時間が削減できます。ただし、もし、その運んだことに対して同じ運賃を収受できれば、ドライバーの賃金は上がりません。ですから、若干の運賃の値上げもお願いしたいということなんです。  この二五%、例えば、施策ミックスA、分かりやすいところでいうと、モーダルシフトですね。今、海上、鉄道輸送で四億トン運んでいますけれども、これで五億トン運べば、長距離トラック輸送一億トン分のドライバーの時間がまた別のところに使えますので一億トン生み出せる、そういうことですね。荷待ち時間九十四分を八十一分に減らせば、その荷待ち時間に割いていたのを運転に回せる、一億トン生み出せる。そういうことで、合計すると六億トンなんですけれども、実は、荷役と荷待ちだけを四〇%減らすだけで六億トンが生み出せる。  ですから、そんなに難しい目標ではないということを、ここで強調したいわけですね。着荷主さんの協力が得られれば二五%の生産性向上は達成できるというふうに思うわけで、それによって、結果的に物流の付加価値労働生産性を改善していければいいんじゃないかというふうに思います。  以上です。(拍手)

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