○阿部司君 日本維新の会、阿部司です。
教育無償化を実現する会との統一会派を代表して、ただいま議題となりました地方自治法の一部を改正する法律案について質問いたします。(拍手)
新型コロナウイルス感染症の流行によって初めて緊急事態宣言が発出されてから今まで、四年余りの月日が流れてまいりました。この危機において、デジタル化の推進、地域コミュニティーとの連携強化、そして国と地方の分権の在り方に至るまで、日本の地方制度が抱える様々な課題が問い直されてきた、こんな四年間だったと思います。
本改正案は、第三十三次地方制度調査会による議論を基に、これらの課題に対応するものであると理解をしております。今般の地方自治法の改正が、今後発生し得る想定外の事態に十分対応し得るものか、また、逆に地方の主体性やレジリエンスをそぐことにつながらないか、質疑を通じて確認させていただきます。
まず、DXの進展を踏まえた対応についてお伺いいたします。
今般の法改正では、自治体の住民システムに関して、ほかの自治体や国と協力した利用の最適化が盛り込まれようとしていますが、本改正案で目指すDXの姿はどのようなものでしょうか。複数の手続をワンストップ化するなど、より住民に寄り添ったサービスを実現し、満足度の向上につなげなければならないと思案しますが、一方で、現行の住民サービスのオンライン化にとどまる例も散見されます。この現状を踏まえ、今般の法改正でどのような自治体DXを目指すか、基本的な考え方を総務大臣にお伺いいたします。
DXは、自治体に業務全体の抜本的な改革を求めます。業務プロセス全般を根本から見直すビジネス・プロセス・リエンジニアリングを行うには、外部からの客観的な視点が必要であり、自治体自らによるBPRは効果が薄いと思われます。外部有識者や民間企業によるBPRの実施や仕組み化を自治体が活用できるように、財政支援を設けるべきと考えますが、総務大臣の御見解をお伺いいたします。
第三十三次地方制度調査会の答申で言及されているとおり、今後、国や自治体等のシステムがネットワークを通じて相互接続する中で、地方公共団体のサイバーセキュリティーを強化することは、日本全体でサイバー攻撃の被害を最小化する観点からも非常に重要であると思います。本改正案は自治体が作成したガイドラインを公開することなどを定めていますが、むしろ国が主導して自治体のセキュリティーテストを行うべきと考えますが、総務大臣のお考えをお伺いいたします。
次に、多様な主体との協働について伺います。
東日本大震災以降、災害対応を含めた様々な面で、地域の主体としてのコミュニティーの重要性や存在感が高まっている一方で、急速な人口減少が進み、地方行政が置かれている環境は厳しさを増しています。行政と地域コミュニティーとの連携強化に関しては喫緊の課題となっている一方で、豊中市や明石市など、注目すべき事例も生まれつつあり、我々もその動向を注視しております。
まず、本法案では多様な主体という言葉が用いられていますが、そもそも、地域の多様な主体とは、具体的に何を想定するか、総務大臣に伺います。
今回、法改正で盛り込もうとしている指定地域共同活動団体は、市町村が任意に導入するものと伺っています。総務省として、地域の多様な主体にどのような役割を担うことを期待するか、一方で、自治体にはどのような役割を期待するか、また、指定地域共同活動団体の導入によりどのように地域の連携が進むビジョンを描いているか、総務大臣に伺います。
多様な主体の協働で地域を活性化させるためには、地域外の主体にも協力を仰ぐことは欠かせません。その観点から、関係人口の増加を後押しすることは、地域づくりの担い手を広め、また、新たな発想を地域にもたらす点で、重要であると考えます。例えば、地域と深い関わりを持つ自治体外の方に第二住民票を発行するなど、関係人口に対しても制度的な担保をすべきと考えますが、総務大臣の御見解をお伺いいたします。
本法案において、どのようにして自治会等に民主的かつ透明性の高い運営を確保するかは、条例に委任されています。自治会等に一層公的な役割を担っていただく仕組みであるからこそ、公共性を担保する仕組みづくりが重要です。随意契約を認めるという重さを鑑みて、本制度の展開に当たっては、収支や資産の公開など会計の透明性を確保する具体的な方策を全国一律のルールとして地方自治法自体に盛り込むべきものと考えられますが、総務大臣の御見解をお伺いいたします。
そもそも、多様な主体に公共の役割を担わせるためには、権限の付与や会計の透明性確保など一定のルールが必要であり、ルールを遵守するためには、民間企業のような強固な組織づくりが欠かせません。自治会等はあくまでも住民の自主性に基づく組織であり、強制加入団体ではありません。このような組織が役場組織に代わって継続的に公共の役割を担い続けることには、懐疑的にならざるを得ません。
総務省として、地域のことは地域の共助でという古式ゆかしき仕組みが持続可能とお考えでしょうか。少子高齢化により地域の活力が漸減する中、そのような発想から脱却し、市町村合併などの手段により役場組織の強化と効率的な運営を目指すべきではありませんか。総務大臣のお考えをお伺いいたします。
次に、非平時の国の指示権について伺います。
コロナ禍において生じた国と地方との関係をめぐる混乱は、我が国の統治機構に大きな疑問を投げかけました。対応をめぐっては、国民の生命を守るのに重要な感染状況等の情報が国と自治体の間で迅速に共有されないなど、様々な課題があらわになりました。国としてこの事態を真剣に受け止める必要があると考えますが、総務大臣の御見解をお伺いいたします。
今般の法改正のポイントは、想定外の事態が生じ得るということを正面から受け止め、対応するものだと思案しております。確かに、国家的な危機において国の責任を明らかにすることは重要です。今般の自治法改正に盛り込まれた、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態への対応について、基本的な考え方を総務大臣に伺います。
本法案では、事態の規模、態様、地域の状況等を勘案して国民の生命等の保護のために特に必要な場合に、補充的な指示が可能となっています。どのような事態なのか具体的に例示してほしいと思いますが、それが例示できるならそれぞれの法律改正をするべきでしょうから、今の時点で事態を例示することができないものと承知をしております。
法律の趣旨から、このような扱いをすることは理解しますが、補充的指示権を行使する基準が曖昧であれば、自治権に対する強い干渉にもつながりかねません。国の権限が無制限に拡大することがあってはなりませんが、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態とはどの程度の、どの規模の事態なのか、平時とはどのように切り分けるのか、総務大臣に伺います。
今後は、検証を重ねることで行使の基準を明確化すべきと思案します。補充的指示権の行使が適切であったか、少なくとも行使後に検証する必要があると考えますが、具体的にどのような検証体制を想定しているか、総務大臣にお伺いいたします。
補充的指示権が行使された後、どのように自治体が事務を執行するかを考慮する必要があります。コロナ禍では、感染者への対応等によって自治体職員の長時間労働が日本全国で問題となりました。同様に、広域かつ長期的な緊急事態において、自治体の業務リソースが逼迫し、国の指示に十分対応できない事態は容易に想定できます。そもそも、補充的指示権が行使される際には、自治体が動けない場合も多いと考えられます。この場合、国はどのように事務の執行を担保するか、総務大臣の御見解をお伺いいたします。
コロナ禍初期の対応を振り返ると、突然の休校要請など、国の踏み込んだ判断がかえって一部の自治体や地域に混乱を招いた例も見受けられます。コロナ禍に際して、各々で状況を判断して一斉休校を行わなかった自治体もありましたが、国としてどのように受け止めているか、こちらについて、また、これを踏まえて、補充的指示権はどのように行使すべきか、総務大臣の御見解を伺います。
地方分権の推進に関する決議が衆参両院で可決されてから三十余年がたち、新たに国の役割を定めるとしても、地方自治や分権改革が後退することがあってはなりません。
令和三年に開催されたデジタル時代の地方自治のあり方に関する研究会は、大規模な災害や感染症の発生などによって新たな社会経済環境が立ち現れる中、デジタル時代の地方自治の在り方を議論するものでした。その第一回会議で総務省から提出された資料には、コロナ禍に際して、地方自治、地方分権が施策の円滑、効果的な実施の支障となっているといった指摘が、国、地方の関係者のみならず、報道や学術研究においても見受けられたなどと記載されております。これらの指摘について総務大臣はどのように考えるか、説明を求めます。
また、今般の国民の安全に重大な影響を及ぼす事態に関する自治法改正は、これまでの分権改革とどのように整合しているか、また、今後の分権改革の推進を妨げるものとならないか、総務大臣のお考えをお伺いいたします。
想定外の事態への備えとして、対応手段を事前に整備することは当然重要です。しかし、長期的には、自治体への権限や税源の移譲を推し進め、災害に対して情報収集、政策立案から財源の調達、政策の実施まで自治体が一貫して主体的に対応できることも、非平時の備えとして重要ではないかと思案いたします。
三位一体の改革以降、国から地方への財源移譲は全く実現していない一方で、財政調整については、特別法人事業譲与税など新たな制度が立案されてきました。偏在する財源を調整する必要があることは論をまちませんが、自治体全体として地方税収のパイを拡大することも欠かせません。消費税の地方税化などの手段により、地方の自主財源を抜本的に拡大すべきではないでしょうか。総務大臣の御見解をお伺いいたします。
自民党の道州制基本法案が頓挫して以降の分権改革は、手挙げ方式や提案募集方式が中心であり、国は一時に比べると受け身の態度と言わざるを得ません。将来の地方制度に向けた改革ビジョンも欠如しているように思います。一時期、広く国民からコンセンサスを得たと思われた道州制に関しても、既に政府・与党で検討を行う機関は全て廃止され、ビジョンを持った前向きな動きがあるとは言えません。
地方分権の歩みを後戻りさせてはなりません。国から今後の地方制度のビジョンを示すべく、政府が主導して、地域主権型の道州制の検討を再開するべきと考えますが、総務大臣の御見解をお伺いいたします。
想定できない国難を前に、国の責務を明確化することは確かに重要です。しかし、一方で、地域に根を張った自治体のレジリエンスを生かすことは同様に欠かせません。そのためには、更なる分権改革が必要です。その到達点こそ、我が党が提唱する地域主権型の道州制であることを申し述べ、質問を終わります。
御清聴いただき、ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣松本剛明君登壇〕
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