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和田政宗 ·自由民主党

参議院東日本大震災復興特別委員会(2024-03-13)での発言

第213回国会 ·第第2号号 ·3,586字
○和田政宗君 去る二月二十六日、二十七日の二日間、宮城県及び岩手県において、東日本大震災の被災地における復旧・復興状況等の実情を調査してまいりました。  参加者は、野田国義委員長、石井浩郎理事、広瀬めぐみ理事、横沢高徳理事、横山信一理事、石井苗子理事、竹詰仁委員、岩渕友委員、齊藤健一郎委員及び私、和田の十名であります。  以下、調査の概要について御報告いたします。  初日は、まず、宮城県に赴き、石巻市において、株式会社宮富士工業を訪れ、後藤代表取締役社長から、同社における産業、なりわいの再生の取組について説明を聴取し、作業現場を視察しました。  製缶業を営む同社は、高度な溶接技術を持つ少数精鋭の技術者集団であり、グループ補助金や東日本大震災事業者再生支援機構による債務整理、融資等の支援を活用しつつ、事業の再建に取り組まれました。また、物づくりの担い手育成のため、子供向けの教室を開催しているとのことでした。  次に、石巻市内にて、齋藤市長から、同市の復興の状況とこれからの町づくりについて説明を聴取しました。  次いで、震災の津波被害から復旧を遂げた前網漁港をバスの車中から視察した後、前網地区振興会集会所に移動し、宮城県漁業協同組合寄磯前網支所の方々と意見交換を行いました。  当地では、震災前からホヤなどの養殖が行われており、震災後は水産業の復旧・復興に向けて取り組まれていましたが、東京電力福島第一原子力発電所のALPS処理水の海洋放出に伴う水産物の価格下落や、海水温の急激な上昇の影響による不漁など、厳しい状況に直面しているとのことでした。  同支所からは、東北電力女川原子力発電所事故発生時の避難道路の拡張及びシェルター等の構築や、ALPS処理水の風評被害金支払期間、基準の取決めなど、六項目から成る要望書を受け取り、その趣旨について説明を伺いました。  派遣委員との間では、震災前と比較した水揚げ状況の変化、ALPS処理水の海洋放出及び海水温上昇が水産に与える影響、ホヤの賠償をめぐる東京電力との交渉状況、ホヤやホタテに代わる養殖水産物に関する考え方等について意見が交わされました。  次に、石巻市震災遺構大川小学校を訪れました。大川小学校では、震災の津波により児童、教職員合わせて八十四名が犠牲となりました。同校は、この教訓を伝えるため、震災遺構として整備され、令和三年七月に一般公開されました。  まず、本委員会を代表し、野田委員長から献花が行われるとともに、派遣委員一同により、震災による犠牲者に対して黙祷をささげました。  その後、大川伝承の会の佐藤共同代表の説明を伺いながら現地を視察しました。佐藤共同代表からは、震災当時の同校の児童、教職員の行動の経緯等について説明を聴取するとともに、同校の校歌のタイトルである「未来を拓く」の言葉のとおり、「未来を拓く場所」として震災の教訓を伝えていくこと、そして、今後の防災対応等を共に考えていくことの重要性を伺いました。  次に、気仙沼市へ移動し、株式会社臼福本店を訪れ、臼井代表取締役社長から、同社が営む遠洋マグロ漁業について、漁業経営を取り巻く厳しい現状や課題を含め、説明を聴取しました。  同社は令和二年に、大西洋クロマグロ漁業では世界で初めて、持続可能な漁業に係る認証であるMSC認証を取得しました。臼井社長からは、持続可能な漁業の取組に加え、違法漁業対策の強化や、違法漁業由来の水産物の流通防止、漁業に係る法規制の考え方等について説明を伺いました。  次いで、気仙沼市内にて、菅原市長から、同市の復興の現状等について説明を聴取しました。  二日目は、まず、岩手県陸前高田市に移動し、同市の高田松原津波復興祈念公園・東日本大震災津波伝承館を訪れました。  同公園は、震災による津波の犠牲者を追悼、鎮魂し、震災の事実と教訓を継承するとともに、地域のにぎわいの再生に資することを基本理念としており、令和三年十二月に全面供用に至りました。  まず、野田委員長からの献花とともに、派遣委員一同により、震災による犠牲者に対して黙祷をささげました。  その後、伝承館を視察するとともに、陸前高田市から土地活用及び公共交通機関の施策について説明を聴取し、意見交換を行いました。  土地活用に関しては、防災集団移転促進事業等の取組状況を伺いました。同事業については、移転元地の未利用面積が令和五年十二月末時点で全体の三割超となっており、点在して活用しにくいものを始め、更なる利活用が課題であるとのことでした。  公共交通機関の施策に関しては、自動運転サービスの活用による高田松原津波復興祈念公園等における伝承活動促進事業等の取組状況を伺いました。同事業では、同公園内及び各震災遺構を巡る自動運転サービスの社会実装を目指し、実証実験が行われていますが、技術や費用などの課題があるとのことでした。  派遣委員との間では、自動運転車両のユニバーサルデザイン対応の状況、第二期復興・創生期間の満了が迫る中での陸前高田市の復興の進捗と現下の課題、防災集団移転促進事業の制度改正の状況と活用促進、同市が買い取った移転元地を災害危険区域に指定した場合の規制内容等について意見が交わされました。  次に、大船渡市に移動し、岩手県の拠点的な魚市場である地方卸売市場大船渡市魚市場を訪れ、同市からALPS処理水の風評について説明を聴取するとともに、当地の漁業協同組合及び水産加工業者の方々と意見交換を行いました。  ALPS処理水の海洋放出以降、中国等による輸入停止措置の影響によりアワビやナマコの単価が下落し、アワビについては東京電力との間で賠償に向けた交渉が進められているとのことでした。また、主要魚種の記録的な不漁に加え、海水温上昇による養殖水産物への影響、クロマグロの漁獲規制に伴う経済的損失等、水産業が直面する厳しい現状について説明を伺いました。  派遣委員との間では、クロマグロの漁獲可能量の上限に達した場合の漁業者の対応、中国の輸入停止措置の影響に係る精神的損害への賠償を求めていく必要性、経済産業大臣が漁業の現場を視察することの重要性等について意見が交わされました。  次に、釜石市に移動し、津波により被害を受けた旅館である宝来館を訪れ、自身も津波に巻き込まれた経験を持つ岩崎おかみから、被災当時の様子や同館の再建に向けた取組等についてお話を伺いました。  次いで、うのすまい・トモスを訪れました。同所は、震災の記憶や教訓を将来に伝えるとともに、複数の公共施設を一体的に配置し、地域活動や観光交流を促進しています。  同所にて、横沢理事及び私からの献花とともに、派遣委員一同により、震災による犠牲者に対して黙祷をささげました。  次に、釜石市が設置している鵜住居地区生活応援センターを訪れ、同センター及び釜石市社会福祉協議会から、コミュニティー形成等の被災者支援の取組について説明を聴取しました。  同センターでは、復興住宅の住民と地域住民の共生、社会参加を図るべく、コミュニティー形成支援の環境づくりや孤立予防、体力維持等を目的とした各種イベント等の企画立案、運営などを行っています。また、釜石市社会福祉協議会は、復興住宅での自治会形成に向けた交流会の開催などに取り組んでいるとの説明を伺いました。  派遣委員との間では、復興住宅の住民の既存コミュニティーとの融合に関しての実情、被災者支援総合交付金による長期的な支援の必要性、同センターのイベント等に参加できていない住民への対応等について意見が交わされました。  以上が調査の概要であります。  震災から十三年が経過しましたが、引き続き、被災地の復興創生のため、地域の実情に応じたきめ細かな支援が必要であると改めて認識した次第であります。  特に、水産業に関しては、ALPS処理水の海洋放出の影響等、新たな事態への対応に直面しています。東京電力による漁業関係者への賠償を始め、今後の動向を注視していくとともに、今回伺った水産現場の切実な声を踏まえ、水産業の復興、発展に向け、本委員会はもとより、国会、政府が果たすべき役割について深く考えさせられました。  加えて、時間の経過とともに震災の記憶が薄れていく中、その教訓を効果的に伝承していくため、震災遺構や伝承施設の一層の利活用が求められていることを強く認識しました。  最後に、私どもの調査に御協力いただいた皆様に対し厚く御礼を申し上げますとともに、被災地の一日も早い復興創生が果たされますようお祈り申し上げまして、報告を終わります。

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