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岸田文雄 ·自由民主党・無所属の会 ·内閣総理大臣

参議院本会議(2024-05-17)での発言

第213回国会 ·第第19号号 ·3,724字
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 片山大介議員の御質問にお答えいたします。  これまでの政策で少子化が改善されていない理由についてお尋ねがありました。  これまで政府においては、例えば保育の受皿整備、幼児教育、保育の無償化など、様々な取組を進めてきました。その成果として、いわゆる保育所待機児童数は平成二十九年の約二・六万人から昨年は二千七百人まで減少するなど、一定の成果があったと考えております。  一方で、少子化の背景には、個々人の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因があり、いまだに多くの方の子供を産み育てたいという希望の実現には至っていないと認識をしています。  昨年末閣議決定したこども未来戦略では、乗り越えるべき課題として、若い世代の結婚、子育ての将来展望を描けない、若い世代が結婚、子育ての将来展望を描けない、そして、子育てしづらい社会環境や子育てと両立しにくい職場環境がある、また、子育ての経済的、精神的負担感や子育て世帯の不公平感が存在する、こうした三点が挙げられているところです。  加速化プランとこれまでの少子化対策との違いについてお尋ねがありました。  昨年末まとめた加速化プランにおいては、若い世代の所得を増やす、社会全体の構造や意識を変える、全ての子供、子育て世帯を切れ目なく支援する、この三つの理念の実現を掲げ、約三・六兆円規模に及ぶ前例のない規模の子ども・子育て支援の抜本的な強化をスピード感を持って実施することとしております。  その内容として、本法案でも、児童手当の抜本的拡充、こども誰でも通園制度の創設、育児休業給付の充実など、長年指摘されながら実現することができなかった施策を盛り込んでいます。  こうした制度や施策の充実と併せ、社会全体で子供や子育て世帯を応援する機運を高める取組も重要であり、車の両輪として進めてまいります。  少子化対策の効果検証についてお尋ねがありました。  少子化対策を進めるに当たっては、KPIを適切に設定をし、政策の効果等を検証しながら進めていくことが不可欠であり、既にこども大綱において政策全体に係るKPIとして数値目標を含めた指標を設定をしております。その上で、加速化プランに盛り込まれた個別の施策を含め、具体的に取り組む施策の進捗状況を把握するための指標を近くまとめるこどもまんなか実行計画において設定することとしております。  こうした枠組みを重層的に活用し、PDCAの観点を踏まえながら、子ども・子育て政策を推進してまいります。  また、少子化トレンドの反転を何で判断するのかというお尋ねについては、出生率の向上によって判断していくこととなります。  具体的には、政府としては、個人の幸福追求を支援することで、結果として少子化のトレンドを反転させることを目標としています。これは、若い世代の結婚、妊娠、出産、子育ての希望と現実の差を埋めていくことにより、希望がかなえられてその差が小さくなり、結果として出生率が向上し、少子化の流れに歯止めを掛けるということであります。  そして、こども未来戦略と若い世代の所得向上の関係についてお尋ねがありました。  こども未来戦略では、若い世代の所得を増やすことを理念の一つとして掲げ、賃上げや三位一体の労働市場改革、非正規雇用の正規雇用への転換などの取組を進めることを明記しています。  その上で、加速化プランでは、子ども・子育て政策の抜本的強化に当たって、児童手当の抜本的拡充、高等教育の負担軽減、児童扶養手当の拡充といった長年指摘されながら実現することができなかった経済的支援策を盛り込んでおり、これらを新しい資本主義による構造的賃上げ等の取組と車の両輪として進めていくこととしております。まさに若い世代の所得向上に真正面から取り組むものであり、新しい資本主義に丸投げしているという指摘は当たらないと考えております。  いわゆるドメイン投票についてお尋ねがありました。  御指摘のような仕組みについては、子供のいない方は一票、子供のいる方は子供の代理として複数回投票できることになることをどのように考えるのか、また、親が必ずしも子供のことを考えて投票するとは限らないことをどのように評価するのかなど様々な課題があり、慎重に検討すべきものであると考えております。  そして、少子化対策の財源についてお尋ねがありました。  今般の法案では、総額三・六兆円程度の加速化プランの財源について、歳出改革による公費節減、既定予算の最大限の活用、支援金制度の構築で賄うことを明記しており、机上の空論ではなく、法律にのっとって徹底した歳出改革、取り組んでまいります。  このうち、歳出改革による公費節減については、これまでも社会保障関係費等の歳出の目安の下での歳出改革により、子ども・子育て関連予算を国、地方で年平均〇・一八兆円程度増加させてきた実績があり、昨年度、今年度予算においても、薬価等改定や医療保険制度改革などの取組を継続した結果生じた〇・三七兆円程度の公費節減効果を活用し、子ども・子育て予算の追加を行ったところです。こうした取組を二〇二八年度まで継続することで、一・一兆円確保することは可能であると考えております。  また、支援金制度の導入によっても実質的な負担が生じないためには、二〇二八年度までに一兆円程度の保険料負担軽減効果を生じさせる必要がありますが、昨年度、今年度予算の歳出改革による保険料の軽減効果は合計〇・三三兆円程度であり、これを二〇二八年度まで継続すれば実現は可能であると考えております。  そして、全世代型社会保障の改革工程の検証についてお尋ねがありました。  歳出改革については、昨年度閣議決定した改革工程における医療・介護制度等の改革を実現することを中心に取り組むこととしており、その具体的な内容は毎年度の予算編成過程において検討、決定をし、着実に実施をしてまいります。  各年度における改革の内容や、それによって生じる公費節減効果や保険料負担の軽減効果については、各年度の予算審議などを通じて丁寧に説明をし、政策の効果も事後的に検証、そして分析をしてまいります。  子ども・子育て支援金を社会保険料と位置付けることについてお尋ねがありました。  支援金制度は、社会連帯の理念を基盤に、子供や子育て世帯を少子化対策で受益がある全世代、全経済主体で支える仕組みです。  急速な少子化、人口減少に歯止めを掛けることが医療保険制度の持続可能性を高め、その存立基盤にとっても重要な受益となることから、医療保険者に医療保険料と合わせて徴収していただくこととしたものであり、この保険料の目的外使用との指摘は当たらないと考えております。  また、支援金は抜本的に拡充する児童手当等の給付に充てられ、少子化対策に反するどころか子供、子育て世帯にとって大きな給付の充実につながるものであり、今般の子ども・子育て支援の抜本的強化に当たって支援金制度の構築は必要不可欠であると考えております。  子ども・子育て支援金と社会保険負担軽減の関係についてお尋ねがありました。  これまでは、歳出改革としては主に公費節減の効果に着目し、保険料負担の軽減効果には具体的なメルクマールは設定しておりませんでしたが、今回の加速化プランに係る財源確保に当たっては、社会保障負担率という具体的なメルクマールを設けています。  具体的には、歳出改革による社会保障負担率の軽減効果を生じさせ、その範囲内で支援金を構築することを基本としており、これまでよりも歳出改革の努力を徹底するものであります。したがって、新たな錬金術を画策したという指摘は当たらないと考えております。  そして、仮に、御指摘のように、保険料負担の軽減効果を生じさせるのみで、その範囲内で支援金制度を構築することを行わないとすれば、安定財源を確保しつつ、子ども・子育て施策の抜本的強化を図ることができなくなる、そして一方、この保険料負担の軽減効果の範囲内で支援金制度を構築することは実質的な負担を生じさせない、こういったことになると考えております。  そして、子ども・子育て支援金の拠出額についてお尋ねがありました。  支援金制度の制度設計については、こども家庭庁の大臣懇話会において有識者等の御意見を伺った上で、昨年末にこども未来戦略において決定したものです。  その上で、具体的な拠出額については、予算委員会での御審議を踏まえ、法案審議に間に合う形で、医療保険制度ごとの額を始め、お求めに応じきめ細かくお示しをしましたが、加入者一人当たりの平均月額四百五十円との従来の説明が変わるものではありません。  このように、支援金の拠出額については、申し上げてきたスケジュールに沿って適切なタイミングでお示ししてきたものであり、不誠実との指摘は当たりません。(拍手)     ─────────────

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