衆議院本会議(2024-03-19)での発言
第213回国会
·第第12号号
·4,242字
○国務大臣(高市早苗君) 浅野哲議員からは、まず、重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案に関して、既存制度の拡充ではなく新法とした理由についてお尋ねがございました。
官民での協働、連携が重要となる経済安全保障という分野の特色を踏まえますと、重要な情報を政府内で秘匿するのみならず、情報保全に関し信頼できる民間事業者にその情報を共有して活用することが重要であることに鑑み、特定秘密保護法とは別の法律によることとしたものでございます。
次に、民間人が重要経済安保情報を取り扱えるようになることで新たに生じる効果についてお尋ねがありました。
経済活動に関して行われる国家及び国民の安全を害する行為を未然に防止する重要性が増大している中で、例えば、重要な物資に関するサプライチェーン上の脆弱性の解消に関する情報や基幹的なインフラのサイバー脅威に関する情報などを、必要に応じ事業者に共有した上で、対策を進めていくことが必要でございます。
このため、本法案によりまして、これらの情報の保全措置を講じた上で事業者に提供し共有することで、我が国の安全保障の確保に資する活動をより円滑かつ実効的に行えるようになることが期待されます。
また、諸外国におきましては、セキュリティークリアランスを保有していることがいわば信頼性のあかしとして認識されているような事例もあると指摘されており、例えば、クリアランスを保有する我が国の民間事業者と外国の民間事業者との間で、一定の情報のやり取りが円滑になることも期待されます。
次に、支障及び著しい支障が、それぞれ政府内でどのような定義の下で扱われているのかについてお尋ねがありました。
安全保障に著しい支障を与えるおそれとは、例えば、安全保障のために我が国が実施する措置等の詳細やそのための能力が露見した場合、その間隙をついたり対抗措置を講ずるなど、我が国に対する攻撃が著しく容易となるような場合や、外国の政府などからの信用が著しく損なわれ、今後の情報提供などが滞ることとなる場合を指します。
一方、安全保障に支障を与えるおそれとは、そのような著しいとまでは言えない程度の支障も含め、安全保障の確保に支障が生じ得る場合を指しております。
次に、経済安保推進法に基づき企業が国に回答した情報に関するお尋ねがありました。
民間事業者から提供され、政府が保有することとなった情報を仮に重要経済安保情報に指定しても、その指定の効果は、当該民間事業者が元々保有している情報には及びません。
一般的に、政府が各事業者から提供された情報を集約したり分析するなどして作成した情報を、重要経済安保情報として指定することが考えられます。
そのような場合におきましても、情報指定の法的効果が情報を提供した民間事業者に及ぶのは、政府と秘密保持契約を結んだ上で、政府が指定した情報を当該事業者が重要経済安保情報として保有するに至った場合に限定されます。
次に、経済団体などからの情報の対象範囲に関する意見に対する政府の見解についてお尋ねがありました。
本法案で保護すべき対象は、重要経済基盤保護情報であって、公になっていないもののうち、その漏えいが我が国の安全保障に支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるという三つの要件に該当するものに限ることとしております。
ここで言う重要経済基盤保護情報については、我が国にとって重要なインフラと重要な物資のサプライチェーンの二つを重要経済基盤と定義した上で、その保護に関わる四つの情報類型を明示し、対象を絞り込んでおります。
さらに、重要経済安保情報の指定などに関して統一的な運用を図っていくため、有識者に意見を聞いた上で作成した運用基準を閣議決定することとしており、こうした基準を通じて、一層の明確化に努めてまいります。
外国政府等への情報提供につきましては、各行政機関の長が、自らの所掌事務のうち我が国の安全保障に関するものを遂行するために必要があると認めたときに限って行うことができることとしており、重要経済安保情報を民間事業者から直接外国政府などへ提供することは、制度上想定しておりません。
次に、適性評価の調査事項及び有効期間に関するお尋ねがありました。
家族、同居人に係る調査事項については、重要経済基盤毀損活動との関係を知る手がかりとして、家族、同居人についても最小限の事項は一律に調査することを明示したものであり、特定秘密保護法と同様の規定としています。
なお、適性評価は各項目の調査結果を総合して判断するものでございますので、ある一つの事項のみをもって判断するわけではございません。
また、本法案で適性評価の再実施が不要となる期間を十年といたしましたのは、特定秘密保護法における同様の期間が五年であることを参考に、情報保全上のリスクと、適性評価による評価対象者への負担との比較考量により決定したものでございます。
次に、行政機関の長や国務大臣などが、適性評価を受けなくても重要経済安保情報を取り扱うことができるとされている法的根拠や、その理由についてお尋ねがありました。
本法案第十一条第一項ただし書は、お尋ねの国務大臣などについて、適性評価を受けなくても重要経済安保情報の取扱いの業務を行うことができる旨を明記しています。
この規定は、国務大臣等は重要経済安保情報の取扱いの業務を行うことが当然の前提とされることから、内閣総理大臣がその任命を行うに当たり必要な考慮がなされるとの考えに基づいたものでございます。このことは、より機密度の高い情報を保護の対象とする現行の特定秘密保護法においても同様の取扱いとしております。
次に、適性評価と会社の人事評価を切り分けるための社内体制整備についてお尋ねがございました。
適合事業者の従業者についての適性評価の結果については、重要経済安保情報の取扱いの業務を担当できる従業者の範囲を明確にするために、適性評価を行った行政機関の長から当該事業者に通知することとしております。
通知された適性評価の結果をどの部署で管理するかは適合事業者により異なると思われますが、本法案では、適性評価の結果を、事業者において、重要経済安保情報の保護以外の目的、すなわち一般的な人事評価などに利用することを禁止しております。これが担保されるよう、体制整備の在り方を含め、しっかりと検討してまいります。
株主や取締役会の構成も含む、事業者に対するクリアランスについてお尋ねがございました。
適合事業者の判断のための基準の具体的な内容は、今後検討していくことになりますが、特定秘密保護法施行令と同様に、重要経済安保情報を取り扱う場所への立入り及び機器の持込みの制限、従業員に対する重要経済安保情報の保護に関する教育などの措置の実施に関する規程を政令で定めることを想定しております。
また、第十八条において、有識者に意見を聞いた上で作成する運用基準には、適合事業者の認定に関する統一的な運用を図るための基準を盛り込むことを明記しており、民間事業者からの予見可能性にも配意した運用を図っていくこととしております。
御指摘の株主や取締役会などの組織的要件につきましては、有識者会議の最終取りまとめにおいて、主要国の例も参照しつつ、我が国の企業の実情や関係法令との整合性も踏まえながら、実効的かつ現実的な制度を整備していくべきとされていることなどを踏まえて検討してまいります。
次に、運用基準の検討の在り方や有識者の参画についてお尋ねがございました。
本法案第十八条は、適性評価の実施などの運用に関し統一的な運用を図るために、閣議決定により運用基準を定めることとしており、その策定に当たりましては、我が国の安全保障に関する情報の保護、行政機関等の保有する情報の公開、公文書等の管理に関し優れた識見を有する者の意見を聞いた上で案を作成することとしております。
御意見を聞くこととなる有識者の人選を含めた具体的な検討の在り方については、法所管となる内閣府において、御指摘も踏まえて検討してまいります。
次に、シームレスな運用の効果及び特定秘密保護法や特別防衛秘密に関する法律との一元化についてお尋ねがございました。
本法律案をお認めいただきましたら、経済安全保障分野の情報保全制度は、特定秘密保護法と本法律案との二つの制度に基づき運用されることとなりますことから、他国の理解を得る上でも、情報保全を実効あるものにするためにも、両制度がシームレスに運用されることが重要だと考えております。
そのため、制度的な仕組みとして、例えば、特定秘密保護法に基づく適性評価において特定秘密を漏らすおそれがないと認められた者に関しては、本法案に基づく適性評価を受けずとも重要経済安保情報の取扱いが可能としております。また、本法律案が成立すれば、施行に向けた準備を進める中で、必要に応じて特定秘密保護法の運用基準の見直しの検討を行うなど、両制度のシームレスな運用を図ってまいります。
なお、本法律案は、経済安全保障に関する重要な情報のうち一定の機微度のものについては、民間事業者にも積極的に提供し活用するという考え方に基づき、特定秘密保護法とは別の新法として制定しようとするものであり、今後、特定秘密保護法や特別防衛秘密に関する法律との一元化を図ることは考えておりません。
最後に、適性評価を受ける従業者の範囲についてお尋ねがございました。
従業者に対する適性評価は、適合事業者が政府との間で秘密保持契約を締結した後、重要経済安保情報の取扱いの業務を行うことが見込まれる従業者について行われることになります。
適性評価を受ける従業者の範囲については、一義的には当該適合事業者に判断していただくものですが、その際、個々の従業者について、御指摘の御本人の希望も含めて、その必要性について判断いただくことはあり得ると考えております。
その結果、従業者に新たに適性評価を受けていただく必要があれば、御本人の同意を得た上で適性評価を実施することとなります。(拍手)