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岸田文雄 ·自由民主党・無所属の会 ·内閣総理大臣

参議院本会議(2024-04-26)での発言

第213回国会 ·第第15号号 ·2,940字
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 松野明美議員の御質問にお答えいたします。  現行の基本理念の実現と農業の未来像についてお尋ねがありました。  食料・農業・農村基本法の制定以降、農地の集積、集約や基盤整備の推進など、食料の安定供給の確保、農業の持続的な発展等の基本理念の実現に向けた施策を展開してまいりました。その結果、人口減少に伴い国内市場は縮小し、農業の担い手が減少する中にあっても、農業総産出額は九兆円前後を保っているところです。  一方、現下の課題として、世界の食料供給が不安定化する中、輸入に依存する農産物の国内生産の拡大が急務となり、また農村人口の継続的な減少が見込まれる中、少ない農業者でも食料を安定供給できる体制の確保も重要となっています。  こうした課題を踏まえ、需要に応じた生産を基本にスマート技術等による生産性の向上などを図るとともに、ブランド化による付加価値向上、輸出を含めた販路拡大等の取組を支援していくことにより、農業所得の向上が図られ、農業に携わる皆さんが夢と希望、自信を持って活動できる農業を実現してまいります。  食料自給率についてお尋ねがありました。  我が国では、国内で自給可能な米の消費の急速な減少、輸入依存度の高い飼料を多く使用する畜産物の消費の増加など消費面での変化が進み、これが食料自給率の減少要因となっています。  こうした食料消費の傾向はしばらく継続すると見込まれますが、食料安全保障の確保の観点から、麦、大豆等の輸入依存度の高い品目の国産転換といった食料自給率の向上に資する取組を更に推進することが重要であると考えています。  作物の多収化についてお尋ねがありました。  食料安全保障の確保に向け、農業の生産性向上が重要な政策課題となる中、多収性品種の開発とその普及は極めて重要なものであると認識をしています。  食料・農業・農村基本法の改正案に関する衆議院の修正として、多収化等に資する新品種の育成及び導入の促進が追記されたところであり、国として、農研機構を活用しつつ、自治体と連携をして多収性に優れた品種の開発、普及、また研究人材の育成、これらを進めてまいります。  農業従事者の減少の理由及び農業の魅力を高める方策についてお尋ねがありました。  我が国人口が減少する中、基幹的農業従事者はこの二十年で百四万人減少しましたが、その七割以上である七十七万人を米の生産者が占めています。このように、機械化が進む中で多数の高齢の米生産者のリタイア等により農業者が全体として減少したものと考えておりますが、法人経営体の増加などを背景に農業総産出額は九兆円前後を保っています。  今後、若い世代がより魅力ある職業として農業を捉えられるよう、若手農業者との交流イベント等による農業のやりがいなど、生のこの魅力の発信のほか、スマート化による生産性向上や付加価値向上等により農業所得の向上を図ってまいります。  農地バンクの活用と企業の農業参入についてお尋ねがありました。  農地バンクの活用促進に向けては、農地バンクに貸し付けた農地について、農家負担を伴わずに大区画化等を行うとともに、固定資産税の軽減等を措置しています。こうしたインセンティブによる農地バンクの一層の活用を通じて農地の集積、集約化、加速化してまいります。  また、株式会社等の農業参入については、平成二十一年のリース方式の下での完全自由化後、それ以前と比べて約五倍のペースで進んでおり、今後も制度の適切な運用等を通じて地域と調和した農業参入、農業生産を後押ししてまいります。  農地所有適格法人の経営基盤強化の措置についてお尋ねがありました。  農地を取得、所有できる農地所有適格法人については、経営面での農業者の主体性確保のために議決権割合等の要件を定めているところ、食料安定供給と農業経営の発展に資するものとして、食品事業者等からの出資を通じて経営基盤の強化を図るための農地制度の改正法案を提出したものです。  法案の成立を見れば、まずはしっかり運用することが重要であり、今後の業種拡大は、議員御指摘のイノベーションにつなげる観点や農業現場の懸念等を踏まえ、丁寧に検討していくことが必要であると考えております。  スマート農業の社会実装の加速化についてお尋ねがありました。  スマート農業技術は、人口減少下においても生産性の高い食料供給体制を確立するために重要なものであると考えております。その際、スマート農機等の導入コストが高く、また、それを扱える人材が不足しているなどの課題、明らかになっています。  このため、今国会に生産性向上のためのスマート農業の振興などを進めるための関連法案を提出しており、これに基づく税制、金融等の支援を講ずるとともに、人材の育成も図りながら、スマート農業の社会実装の加速化に取り組んでまいります。  基本法に農福連携を位置付けた意義についてお尋ねがありました。  今後、農村地域では人口減少、高齢化が急激に進行することが見込まれる中、農福連携の推進は、障害者を始め多様な人々の社会参画を実現すると同時に、これを通じた地域農業の振興が期待されるところです。  今後、新しい基本法に基づき、農と福をつなぐ専門人材の育成等の取組に加えて、地域ぐるみの取組に向けた地域協議会の活動の拡大を後押しするとともに、障害者のみならず、社会に支援が必要、社会的に支援が必要な者の社会参画を促進し、政府一体となって農福連携を一層推進し、地域農業の振興を図ってまいります。  農産物の輸出についてお尋ねがありました。  リンゴの輸出は、日本産の味、色などの品質が評価され、春節の贈答需要などを捉えて拡大してきました。また、米の輸出については、日本産の味の良さのPRなどを実施し、海外におけるおにぎりやレストランなどの需要開拓、進めてきたところです。  これらのほかにも、カンショ、緑茶など、輸出先のニーズを捉えて輸出額が増加している品目は多数あり、農林水産物・食品の輸出目標である二〇三〇年五兆円に向けて取組を加速してまいります。  具体的には、輸出先国のマーケットニーズや規制に対応した輸出産地の形成、輸出の際に鮮度を維持する冷蔵保管技術など新たな技術の活用促進、これらを図ってまいります。  食料の不測時への対応等についてお尋ねがありました。  食料安全保障に関する周知広報については、我が国の食料安全保障リスクの高まりや対策の必要性などについて、国民への正確で分かりやすい情報提供を丁寧に行ってまいります。  また、食料供給困難事態対策法案に関し、罰則は、食料供給が大幅に減少する事態において、生産、流通など食料供給に関わる事業者の供給力を把握するために必要最小限の措置として設けるものです。  不測時の対策を実効的に行うため、事業者との協力関係の構築、国内生産基盤の強化、また安定的な輸入の確保など、これらの取組を平時から進めてまいります。(拍手)     ─────────────

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