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岩田正吾 ·一般社団法人建設産業専門団体連合会会長

参議院国土交通委員会(2024-06-04)での発言

第213回国会 ·第第17号号 ·3,644字
○参考人(岩田正吾君) この度は、発言の機会を与えていただき、誠にありがとうございます。  建設産業専門団体連合会、略称を建専連と申します、会長の岩田でございます。  建専連は、建設業における専門工事業団体の連合会組織であり、全国組織三十四団体、五万三千会員を有する、建設現場における主に下請となる業種の連合体組織であります。夏には全国各地を回り、ブロックごとに組織されている各地区建専連とともに地方整備局などとの意見交換会を行っており、地域の抱える問題とも向き合ってまいりました。また、これまでには、民間発注者の方々や役所の方々を始め、いろいろなお立場の方とお話をさせていただきました。そのことを踏まえ、本日は、建設業界の抱えてきた問題を職人の目線で、会を代表し、お話をさせていただきたいと思います。  初めに、日本の専門工事業界の実態について説明いたします。  まず、欧米諸国と比較すると日本の技能者の賃金は大幅に安く、日本国内においても全産業平均値より年収では七十七万円安く、労働時間では六十八時間多く働いている状況であり、若い担い手も、両親や先生と相談し、他産業や地場の元請と比較したときに処遇の悪い専門工事企業に目を向けなくなっており、加速している技能者の高齢化と併せて技能者数の減少に歯止めが掛からない状況となっております。さらに、このことは、円安の傾向もあり、外国人労働者を確保していく上でも苦戦する状況に進むのではと危惧しております。  なぜ専門工事企業が処遇改善に踏み切れないのか、その大きな要因は労務費を含む請負価格が安定しないことにあります。  建設業はこれまで、発注者と元請はもとより、元請と下請の契約にあっても、総額一式契約により決まった金額、工期で収めていくことを正として進めてまいりました。そのことにより、受注者側である元請、下請が協力し、知恵を絞って何とかその金額で収めようと努力し、新たな工法、技術を開発し、現場の生産性を高めてきたのは周知の事実であります。  ですので、総額一式契約そのものを否定するわけではありませんが、仕事量が減ったときには、労務費を含んでいるのにもかかわらず、その内訳を気にしていられなくなり、総額のみにこだわり、黙っていれば仕事が欲しいだろうから下げてくるやろうと、また、下げなければ仕事がもらえないんじゃないかというようなマインドが建設業界の上位から下請まで広がり、その契約行為を進めてきた結果、必要な労務費を削って安値競争の原資に組み込まれるようになりました。それがいわゆるダンピングです。ダンピングは元請だけではありません。下請にもあるわけです。  これまで現場で知恵を出して高めてきた生産性もそのコストに当然のように組み込まれ競争をするわけですから、新たな知恵が出ない限り赤字になります。こうした仕事量の増減に対し赤字にならないようにするために、労務費を固定費ではなく変動費にせざるを得なくなり、直接雇用する職人に対しては固定費を抑えて出せるときに賞与で調整をしたり、下請に外注する場合などは指し値、すなわち自社の経費と利益を差し引いた金額を提示し、それに見合う業者間で競わせるようになり、さらに二次下請も同じように行動することから自然に安値競争へと加速をしていき、結果として重層下請構造を受け入れる体質になりました。これが請負価格の変動に対する我々の知恵であり、生き残るための方策として長年にわたり染み付いてまいりました。  このような状態なので、先を見込んで賃上げした企業ほど調整弁に余裕がなくなり、倒産の危機に直面することになります。その結果が、働いた日数の給与であること、給与が安く不安定であること、通勤時間は長いのに賃金に反映されないこと、休暇が少ないことなどにつながり、処遇改善に踏み切れない大きな要因となっていることは否定できません。技能者の現状は、まさに国がやろうとしている担い手確保のための賃上げや働き方改革の妨げになっているわけです。  このような現状を長きにわたり国土交通省とも協議を重ね、持続可能な建設業に向けた環境整備検討会の場で先生方に議論をしていただき、その提言の下、中央建設業審議会で標準労務費を勧告していただく方向となりました。標準労務費という処遇改善に必要な相場観を示し、不当に低い請負代金による請負契約の禁止と連動した取組に対し、画期的でまさに今必要な法律であると、業界を挙げて大変期待をしているところであります。  このような動きに対し、もらえないから払えないと言ってきた我々建専連会員企業も、もらえたらしっかり払おうやないかということを申し合わせました。そして、CCUSレベルごとの年収を公表いたしました。その目的は、何年働いてこの資格を取れば最低でも年収幾らもらえるんだということをしっかりと見える、キャリアパスを見える化することでした。労務比率の高い職種を中心に、八職種十団体で先行設定いたしました。このことにより、CCUSは入らされていた資格から入りたい資格へと変わり、加入がより加速すると信じております。  また、技能者の賃金を下支えする仕組みには、欧米にはそれぞれの国に応じたものが構築されておりますが、日本はこれまで述べた理由によりできませんでした。しかし、今回の業法改正により、可能となる兆しが見えてくるわけです。また、標準労務費の制度が導入されることで、政府からの賃上げ要請に対応する環境が整備されることになります。働き方改革への対応についても、標準労務費の行き渡りのベースには、月給制を基本として年収を引き上げていくこと、しっかりと休みを確保することなどが前提なので、休むと手取りが減るという否定的な意見はなくなり、休みを取ろうとする意識へ向かうものと大いに期待をしております。  払わなければ人は来ない。払うための準備は進んできております。是非とも早期の本制度の実現をお願い申し上げます。  また、これらの取組をより実効性を持たせるためのお願いを申し上げます。  一つ目は、これらの取組には、申し訳ありません、一つ目は、公共工事はもとより、民間工事においても標準労務費がしっかりと担保されるよう、チェック体制を強固な形に整備していただくことをお願い申し上げます。  二つ目は、これらの取組には民間発注者からの理解が最も重要です。  これまで民間発注者の方々は元下間の問題であると言ってこられましたが、中建審の場において民間発注者委員の方も労務費の価格転嫁はやむなしとおっしゃられました。大変感謝をいたしております。しかし、民間発注者の方も販売価格への転嫁に苦慮されており、既に契約している工事については契約額の範囲内で何とかやり切ってくれという状態にあると聞いております。これでは賃上げに数年掛かってしまいます。  我々も、元請団体と協力し、しっかりと説明をして理解をしていただけるよう汗をかいてまいる所存ではありますが、国からも、数年後では遅い、賃上げ対応が遅れると、標準労務費の創設はもとより、サプライチェーンが一体となって今価格を上げ賃金を上げるんだと、そのようなマインドになるような働きかけを是非ともお願い申し上げます。  その上で、建設業法、独禁法、下請法、労働法など関係する法律を総動員して、不適切な行為には関係省庁が連携をして対処していただくことをお願い申し上げます。発注者の方々に労務費の蛇口を開いていただかないことには原資となる水は流れてこないのです。是非ともお願いを申し上げます。  三つ目ですが、その上で、建設Gメンの立入調査などの指導時に、建設現場の所長や工事長、契約窓口となる方々に対し、プライスを評価する価格のみの競争から、現場での働き方を確認してもらうなど、持続可能性を考えて技能者を雇用、育成する優秀な企業への評価、すなわち質の競争へとマインドを変えていただくような指導内容としていただくことを併せてお願いを申し上げます。我々も、建設業法を身近なものとし、コピーを持って現場と対峙し、交渉の盾として生かして、労務費を競争の原資にしないようお願いしてまいる所存であります。  以上、三点お願い申し上げます。  また、これらの政策が実現した暁には、まずは全産業平均への処遇改善を目指し、これから若い方々に選ばれるために欧米並みの賃金を目指して、技能者が安定した未来予想図の描ける業界へ、また、働いてほしいという業界から働きたいと思えるような業界へと変われるよう一層努力をしてまいります。  最後になりますが、国の賃上げの取組に強く賛同し、深く感謝を申し上げ、また世界に負けない日本づくりをお願い申し上げて、建専連の意見とさせていただきます。  貴重なお時間をありがとうございました。

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○参考人(岩田正吾君) 中央建設業審議会でも、労務の価格転嫁についてはやむなしと、それまでは元下間の問題で、総価一式で決めてきたので、それは元下間の問題だといって問題を切り分けられ…
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