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岸田文雄 ·自由民主党・無所属の会 ·内閣総理大臣

衆議院本会議(2024-03-26)での発言

第213回国会 ·第第14号号 ·3,121字
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 神谷裕議員にお答えいたします。  食料・農業・農村基本法の見直しを法改正で対応する理由についてお尋ねがありました。  かつての農業基本法は、農業施策のみに重点を置いた体系であったところ、現行基本法においては、国民全体の視点から施策を行うことを重視し、農業施策に加え、食料施策と農村施策までをその対象とするため、農業基本法を廃止し、食料・農業・農村基本法として新法で制定されました。  今回の見直しは、世界の食料需給の不安定化など、国内外の情勢変化に的確に対応していくためのものですが、農業施策に加え、食料施策、農村施策までを対象として食料供給の確保等を行うという意味では、現行基本法の考え方自体を変更するものではないことから、改正法案として提出したものです。  基本法の見直しを契機とした抜本的な政策の見直しについてお尋ねがありました。  農業者の急激な減少など生産基盤の弱体化や、世界の食料需給が不安定化する中で、輸入リスクの増大、食品アクセスの問題等、食料安全保障上の諸課題が顕在化しており、こうした内外の情勢変化に対応するため、基本法を改正するものです。  基本法の改正に当たっては、政府の食料・農業・農村政策審議会において、現行基本法の下での政策の検証、評価等を真摯に行い、これも踏まえて、今国会に、基本法改正案とともに、スマート農業の振興や農地の総量確保と適正、有効利用、不測時の食料安全保障の強化に対応するための関連法案を提出しているところであります。基本法改正案の示す方向性を実現するための政策の抜本的見直しを進め、農政を再構築してまいります。  不測時の食料安全保障に関する、法案における罰則についてお尋ねがありました。  この法案では、食料供給に向けた生産拡大等について、事業者の自主的な取組を基本とした上で、国民生活等に実体上の支障が生じている事態にまで至った場合において、政府として、確保可能な供給量を把握し、実効性ある対策を講ずるため、事業者に計画の届出を求めているところ、この計画の届出をしない事業者に関し、二十万円以下の罰金を規定しております。  この措置は、計画どおりに生産を行わないことに対するペナルティーではなく、国民生活等に実体上の支障が生じている事態において、法目的達成のために、必要最小限の措置として、計画の届出自体を担保するためのものであり、事業者の方々に御理解をいただきたいと考えております。  食料の海外への過度の依存についてお尋ねがありました。  改正案においては、食料安全保障の確保を基本理念に位置づけることとし、過度に輸入に依存している麦、大豆等の国内生産の拡大を一層後押しするとともに、担い手の育成、確保を図りながら、スマート技術の導入や農地の集積、集約による生産性の向上を図っていくこととしております。  同時に、自国で賄い切れない食料や肥料、飼料等の生産資材について輸入リスクが増大していることも食料安定供給の課題となっていることから、国内の農業生産の拡大を図ることを基本としつつ、輸入相手国の多様化等による安定的な輸入と備蓄の確保も適切に行ってまいります。  農業者戸別所得補償と食料安全保障支払いについてお尋ねがありました。  将来にわたる食料の安定供給の確保には、農業が持続的に発展し、収益を確保していくことが重要です。  多くの産地で、生産性や付加価値の向上等の取組により、所得確保に向けた創意工夫をされています。これに対し、農業者の戸別の所得補償については、過去の戸別所得補償制度を見ても、農地の集積、集約化等が進まず生産性の向上が阻害されるおそれがあるほか、一般的に、消費が減少している品目の生産が維持され需給バランスが崩れる、補償を織り込んで生産者の取引価格が低く抑えられる等の懸念があります。  このため、改正基本法に基づき、生産性向上や付加価値向上の後押し、適正な価格形成の推進などを基本に、収入保険制度等の経営安定対策を適切に講じながら、所得の向上を図ってまいります。  他方、食料安全保障支払いの御提案については、現在、既に、農地等の保全管理のための多面的機能支払い、中山間地域の農業生産条件の不利を補正するための中山間地域等直接支払いなど、我が国農業の実態と課題に応じた直接支払い政策を講じているところです。  食品へのアクセスと学校給食についてお尋ねがありました。  改正案において、食料の円滑な入手の確保を位置づけ、その環境整備に向けて、フードバンクや子供食堂等に対し、未利用食品の提供の体制づくり等に加え、政府備蓄米の全国的な提供体制の整備を進めるなど、積極的に支援を進めてまいります。  また、学校給食において、地場産物や有機農産物の活用は、食育の観点からも有意義であり、体制づくり等について支援を進めてまいります。  なお、学校給食の無償化については、全国ベースの実態調査の結果の公表を六月までに行った上で、小中学校の給食実施状況の違いや法制面等を含めた課題を整理し、結論を出してまいります。  多様な経営体による農業経営の重要性についてお尋ねがありました。  農業経営体の減少が今後も見込まれる中、将来にわたり食料を安定供給できる農業の確立が必要です。  このため、引き続き、規模の大小や経営形態にかかわらず、農業で生計を立て、効率的かつ安定的な農業経営を目指す方々を担い手として、その経営の安定、発展を後押ししてまいります。  あわせて、担い手以外の多様な経営体についても、農地の保全等の役割に鑑み、地域の共同活動への支援等を行い、農業生産の基盤である農地の確保を図ってまいります。  水田活用直接支払い交付金についてお尋ねがありました。  食料安全保障の強化のため、主食用米の需要が減少を続ける中、輸入に依存する麦、大豆の生産拡大が必要であり、これらの生産が定着した水田は、本格的な畑地転換により麦、大豆の収量増大を図ることが農業所得の向上の観点からも重要です。  他方、気候風土等から本格的な畑地化に適さない水田等については、稲と麦、大豆の輪作体系を確立し、農業所得を確保していくことが有効です。  政府としては、こうした農地利用に関する各産地の主体的な判断に応じて、産地が本格的な畑地転換を行う場合は、排水対策等の基盤整備や畑作物生産の安定化を支援し、水田機能を維持する場合には、水田活用の直接支払い交付金により支援することとしており、交付金による支援継続に当たり、御指摘の見直しによる水田機能の維持を確認しているものです。  こうした支援を機動的に行うためには、御提案の法制化はなじまないものと考えておりますが、現場の皆さんに安心して生産活動に取り組んでいただけるよう、丁寧な説明に努めながら支援を進めてまいります。  二十五年後の農業の姿についてお尋ねがありました。  今回の基本法の改正を通じ、需要に応じた農業構造への転換を進め、過度に輸入に依存している農産物の国内生産を拡大するなど、自給率向上に資する取組を進めてまいります。  また、国内の人口減少が避けられない中で、農業者数の増大を図ることは現実的ではないですが、担い手の育成、確保を図りつつ、スマート農業の導入等による生産性の向上を促すことにより、必要な農地を確保、有効利用し、所得の向上と我が国の農業の持続的発展を図ってまいります。(拍手)     ―――――――――――――

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