○内閣総理大臣(岸田文雄君) 森山浩行議員の御質問にお答えいたします。
政治倫理審査会への出席の呼びかけについてお尋ねがありました。
説明責任を果たすことは重要であり、自民党としても、政治家として、政倫審を含むあらゆる場を通じて丁寧な説明を尽くすよう、これまでも促してきているところです。現に、多くの議員が会見等において説明を行っています。
その上で、政倫審への出席については、最終的には議員の意思が尊重される制度となっており、そうした国会のルールは尊重しなければなりません。
いずれにしても、説明責任の果たし方は、政倫審の出席を含め、個々の議員が自らの置かれた状況をよく省みて最も適切な方法を判断すべき事柄であって、政倫審へ出席するかどうかという一事をもって志があるかないかを論ずる必要はないと考えております。
基幹インフラ制度についてお尋ねがありました。
経済安全保障推進法の制定時においては、国土交通省において、港湾ターミナルオペレーションシステムの機能が停止してもその影響は限定的であると評価していたため、規制対象にはならないと考えていたところです。
昨年七月の名古屋港におけるサイバー攻撃事案を受け、改めて国土交通省及び内閣府において検討を行ったところ、一般港湾運送事業者及びそのターミナルオペレーションシステムが港湾の機能の安定的な提供に重要な役割を果たしていると考えられたことから、今般、改正法案を提出したところです。
基幹インフラ制度の対象については、引き続き不断の見直しを行ってまいります。
セキュリティークリアランス制度に関する政府の検討内容についてお尋ねがありました。
政府においては、昨年二月以降、有識者会議において、産業界のニーズを聴取し、外国の制度分析を行い、また、国民の理解醸成のため、その議論の経過等を積極的に公表してきました。
こうした中で、経済安全保障分野における情報保全の必要性が高まる一方、現行の我が国特定秘密制度ではこれに十分対応していないとの指摘を受け、今後、同盟国等との協力や外国政府の政府調達等での日本企業の参加を進める上で、セキュリティークリアランス制度の整備を進める必要があると判断し、今回の法案提出に至ったものです。
御指摘の国際共同研究については、第十条にあるとおり、それが重要経済基盤の脆弱性の解消や重要経済基盤の革新的な技術に関する調査及び研究等に該当する場合には、本法案の目的にある事業者による我が国の安全保障の確保に資する活動と位置づけられ、この法案や関係する国際的な枠組みと相まって、円滑な推進が図られていくものと考えております。
指定の範囲についてお尋ねがありました。
本法案で重要経済安保情報とされる対象は、重要経済基盤保護情報であって、公になっていないもののうち、その漏えいが我が国の安全保障に支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるもの、こうした三要件を全て満たすものと明確に規定しています。
また、恣意的な指定とならないよう、今後、外部の有識者の意見も踏まえて作成する運用基準において、指定対象となる情報の範囲を明確化する予定です。
指定情報の件数や適性評価の対象者数について、現時点で厳密に示すことは困難ですが、今後の制度の詳細の検討の中で精査をしてまいります。
最後に、重要経済安保情報として指定される情報は、政府が現に保有する情報や、適合事業者の同意を得て行わせる調査研究等により生じることが見込まれ、政府が保有することとなる情報です。本法案による義務や罰則がかかるのは、政府との間で秘密保持契約を結んだ上で、政府が指定した情報を当該事業者が重要経済安保情報として保有するに至った場合に限定をされています。
適合事業者の範囲とその要件についてお尋ねがありました。
まず、適合事業者として選定され、情報提供を受けるのは、事業者自らが意思を示した場合に限る規定としており、これは御指摘のとおりです。
適合事業者の基準や要件の具体的な内容は今後検討していくこととなりますが、御指摘の役員構成等の組織的要件については、有識者会議の最終取りまとめにおいて、主要国の例も参照しつつ、我が国の企業の実情や関係法令との整合性も踏まえながら、実効的かつ現実的な制度を整備していくべきとされています。
さらに、本法案第十八条の運用基準には、適合事業者の認定に関する統一的な運用を図るための基準についても盛り込むことを明記しており、民間事業者からの予見可能性にも配慮した運用を図っていくこととしております。
法人への罰則の導入についてお尋ねがありました。
特定秘密保護法においては、特定秘密を適合事業者に保有させなければ行政機関の所掌事務の遂行が立ち行かないような、いわば非代替性が認められるときに情報提供が可能とされているのに対し、本法案においては、各行政機関の長が、安全保障の確保に資する活動の促進を図るために必要があると認めたときに、事業者への情報提供を行うことができるとしています。
このように、本法案においては、特定秘密保護法に比べ、適合事業者の範囲が広がり得ることとなり、また、重要経済安保情報の経済的価値に鑑みれば、事業者において情報の不正取得や漏えい等が組織的に行われるおそれがないとは言えません。
このため、このような行為を罰則により抑止する必要があるとの認識の下、法人への罰則規定を設けたものです。
中小事業者等への支援についてお尋ねがありました。
中小企業を始め民間事業者にとって、適合事業者の基準を満たすことが少なからず負担になり得るという点は、有識者会議の最終取りまとめでも指摘されており、経緯や実態も踏まえて、民間事業者等における保全の取組に対する支援の在り方について合理的な範囲で検討していく必要があるとされているところです。
事業者支援の在り方については、こうした指摘も踏まえ、今後更に検討していきたいと考えています。
適性評価への同意についてお尋ねがありました。
御指摘の点については、有識者会議の最終取りまとめでも、まず所属事業者等により、行政機関に提出する名簿に記載するための同意確認が従業者に対し行われるが、その段階から、同意の判断に必要な事項が知らされるとともに、同意の拒否や取下げを理由とする不当な取扱いが行われないことが確保されるべきであるとされています。
この点も含め、目的外利用の禁止の実効性を担保するためには、本法案における禁止規定に加えて、運用上の対応も重要です。このため、運用基準等において禁止行為を明示する、通報、相談の窓口を設ける、禁止行為の明示やこの禁止規定の遵守を事業者との契約等でも求めるなど、実効性確保のための措置を講じてまいりたいと考えています。
適性評価の調査結果の取扱いについてお尋ねがありました。
本法案では、適性評価は、行政機関がその対象者に対し調査項目や調査の実施方法などをあらかじめ告知した上で、本人の同意を得て実施しなければならないこととしています。
また、適合事業者に対しては、適性評価の結果や収集される個人情報などを、通常の人事考課や人事異動といった重要経済安保情報の保護以外の目的で利用、提供することも禁止をされています。
これらの違反に対して罰則は設けておらず、労使協定を締結することも条件にしておりませんが、こうした違反行為が行われることがないよう、適合事業者への周知徹底、運用基準等における禁止行為の明示など、必要な措置を講じていきたいと考えています。
評価結果を通知するまでの期間については、評価対象者の個々の事情等により、あらかじめ一律に期間を定めることは困難と考えておりますが、手続の効率化、そして短縮化に努めてまいります。
国会の関与の在り方や国会職員の適性評価についてお尋ねがありました。
本法案は、第九条第一項第一号により、国会が定める措置を前提としつつ、国会の秘密会に対しては重要経済安保情報を提供することとしています。
この受皿の在り方については、今後、国会において御議論いただくものと認識をしております。
国会法を含めた具体的な対応の内容の詳細については、政府として申し上げることは控えます。
特定秘密についてお尋ねがありました。
特定秘密の漏えい事案を契機として、衆参の情報監視審査会から勧告がなされたことを受け、政府としては、このような事案が二度と発生しないよう、情報保全教育の徹底などの再発防止策を実施してきたところです。
安全保障上重要な情報の漏えいは、我が国の安全保障に支障を与えるおそれがあるため、セキュリティークリアランス制度の対象者についても、情報保全教育の徹底等を通じ、情報の適正かつ厳格な保護を図ってまいります。
また、現在、特定秘密として指定されている情報についても、本法案の重要経済基盤保護情報に該当し得るところですが、どのような情報が具体的に該当するかは、新法の成立後に政府が作成する重要経済安保情報の運用基準において、重要経済基盤保護情報についても統一的な基準が定まるため、現時点でお答えすることは困難です。
いずれにせよ、特定秘密として指定すべきものについては、各行政機関の長が法律に基づき適切に指定、そして保護しているものと認識をしております。(拍手)
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