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清水信哉 ·エレファンテック株式会社代表取締役CEO

参議院経済産業委員会(2024-05-28)での発言

第213回国会 ·第第12号号 ·8,194字
○参考人(清水信哉君) ありがとうございます。エレファンテック創業者で社長の清水と申します。  一枚めくっていただいて、二ページ目に私の自己紹介書いておりますが、元々、東大の後、マッキンゼーを出て、その後、エレファンテックという、いわゆるディープテックの技術で世界で戦うということをやっている、スタートアップをやっている側でございます。  本日は、まず前半、そもそもどういった取組をしているのかということが一つ参考になると思いますので、それをお話しさせていただいて、その後、逆にスタートアップを、ディープテックスタートアップをやっている側から政策がどう見えているのかだったりとかいう部分をお話しできればなというふうに思っております。  一枚、二枚めくっていただいて、四ページ目から、ちょっと済みません、最新の会社紹介が英語しかなくて、英語で恐縮なんですが、我々は、二〇一四年、十年前に私が創業した会社でして、世界で初めて金属を印刷するというテクノロジーを用いて電子回路というものを量産するのに成功した会社でございます。  次のページ、五ページ目に行きまして、これは今までの課題を示しておりますが、我々が取り組んでいるのはプリント基板と呼ばれるもの、もうあらゆるパソコンとかスマホとかに入っているものですけれども、これが今まで非常に効率が悪く、環境に悪い方法で作られていたので、より良い方法に変えられませんかということをやっています。  今までのPCBというのは、サブトラクティブ法という引き算のエッチングとかフォトリソと呼ばれる方法で作られていました。つまり、銅箔を貼って、要らない部分を溶かして捨てて、残った部分を使うと、引き算の製法で作っておりました。  こうすると、結局、使う材料というのは投入した材料の数分の一という形になってくるので、非常に材料効率も悪く、水も大量に使うという技術だったんですが、なかなかこれ以外の方法がなかったというところに対しまして、次のページ、六ページ目行っていただきまして、我々は、金属をインク状態、液体のインクの状態にしてダイレクトに印刷した後、メッキで成長させるという、必要な部分にだけ積む、つまり足し算の方法で変えられないかということを取り組んでいる、そういった会社でございます。  七ページ目、これは本当にシンプルな計算なんですけれども、引き算じゃなく足し算なので、非常に銅の使用量、カーボンフットプリント、水の使用量、大きく下がってきています。かつ、材料も、これ材料効率が非常に良くなるのでコストも下げられるというような夢の技術という形でございます。  ちょっと八ページ目、これ投資家向けの資料ですので、我々はマーケットをどう見ているかということなんですが、この実はPCBマーケット、結構面白くて、百ビリオンぐらいのマーケットがグローバルにあります。かつ、グローバルに電化が進んでおりますので、非常にマーケットは伸びております。シンプルな話、電気たくさん使うとPCBもたくさん使わなきゃいけないという非常にシンプルな理由でグローバルに伸びております。  かつ、PCBの材料や装置に関しては、実はこれ半導体の装置や材料に極めて似た市場になっておりまして、ここにトップの例を示しておりますが、例えば、ソルダーレジストであれば太陽さん、太陽ホールディングスさんが世界シェア八五パー持たれていて、利益率も非常に高いだったりとか、あと、圧延銅箔だとJXさんは世界シェア八割持っていますだったりとか、非常にコアのテクノロジーというのは今でも日本企業が押さえていると、まあ日本企業に限らずなんですが、トップメーカーが押さえているというふうなマーケットでございます。  弊社がやろうとしているのは、このプリント基板という当たり前に全世界で使われているものに対して、全く製法を百八十度転換して、そうすると必要な材料、装置、全て変わってきますので、新しいスタンダード、もうこのサプライチェーンを全てぶち壊して、我々が新しい独占的な技術を持ったプレーヤーになっていくということで、世界にとっても良いしというような、そういうことをやっていくというのが我々がやっていることでございます。  九ページ目ですね。とはいえ、非常に難しいことをやろうとしていることが分かると思います。もう百年ぐらい続いている産業ですので、そんな簡単には変わりません。私が創業したのは二〇一四年でして、五つ、マイルストーンを設定しました。まずはラボレベルで、元々東大発ベンチャーとして創業したんですけれども、まずはラボレベルで技術を確立する。その後、小規模な量産をする。その後、量産、大規模量産の前に、大規模に量産したら使ってくれるというお客さんとのアグリーメントを結ぶ。その後、大規模な量産をする。その後に、大規模に量産した実証のラインをそのまま販売していって、我々、結局その装置とインクも流れていくというビジネスになりますので、この装置のライセンシングというのもしていくというふうな、そういったモデルを描いております。  我々、二〇一四年から、今、二〇一四年、十年たちましたが、ようやく三個目をクリアしたという段階でして、最初の技術確立に五年、その後の小規模量産に三年程度使っておりまして、直近、大きくはライトンさんで、これはグローバルにはかなり有名な会社でして、世界のラップトップ、ノートパソコンで四台に一台は彼らが作っている、キーボードは彼らが作っているというふうな非常に大きなメーカーさんとMOUを結びまして、彼らのラップトップの半分、つまり世界の八台に一台のラップトップに弊社の基板を使っていくということでアグリーメントを結びまして、それに向けて今スケールアップというのをやっているというふうな形でございます。  そういった話がちょっと十ページに書いておりますが、ディカーボナイゼーションが産業構造の変革をリードしているということを書いておりますが、こういった産業はなかなか新しい技術いいよといっても変わらないんですね。  そういったところで、脱炭素というのが非常に大きな追い風になっておりまして、もう脱炭素を実現できる、省材料でできるのは我々の技術しかないという形ですので、なので、実は我々、日本にしかチームいないんですが、売上げのパイプラインの九五%は海外という形になっておりまして、海外からこの技術を使いたいんだ、日本のこの技術使いたいんだという形で来ていただいているというふうな形になっております。  十一ページはちょっと技術の話なので、ちょっとマニアック過ぎるので飛ばしますが、材料と装置の技術ということで、もう日本のお家芸的な技術を使っておりますということで、十二ページ目は資金調達の歴史と書いておりますが、ここまでエクイティーでまあ九十五億円ほど、ほかも合わせると百五十億円ほど調達しておりますが、特徴としましては、セイコーエプソンであるとか、あとは三井化学、直近、信越化学であるとか、非常に日本の強い技術を持ったメーカーさんと提携させていただいて、資本業務提携させていただいていまして、日本の技術を使って世界と戦うという形でやっているというのが我々でございます。  十三ページ、会社紹介、最後でございますが、今ちょうどこの量産の拡大というのをやっておりまして、ここから五年以内には、皆さんのお手元のパソコン、スマホ含めて、ほとんどの電子回路というのが我々の製法で作られていくというふうな世界をつくっていくというのが我々のロードマップになっております。という会社を十年ほどやっております。  十五ページ以降、逆に十五年、あっ、十年間スタートアップをやっていく中で、どういうふうに政策が見えているかというところをちょっとお話ししたいなと思っていまして、十五ページにサマリー書いております。  まず全体としまして、過去十年、日本のスタートアップエコシステムの拡大に向けて、政策は非常に正しい方向に進んできたとまず思っております。意外と政策って褒められること少ないんじゃないかなと思うんですけれども、私から見るとといいますか、やっている側からすると、すごくうまくやっていただいているなというふうに思っています。一方で、若干停滞が始まっているというのが、データで後で示しますが、確かで、このままでは停滞が止められないだろうという状況でもあります。その後、がゆえに、諸外国でも一部それに対する取組としてやっている例もございますので、そういったことも紹介できればなというふうに思っております。  十六ページ、これはもうシンプルな図なんですけれども、過去十年めちゃくちゃ成長してきましたということを言っています。私が創業した二〇一四年というのは、日本でベンチャー投資でもう一億、二億の調達でも大ニュースになるような、そういう時代でした。それが、今はもうはるかに拡大して、一億、二億じゃもう全然ニュースにならない。ファンド組成も、当時五十億のファンド組成しても大ニュース、ビッグニュースだったんですけど、今は五十億だったらいっぱいあるよみたいな、そんな感じですごく変わってきました。  これ、非常に重要で、なぜかというと、五十億のファンドには五十億の仕事があるし、百億のファンドには百億の仕事があるんですね。つまり、五億のファンドのリターンを、五億を二十億にするというビジネスの中でグローバルに勝てるビジネスつくる必要がないので、ファンドサイズが大きくなっているということは、実際、上を狙わなきゃいけないというような形で非常に重要なんですけれども、この右側を見ていただいて、実は、二〇一三年からずうっと上がってきたんですが、ここ五年ほどは、ちょっとこれソースが違うので数字違いますが、どのソースを見てみても停滞しているというのが一般的な見解になっています。なので、今まで政策が非常に良かったんですが、若干停滞が始まっているというふうに思っています。  ちょっと停滞の話をする前に、過去良かったという話をせっかくなのでしたいなと思っているんですけれども、ページ十七に、私、これも意外と褒められにくい部分だと思うんですが、INCJさんのファンド・オブ・ファンズの投資だったりとか、中小機構さんのファンドへの投資というのはすごく効果的だったと思っています。つまり、スタートアップエコシステムを回すには、投資して、成功例が出て、リターンが出ます、そうすると、いろんな年金だったりいろいろなところに更に投資します、更に大きい成功例が出るというふうな、エコシステムを回していくということによってしか成長できないんですね。  ただ、スタートアップの投資サイクルというのは非常に長いです。大体、今投資してから回収まで十年以上掛かるのが普通なので、放っておくと十年サイクルでしか成長しないんですね。それに対して、過去十年、INCJさん及び中小機構さん等がファンドに出資をすることによって、ある意味人工的にサイクルを先取りしてファンドサイズを拡大するということをやってきました。これは本当に重要で、この一番下に同じことを書いていますが、やっぱり五億を二十億にするというファンドだと、やっぱり大きいビジネスをつくるモチベーションないんですよね。なので、やっぱり大きいファンドがあると大きいビジネスをしなきゃいけないという形になってくるので、これは非常に重要で、かなりうまく効いてきたというふうに私は見ております。これは本当にすばらしいなというふうに思っています。  一方で、ちょっと停滞の理由についてという話なんですけれども、ちょっとその前に、この十年でスタートアップというものの役割が実は結構変わったんですけれども、意外と認識されていないんじゃないかというようなこともあるので、ちょっと紹介したいと思います。  新しいビジネスをやるときに、開発のリスクを取るのか市場のリスクを取るのかというような軸がございます。その中で、いわゆる伝統的には、二〇一〇年代までのスタートアップというのは、基本的には市場リスクを取るのがスタートアップであるというふうに考えられていました。つまり、こんなのにニーズあるのと、市場あるの、フェイスブックもそうだし、エアビーもそうだし、こんなのニーズまだないかもしれないでしょうというものに、大企業が入れないところに入っていくというのがスタートアップというのがある意味伝統的なスタートアップの価値観としてありました。  ところが、二〇二〇年代からはスタートアップ観がかなり変わってきていまして、市場は絶対にあるんだけれども開発できるかどうか分からぬというようなところも、実はそこも大企業じゃなくてスタートアップがやったらいいんじゃないかということの成功例が出てきています。これ実はかなり大きなパラダイムシフトなんですが、意外とスタートアップ村以外では認識されていない部分もございまして、是非共有したいなと思っています。  例えば、モデルナ、オープンAI、H2グリーンスチール、スペースX等を書いておりますが、例えばオープンAIのサム・アルトマンが言っているのは、サム・アルトマンって元々、Yコンビネーターという本当典型的な市場リスク型のスタートアップをやる、ことをやっていたわけですけれども、彼が言っていたのは、いや、市場リスクを検証するのが一番大事と言ったけど、オープンAIはもう結局AGIができるんだったら何千億投資してでも惜しくはないので、むしろ彼らも、オープンAIも製品をリリースするまで七年ぐらい研究開発をしてようやく出したという形なので、市場リスクというよりは開発リスクに投資していく、研究開発に投資をしていくというのが、そこってスタートアップもできるじゃんということが分かってきたというのが現状になっています。  十九ページ、それを更に詳しく書いておりますが、市場リスク型スタートアップというのは市場リスクが最大のリスクなので、PMF、プロダクト・マーケット・フィットと言われるものなんですが、それが本当に最重要で、開発リスクが低いのでモートが重要になる、かつ政策的につくるのが難しいんですね。例えばティックトックとかを政府が支援してつくれるかみたいな話、多分難しいというのは多分御理解いただけると思うんですが、非常に関わりは難しいと思っています。  一方、開発リスク型のスタートアップについては、かなり政府との関わりが非常に重要なことというのが多いというふうにされています。かつ、伝統的なスタートアップと違ってVCが人工的につくったスタートアップ、カンパニークリエーションという形でつくられたスタートアップというものすらあります。今までのスタートアップのイメージだと、この若いイノベーター、カリスマがいきなりスタートアップをつくってみたいな形ですけれども、例えばモデルナ、mRNAワクチンを開発したモデルナは、人工的にフラッグシップというVCがつくった会社です。社長をハイヤーしてつくった会社です。そういうような形で、政策的に、これは政策じゃないんですけれども、ほかも含めると政策的につくられたスタートアップすら存在しています。  次のページ、二十ページにその例を書いていきますが、この三社、一社、ノースボルト、リチウムイオン電池製造のスタートアップです。二〇一六年設立ですが、ここまで一兆円超の資金調達をしておりますが、物すごい政府支援を受けています。もはや、政策的にここはもうスタートアップという形でやらせるぞというふうな形で政策が、もう政府がかなり手を入れてやっているというふうなスタートアップになっています。  H2グリーンスチール、これもっと最近で、二〇二〇年設立で、これまで三千五百億円を調達しています。欧州委員会からとか入っているんですが、これもちょっと悲しいのが、悲しいって言っちゃいけないんですけれども、技術、実は日本の技術なんですね。水素還元製鉄技術というのは神戸製鋼さんのミドレックスというのを使っています。ところが、水素還元製鉄というような大きい領域ってもう本当に政策領域なので、本当はここは日本がぐっと関与して政策としてつくっていけていれば日本からできていたかもしれないスタートアップだと思います。ところが、日本ではまだまだそういった大きなお金を投資して大きなところを狙っていくというスタートアップが全然まだないので、なかなかそれができていないというのが現状。逆に言うと、そこかなりポテンシャルあるんじゃないかなというふうに考えています。  あと、一番下にスペースXの例も書いていますが、結局スペースXも何だかんだで最初助かったのは官需じゃないかということもあって、そういうのは別に普通だと思っているんですね。  何でこんなことを言ったかというと、二十一ページに、実は私、仕事上、シリコンバレーの投資家とも会うことあります。実は、米国でもいわゆる伝統的スタートアップ観というのが実はありまして、つまり、市場リスクを取るスタートアップ、だから、フェイスブックだったりとかああいうものがスタートアップであって、こういう政府と関わるというのは間違っていると、つまり政府とかああいうのは規制緩和だけしていればいいんだと、政府は余り入らない方がいいと、市場をゆがめるというふうなことを言う人も結構いるんですね。いて、日本でもそういう伝統的スタートアップ観というのはある。  あるんですが、是非そこに惑わされないでいただきたいというのがここの大きなメッセージでして、実際、諸外国では、そんなことを言いながら、アメリカの自由貿易と言いながらEVに一〇〇パー関税掛けるみたいな話で、結局、そんなことを言いながら、諸外国ではめちゃめちゃえこひいきして政策のお金を投入したり、もう政府が人工的につくったりみたいな話も含めて、政府ががっつり関与して大きなスタートアップができてきているんですね。  特に、この開発リスク型というのがなぜ向いているかというと、市場があるか分からないものに投資するのは難しいじゃないですか。でも、EVとかバッテリーとか水素還元製鉄とか、もう市場絶対明確ですと、開発ですというふうになってくると、政府としてもやりやすいというのはあると思います。  なので、各諸外国もそういったところにかなりフォーカスして、えこひいきしてお金を出していっているというふうな現状だと思っておりまして、なので、そういった意見にとらわれることなく、世界で戦えるスタートアップをつくることに集中していくべきじゃないかというふうに思っております。  最後、ちょっと私の意気込み的な話なんですけど、私、実は創業を決めたとき米国に住んでいまして、帰国して起業したんですね。その理由の一つは、日本から世界でナンバーワンになるというスタートアップの前例をつくるというのをやりたいというのがあって、例えば、大谷翔平が成功するまで、二刀流って、あんなの無理だと、そんな枠はなかったわけですよ。でも、彼が成功したので、結局、新しいドラフトに枠ができて、つまり日本には、日本から世界で、かつて枠がなかったんですよね、スタートアップかいわいにおいては。だから、逆に言うと、前例があれば、前例というのはある意味もう政府とか含めて人工的につくっていくことでもよいので、前例さえあれば、日本の技術というのはあるんだから、それが商業化して世界に出ていって、私がもう本当にこうしたいなと思ったのは、二〇二〇年代から日本って再びイノベーションが日本からばんばん出てくるよねというふうな世界になっていくというふうな形にしていきたいなというふうに思っておりますので、是非よろしくお願いいたします。  私からは以上となります。

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