○高橋千鶴子君 私は、日本共産党を代表し、流通業務総合効率化法及び貨物自動車運送事業法一部改正案について質問します。(拍手)
来月から、自動車運転者の時間外労働時間の上限規制が適用されます。トラック運転手は、他の産業と比べて長時間労働なのに賃金が低く、過労死は十四年連続でワーストワンです。しかも、適用される上限は年間九百六十時間、一般労働者の上限よりも二百四十時間も長く、過労死ラインを容認する水準です。
今、物流の二〇二四年問題として、労働時間規制により輸送力が不足し、年間四億トンの荷物が運べなくなると叫ばれていますが、トラック運転手の健康よりも経済優先なのでしょうか。トラック運転手が過労死するような長時間労働をなくすことが目的ではないのですか。上限規制が一般労働者と同じ七百二十時間になるのはいつか、お答えください。
トラック事業は、一九九〇年施行の物流二法で、需給調整の廃止など規制緩和がされました。事業者数は二〇〇七年に一・六倍の六万数千者に増え、過当競争による運賃の低下、長時間労働という劣悪な状態に置かれてきました。トラック事業の危機を招いた原因は、政府の規制緩和路線にあるという自覚と反省はありますか。
今回、改善基準告示が改正されましたが、運転者が強く求めた休息期間十一時間は努力義務にとどまり、最低九時間とされました。しかも、宿泊を伴う長距離貨物運送については、一日の拘束時間、休息期間が現行と同じとされ、車両内ベッドを設置すれば更に拘束時間を延長できるなど、様々な例外や特例が設けられました。これで本当にトラック運転手の過労死はなくせますか。そもそも、長距離運送を前提としていることが問題です。その日のうちに帰宅できるよう、規制緩和で廃止された営業区域規制を復活させるべきです。
四月から、高速道路での大型トラックの最高時速が八十キロから九十キロに引き上げられます。交通事故が減ってきているからと言いますが、これまで業界の要望があっても引上げを認めてこなかったのは、大型トラックの死亡事故率が普通乗用車と比べ高いからでした。この状況は変わったのですか。最高速度を引き上げ、より速く走り、より多く運ぼうとすることは、トラック運転手への身体的、心理的な負担が増し、働き方改革に逆行すると言わざるを得ません。
次に、法案について伺います。
トラック運転手の長時間労働を解決するためには、荷主や物流事業者への規制を強化することが不可欠です。今も貨物自動車運送事業法には荷主に対する勧告制度がありますが、長い間実績はなく、今年になって二件実施したにすぎません。今回新たに設ける荷主、物流事業者に対する努力義務は、どのような効果を期待し、どう実効性を担保するのか、伺います。
トラック事業の多重下請構造の解決は喫緊の課題です。法案は、元請事業者に実運送体制管理簿の作成を義務づけますが、途中で中抜きされる実態が見える化されることが期待されます。一方、管理簿に記載されるのは下請事業者名のみであり、運賃や手数料の明記も必要ではありませんか。
自らは運送手段を持たず、業者と荷物のマッチングをなりわいとする利用運送事業者の存在が、中抜きの温床となっています。ここに規制が必要ではありませんか。
全業種の中で、労務費や燃料代などの価格転嫁が最もできていないのがトラック事業です。今般、政府は、標準的な運賃を引き上げると発表しました。運賃はトラック労働者の賃金の原資となるものであり、標準的な運賃を最低運賃とすべきではありませんか。
終わりに、上限規制が来月始まるという今になっての法案審議とは、トラック運転手の働き方改革に政府が向き合ってこなかったことの証左です。一日も早く過労死をなくし、安心して働ける職場となるよう、本気で取り組むべきだと申し上げ、質問とします。(拍手)
〔国務大臣斉藤鉄夫君登壇〕
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