○内閣総理大臣(岸田文雄君) 庄子賢一議員の御質問にお答えいたします。
セキュリティークリアランス制度を設けることの意義についてお尋ねがありました。
安全保障の裾野が経済、技術分野にも拡大する中、経済安全保障分野においても情報管理に万全を期す必要が高まっており、政府として、有識者などの意見を十分踏まえ、経済安全保障分野におけるセキュリティークリアランス制度の検討を進めてまいりました。
また、経済安全保障分野における政府による国際的な共同開発などが増えてきている中で、それらに参加したいと考えている事業者からも、制度を求める声が聞かれています。
政府が保有する経済安全保障上の重要な情報を適切に管理し活用するためのルールを定めるとともに、事業者の国際的なビジネスの機会の確保、拡充にも貢献していく観点から、制度設計が喫緊の課題であると考えております。
労働者に不利益が及ばないようにするための対応についてお尋ねがありました。
本法案では、適性評価を受けることに同意しなかったことや適性評価の結果を重要経済安保情報の保護以外の目的のために用いてはならないという、いわゆる目的外利用禁止の規定を置いています。この規定によって、評価対象となった従業者に対して、適合事業者がこれらを理由として人事上の処遇などで不合理かつ不利益な取扱いをすることは、明確に禁止されています。
なお、従業者の適性評価を実施した場合、適合事業者に対しては、その結果のみが通知され、政府が調査で収集した個人情報は伝えません。
もとより、この目的外利用禁止規定の実効性を担保するためには、議員御指摘のとおり、運用上の対応も重要であると考えており、運用基準等において禁止行為を明示する、通報、相談の窓口を設ける、規定の遵守を事業者との契約等でも求めるなど、必要な措置を講じてまいりたいと考えております。
また、適性評価は、あくまで、政府の情報保全の一環として、重要経済安保情報の取扱いの業務を行った場合に、これを漏らすおそれがないかどうかを評価するものであり、評価対象者の人格や能力を評価するものではありません。この点に誤解が生じて誤ったレッテルが貼られることがないよう、運用基準等において、事業者に対してもこれを徹底してまいります。
セキュリティークリアランスの有無が企業経営に与える影響についてお尋ねがありました。
事業者が、セキュリティークリアランス、すなわち、この法案においては適合事業者として認定されない場合には、重要経済安保情報を取り扱う事業に参画又は継続することができません。
このため、有識者会議の最終取りまとめにおいては、その認定基準について、主要国の例も参照しつつ、我が国の企業の実情や関係法令との整合性も踏まえながら、実効的かつ現実的な制度を整備していくべきであると指摘をされています。
これらを踏まえ、政府としては、適合事業者の認定については、有識者の意見を聞いて政府統一の運用基準を定めることとし、それを事業者に対して分かりやすく説明していくことで、事業者の予見可能性を確保していきたいと考えています。
制度創設への反対意見についてお尋ねがありました。
この制度においては、政府が自ら保有し内容を把握している情報について、法案で規定された要件を満たす場合にのみ、重要経済安保情報に指定することとしております。
また、漏えい等に対する罰則等の効果が民間事業者に及ぶのは、重要経済安保情報を取り扱う必要がある業務等を行うに当たり、行政機関と合意の上で秘密保持契約を結び、行政機関からその提供を受けた場合に限られます。
さらに、公益上特に必要があり、保護のために必要な措置を講じ、我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認められたときは、国会や裁判所にも重要経済安保情報を提供することとなっています。加えて、本法案の適用に当たっては、国民の知る権利の保障に資する報道又は取材の自由に十分配慮しなければならないとされています。
したがって、産学官共同の情報統制が進むとか、政府の暴走を防ぐ仕組みが損なわれるといった指摘は当たらないものであると考えております。
戦略的不可欠性についてお尋ねがありました。
経済安全保障政策推進上、先端技術開発の他国、地域に対する優位性、ひいては、国際社会にとっての不可欠性を獲得、維持することは重要です。
この観点から、例えば、経済安全保障重要技術育成プログラム五千億円の基金を活用し、先端技術分野の研究開発の支援等の取組を推進しています。
加えて、不正競争防止法や外為法などを用いた機微情報の流出防止等にも取り組んでいます。
同盟国等からの本制度に対する信頼性の確保についてお尋ねがありました。
御指摘のとおり、今後、経済安全保障に関する秘密情報を同盟国等と円滑に共有し活用するためには、本制度を相手国から信頼される制度とすること、これは重要です。
そのため、まず、情報保護の観点から欧米主要国と同水準のルールを整備するとともに、そのルールを実効的に運用し、実績を重ねていくことが重要であると考えています。
このため、本法案が成立した後には、本制度を運用するために必要となる関係政省令や運用基準等のルールやその実施体制を速やかに整備し、制度の実効的な運用を確保するとともに、諸外国にもきちんと説明をしてまいりたいと考えております。
セキュリティークリアランス制度と我が国の国際競争力との相関関係についてお尋ねがありました。
セキュリティークリアランス制度は、先ほども述べたとおり、第一義的には、政府が保有する情報の保全のための制度です。一方、事業者から制度整備を求める声があるように、事業者の国際的なビジネスの機会の確保、拡充にも資するものであり、その結果として日本企業の国際競争力を高めることにもつながるものであると認識をしております。
残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
〔国務大臣高市早苗君登壇〕
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